AI

September 05, 2024

作品の正体を探す一考察。

これまで、写真展やAIアート展を開催し、画集を手がけ、そうした一連の活動のなかで、いつもモヤッと抱いていた「作品の正体」という問題がある。作品と、その実体の乖離。これって何なのか? そうしたものを自分なりにまとめてみた。

いま作品づくりを行う際、もっとも大切な問題のひとつだと思う。

長い文章だけど、目を通してもらえるとうれしいです。

●metalmickey's montage 作品と実体

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June 30, 2024

AIアート対談、してきました。

AIアート対談の動画が公開になりました。美術家の糸崎公朗さんのYouTubeチャンネルにゲスト参加し、彼のAI写真「ニッポンのうれしい場所」と澤村のAIアート「突撃恋愛少女」について、たっぷりトークしています。

すっかりオールドレンズの人の澤村ですが、「突撃恋愛少女」は大真面目にAIアートを向き合った作品です。その制作工程、制作のスタンスをじっくりと語ることができました。糸崎公朗さんはアートの専門家ですから、おかげでAIアートという新ジャンルについて深く踏み込んでトークできました。ぜひご覧ください。

【AIアート対談】糸崎公朗「ニッポンのうれしい場所」×澤村徹「突撃恋愛少女」

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April 10, 2024

「突撃恋愛少女」終了しました。

AIアート展「突撃恋愛少女」、無事会期を終えました。ご来場いただいた皆様、まことにありがとうございます。AIについて作品について、たくさん意見交換できました。今後の活動に活かして参ります。また、多くの方にプリントをご購入いただきました。微力ながらお部屋の彩りに貢献できれば幸いです。

どっちに転がっていくのか、そもそも転がれるのか? 後先考えずに開催した展示ですが、どこかには行けそうな気がしてきました。今後とも応援よろしくお願いいたします。

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April 02, 2024

澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」スタートです!

澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」、本日よりスタートです。ChatGPT4を使い、言葉で《書いた》イラストを展示します。ライターとしての文章力、写真家としての表現力を駆使した作品展です。

澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」
2024年4月2日(火)~9日(火)
11:00~20:00
新宿マルイ本館8F

在廊予定日
4月2日(火)/6日(土)/7日(日)/9日(火)

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A3/A4プリントをご購入いただくと、突撃恋愛少女のシールを1シートプレゼントいたします。枚数に限りがありますので(本当に少数)、ご興味がある方は早めに。

また、会場ではミニプリントガチャを開催します。イギリスの業者に発注した2Lサイズのプリントを用意しました。マットな厚手の紙でモノとしての存在感たっぷり。もちろんサイン入りです。こちらも数に限りがあります。売り切れのときはご容赦を。

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皆様のご来場、お待ちしております。

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March 23, 2024

澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」 ステートメント

群衆は個の集まりだ。数が増すほどに個としての顔が見えなくなり、単一指向の群衆が出現する。本来、個はどれだけ増えても個のままだ。なぜ、群衆と化すと個が失われるのか。こうした個と群衆の関係を、生成AIで表現した。

本作品は生成AIによるイラストだ。「恋に突撃する女子高生」という指示を生成AI(ChatGPT-4およびDALL・E 3)に与え、個のディテールを保ったまま肥大化する群衆を表現した。個の見える群衆。このありそうであり得ないイメージを表現できたのは、生成AIのアドバンテージ、一過性と反復性に寄るところが大きい。生成AIという言葉で絵が《書ける》描画ツール。この特異な存在が繰り広げる、新たなビジュアル表現を感じてほしい。

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●澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」
2024年4月2日(火)~9日(火)
11:00~20:00
新宿マルイ本館8F

絵を《書く》時代が到来した。これまで人類は、画像を手に入れるために絵画を描く技を研鑽し、その一方で写真技術を発明した。画像を得るには特殊な技術と向き合う必要があったのだ。

そこに突如出現したのが、言葉で絵を描く生成AIである。特殊なコマンドではなく、日常的な自然言語で絵が《書ける》ようになった。人間にとって言葉を話すことは息をする程度にたやすい。生成AIとは、画像制作の第三の道を私たちに示している。

 

一過性と反復性、それが生成AIのリズムだ。デジタルとは再現性の技術である。与えられた命令を忠実に、そして何度でも再現する。しかし、生成AIは同じデジタルでありながら、再現性がない。ランダムネスという概念を取り入れ、新規性と創造性を目指す。同じ条件を与えても生成物は常に動的だ。生成AIをアーティストに例えるなら、即興詩人と言えるだろう。

そして条件を少しだけ変えながら与えると、一過性と反復性というリズムが生まれる。似ているけど異なる画像が連続して生まれるのだ。反復のまとまりがひとつの大きな一過性を形成する。一過性と反復性の大きくうねり。これが生成AIのリズムであり、既存の再現性主体のデジタル技術と大きく異なる点だ。

 

デジタルの中枢に人間性が見える、と言って信じてもらえるだろうか。前述の言葉と一過性は、言わば人間らしさの源だ。生成AIは言葉を理解する。指示をトレースするだけでなく、人間のように言葉を咀嚼してより相応しい表現を探す。同じ指示を出しても、生成AIが生み出す成果物は類似しつつも微妙な差異がある。それはまるで何事にも工夫を持ち込み、独自性を生み出す人間の所作だ。

そんな人間臭さが、生成AIによってデジタルの中枢に産み落とされた。デジタルの中枢に人間らしさが宿るのだ。人間とデジタル技術は長らく対義的な関係にあったが、双方が双方を内包する時代へと貴重な一歩を踏み出した。

 

個のディテールをともなう群衆を表現するため、本作品は「恋に突撃する女子高生」を対象に選んだ。生成AIの一過性と反復性という特徴を活かし、群衆を個がわかるディテールで描いている。単一指向の群衆は全体主義に向かいかねないが、個の見える群衆は果たしてどうだろう。ディテールをともなう群衆で、個人主義と全体主義の関係を表現した作品である。

この作品世界では、女子高生が様々な道具を携えて恋に突撃する。通底しているのは、一途に突撃する姿だ。真摯に純真に、疑うことなく恋に向かっていく。それを純粋と呼ぶことに戸惑いはない。しかし、それが群衆と化したとき、別のものが浮かび上がる。

想像してほしい。隊列を組んだ女子高生が、崖に続く坂道を行進していく。そして躊躇なく次々と崖から飛び降りる。一途なものの脆さと危うさ。本作品はこうした群衆の姿を、大量のイラストで表現している。群衆を物理的に構成し、それが同じ方向を向く不穏さを表現した。

個々のイラストにおいても、この脆さと危うさが影を落としている。生成AIで本作品を描く際、「このシーンは人も物もすべてが石膏でできている」と規定した上で詳細な指示を与えている。イラストに目を凝らしてほしい。女子高生らの物理的な脆さに気づくはずだ。足を踏み出せばひびが走り、腕を上げれば肘が崩れ、心が砕けたものは瓦礫と化す。この石膏像としての脆さが、一途な群衆のそれを象徴している。

本作品は一切絵筆を使わず、生成AIで言葉だけを積み上げて《書いた》イラストだ。生成AIの一過性と反復性があるからこそ、これだけ大量の群衆を描くことができた。言葉という自由度の高い指示系統だからこそ、個のディテールをバリエーション豊かに描けた。個と群衆、個人主義と全体主義、そして人間とデジタル技術。対義的なファクターが互いに複雑な網を張り巡らし、このAIアート作品を形作っている。

 

●Charge of the Love Brigade Statement

The crowd is a collection of individuals. As the number increases, the face of the individual becomes obscured, and a crowd with a single direction emerges. Essentially, an individual remains an individual no matter how many there are. Why then does the individual get lost when it becomes a crowd? This relationship between the individual and the crowd is expressed through generative AI.

This work is an illustration created by generative AI. Given the prompt "high school girls charging into love" to generative AI (ChatGPT-4 and DALL·E 3), it expresses a crowd that grows while retaining the details of the individual. A crowd where the individual can be seen. This seemingly impossible image was achievable due to the advantages of generative AI: its transience and repetitiveness. The term generative AI as a tool that can "write" pictures. I hope you can feel this unique presence unfolding a new form of visual expression.

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March 12, 2024

AIアート展「突撃恋愛少女」を開催します!

澤村徹初のAIアート展「突撃恋愛少女」を、4月2日より新宿マルイ本館にて開催します。本展示は生成AIによるイラスト展です。自然言語でイラスト生成できるChatGPT-4(およびDALL·E 3)を駆使し、言葉で《書いた》イラスト約80点を展示します。ライターとしての文章力、写真家としての表現力をフルに活かしたコンセプチャルアート作品です。

澤村徹AIアート展「突撃恋愛少女」
日程:2024年4月2日(火)~9日(火)
会場:新宿マルイ本館8F
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿3-30-13
時間:11:00~20:00(入場無料)

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会場ではプリント販売も行っています。気に入ったイラストがあればお申し付けください。澤村のサインを入れて納品いたします。

これまでオールドレンズやデジタル赤外線写真で作品制作を行ってきました。イラストによる作品制作ははじめての試みです。言葉で絵が《書ける》時代、ライターとしての経験がビジュアル表現で活かせます。言葉で絵を紡ぐ時代の幕開けを、本作品で感じてください。

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February 04, 2024

絵を《書く》時代

絵を《書く》時代がやってきた。

生成AIのMidjourneyが登場し、われわれは言葉で絵を生成する時代の幕開けを目の当たりにした。入力した言葉に従って、自動的に画像が生成される。しかも、なかなかどうして完成度の高い画像だ。

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ただそれは、言葉というよりも、コマンド入力に近い。描きたい対象物の名前、イラストの作風、特定動作を行うコマンドを、英単語で列挙していく。その複雑怪奇な英単語の羅列は、いずれ呪文と呼ばれるようになった。呪文の唱え方が絵の精度を左右する。これは言葉で絵を描いているのではない。

おそらくは、プログラミングだ。

AIを操るコマンドを打ち込むことで、画像をプログラミングしている感覚に近い。呪文で画像を生成する行為を「絵を書く」とは言えない。

絵を書く時代はChatGPTが切り拓いた。

ChatGPTは周知の通り、自然言語でチャットしながら様々なテキストコンテンツを生成する。最新のChatGPT-4では画像生成が可能になった。

正確にはDALL・E3(ダリ3)という生成AIを用いる。これはChatGPTと同じくオープンAI社が開発した画像生成AIだ。ChatGPT-4に「○○の絵を描いて」と指示を出すと、これをChatGPT-4がDALL・E3に引き渡し、DALL・E3が画像を生成。ChatGPT-4上に生成された画像を表示する。ChatGPT-4とDALL・E3の連係プレイで画像生成するのだ。

このときChatGPT-4は自然言語のインターフェイスと化す。

人の言葉を聞き、理解し、返答するインターフェイスだ。このおかげで、ついにわれわれは絵を《書く》ことに到達した。描きたい対象物を伝えるだけではない。それがどのようなシーンで、どんな意味があるのか、何を表現しているのか。そうした意味内容も含めてChatGPT-4に伝える。ChatGPT-4は単に命令を遂行するのではなく、指示内容を理解した上でそれを画像化してくれる。

たとえばこんな具合だ。

「女子高生を日本のアニメ風に描いてください」

これだけの指示なら呪文系生成AIと変わりない。ChatGPT-4の場合は意味内容まで踏み込める。

「彼女はこれから大学入試です。大学校舎の試験会場は広く、たくさんの受験生がいます。このような状況で女子高生の心情を踏まえ、イラストを描いてください」

こうした文章による指示が、女子高生の表情、仕草に現れる。ディテールは何ひとつ指示していないのに、彼女は不安と決意の入り交じった表情を浮かべ、受験票を手に握り、彼女の背後にある光が将来の希望を示唆する。

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絵面を指示するのではない。内容を伝えるのだ。

それこそイラストレーター相手に打ち合わせをするように、どんなイラストを描いてほしいのか、ChatGPT-4に打ち込んでいく。ノーアイデアの場合はその旨を伝える。「表現したいことはこんな内容なんだけど、具体的にどう描けばいいのかわからない。何か考えてみて」と素直に伝える。そうすると、AIなりの答えをイラストで見せてくれる。それが気に入らないなら、どう直したいのか、チャットで話しながら詰めていく。

まさに言葉を紡いで《絵を書く》のだ。

正直なところ、効率という点では呪文系生成AIのほうがスムーズだろう。ピンポイントでほしい絵を指示できるからだ。しかし、生成AIに何か表現させてみようとか、コンセプトに沿った絵を描かせたいのなら、ChatGPT-4で絵を《書く》作業がしっくりくる。思い通りに描かせるにはたくさんの言葉を重ねる必要があるが、実際に絵を描くことを思えばどうということはない。自分が生きているうちに、《描く》が《書く》になる瞬間に立ち会えるとは思ってもみなかった。

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Generated by ChatGPT-4 and DALL·E3

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