Turtleback オールドレンズワークショップ

December 07, 2018

ホイアンでオールドレンズ漬けの三日間

12月1日から3日にかけて、Turtlebackオールドレンズワークショップでホイアンに行ってきました。ホイアンはベトナム中部にある旧市街で、世界文化遺産に指定されています。その街並みはフレンチコロニアル様式と中国様式が混在し、独自の雰囲気を醸しています。また、ホイアンはランタン祭りでも有名で、お祭りの期間以外でも夜になれば街中にランタンが灯ります。撮影という観点からすると、朝から晩まで被写体に事欠かない街と言えます。そんなホイアンにて、2泊3日のオールドレンズワークショップを開催しました。ワークショップ中に撮ったスナップの数々、ご覧ください。

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α7III + Vario-Sonnar T* 24-85mmF3.5-4.5 N ホイアンと言えば、まずはフレンチコロニアルの黄色い壁を撮らなくては。

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α7III + Vario-Sonnar T* 24-85mmF3.5-4.5 N シクロと呼ばれる人力タクシーが列を成してやってきます。浅草の人力車よろしく、観光用です。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 ベトナムは電柱がカオスでおもしろいです。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 ノンラー(ベトナム笠)はけっして観光用ではなく、デイリーウェアとしていまでも定着しているようです。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 ベトナムの子は人なつっこいなあと思ったら、カメラを向けて反応してくれたのはこの子だけでした(笑)。

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α7III + Vario-Sonnar T* 24-85mmF3.5-4.5 N ステンシルで道路標識的なものをスプレーしていました。すぐ横をバイクがかまわず走っていきます。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 旧市街エリアから離れると、ずいぶんとひなびた光景が広がります。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 スクーターと電動自転車が市民の足として定着していますが、使い込まれたカブもよく見かけます。
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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 裏通りの地元民向けのマーケットです。観光用マーケットと比べ、はるかに賑わっています。

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α7III + Trioplan 100mmF2.8 夜になると、たくさんの小舟がトゥボン川を行き来します。

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Leica M10 + Elmarit-M 28mmF2.8 ナイトマーケットでは、色とりどりのランタンが売られています。街中でオリジナルランタンを作ってくれる店も見かけました。

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α7III + Heliar-Hyper Wide 10mm F5.6 バーナーヒルズのゴールデンブリッジへ。ぶっちゃけテーマパークなのですが、インスタ映えはしますね。

ワークショップ終了後、香港在住の写真家、山形宗次郎さんにマカオを案内してもらいました。ワークショップ参加者からも数名、ぜひとも補講を受けたいという勉強熱心な方々が同行。マカオもホイアン同様、夜スナップが楽しい街です。そんなわけで、この日も朝から晩までみっちり撮影と相成りました。

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α7III + Heliar-Hyper Wide 10mm F5.6 マカオと言えばこの壁。そのままだと定番すぎてビミョーなので、夕暮れ時を狙いました。

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α7III + Heliar-Hyper Wide 10mm F5.6 カジノ街はあきれるほどド派手な空間でした。

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Leica M10 + Nikkor-H・C 5cmF2 今回のマカオ訪問の目的はこのカット。下町からリスボアを抜きます。

Turtlebackオールドレンズワークショップもかれこれ3回目となりました。海外で現地集合現地解散という少々ハードルの高いワークショップですが、泊まり込みでオールドレンズ三昧という機会は得がたいものだと思います。今後もオールドレンズを楽しむためのイベントをいろいろと企画してまいります。

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August 22, 2018

バナナ売りの老女

その日、朝食も取らずにホテルを出た。早朝の涼しいうちに撮影しようという目論みだ。ホイアンの旧市街へつづく道は、通勤通学のスクーターでごった返している。日本と逆の右側通行が、路上の混雑をよりカオスなものに見せていた。

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狭い道をスクーターの群れが押し寄せてくる。

撮りはじめて小一時間、体中から汗が噴き出す。首から提げたライカが重い。踏み出す一歩も重い。開店準備中のカフェに頼み込み、休ませてもらう。店先の日陰に椅子を置き、腰掛ける。ベトナムの屋台やカフェの椅子はどうしてこんなに小さいのか。まるで白雪姫の小人用だ。膝を折り畳むようにして座り、甘ったるいカフェ・スア・ダーを飲む。コンデンスミルク入りのベトナムコーヒー。これがやけにおいしく感じられるのは、ベトナムの刺すような暑さのせいか。

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普段コーヒーはブラックだが、郷に入っては郷に従え。この甘さがいい。

午前中のホイアン旧市街は閑散としている。観光客があふれるのは夕方からだ。暑い日中は、青い空と黄色い壁だけが静かに佇む。そんな旧市街を、あることに注意しながら歩いた。

昨晩、レストランに入店するとき、涼しい席を頼んだ。すると返ってきた答えが「ホイアン、ノーエアコン」だったのだ。世界文化遺産に指定された旧市街は、美観を損ねるという理由から室外機の設置がNGらしい。たしかにこれまで入ったカフェやレストランは、どれも窓をフルオープンにして、天井で巨大な扇風機がぐわんぐわんと回っていた。改めて街を見てまわると、たしかに室外機は見当たらない。写真を撮る身には地味にありがたい。

ホイアンの中心を流れるトゥボン川にたどり着く。夕方になると観光用の小舟が川面を埋め尽くすのだが、午前中は小舟どころか人影すらない。白い太陽が頭上に昇り、足下に小さな影を描く。時折、人力の三輪タクシー、シクロが列をなして通り過ぎるが、どのシクロも客は乗っていない。この暑さだ。地元の人も観光客も、早々外には出てこない。

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早朝、運転手すらいないシクロが道端に佇む。

被写体を探しながら川沿いを歩く。ベトナム笠の老女に目がとまる。天秤棒で果物を提げている。ホイアンでよく見かける光景だ。写真を撮らせてもらえるだろうかと逡巡していたら、向こうから写真を撮れと身振り手振りで伝えてきた。心置きなくベトナム笠の老女を撮らせてもらう。いかにもベトナムらしいひとコマが撮れた。

そしてファインダーから目を離し、カメラを下げた瞬間、老女の目つきが変わった。天秤棒のカゴを指さし、バナナを買えと猛烈にアピールしてくるのだ。このバナナはとても甘い、おいしい。写真撮らせてやっただろ、おまえは買うべきだ、と。ベトナム笠と天秤棒、バナナ売りというコスプレ。そうだった。旅先に親切なんてない。

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バナナ売りの老女に別の場所で再会。売れないらしい。

折れた心でホイアン市場を彷徨う。雑貨と生鮮食料品を扱うホイアンでもっとも歴史あるマーケットだ。大きく古い建物の中に、小さな店舗がひしめいている。雑貨フロアを見てまわると、Tシャツ屋が多い。著作権を拡大解釈したプリントTシャツ。お土産に買って帰ったらウケるだろう。ところが、肝心の店員の姿が見当たらない。ふと足下に視線を落とす。Tシャツを並べた台の下から、男の脚が伸びていた。さすがに息を呑む。昼寝と気付くのに、数秒かかった。ベトナムの日射しは、誰にとっても等しく暑いのだ。

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カラーだとほぼ事件現場なので、モノクロでどうぞ。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ

オールドレンズワークショップ第3弾は、ベトナムのホイアンで開催します。ただいま受講者を募集中です。ご興味ある方、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。

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June 13, 2018

Turtlebackオールドレンズワークショップ第3弾、ホイアンで開催します!

Turtlebackオールドレンズワークショップ第3弾の開催が決定した。撮影地はベトナムの世界遺産、ホイアンだ。旧市街とランタン祭りで有名な地である。今月初頭にホイアンを訪れ、3日かけてじっくりロケハンしてきた。

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澤村徹と行くホイアンワークショップ
日程:2018年11月30日~12月3日
場所:ホイアン(ベトナム世界文化遺産)
ワークショップ代:5万円(交通費、宿泊費、食費は各人の負担になります)
※詳細およびお申し込みはオフィシャルサイトをご覧ください。

ホイアンは夜の街だ。旧暦14日にランタン祭りが開催されるのだが、それ以外の日も旧市街の至るところにランタンが灯る。さらにホイアン橋と日本橋のライトアップ、トゥボン川の灯籠流しなど、日が傾くとともに色彩豊かな光が街中にあふれる。大口径オールドレンズで夜スナップ三昧だ。

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旧市街は古い建物をそのまま利用し、ショップやカフェの店舗になっている。街中が古民家リノベーションだ。そうしたショップの明かりが路地を照らす。店先に観光客が群がり、光と影がファインダーで躍る。細い路地には出店が軒を連ね、地元の人たちが軽食やスイーツに舌鼓を打つ。旧市街という言葉からイメージされるような、寂れたムードは微塵もない。観光客も地元の人も、集い歩き飲んで食べて売って買って、ただただ賑やかな時間が過ぎていく。16世紀の貿易港、中国人街、フレンチコロニアル、そんなしかつめらしい話はどうでもよくなる。ここが共産圏であることすら忘れそうになる。怒濤のカオス、それがホイアンだ。

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今回のオールドレンズワークショップは、こうしたホイアンを2日かけて撮り歩く。100メートルで100枚撮れる、それくらいホイアンは濃い。興味があればぜひ、ともにホイアン・ナイトスナップを楽しみましょう。

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December 19, 2017

開平-自衛の亡骸(日本カメラ1月号)

今年の6月、はじめて広東省の開平を訪れました。華洋折衷の望楼が建つ独特な集落です。12月20日発売の日本カメラ1月号にて、そのときの写真を口絵掲載していただきました。

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●日本カメラ2018年1月号[日本カメラ社][Amazon
開平-自衛の亡骸

今回の作品はライカM10とライカM8で撮っています。勘のいい人はお気づきでしょう。M8撮ったカットは赤外です。日本カメラ誌に赤外を載せてもらうのは初めてですね。そこそこ見応えのある作品だと自負しております。ご高覧いただけると幸いです。

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December 12, 2017

開平ワークショップ ムービー公開です!

11月23日から26日にかけて、Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾、「澤村徹と行く開平ワークショップ」を開催しました。香港に集合して、中国開平を訪問。世界遺産に指定された村落をオールドレンズで撮影する旅です。主催メンバーがそのときの様子をムービーにまとめたので、ご興味あればご覧ください。ドローンによる開平空撮は必見ですよ。

●TJ VLOG
開平ワークショップ1日目(赤坎鎮)
開平ワークショップ2日目午前(錦江里)
開平ワークショップ2日目午後(自力村)
開平ワークショップ3日目(打ち上げ・参加者作品紹介)

ぼくは二度目の開平訪問ということもあって、少し余裕をもって撮影できました。開平の村落はどこもかしこもフォトジェニックで、つい目移りして困ります(笑)。参加者の皆さんには事前にロケハンの写真をまとめてフォトブック(世に言う旅のしおり)をお渡しして、ざっくりとイメージをつかんでもらってから撮影に挑みました。参加者の作品も最後のムービーにまとめてあります。こちらも合わせてご覧ください。以下、ぼくが撮ったカットから旅の雰囲気が伝わりそうなものをピックアップしました。

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赤坎鎮のランドマーク的なポイントです。ここの写真をTurtlebackのメンバーに見せてもらい、同じところが撮りたくてワークショップ第2弾を開平に決定しました。開平ワークショップのキッカケになったスポットです。

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6月のロケハンのときと打って変わり、赤坎鎮の主要な建物は竹柵で封鎖されていました。2017年10月に強制退去が施行されたとのこと。今後は修繕工事が行われるそうです。オリジナルの赤坎鎮を撮るラストチャンスでした。

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錦江里に向かう途中の集落です。観光地ではない素の開平の表情です。必要以上に広い感じがいかにも中国だなあと感じます。

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これも錦江里に向かう途中のカットです。ずいぶんと古い建物ですが、別に世界遺産でも何でもなく、ごく普通の集落がおしなべてこんな様子です。

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錦江里の瑞石楼からの眺望です。ロケハンのときは瑞石楼に入れなかったのですが、今回は特別に開けてもらって内部を見せてもらいました。

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もっとも観光客の多い自力村は、田んぼの中にぽつんぽつんと望楼が建っています。 これをみると、いかにも開平だなあという気分になります。

ワークショップ後、香港に戻ってから秘境探検してきたのですが、その話はまた改めて。Turtlebackオールドレンズワークショップは、2018年に第3弾を予定しています。場所や日程が決まったら、またご報告いたします。

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October 12, 2017

開平ワークショップ 締め切り間近です!

「澤村徹と行く開平ワークショップ」の応募締め切りが迫ってきました。ワークショップ開催は11月23日~26日。応募締め切りは10月15日です。香港に集合し、中国の世界遺産開平にてオールドレンズ撮影を楽しむワークショップです。開平は個人旅行だと訪れることが難しく、またツアーパックだとさらっと触りをなぞるだけで終わってしまいます。本ワークショップは中国語と英語に精通したスタッフが旅をサポートし、撮影については澤村徹がじっくりとガイドいたします。

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●Turtleback オールドレンズ・ワークショップ第2弾

澤村徹と行く開平ワークショップ
日程:2017年11月23日~26日
応募締め切り:2017年10月15日

オフィシャルサイトに詳細が載っているので、こちらに目を通した上でお申し込みください。オフィシャルサイトにはロケハンで撮影した開平の写真やムービーも掲載しています。ワークショップ参加の検討材料にしてください。もともと少人数構成のワークショップですので、アットホームな雰囲気で和気藹々と撮影旅行を楽しめればと考えています。オールドレンズワークショップと冠していますが、現行機で撮られる方の参加も大歓迎です。ぜひご検討ください。

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September 09, 2017

【開平ロケハン記04】開平の宿泊食事事情

開平は中国の田舎町だ。上海のような背の高いビルは数えられる程度しかなく、また、深圳のような工場も見当たらない。質素な農村というイメージが一番わかりやすいだろう。バックパッカーにはおいしいエリアだが、撮影ワークショップの場合はまた話が別だ。治安、食事、宿泊、要は文化水準が気になる。開平ロケハンレポート最終回は、開平の宿泊食事事情をまとめてみた。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

今回我々がロケハンで使ったのは、潭江半島酒店という開平唯一の5つ星ホテルだ。市街地の中州の突端にあり、ロケーションと言いグレードと言い、大満足なホテルだった。と言っても、取り立てて贅沢をしたわけではない。宿泊料金は素泊まり360元(6,000円程度)。都内のビジネスホテルより安い。

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中州の対岸から宿泊した潭江半島酒店を望む。このあたりではひと際背の高いビルだ。

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ホテルのエントランス。この過剰に広い感じ、共産圏に来たと実感する。

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パノラマで撮ったことを差し引いても、一人では広すぎる部屋だ。

食事については、朝食はホテルのバイキング、昼食は出先の食堂、夕食はホテルの中華レストランといった具合だ。ホテルのレストランがおいしかったので、必然的にホテルで食事を済ますことが多くなった。撮影で疲れている身としては、改めて外出しないで済むのはとても助かる。ロケハン中、全6回の食事を平均すると、1食あたり100元(1700円程度)ぐらいだった。夕食は少々贅沢するので、平均単価がやや高くなっている。ちなみに、このホテルには喫茶室もあり、夕食後のコーヒーやスイーツもOKだ。食事に関して不安はないだろう。

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夕食はホテルの中華レストランの世話になった。写真の料理はうなぎの釜飯。中華料理でうなぎはめずらしいと思う。

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朝食バイキングで麺をいただく。湯通ししたレタス、甘辛く煮た牛肉、ザーサイ、そしてネギをトッピング。朝から贅沢だ。

トイレ事情はどうか。世界遺産に指定されているだけあって、開平は観光地としての整備が進んでいる。入園料を取る場所は清潔な公衆トイレがあった。ワークショップで巡るスポットに的を絞ると、自力村と錦江里は村落の入口近くに清潔な公衆トイレがある。赤坎鎮は入園料を取らない市街地なので、ここに関しては逆に公衆トイレを避けた方が安全だ(公衆トイレの看板を見つけたが、その道を進むことすら怖いような場所だった)。メインストリートに飲食店があるので、そこのトイレを借りるのが現実的だろう。いずれにしても、現地語のわかるスタッフが同行するので、ひと声かけてもらえればいかようにも対応できる。端的に言うと、日本での旅行とさほど変わらぬ過ごし方で、開平での撮影を楽しんでもらえると思う。

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馬降龍の公衆トイレ。自力村もこんな感じの清潔なトイレだった。車椅子や授乳室も備えている。

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自力村に入園したところ。村落まで整備された道がつづく。左端に見えるのはカフェ。それなりに俗化しているが、村落はどっぷりと濃いのでご安心を。

さて、最後にレンズセレクトに触れておこう。再掲になるが、今回の機材は以下の通りだ。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

このうち、メインで使ったのが球面ズミルックスとビオゴン28ミリで、要所要所でウルトラワイドヘリアー12ミリを用いた。望楼はやはり広角が映える。ビオゴン28ミリは大活躍してくれたが、もう少しワイドでも良かったという印象だった。11月のワークショップ本番では21ミリを持参したいと思っている。

標準域はライカM8に球面ズミルックスでまかなった。35ミリ×1.3倍で35ミリ判換算46ミリ相当だ。ファットエルマリートで遠くから望楼を狙うつもりだったが、ライカM8と球面ズミルックスで案外事足りてしまった。はじめての場所で中望遠を持ち出す余裕がなかったのも事実だけど(汗)。

ライカM8を持ち出した理由はもうひとつある。というか、むしろこちらの理由が本命。開平で赤外写真を撮りたかった。田んぼの中にニョキニョキとそびえる望楼。赤外で撮ってくれと言わんばかりのロケーションじゃないか。ロケハンは天候にあまり恵まれず、赤外で撮れたのは最終日だけだった。それでもインスタ映えならぬ赤外映えするシーンがたっぷり撮れ、開平&赤外はかなりオススメだ。

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自力村で撮った赤外カット。田んぼの奥に望楼が建つ。M8にGビオゴン28ミリを付けて撮影した。

4回に分けて開平ロケハンレポートをお届けした。11月のワークショップでは、赤坎鎮、錦江里、自力村の3カ所を巡る予定だ。ひと口に開平と言っても、村落ごとに狙い目となる被写体が異なる。行く先々で新鮮な被写体と出会えるはずだ。個人旅行ではなかなか行きづらい場所なので、興味があればぜひ。Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾、開平ワークショップ、ご検討のほどを。


【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな
【開平ロケハン記03】遺跡に住む人々

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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September 03, 2017

【開平ロケハン記03】 遺跡に住む人々

ロケハン2日目、朝イチで錦江里に向かう。世界遺産に指定されている村落の中で、開平市街からもっとも離れた場所にある村落だ。タクシーで国道級の道を30分ほど飛ばす。スピードダウンと同時に周囲を見ると、明らかなスラム街に入っていった。それを抜けると一気に視界が開け、どこまでも田んぼが広がる。その田んぼのあちらこちらに、望楼と石造りの家々が点在する。昨日の赤坎鎮は商業地だったが、錦江里は農村だ。

世界遺産に指定されている村落は入園料がかかる。5つの村落で使えるフリーパスが180元。日本円で3,000円前後だ。中国の物価水準からすると、そこそこの金額だと思う。ただ、このお金が村落にフィードバックされ、村落内の道や公衆トイレに姿を変え、観光地としての機能を備えていく。今回、開平の村落を回ってトイレや水分補給に困ったことはなかった。フォトジェニックなロケーションの観光地化は賛否両論あると思うが、僻地で適度な生活水準をキープしてくれると、撮ることに集中できるのでありがたい。

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180元のフリーパスで、立園、自力村、馬降龍、錦江里、南楼の5カ所を回れる。今回のロケハンでは南楼以外の4カ所と赤坎鎮を撮り歩いた。

錦江里はこじんまりとした農村だ。すぐ脇を川が流れ、牛やニワトリの姿が見える。取って付けたような石門をくぐると、一世紀ぐらいタイプスリップしたような感覚に襲われた。石造りの民家がひしめくように身を寄せ合い、その奥に華洋折衷の望楼がそびえ立つ。村落前の広場では、住人が農作物を天日干しにしていた。

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錦江里の入口にある石門。ここをくぐって村落に入る。そこはかとなくアトラクションっぽくてアレだけど、一歩足を踏み入れると別世界が待っている。

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養鶏が盛んな村のようで、至るところにニワトリがいた。養鶏は短時間で現金化できるため、中国の農村ではよく行われているらしい。

土手に上がって村落を俯瞰し、何回もシャッターを切る。次は村落の中へ突入だ。水平に並んだ家々が城壁のようだ。あとで知ったことだが、事実、昔は路地を塞いで城壁の役割を持たせたらしい。細い路地に身を滑らせ、石造りの家々を巡る。窓の隙間からテレビの声が漏れ、食器の触れ合う音が鳴る。人が住んでいる。観光用の遺跡ではない。正真正銘の民家だ。日光江戸村に人が住んでいたら、ちょうどこんな感じだろうか。

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土手から村を一望する。望楼の手前に石造りに家々が密集する。右下にご婦人と赤ちゃんが写り込み、そのスケールがわかるだろう。

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路地は狭く、息を潜めて歩くと、生活音がすぐさまに耳に入ってくる。錦江里の住人は観光客に行為的で、写真は撮りやすかった。ちなみに、馬降龍は住人と観光客のトラブルが多いという。実際、馬降龍をロケしたとき、監視員のような男に立ち入りをとがめられることがあった。

村落の一番奥に望楼が建つ。この望楼は公開されていて、てっぺんまで登れる。錦江里だけではなく、世界遺産に指定された村落の望楼は、観光客に公開されているものが多い。フォトグラファーにとってこれはパラダイスだ。柵もない、ガラスもない。下界に広がる屋根の海に、素のままレンズを向けて撮影できる。俯瞰パラダイス。これはたまらない。

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望楼に昇って村を俯瞰する。日本は素通しで俯瞰できる場所が減っているので、こういうロケーションで撮れるのはとても楽しい。

昼メシ時、この村唯一の食堂に入る。そもそも、この村落に食堂があること自体に驚いたのだが、店内に入るともっと驚くことになった。食堂というよりも、どう見ても一般家庭のダイニングなのだ。がっかりしているのではない。これ幸いと写真を撮り出す。一般家庭の写真なんて、早々撮れるものではない。台所にはかまどが鎮座する。壁はご先祖の肖像。前時代的な光景にシャッターを切る指が止らない。この家のおじさんとおばさんも撮られ慣れているのだろう。カメラの前でにっこりスマイルだ。

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食堂といってもダイニングテーブルがひとつあるだけ。このときは他にお客さんもおらず、Turtlebackのメンバーでテーブルを占拠する。

席に着くと、ざっくりと切り分けたマンゴーが出てくる。これから作るんで、とりあえずこれでもつまんで待っていてくれ、ということらしい。家庭料理の店でそんなに待たされることもなかろうと思ったのだが、甘かった。

おじさんとおばさんが目の前のキッチンで調理をはじめる。いや、調理ではない。食材の調達からはじまった。名シェフたるもの、食材へのこだわりがハンパないのだ。おばさんが黒い物体をキュッと締める。あれって、庭でコケコッて鳴いていたやつだよね。待つことしばし、活きのいい鶏料理が食卓に並ぶ。もちろん抜群にうまい。なにしろ活き作りだからな。

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お通し代わりのマンゴー。たぶん、さっき庭で取ってきたのだと思う。

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調理場に鎮座するかまど。でも、左横にはちゃんとガス台もあるのでご安心を。

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おばさんが慣れた手つきでコケコッをお肉にさばいていく。帰国して妻にこの話をしたら、「子供の頃、晩ごはんがトリカラの日は、じーちゃんが裏庭で何かごそごそやってた」と衝撃のカミングアウトが。

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瓜と砂肝のカレー風味炒め。おいしくいただきました。ちなみに、向こうは鶏肉というと骨ごとぶつ切りなので、日本人の感覚からするとかなりワイルドだ。

帰り際、店のおじさんが近づいてきた。「さっき撮ってもらった写真、ウィーチャット(中国のLINEに似たアプリ)で送ってくれないか」とスマホを取り出す。ちょっと待て、ここでスマホ? あれだけ前時代的ライフスタイルを見せておいて、スマホなの!? 錦江里、侮れない村だ。

【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です
【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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September 01, 2017

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

朝イチの高速バスで香港を発ち、4時間半ほどで開平のホテルにチェックインできた。ホテルのレストランで昼食を済ませ、撮影の準備に取りかかる。普段、海外ロケにはたんまりと機材を持ち込む。ボディ3台、レンズ10本程度が標準的な機材で、1日3本ペースで撮っていく。しかし、今回の開平行きは機材を最小限に絞り込んだ。理由は、香港経由で中国に入るからだ。

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昼食後、まだ青い空が見える。この日、目的地に着くとだいぶ雲が厚くなってしまった。

香港から中国へ出入国する際、同一製品の大量持ち込みはとがめられるリスクがあるという。日用生活品を香港から中国に持ち込む、いわゆる運び屋が横行しているからだ。あらぬ嫌疑でカメラとレンズを没収されてはたまらない。今回はボディ2台、レンズ4本というミニマム構成で撮影に挑むことにした。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

標準レンズが含まれていないが、APS-HのライカM8にズミルックス35ミリを付けると標準画角になる。中望遠は持参したものの、結局は使わずじまいだった。レンズセレクトについては改めて後述したい。

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ホテルのロビーに集合。Turtlebackのメンバーはすでに三脚を立て、GoProでムービーを撮りはじめ、やる気満々だ。あえて言うけど、まだホテルのロビーだからね。

さあ、いよいよ撮影だ。ワゴンタイプのタクシーで赤坎鎮を目指す。中国の運転の荒さは覚悟していたが、川沿いの大荒れの舗装路をノンブレーキが突っ走る。アスファルトはひび割れ、傾き、陥没しているのだが、そんなことはおかまいなし。スクーターを避けるために反対車線に出る。対向車はノンブレーキ、こちらもノンブレーキ。素でチキンレースをやるのだからたまらない。道の両脇に田んぼが広がり、目をこらすと、その奥にレンガ造りの民家が密集している。望楼らしきものも見える。これぞ開平といった村落が、道の両脇の至るとところに広がっていた。正直言って、「赤坎鎮まで行かなくても、ここと撮ってもいいのでは?」というくらいどこもかしこも開平状態なのだ。

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開平は基本的に田舎町だ。山河がゆったりとした時間とともに広がる。世界遺産以外にも撮りたいものがたくさんある。

タクシーが一気に速度を落とす。景色が一変する。2~3階建ての建物が両サイドから迫る。まるで側溝の底をミニカーで走るような気分だ。建物の多くは、西洋とアジアをミックスした開平特有の建築様式をまとっている。どうやら赤坎鎮の旧市街に入ったようだ。西洋化するチャイナというイメージは、映画による刷り込みが多い。事実、この赤坎鎮は映画のロケ地として幾度も登場しているらしい。近代化する中国のテンプレ的風景がここにある。貧弱な発想でアレだが、とりあえず、ジャッキーが5人ぐらいは出てきそうな街だ。

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赤坎鎮は道の両サイドにファザードがつづく。メインストリートは意外と交通量が多く、特に電動自転車の普及は目を見張るものがある。

赤坎鎮の観光地的なメインスポットは、川沿いにある三門里の迎龍楼だ。華洋折衷のファザードが川に沿ってつづいている。赤坎鎮でググって出てくる画像がここだ。特に対岸からの写真はお約束の構図となる。ただ、さすがは世界遺産、この通りはお土産屋や屋台が並び、すっかり俗化している。ここをお目当てに撮り出すと、あまりの観光地っぷりにちょっとがっかりするだろう。ただし、案ずることはない。本番の撮影は、道を一本入ったところからはじまる。

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三門里の迎龍楼のファザード。こういう華洋折衷の建物が川に沿ってずっとつづいている。これを狙うなら対岸からの撮影がオススメ。

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川沿いの通りは観光地化が進み、お土産屋と屋台が、軒ならぬパラソルを連ねる。見方を変えると、ここに来れば食事と水にありつけ、用も足せる。撮影旅行の場合、観光地化したスポットはある意味オアシスだ。

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赤坎鎮のアイコン的な古い石橋は、補修のため通行禁止になっていた。ここの中程からファザードの壁を狙いたかった。

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川沿いにライトアップ用の照明器具を発見。夜になるとライトアップするようだが、あまりの暑さにそれまで待てなかった。

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豆腐と獅子唐にスライスした鶏肉を貼り付け、しっかり焦げ目を付ける。これがスパイシーでうまい。とにかく蒸し暑いので、辛いもので体に活を入れないとやってられない。

細い路地を進むと、目の前の光景はほぼ遺跡だった。しかし、そこには人々の生活が根付いている。遺跡に住む人々、とでも言えばいいのか。強烈なタウンエイジングだ。街自体は古いのだが、驚くほど活気がある。マーケットや屋台は人であふれ、スクーターと電動自転車が群れをなして行き交う。圧倒されるが、賑やかな方が写真は撮りやすい。そもそも世界遺産に指定されている街なので、写真を撮っていてもさほど奇異の目で見られない。が、調子にのるのは禁物だ。路地を奥まったところまで進むと、目に見えないゲートのようなものを感じる。ここから先に進むと、身ぐるみ剥がされても文句言えないな、と。こういうのは理屈ではないので、違和感をおぼえたときは引き返すにかぎる。

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川から1~2本奥まった道を行くと、一気に生活臭が強くなる。ここからが撮影本番だ。

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映画に出てきそうなバルコニー付きの建物に、洗濯物が鈴なりだ。このギャップがたまらない。いや、そもそもこれがギャップなのかどうか(汗)。

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廃墟一歩手前といった風情だが、路上駐車したクルマが生活の場であることを教えてくれる。

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Turtlebackメンバーがイチ押しするロケーション。オールドレンズファンならば、赤坎鎮のランドマークはこれに決定。

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映画のセットではない。時の経過のなれの果てだ。こういう光景が至るところにあり、次第に視神経が麻痺してくる。

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ここで足が止った。赤坎鎮は生活臭の強い街だが、路上にゴミは散乱していなかった。ここから先は進んだらダメだと思った。

赤坎鎮は旧市街ならではのタイムスリップ感をたっぷり楽しめる。建物だけでなく、濃密な生活感に満ちているのがよい。写真を撮る身としては、映画のロケ地云々という蘊蓄はあまり気持ちがのらない。旧市街の生活臭がフォトジェニックだ。

●TurtlebackTurtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
開平フォトギャラリーはこちらでご覧ください。

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【開平ロケハン記01】 高速バスは飲食禁止です

今年の6月、中国広東省の開平を訪れた。Turtlebackオールドレンズ・ワークショップのロケハンだ。開平は世界遺産に指定されていて、望楼を中心に旧市街や村落が広がる。その望楼の建築様式が独特で、西洋とアジアが混在した言わば華洋折衷だ。田んぼの真ん中や密林の中に、そうした望楼がいくつも建っている。開平がフォトジェニックであることは、誰もがうなずくだろう。

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錦江里の望楼に登り、隣の望楼と村落を俯瞰する。撮影目線で言うと、当たり前のように望楼から俯瞰撮影できるのは、かなり美味しい。こんなことならティルトシフトアダプターを持ってくればよかった。

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自力村の眺望は、絵はがきやパンフレットでたびたび見かける光景だ。田んぼにニョキニョキと生える望楼が、違和感いっぱいでおもしろい。ここでしか撮れないシーンのひとつだ。

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錦江里は村落の端が土手になっていて、そこに上ると村落を見渡せる。ちなみに、この村落は人が住んでいて、農耕や養鶏で生計を立てている。このワークショップでは、生活臭たっぷりの村を撮って回る。

香港でTurtlebackの面々と落ち合い、高速バスで開平を目指す。開平は世界遺産に指定されたメジャーな場所だが、アクセスはかなり悪い。香港から高速バスで4~5時間。途中、深圳で出入国の手続きも必要だ。開平の村落は離れて点在しているため、シャトルバスかタクシーで見て回ることになる。撮影目的の場合、最低でも1~2泊は必要だ。中国というお国柄、個人旅行でこれだけの手配をこなすのは大変だろう。正直に言うと、このワークショップの話がなかったら、開平なんて一生訪れなかったと思う。地図を見てもらうとわかるのだが、いい感じに陸の孤島だ。一部の村落はその昔、華僑が世界へ旅立つ交通の要だったようだが、現代の交通網は高速道路が少し離れたところを通っているのみ。旅行者にはきわめて遠い場所だ。

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香港から開平直通の高速バスが出ている。今回はこれを利用した。大型バスだが、シート間隔はけっこう狭い。一応、座席指定なのだが、ぶっちゃけ早い者勝ちというローカルルールがたまらない。

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深圳で一旦バスを降り、イミグレを通過する。日本人観光客の場合、香港を出国し、中国に入国することなる。中国側で別のバスに乗り換え、開平を目指す。

開平直通便とは言え、4~5時間のバス移動はけっこうこたえる。まず、大きい荷物はトランクに預けられるが、座席に持ち込む荷物はできるだけ小さい方がいい。座席上の棚が狭いので、大型カメラバッグはまず入らない。ライカ2台が入るショルダーバッグがどうにか入る程度だ。ちなみにぼくは中型のバックパックを座席に持ち込み、膝の前に置いて道中をすごした。座席間隔が狭く、あまり快適とは言えない。これはもう、移動と割り切って我慢する。ひとつ断言できるが、我慢した甲斐のある風景がこの後待っている。

この高速バス、実は意外なルールがある。それは飲食禁止なのだ。どうせ建前だけだろうと思いきや、中国人は全員このルールを守っていた。我々日本人は途中で音を上げ、クッキーを皆で分けて食べたり、水分補給したいと、ちょっとはしたなかった。日本では中国人観光客のマナーを云々するニュースが多いが、おそらくマナーを守る勘所が我々と異なるのだろう。マナーは文化であり尺度なので、一方的な見方は禁物だと思った。

移動はノンストップというわけではない。香港を出発して1時間ほどで深圳のイミグレで停車、さらに1時間半ぐらいしてパーキングエリアでトイレ休憩がある。4時間ぶっ通しで座っているわけではない。ただし、トイレ休憩は本当にトイレだけで、10分少々ですぐに出発してしまう。このあたり、観光バスではなく、あくまでも高速バスというわけだ。

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高速のパーキングエリアはフードコートやお土産屋があるのだが、共産圏的な閑散とした空気が漂っている。中国に来たなあと実感する。

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開平のバスターミナルで高速バスを降りる。実は、うっかりしてひとつ前のバスターミナルで降りてしまった。まちがえた理由はいくつかあるのだが、中国に入るとGoogle Mapsの表示にズレが生じる。正しい地点を示してくれない。これが厄介だ。中国に行くならスマホに百度地图をインストールしておいた方がいい。

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ロケハンはぼくも含めて5名。ワゴンタイプのタクシーを手配し、まずはホテルへ移動する。ロケハン中、このクルマで開平の村落を見て回った。

これだけしんどい思いして来たんだ。それなりのものを見せてくれるんだろうな? ホテルにチェックインして荷物を下ろし、そう愚痴る。大丈夫、余裕でお釣りが出た。開平の凄まじさを、このときのぼくはまだ知らない。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
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