FUJIKINA2017東京に顔を出してきた。富士フイルムのファンミーティングイベントなのだが、ぼくが参加したのは業界人向けの時間帯で、製品発表会という位置付けになる。開場は綱町三井倶楽部。Tシャツにチェック地の半袖という普段着で行ったのだが、ドレスコードでつまみ出されそうなゴージャス空間だった。久々にKYぶちかましましたよ(笑)。
建物に入ると、いきなり巨大な写真が鎮座していた。何でもGFX 50Sをバルーンで成層圏まで飛ばし、撮影したものらしい。GFXが地球を見下ろす如く、二階の吹き抜けから写真を見下すという凝った演出がなされていた。
最近、年をとるごとに高所がダメになってきた。腰の引けた写真ですみません(笑)。
大盛況のタッチ&トライコーナー。業界人向けの時間帯でこれだけの人が並ぶ。
二階はXシリーズとGFXによるフォトギャラリー。ふかふかの絨毯がヤバイ(笑)。
新製品についてはちゃんとしたカメラ媒体にお任せするとして、タッチ&トライコーナーに行くと、なんとKIPONがブースをかまえていた。CEOの張氏に話を聞くと、富士フイルムと情報交換しながらマウントアダプターを開発しているらしい。GFX 50Sユーザーはマウントアダプターでオールドレンズを付ける人とても多いそうだ。たしかにFacebookのGFXグループの投稿を見ていると、オールドレンズで撮った写真がたくさん流れてくる。ブースにたくさんのマウントアダプターが並んでいるが、マニアックなマウントがちらちらと含まれているからたまらない。ほぼ宝探し状態だ。コンタレックスのGFXマウントアダプターを見たときは、さすがに度肝を抜かれた。前々から気付いていたが、KIPONという会社に売れ筋の概念はない。出せるものは全部出す。素でスゲエなと思う。
KIPON総代理店の新東京物産によると、GFX用マウントアダプターは30種ほどだという。
CEOの張氏自ら接客をこなす。ブースには国内外を問わず、お客さんがやってくる。
新製品説明会で一番気になったのは、X RAW STUDIOと名付けられたRAW現像ソフトだ。富士フイルムXシリーズはフィルムシミュレーション、いわゆる仕上がりモードが大きな魅力だが、SILKYPIXおよびLIGHTROOMのプリセット(LIGHTROOMの場合、カメラキャリブレーションのプロファイルでフィルムシミュレーションが選択できる)ではカメラとまったく同じ色調にはならないと言う。富士フイルムXシリーズの絵作りは画像処理エンジンX-Processor Proによるところが大きく、既存のソフトウェアでは再現が難しいそうだ。
で、X RAW STUDIOの登場だ。このソフトウェアは外部プロセッサーに対応している。外部プロセッサー? そう、デジタルカメラの画像処理エンジンをパソコン上のRAW現像で利用しようというのだ。X RAW STUDIOをインストールしたパソコンに、USB経由で富士フイルムXシリーズを接続する。そしてRAWデータをデジタルカメラに送り、いわゆるカメラ内RAW現像でJPEG化、その後パソコンにJPEGを転送するというのだ。絵作りの要がX-Processor Proというのなら、そいつに仕事させればいいじゃないか。理にはかなってるけど、まさかガチでそれをやるとは(汗)。
X RAW STUDIOは、GFX 50S、X-Pro2、X-T2、X100Fに対応する。あかん、どれも持ってない。
現像処理時間が気になるところだが、X-Processor ProがRAW現像専用ハードウェアとして機能するため、けっこう高速だと言う。高速CPUの現像とX-Processor Proの現像、どっちが早いかかなり気になる。とりあえず、100枚ぐらいのRAWデータでベンチマークテストしてみたいところだ。何よりも、元パソコン誌のライターとしては、外部プロセッサーという言葉の響きに悩殺状態だ。昔はDAWや動画エンコードは専用ハードウェアに頼っていたが、最近はCPUベースが当たり前になってしまった。これはコストパフォーマンスが良い反面、パソコン好きにはちょっと寂しい状況だ。外部プロセッサー、いいよ、いいよね。
これは余談だけど、富士フイルムの人が「パソコンがX-Processor Proを搭載していればいいわけですが、そういう製品はないので」というようなことを言っていた。だからデジタルカメラをつなげた、と話はつづくわけだけど、画像処理エンジンを積んだRAW現像専用パソコンとか、ちょっと夢があるかも(笑)。主要カメラメーカーの画像処理エンジンをオンチップしたノートパソコン。各社仕上がりモードをRAW現像で忠実に再現し、なおかつ現像時間は爆速。やばい、妄想が止らない(笑)。何かこう、X RAW STUDIOはパソコン好きの琴線に触れる気がする。