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October 2021

October 23, 2021

国産オールドレンズを特集しないワケ

「国産オールドレンズ特集やってくれよ!」と幾度となくリクエストがあった。たしかに澤村のオールドレンズ記事は海外製レンズ、特にカールツァイスイエナとかロシア製が多い。近年はライカレンズを取り上げることも増えた。ただ、自らの名誉のためにいっておくと、ちゃんと国産オールドレンズも紹介してるからね(笑)。当然のことだけど、オールドレンズのムックを制作するにあたり、どんなレンズをどの程度の配分で取り上げるかはちゃんと考えている。好きなレンズをテキトーに並べているわけじゃない。

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ただ、そうはいっても、国産オールドレンズだけで一本の特集を組んだことはない。これはたまたまではなく、意図的に国産オールドレンズ特集を避けてきた理由があるのだ。

国産オールドレンズというと、戦前から続くレンジファインダー用レンズ、戦後の一眼レフ用レンズに大別できる。実のところ、レンジファインダー用レンズはプレミアのついたレンズが多く、ホビーというよりもコレクション色が強い。戦後モノにしても、ズノーのピンポン玉とか、キヤノンF0.95とか、国内光学技術黎明期の遺産、のような感じで手軽さの対極にある。オールドレンズホビーの対象になる国産品は、やはり戦後の一眼レフ用レンズだろう。

で、肝心の国産一眼レフ用レンズだが、よくもわるくもちゃんと写る。高度経済成長の最中、海外のカメラやレンズに追い付け追い越せと開発された製品たちだ。写りはもちろんのこと、価格面でも競争力がある。日本人のきまじめな国民性もあってか、安価なレンズですらしっかり写るのだ。

さて、ここで問いたい。我々はちゃんと写るレンズがほしいからオールドレンズを使っているのか。そうではないはずだ。求めているのは高画質ではなく、個性のある写りのはず。そうすると、高度経済成長期の国産オールドレンズは候補から外れてしまう。無難によく撮れてしまうからだ。

もうひとつ、ぼくがこのカテゴリーを避けてきた理由がある。それは価格の問題だ。戦後一眼レフ用の国産オールドレンズは値頃感がある。お膝元なので玉数が多く、コンディションのよいレンズが安く買える。オールドレンズを手軽に楽しめる聖域のようなカテゴリーだ。それをマス媒体で荒らすのは気が引ける。森の奥の花畑はそっとしておくべきだ。

そのような理由で国産オールドレンズ特集を避けてきたわけだが、今回、「カメラホリック レトロ Vol.1」では正面切って国産オールドレンズを取り上げた。それが「F1.2の奇跡」という特集だ。ご存知の通り、昨今、ライカを中心にオールドレンズの値上がりがすごい。定番オールドレンズや人気のクセ玉は正気を保ったままだと到底買えない値段になってしまった。そうしたなか、写りが個性的で、価格的にこなれたものが残っているカテゴリーとして、いまあえて注目したいのが50ミリ超F1.2のレンズだ。55/57/58ミリの大口径F1.2タイプ。50ミリではなく、50ミリ超というのがポイントだ。

詳しくはぜひカメラホリックレトロを見てほしいのだが、「これだからオールドレンズはたまんねえんだよなあ」とニマニマしてしまうレンズを集めた。オールドレンズビギナーなら現行レンズとのちがいに驚くだろうし、ベテラン勢とてクセ玉の概念が覆るほどの衝撃を受けるはずだ。凶暴なもの、絶妙なもの、はたまた時代を超えた高描写を見せるもの。50ミリ超F1.2は本当に表情豊かなのだ。興味があればぜひ、カメラホリックレトロをご覧あれ。

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October 18, 2021

「カメラホリック レトロ Vol.1」本日発売です!

本日10月18日、「カメラホリック レトロ Vol.1」が発売になります。オールドレンズ本を書き続けて十余年、新しいオールドレンズマガジンの責任編集を担当することになりました。単なるオールドレンズの解説書に止まることなく、オールドレンズの楽しさと豊かさを全方位的に伝えられるような、とことん欲張りなオールドレンズマガジンを目指します。

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カメラホリックレトロ Vol.1[ホビージャパン][Amazon
出版社:ホビージャパン
発売日:2021年10月18日
価格:2,970円

クセ玉盛りだくさんの「F1.2の奇跡」、オールドレンズあるあるをまとめた「先輩と語り合うためのオールドレンズ10選」、TECHART系AFアダプターを全網羅した「オールドレンズAF化は乱世にござる」など、ビギナーからベテランまでお楽しみいただける内容です。また今号は、本気のオールドレンズフォトグラフィーにこだわり、プロ写真家4名によるフォトギャラリーを掲載しました。オールドレンズと本気で向き合った成果をぜひご覧ください。

新創刊の「カメラホリック レトロ」、次号次々号と続けられるよう、責任編集担当としてがんばってまいります。オールドレンズファンの皆さま、応援のほどよろしくお願いいたします。

 

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October 11, 2021

プロトタイプができました!【Kistar the other side】

何度かお伝えしているMマウントのKISTAR 40mm F2.4、ついにプロトタイプが組み上がりました。「Kistar the other side」で外観チェックと実写結果をレポートしています。

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●Kistar the oher side 第35回
ついにプロトタイプが組み上がった!

 大暴れする開放が、距離計連動で使えます。製品化が待ち遠しいです。

 

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October 10, 2021

カメラホリック レトロ ふたつの目標

新しいオールドレンズマガジンが発売になります。その名も「カメラホリックレトロ」。そう、ライカ好きの人たちにおなじみカメラホリックの姉妹誌として、オールドレンズマガジンを出版することになりました。

これまで「オールドレンズ・パラダイス」を2冊、「オールドレンズ・ライフ」を10冊作り、ついに媒体名に“オールドレンズ”がつかないオールドレンズマガジンを出すことに(笑)。果たしてレトロは何冊出せるでしょうか。オールドレンズファンの皆さん、応援のほどよろしくお願いいたします。

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カメラホリックレトロ Vol.1[ホビージャパン][Amazon
出版社:ホビージャパン
発売日:2021年10月18日
価格:2,970円

カメラホリックレトロを制作するにあたり、ふたつの目標を立てました。ひとつは「プロのガチ撮り」を見せたい。作例ではなく、スナップでもなく、プロフォトグラファーが作品制作でオールドレンズを使ったらどうなるのか。今あえてオールドレンズを使う意味を、プロの作品で問うてみたい。そんなプロのガチ撮りを特集してみました。形式的にはフォトギャラリーページということになるのですが、何度も打ち合わせを重ね、作品の方向性を写真家と編集者の二人三脚で考え、カメラホリックレトロのためだけに作品を撮り下ろしてもらいました。写真展の告知連動ではなく、ストックでもなく、ゼロスタートから制作をはじめたこのムックのためだけの作品です。協力してくれた写真家勢にはずいぶんと無理を強いてしまいましたが、そのぶん読者諸氏にとっては見応えのあるページになったと自負しています。

ふたつめは紙媒体であることにこだわりました。周知の通り、昨年以降、たくさんのカメラ雑誌が休刊しています。これはどういうことかというと、「もう写真を紙で見る必要はない」「カメラの新製品情報はネットで十分」という読者諸氏の意思表示でしょう。もう雑誌なんていらないと。そのことを真摯に受け止め、改めて紙媒体のアドバンテージ、紙でカメラ雑誌を作る意味を考えてみました。澤村なりの結論は“文章”です。写真に負けないくらい読み応えのある文章を載せる。カメラホリックレトロではこれをがんばってみました。これまで澤村がカメラ記事を書くときはフラットな文章に徹していたのですが、エッセイ集「オールドレンズはバベルの塔」を執筆してだいぶ気持ちが変わりました。カメラ記事でも攻めた文章を載せていきたい。写真だけでなく、文章でも読者を楽しませたい。オールドレンズの“解説書”からもう一歩踏み込んだ本、あえていえばオールドレンズエンターテイメントのようなものを目指しました。

澤村の目論みはさておき、今回の本もオールドレンズを存分に楽しめる一冊に仕上がっています。いつも通り、ユーザースキルを問わず、誰もが楽しんでいただけるオールドレンズ本です。新たなオールドレンズマガジン「カメラホリックレトロ」、ぜひお手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。

 

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October 08, 2021

「カメラホリック レトロ」創刊!

来る10月18日、新しいオールドレンズマガジンが発売になります。「オールドレンズ新章はじまる」とキャッチフレーズをつけました。ミラーレス全盛のいま、オールドレンズを全力で楽しみたい。そんな人たちに向けた一冊です。オールドレンズビギナーも、すでに抜け出せない人も、オールドレンズ天国行きの片道切符「Cameraholics Retro」、ぜひ手に取ってご覧いただきたいです。

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●カメラホリック レトロ Vol.1[ホビージャパン][Amazon
出版社:ホビージャパン
発売日:2021年10月18日
価格:2,970円

「Vol.1」と記してありますが、継続的に出版されるかは売り上げ次第。責任編集として全力でがんばってまいります。オールドレンズファンの皆様、応援のほど、よろしくお願いいたします!

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僕らはオールドレンズマジックを信じる
谷杉アキラ/上野由日路/山形宗次郎/澤村 徹

Nikon Z fc × オールドニッコール

F1.2の奇跡
―55/57/58mmF1.2という金脈―

オールドレンズAF化は乱世でござる
―TECHARTのライバル続々登場―

先輩と語り合うためのオールドレンズ10選、他

 

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