オールドレンズ・ライフ Vol.4の発売から10日が過ぎました。すでにたくさんの方にご覧いただいたことかと存じます。今回も思い入れのある特集が盛りだくさんなのですが、なかでも力を入れたのは、「オールドレンズ・ワークス」です。いわゆるフォトギャラリーに相当するページで、ぼく以外に三名の写真家さんに写真提供をお願いしました。テーマはズバリ、オールドレンズで撮った「作品」です。写真を撮るならオールドレンズ、寝ても覚めてもオールドレンズ、というオールドレンズにドップリな写真家さんに登場していただきました。
掲載順に紹介すると、米山好人さんはシネレンズの達人です。ペンタックスQにDマウントレンズを付け、アジア圏のストリートスナップを得意としています。ストリートスナップは瞬発力がものを言うため、構図が二の次になることが少なくありません。その点彼の作品は、どんなシチュエーションでも計算し尽くされた美しさがあります。一方で「ファインダーをのぞいていれば何も怖くない」という無頼派のような迫力もあり、どのカットもライブ感にあふれています。米山好人さんの作品は、作家の脚力の強さが伝わってきます。
中山茂さんは、ライカコミュニティーで有名なノクチ使いです。ぼくもオールドレンズをはじめた頃から彼のブログを愛読していて、いつか一緒にお仕事したいと思っていました。今回数年越しの念願が叶い、オールドレンズライフに作品を載せていただきました。彼は全世代のノクチの使っているだけあって、各世代の特徴を踏まえたスナップが秀逸です。ノクチは何を撮ってもサマになる反面、レンズに撮らされている感も相当なものです。中山茂さんはベテランのノクチ使いだけあって、ノクチでしか撮れない写真を確実にモノにしている点が圧巻です。
一色卓丸さんは原宿の外国人を中心としたファッションポートレートが得意です。ライカショップでの個展、ファットフォトのポートレート講座の講師など、いま乗りにノッた写真家さんです。一般的なポートレート撮影は一眼レフに大口径ポートレートレンズを付けて行いますが、彼はライカM8と八枚玉のズミクロン、および初期型ズミルックス50mmという激シブなセットアップです。ファッションポートレートは時代の空気を濃厚の反映するため、1~2年で古臭く見えてしまうという側面があります。その点彼がオールドレンズで撮ったファッションポートレートは、時代性を中和したような普遍的な見え方が特徴です。オールドレンズというフィルターを介することで、被写体がオーセンティックに変化するのかもしれませんね。
末席は澤村の作品になります。某所の道ばたにあった一対のキスドールを、数年にわたってスナップした記録を掲載しました。二体のキスドールを不幸な出来事が襲い、その一部始終を写真と文章で綴っています。写真よりも文章をがんばった感じかなあ(笑)。カメラ雑誌では載せづらい、ちょっと変わったタイプの作品です。ご興味あればぜひご覧ください。
●オールドレンズ・ライフ Vol.4[玄光社][Amazon]
出版社:玄光社
発売日:2014年8月22日
税込価格:2,160円