OLD LENS LIFE

February 20, 2021

オールドレンズ本が豊作です!

みなさんお気づきでしょうか。昨年夏以降、かつてないほどにオールドレンズ本が出版されています。つい数年前まではカメラ・写真カテゴリーの陸の孤島だったオールドレンズ、それがわずか半年ほどで5冊も関連本が登場しているのです。オールドレンズがまさかの全国区、ついにレッドオーシャンなのか!? とまあそんなわけで、ここ半年ほどで登場したオールドレンズ本をまとめてみました。

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●オールドレンズで撮るポートレート写真の本[Amazon
著者:上野由日路
監修:澤村 徹
出版社:ホビージャパン
発売日:2020年8月6日

●ポートレートのためのオールドレンズ入門~オススメの50本~[Amazon
著者:鈴木啓太|urban
出版社:玄光社
発売日:2021年2月18日

まずはオールドレンズ×ポートレートがブームになっています。昨年8月、上野由日路さんが2冊目となる著書「オールドレンズで撮るポートレート写真の本」を出版しました。これはオールドレンズでポートレート撮影するための実践的なテクニック集です。具体的なポートレート向けのオールドレンズを取り上げ、そのレンズの特徴をふまえた上で、使いこなしテクニックをていねいに解説しています。上野由日路さんは実際にオールドレンズで商業ポートレートを撮影するプロカメラマンなので、即戦力、実力アップに直結するテクニックが満載です。

ポートレート系のもう一冊は、SNSで活躍されている鈴木啓太|urbanさんの「ポートレートのためのオールドレンズ入門」です。こちらは先日発売になったばかりの新刊です。オールドレンズ50本分のポートレートという圧巻の内容。澤村が手がけるオールドレンズ本は、たいてい1冊あたり30~40本のレンズを掲載しています。50本はけっこうなボリュームですね。写真内容はオールドレンズの作例集というよりも、urbanさんの作品集といった雰囲気です。オールドレンズの可能性を感じさせてくれる1冊でした。

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●OLD LENS LIFE 2020-2021[Amazon
責任編集:澤村 徹
出版社:玄光社
発売日:2020年9月29日

昨年の秋には毎度おなじみのオールドレンズ・ライフを出版しました。本シリーズもかれこれ10冊目。年1冊ペースで10年がんばってきました。かつてはこのムックがほぼ唯一のオールドレンズ本だったのですが、前述の通り、ここにきて一気にオールドレンズ関連本が増えました。とても感慨深いです。ちなみにこの号は、沈胴レンズとフレア・ゴーストの特集です。あと、澤村のオールドレンズ本ではめずらしく、OEM系のオールドレンズも取り上げてみました。

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●オールドレンズはバベルの塔[Amazon
著者:澤村 徹
出版社:ホビージャパン
発売日:2021年1月29日

●ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ[Amazon
著者:澤村 徹
出版社:玄光社
発売日:2021年2月18日

年が明けて2021年、立て続けに2冊のオールドレンズを出版しました。1冊目は澤村初のエッセイ集「オールドレンズはバベルの塔」です。ぼくがオールドレンズと出会ってオールドレンズ本を書き出す経緯を横軸に、オールドレンズにまつわる悲喜こもごもなエピソードを綴りました。これまで「見るオールドレンズ本」をたくさん書いてきましたが、これは「読むオールドレンズ本」です。といってもラノベ感覚でサクッと読めますし、ページの半分は写真です。カジュアルかつ新しい切り口を目指した1冊です。

2冊目はオールドレンズの入門書「ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ」です。既存のオールドレンズ・ライフシリーズの副読本的な1冊です。ソニーα7シリーズに特化し、最短ステップでオールドレンズを楽しめるようにガイドしました。一応、入門書の体裁をとっていますが、そこは澤村のオールドレンズ本、森のそこそこ深いところ、戻ってこられないあたりまではお連れします。お手頃価格の「名レンズ」を厳選して載せました。

ミラーレス登場以前からオールドレンズを楽しんできた身としては、こうしたオールドレンズシーンの盛り上がりはとても眩しく感じられます。上野由日路さんしかり、鈴木啓太|urbanさんしかり、澤村の数少ないオールドレンズ仲間です(笑)。新たな書き手の登場がとてもうれしいです。大豊作のオールドレンズ本、ぜひお楽しみください。

※AmazonのリンクはAmazonアソシエイトリンクを使用しています。

 

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February 18, 2021

本日発売です!【ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ】

本日2月18日、『ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ』が発売になりました。α7シリーズに特化したオールドレンズスタートブックですが、そこは澤村のオールドレンズ本、森のそこそこ深いところ、いい感じに引き返せないあたりまでお連れします。

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●ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2021年2月18日
判型:B5判
価格:2,420円(税込)
※AmazonのリンクはAmazonアソシエイトリンクを使用しています。

1章は撮影セッティングです。α7シリーズでオールドレンズ撮影する際の最小限のセッティング、最短ステップの撮影方法を解説。2章はお手頃オールドレンズをレビューし、3章はマウントアダプターの着脱方法を種類ごとに解説しました。1~3章に目を通してもらえば、もう脱ビギナーです。

4章から雲行きが怪しくなります。ここではお手頃価格の「名レンズ」を集めました。とりあえずの1本ではなく、ずっと使える名オールドレンズです。ここまでくればもう安心。引き返せません。引き返す必要もありません。さあ、どんどん森の奥を目指しましょう。

5章は中上級者向けのオールドレンズ撮影術をまとめました。ベテランとなるための試練です。しっかり付いてきてください。6章は現行MFレンズを集結。レンズマニアにお薦めしたい旬のα7シリーズ用MFレンズを味わってください。

本書をテレビ番組に例えると、教養講座というよりもエンタメ番組みたいな感じです。著者としてはバラエティー重視で書いたのですが、人によっては深淵をのぞくホラーかもしれませんね。大丈夫、安全には最大限の配慮をしてあります。怖がらずにページをめくってください。ぜひご一読を!

 

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January 26, 2021

新刊「ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ」のお知らせ

いつもよりタイミングが早いのですが、版元さんから情報解禁が出たのでお知らせです。来る2月18日、玄光社より「ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ」を出版します。タイトルそのまんまなのですが、α7シリーズに特化したオールドレンズスタートブックです。カメラのセッティング、撮影方法にはじまり、入門オールドレンズ、定番オールドレンズを紹介していきます。これからオールドレンズをはじめたい方、2本目3本目のオールドレンズを探している方にぴったりな一冊です。

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●ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2021年2月18日
判型:B5判
価格:2,420円(税込)
※AmazonのリンクはAmazonアソシエイトリンクを使用しています。

本書は入門オールドレンズに加え、「手頃な名レンズ」をそろえました。フレア・ゴーストだけでなく、オールドレンズの豊かな味わいを実感してもらえるような構成になっています。「ヘリオスもいいけどジュピター8もいいぞ」「タクマーだけじゃなくてプラナーの良さも知ってほしい」そんな思いで書きました。ぜひご高覧いただけると幸いです。

 

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September 29, 2020

オールドレンズ・ライフ 2020-2021 本日発売です!

「オールドレンズ・ライフ 2020-2021」本日9月29日、発売になりました。オールドレンズの浅瀬から深淵までずずいとご案内いたします。年一冊のお楽しみ、ぜひご高覧ください。

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●OLD LENS LIFE 2020-2021[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2020年9月29日

1特は沈胴オールドレンズです。沈胴エルマーからはじまり、ヘクトール、ズマール、ズミタール、沈胴ズミクロンの流れを豊富な作例とともにご覧いただけます。ロシアレンズの激レア沈胴レンズも載せました。2特の「フレア・ゴーストコレクション」は、変なフレア・ゴーストの出るオールドレンズを収集しました。ええとですね、フレア・ゴーストの「出やすいレンズ」ではなくて、珍妙フレア・ゴースト祭りです。3特は、良識のあるオールドレンズファンは避けるであろうオールドレンズをあえて買ってみた、という人柱企画です。なあに、オールドレンズライフに載ってるオールドレンズはほぼ自腹ですからね、いまさら人柱企画なんて屁でもありませんよ。

恒例、現行MFレンズ特集は、個性派Mマウントレンズを集めました。LAOWAの9ミリF5.6とフォクトレンダーのノクトン50ミリF1.5がオススメです。いやあ、9ミリのパースはヤバかった。エグイ作例載ってます。ノクトン50ミリF1.5は6モデル展開という攻めっぷり。ゼブラ柄が熱いです。木下光学研究所のKISTARレンズ最新作もレポートしています。シリーズ4本目は滲むパンフォーカスレンズです。もうワケわからんでしょ(笑)。こちらもエグイ作例載せるので、ぜひぜひご覧ください。ちなみに、今回のKistarは税込6万円台。お手頃価格です。

巻末に「レジェンドレンズの瞳」というコーナーがありまして、ここではTORUNOから借りた伝説級オールドレンズをレポートしています。国産のまぼろしレンズを借りて実写しました。後玉がアレなレンズです。おわかりですね。値段が高すぎて、実写する手が震えます。お約束のドレスアップ企画では、Roberuと澤村徹がコラボしたレザーストラップを載せています。表革は雰囲気満点、裏革は汗に強くて色移りの心配も少ない。実用性に長けたかっこいいストラップに仕上がっています。澤村はライカM10に付けてヘビロテ中です。

そんなこんなのオールドレンズライフ、今号はめずらしく白っぽい表紙ですから、店頭でおまちがえないように。大切なことなのでもう一度、今号は白っぽい表紙です。それでは今号もじっくりとお楽しみください。よろしくお願いいたします。

 

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September 15, 2020

10号目のオールドレンズ・ライフが発売です!

来る9月29日、シリーズ10号目となる「OLD LENS LIFE 2020-2021」が発売になります。年1冊ペースでの出版ですから、このシリーズを続けて10年になるわけです。3号目あたりからは継続性を意識して作ってきましたが、それでも10号という数字は我ながらよく続いたと思います。読者あってこその本、ひとえにオールドレンズライフをご愛読いただいた皆様のおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。

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●OLD LENS LIFE 2020-2021[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2020年9月29日

大特集は沈胴レンズです。沈胴レンズってオールドレンズにハマッた当初に手を出すものの、その後、距離をとってしまう人が多いように感じています。その点を踏まえ、改めて沈胴レンズをクローズアップしてみました。戦前生まれ、ものによっては一世紀近く前に製造されたものになるわけです。最古参のオールドレンズ、じっくりと味わおうではありませんか。

今号はちょいと煽り気味のタイトルを並べて見ました。「誰も買わないオールドレンズを買ってみた。」「華麗なるひとばしらライフ」とまあ、いい感じに煽ってあります。どうせ口先だけだろと懐疑的な方もいることでしょう(賢者よ)。澤村なりにそれぞれ工夫をこらしたレンズラインアップになってます。期待してください、と自らハードルを上げていきますよ(笑)。

ちなみに、「誰も買わないオールドレンズを買ってみた。」はタイトル決定に一悶着ありました。打ち合わせでラノベタイトルっぽい長いキャッチにしようという話になり、ひねり出したのが以下の2案。

(第1案)
普通誰も買わないよねっていう
オールドレンズをあえて自腹切って
買って撮ってみたけど作例見たい人いる?

(第2案)
そんなオールドレンズ使ってる人
見たことないし名前も聞いたことないし
わざわざ買う必要ないんじゃないって
みんなが言うから俺が自腹切って買って
撮ってみたけど作例見たい人いる?

却下でした。編集部じゃなくて、デザイナーからダメ出しされました(笑)。ラノベ風とは言ったけどフツーに長すぎると(泣)。キャッチの付け方は難しいですね。10年続けてもこのザマです。

これから日に日に太陽が低くなって、オールドレンズでゴースト狩りするのに絶好の季節です。オールドレンズ撮影のおともにぜひ「オールドレンズ・ライフ2020-2021」を!

 

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October 04, 2019

ダマされたと思ってオールドズーム

今年のオールドレンズ・ライフはオールドズームを第1特集に持ってきました。本シリーズも長らく続いていますが、ズームレンズの特集ははじめてです。オールドレンズと言えば単焦点という暗黙の了解があり、ズームレンズってどうしても敬遠してしまうんですよね。しかし食わず嫌いはよくないですよ。まあ、ダマされたと思ってオールドズームを試してみてほしいです。

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α7III + Angenieux Zoom 35-70mmF2.5-3.3

オールドズームと向き合うとき、ふたつの観点があると思います。ひとつめは高画質。ツァイスやシュナイダーのズームがこれに相当します。安いわりに本当によく写るんですよ。ヤシコンやコンタックスNの標準ズームはいまでも取材仕事で使っています。ぼくがヤシコンの標準ズームをカメラバッグから取り出すと、同行の編集さんは相当驚いてますが(笑)。

ふたつめはクセ玉。ズーム黎明期の製品は、光学的に相当無理をしています。もうおわかりですね。光学的に無理をする=収差多め=オールドレンズ的においしい、というやつです。ズーマーやヨンサンハチロクがこのタイプですね。あり得ないくらい暴れてくれます。昔のズームはそつなく写るから、と敬遠していた人は、黎明期狙いがオススメです。

実用できる高画質タイプ、収差たっぷりの黎明期タイプ。オールドズームの世界は単焦点オールドレンズに負けず劣らず奥深いです。最新刊の「オールドレンズ・ライフ 2019-2020」にて、その世界に触れてみてください。

●オールドレンズ・ライフ 2019-2020[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2019年9月30日
税別価格:2,000円

 

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September 30, 2019

本日発売です!【オールドレンズ・ライフ 2019-2020】

初秋の風物詩、「オールドレンズ・ライフ2019-2020」が本日発売になりました。以前は夏に発売されていたのですが、そのスケジュールだと編集部がお盆休み返上になると泣きが入り、ここ数年は初秋発売に落ち着いています。ちなみに、初秋発売だと著者とデザイナーがお盆休み返上になります(笑)。

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●オールドレンズ・ライフ 2019-2020[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2019年9月30日
税別価格:2,000円

冗談はさておき、今号もオールドレンズにじっくり浸れる一冊に仕上がりました。作例の印刷がいいです。オールドレンズ撮って出しの色がストレートに印刷されています。誌面からレンズの描写傾向をちゃんと読み取ってもらえることでしょう。

内容はいつも通り、ひたすらオールドレンズで撮りまくってます。本シリーズ初のオールドズーム特集、最新ミラーレスとオールドレンズの相性チェック、外観にクセのあるレンズを集めたオールドレンズ筒買い選手権など、来る日も来る日もオールドレンズで撮り続けました。その成果をご覧ください。

唯一普段とちがうのは、ユーザー参加型特集を組んだ点でしょうか。一般のオールドレンズファンに取材し、愛用オールドレンズとお気に入りカットを紹介しています。この十年で本当にオールドレンズファンが増えたなあと実感する企画でした。

ここ数年、オールドレンズライフでは現行MFレンズを取り上げています。今回は大口径広角と超広角を厳選しました。21ミリF1.4とか、15ミリF2とか、ちょっとどうかしているレンズを集めました(笑)。広角の既成概念をぶち壊すようなすごい描写のレンズばかりです。人とちがった写真が撮りたい人は一見の価値アリですよ。

ちなみに、今号は電子版も同時発売です。読書はタブレット、という方も発売日にご覧いただけます。それでは「オールドレンズ・ライフ2019-2020」、じっくりとお楽しみください。よろしくお願いいたします。

 

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September 13, 2019

「OLD LENS LIFE 2019-2020」の特集はこんな感じだよお!

玄光社「オールドレンズ・ライフ 2019-2020」、発売日がだいぶ近づいてきました。今号の見所を解説したいと思います。業界動向としては、昨年末にドドーンとフルサイズミラーレスがたくさん出ました。ぶっちゃけ、即買い換えした人は少ないと思いますが、あれから一年たち、そろそろボディ替え換えを検討する人が増えたことでしょう。そんなわけで、今号はフルサイズミラーレスが通底するキーワードです。

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●オールドレンズ・ライフ 2019-2020[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2019年9月30日
税別価格:2,000円

その点をストレートに特集したのが「最新ミラーレスとオールドレンズ」です。オールドレンズと相性のよい最新ミラーレスはどれか。そしてどんなオールドレンズを付けると楽しいのか。機種ごとにけっこうみっちりとレポートしています。

フルサイズつながりでもうひとつ。ついにオールドズームを特集しました。前々からオールドズームはしっかり取り上げたいと思っていたのですが、やっと日の目を見る機会がやってきました。フルサイズ全盛だからこそ、画角のマジシャンたるズームの良さが際立ちます。といっても、単にオールドズームを紹介するのではなく、単焦点好きにもこれなら楽しんでもらえるだろう、というオールドズームを中心に集めました。画角だけでなく、描写面にも期待できますよ。

今号は久しぶりに取材モノをやってます。プロアマ混在でオールドレンズユーザーを取材し、リアルオールドレンズライフをたっぷりと訊いてきました。みなさん自分のカラーをしっかりもってオールドレンズを楽しんでいるのが印象的でした。もしこの企画の評判が良ければ、一般公募的に誌面に出たい人を募ってもいいなあなんて思っています。その他は、「オールドレンズ筒買い選手権」「オールドレンズ少年の主張」などなど、得体の知れない特集が目白押しです(笑)。

オールドレンズ・ライフは「雑誌」を意識して毎号作っています。実用性とエンターテイメントをほどよいバランスで織り交ぜたいなあと。「このレンズ、なんかヤベえ」みたいな感じで気軽にオールドレンズを楽しんでほしいです。

 

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September 12, 2019

道内最古、築百年の写真館を訪ねる(旧小林寫眞館)

今年の初夏、オールドレンズ・ライフの取材で函館にある旧小林寫眞館を訪れた。築百年という道内最古の写真館だ。一見すると重要文化財のようだが、歴とした現役の写真館だ。完全予約制なので、通常はその中を拝むことはできない。

実は数年前、函館で作例撮りした際、旧小林寫眞館の前を歩いていた。何かしらの文化財のようだが中には入れず、反面、手入れは良く行き届いている。一体どんな建物なのか気になっていた。

館長の谷杉アキラさんはぼくと同世代の写真家だ。この旧小林寫眞館とは別に、Photo Studio TANISUGIという現代的な写真館も経営している。元々Facebookつながりだったこともあり、取材前から大いに盛り上がり、今回、取材にかこつけて旧小林寫眞館の内部を見せもらった。役得ってやつだ。

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淡い鶯色とでも言おうか。独特の色合いの壁だ。最初期に使われていたペンキの色を調べ、オリジナルに近い状態に塗り直したという。

旧小林寫眞館の外観はたしかに古いのだが、どこか素っ気ない佇まいだ。豪奢な洋館というわけではない。だからうっかり油断していた。引き戸をくぐった瞬間、完全に場に呑まれた。詳しく書くとネタバレになってしまうので、とりあえず比喩に止めておこう。ラノベでよく見かけるドアの向こうは異世界だった、みたいな感じだ。まあ、相当やばいことになっていた。

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取材の後、谷杉アキラさんにポートレートを撮ってもらった。この写真館でしか撮れない写真であり、かつ旧小林寫眞館らしさに満ちたプリントだ。

そんな旧小林寫眞館だが、残念なことに2020年3月末で閉館するという。開業から10年、けっして短い時間ではない。道内最古の写真館を、実際の写真館として運営する。古民家リノベーションでカフェを開業するのとはわけがちがう。当時の姿をできるかぎり忠実に再現した上での写真館営業だ。その苦労は並々ならぬものがあっただろう。谷杉さん曰く、旧小林寫眞館の収益はすべて修繕費に充ててきたという。函館駅からずいぶんと離れた地にある写真館だ。毎日のようにお客さんであふれかえるわけではない。写真館の売り上げは無論、私財をなげうって旧小林寫眞館を存続させてきたというのが正直なところだろう。

閉館は寂しいことだが、まだ半年ほどの時間がある。興味がわいた人はぜひ、予約を入れ、扉の向こうの異世界的空間を楽しんでほしい。


旧小林寫眞館
Photo Studio TANISUGI 写楽館

 

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September 06, 2019

【OLD LENS LIFE 2019-2020】9月30日発売です!

作例撮りの帰りに玄光社に寄り、「オールドレンズ・ライフ2019-2020」の色校をチェックしてきました。今年もいい仕上がりです。丸一年かけて撮り貯めたあんな写真やこんな写真が誌面を彩り、報われた気分になりますね。

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●オールドレンズ・ライフ 2019-2020[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2019年9月30日
税別価格:2,000円

今号もオールドレンズで撮った写真をたっぷりと載せています。個人的にお気に入りなのは、マカオのグランドリスボアのカットかなあ。オールドズームでググッとクローズアップして撮っています。どんなカットかはぜひ本書をご覧ください。

発売までまだ3週間以上ありますが、折を見て特集内容などをご紹介してまいります。ご期待ください。

 

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