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January 2024

January 19, 2024

中国製レンズのムックを出します【アジアンMFレンズ・ベストセレクション】

中国製レンズをまるっと1冊にまとめたムックを出します。TTArtisan、七工匠、LAOWAといったメジャーどころはもちろん、Thypoch、Polar、Artra Labといった新進気鋭のレンズブランドも収録。13レンズブランド71本というなかなか壮大な一冊です。すでにAmazonでご予約いただけます。ぜひお手にとっていただけるとうれしいです。

アジアンMFレンズ・ベストセレクション[Amazon][玄光社
出版社:玄光社
発売日:2024年2月26日発売

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思えば、オールドレンズライフの巻頭や巻末でコツコツとレビューしてきた中国製レンズ、かれこれ15年近い年月が経ちました。最新レンズはもちろんですが、トレンドのターニングポイントになったようなちょっと前のレンズも収録。中国製レンズブームを俯瞰的に見渡せる一冊です。懐かしいレンズにニヤッとするもよし、最新レンズに物欲を滾らせるもよし、レンズ好きの興味を存分に刺激できるムックに仕上がりました。どうぞよろしくお願いいたします。

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January 04, 2024

写真の行方

祖父の撮った膨大な写真は、もうこの世にない。一葉の写真も残っていない。

祖父はライカ使いだった。ライカ・コンタックス論争で有名な小冊子「降り懸かる火の粉は拂はねばならぬ」に寄稿していたほどなので、当時はブイブイと言わせたライカ使いだったのだろう。

実家の屋根裏部屋には壁面を埋める大きな本棚があり、すべての棚がモノクロプリントのアルバムで埋まっていた。祖父曰く、「白から黒まですべての階調が揃った写真がいいモノクロ写真だ」という。父がそんな話を祖父から聞いたと言っていた。

祖父が亡くなり実家を売り払うとき、その他の家財道具といっしょにアルバムは処分された。当時、僕は写真やカメラと無縁の生活を送っていたので、写真の行方にまったく興味がなかった。祖父の写真を一度も見ることなく、気づけばそれらは姿を消していた。いま思うと、何枚かでも残しておけばと思う。

でも仕方のないことなのだ。

家族と縁もゆかりもない被写体が写った写真など、残された家族はまったく興味が持てない。だからそれは、仕方のないことなのだ。

これまでの写真をすべてバックアップしたハードディスクの山を前に、そんなことを思った。

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January 03, 2024

内爪ニコンSが出てくる小説のワンシーン

「あなた、内爪ニコンSなんですって?」

桂木さんはそう言うと僕の前に腰かけた。学食にはたくさんの空いた席がある。僕と相席する必要はない。経済学部の学食には日当たりの良い席がたくさん用意されているのだ。それはもうKIPONのマウントアダプターの種類にも負けないほどに。

「学校でそのことは伏せてるんだ。ヘリコイドがないって知られると、いろいろと都合が悪いからね」

学食から学生たちの姿が消えていた。すでにチャイムが鳴っていたのだ。僕らはいつも少し遅れて大切なことに気づく。取り返しがつかないほどではないけれど。

「あたなのこと、試してみたいの」

やれやれ、またその話か。何度カプラーからそう声をかけられたことか。コンタックスCとの互換性の話はウンザリだ。

「僕はゾナーじゃない。ニッコールはゾナーの代わりになれない」

コップのお茶を飲み干し、トレーを持って席を立つ。返却口はすでにたくさんの食器とトレーで埋まっていた。そんな僕の背後から、桂木さんが言葉を浴びせかける。それは僕がもっとも聞きたくない言葉だった。

「フランジバックが同じって知ってるんだから!」

(続かない)

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炎上するならディベートすればいい

またもや炎上している。撮って出しとフルサイズが。

一体何度目だろう。僕のオールドレンズ撮影はRAWストレート現像派なので、撮って出し擁護で議論に参加したくなる。

でもしない。結論が出ないから。

撮って出しとフルサイズ、これらは結論の出ない議題だ。撮って出し絶対主義もレタッチ新自由主義も、フルサイズ保守党だろうとAPS-C解放戦線だろうと、けっして結論が出ることはない。何を言っても反論があり、何を言われても反論できる。

これってディベートのお題目じゃないか。

CP+でディベートをやればいいのに。会場のメインステージで、デジカメ炎上ディベート大会を開くのだ。大御所の先生や業界関係者に登壇してもらい、その場でくじを引いて賛成反対を決める。普段の主義主張は関係ない。どのみち結論の出ないお題目なのだから、くじで決まったポジションでディベートしてもらう。

マイクロフォーサーズを使う写真家のフルサイズ擁護、中判ミラーレスメーカーのAPS-C賛歌、JPEG派報道カメラマンが語るプロの仕上げ論、RAW現像ソフト開発者による撮って出しの主張。

マズイ、盛り上がる予感しかしない。

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世界標準

そのとき初めて世界標準に触れたのだ。

久しぶりの写真展開催だった。会場は新宿マルイ本館の八階。同じ階にスターバックスがあり、一般のお客さんも写真を見てくれる。自分の写真が世間に通用するのか、いい腕試しになる。しかし、隣が免税受付カウンターであることを見落としていた。

外国人のお客さんが多いのだ。

米国人っぽい老夫婦とその息子達。息子のひとりが近づいてきて、こう言った。このプリントを売ってほしい。B0サイズの巨大パネルを指さしていた。このときの写真展はプリント販売していたが、用意したサイズはA3とA4。畳のようなB0サイズの販売は想定外だ。しかも彼はこう続けた。

これがほしい。これを持って帰る。

まさかのお持ち帰りをご所望だ。両親の家の壁にドーンと飾りたいという。老婆が期待を眼差しを僕に向ける。しかしB0パネルを梱包する用意はなく、「これは展示用の非売品です」と伝えて販売を断った。惜しいことをした。

二人目はイケメンだった。北欧出身の俳優ビョルン・アンドレセンみたいな美少年が、マネージャーっぽい男を連れてやってきた。どこぞのモデルかタレントか。放つオーラがすごいことになっていた。背景にバラが見えた。

この写真のデータを売ってくれ。

美少年がそう言うのだ。バラを背景に。すんでのところで「はい!」と即答しそうだったが、どうにか正気を保つ。彼は続ける。自分で大きくプリントして飾りたい。日本からプリントを持って帰るのは大変だろ、と。言わんとすることはわかる。でも、データ譲渡はさすがに無理だ。

美少年が帰った後、スタッフが近づいてきてこんなことを言う。さっきのデータ販売、十万円だったら売りましたか、と。

売る。十万なら売る。

大きくプリントして壁中貼ってくれてかまわない。プリントTシャツにして大量販売したっていい。十万円ならぜんぜん元が取れる。NFTアート、やっておけばよかった。

世界の住宅の壁は広くてデカイ。A4プリント売ってる場合じゃなかった。この日、世界標準に触れた。

 

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January 01, 2024

2024年初っぱなの記事公開!

metalmickey's montageにて、2024年初っぱなのブログ記事を公開しました。お題目はUSB充電器。撮影旅行でカメラのバッテリーやノートパソコンをUSB充電しようという試みです。供給ワット数を測定しながら動作チェックしてみました。ぜひご覧ください。

metalmickey's montage
撮影旅行のUSB充電事情 Anker vs CIO

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