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October 2022

October 28, 2022

小説を書いたワケ【カメラホリックレトロVol.2】

先日発売のカメラホリック レトロ Vol.2で、「反転ノクチの妖精」という小説を書いた。タイトルからそれとなくわかる通り、古い大口径レンズをめぐるファンタジー小説だ。オールドレンズ本になぜ小説? そもそも澤村って小説なんて書けるの!? とまあモヤッとしている人が多いだろう。僕がレトロVol.2に小説を書いたワケを説明してみたい。

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カメラホリック レトロ Vol.2[ホビージャパン][Amazon
発売日:2022年10月24日
出版社:ホビージャパン
税込価格:2,970円

昨年、「オールドレンズはバベルの塔」というエッセイ集を出した。この本、立て付けこそエッセイだが、実のところ執筆手法は完全に小説だ。帯びに「事実か、虚構か……」とあるのはそういう事情があったからである。本の目的は「オールドレンズにふりまわされる男」を描くことなのだが、まったくの小説にしてしまうと現実味が乏しい。そこで僕の半生をベースに「オールドレンズとともに歩む人生」を書くことにした。つまりエッセイの顔をした小説だ。

そんなややこしいスタンスで書いたものだから、読者の皆さんもだいぶ混乱したらしい。「オールドレンズ本なのにオールドレンズの情報が少ない」と怒られることもしばしばだった。でも、読み物として捉えてくれた人の評判はよく、この本の目的、「オールドレンズにふりまわされる男」の悲喜こもごもを楽しんでもらえた。その結果出てきた意見が、「もう小説書いちゃえば?」だった。

カメラホリックの編集者から「小説で何か賞獲りなよ。そしたらエッセイ集が売れるから」と半ば冗談、半ば本気で言われ、さすがに五十をすぎて新人賞狙いはなあと途方にくれる。ただこのとき、オールドレンズファン限定で小説を書くことを思いついた。いわゆるレンズ解説とは違った切り口で、オールドレンズの魅力を表現できないか。賞は無理だけど、レトロに小説を載せるという線で勘弁してもらった。レトロで僕の小説を読んで、気に入ってくれたら「オールドレンズはバベルの塔」もぜひ、という戦略。戦略というにはあまりにわかりやすいけど(笑)。

こんな経緯で生まれた「反転ノクチの妖精」だが、思いついたからといってすぐに小説が書けるはずもなく……。いわゆる雑誌の原稿と小説は別モノ。原稿書きに慣れているライターでも、小説を書くにはそれ相応の訓練が必要だ。ただ僕の場合、この訓練は不要だった。

実は僕が文章を書くキッカケこそが小説だったからだ。大学生の頃、文章を書く楽しさに目覚め、仲間うちで同人誌のようなものを作っていた。大学四年間、ほぼ小説ばかり書いて過ごした。このあたりの話はレトロVol.2のフォトギャラリーの解説文で触れている。気になる人はそちらも読んでみてほしい。

社会人になってからも、フリーライターになってからも小説は書き続け、大手出版社の新人文学賞で最終候補に残ったのが人生のハイライト。その後、思うところあって筆を折った。筆を折ったはかっこつけすぎか。ライター業を優先し、小説はまた気持ちがのったら再開しようと少し距離を置くことにした。それが三十代後半の話だ。

期せずして十数年ぶり(いや、もはや二十年近いか)に小説を書き、あの頃より少しばかりうまくなったような気がする。読み手を意識しながら小説が書けるようになったのは、きっと長らくライターを続けたおかげだろう。もちろん、気のせいかもしれないけど。

何が言いたかったのかというと、小説自体は書き慣れているよ、という話。アマチュアではあるけれど、新人賞で最終選考に残る程度の書き手ではあるので、ストレスなく読んでもらえるはず。レトロVol.2の「反転ノクチの妖精」、ぜひご一読を。

 

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October 24, 2022

超広角オールドレンズテストのPDF公開【レトロVol.2】

紙版のカメラホリックレトロVol.2を購入した方にお知らせです。一部商品の「超広角オールドレンズ相性テスト」に印刷ムラがあることがわかりました。該当ページのPDFを以下に公開しましたので、ダウンロードして正しい色合いをご確認ください。お手数おかけして申し訳ございません。

●カメラホリック レトロ Vol.2 90~93ページ
α7 IV & Leica M11 超広角オールドレンズ相性テスト

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カメラホリック レトロ Vol.2 本日発売です!

オールドレンズ総合誌「カメラホリック レトロ Vol.2」が発売になりました。カールツァイスイエナ特集をはじめ、オールドレンズ写真家によるフォトギャラリー、神オールドレンズ・エッセイなど、盛りだくさんの内容です。一年の時間をかけて全力投球で作りました。ぜひたくさんのオールドレンズファンにご覧いただきたいです。

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発売日:2022年10月24日
出版社:ホビージャパン
税込価格:2,970円

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October 23, 2022

OLPメンバーで函館撮影旅

先週末、オールドレンズパラダイスのメンバー数名で函館撮影旅を敢行しました。泊りの撮影は前々からやりたかった企画のひとつです。朝から晩まで撮影漬け。撮ること以外何も考えない時間は気持ちいいですね。世間は全国旅行支援で盛り上がってますが、澤村の案内する場所はほぼ無人。レトロレンズに最適化(!?)された侘しいスポットにご案内しました。

普段はひとりで撮ることがほとんどなので、こうやって見知った人たちと撮り歩くのはいい刺激になります。同じ被写体を見ても、レンズを向ける角度が微妙に違う。背面液晶で写真の見せ合いっこが楽しいです。お気に入りのスポットに知り合いを連れて行きたくなるこの気持ち、何と名づければいいのかなあ(笑)。

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α7 IV + FD 24mmF1.4 S.S.C. ASPHERICAL

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Leica M11 + DR Summicron 50mmF2

Lml1002614
Leica M11 + DR Summicron 50mmF2


Lml1002667
Leica M11 + Summicron 35mmF2

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α7 III + Super-Angulon-R 21mmF4


 

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October 15, 2022

カメラホリック レトロ Vol.2、10月24日発売です!

Carl Zeiss Jenaって知ってますか? ドイツの東西分裂で生まれ、ベルリンの壁崩壊にって終焉した旧東ドイツの光学メーカーです。安くて写りがよく、加えてノスタルジックな描写が得意なレンズです。今月24日発売のカメラホリックレトロVol.2では、そんなカールツァイスイエナのレンズを一堂に会しました。

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カメラホリック レトロ Vol.2[ホビージャパン][Amazon
発売日:2022年10月24日
出版社:ホビージャパン
税込価格:2,970円

カールツァイスイエナ特集は二部構成になっていて、第一部「表の顔」では同社の代表的なレンズを、第二部「裏の顔」ではマニアックなレンズを集めました。さすがにイエナ大全とまではいきませんが、計28本、カールツァイスイエナの全体像はつかんでもらえると思います。

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カメラホリックレトロシリーズは「オールドレンズの本気を見せる」がコンセプトのオールドレンズ総合誌です。今号もたくさんのオールドレンズガチ勢な写真家さんにご協力いただきました。

フォトギャラリー「僕らの相棒はレトロレンズ」は谷杉アキラさん、上野由日路さん、山形宗次郎さん、澤村徹の四名が、オールドレンズフォトグラフィーの魅力を披露します。ちなみにこの四名のことを勝手にレトロ四銃士と呼んでます(笑)。フォトエッセイ「これが本物の神オールドレンズ」では、森谷修さんと種清豊さんがガチ勢ならではのオールドレンズ偏愛を見せてくれました。どちらもオールドレンズの本気を実感できる特集です。

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この他には濃ゆいオールドレンズネタ盛りだくさんの本書ですが、今号はサプライズ企画を用意しました。全読者の発想の斜め上をいく自信があります(笑)。ご期待ください。

 

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October 13, 2022

LM-EA9レビュー書きました!【カメラガジェット放浪記】

「澤村徹のカメラガジェット放浪記」を更新しました。今回のお題目はTECHART LM-EA9。待望の新世代AFマウントアダプターです。オールドレンズファン定番のLM-EA7からどう進化したのか。実際にその進化を体感できるのか。α7 IVとの組み合わせでレポートしました。フォーカスエリアが「ワイド」でも動く。これでピンとくる人はぜひご覧あれ。

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●澤村徹のカメラガジェット放浪記 第22回
TECHART LM-EA7「円形デザインで速く力強く」

 

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