April 2020
April 20, 2020
April 18, 2020
April 08, 2020
半径500メートルの冒険
ライターという仕事は、朝起きて原稿を書き、原稿を書き、原稿を書いて寝る。一日中うちにこもっているのは当たり前、十日間一歩も外に出ないこともめずらしくない。さすがに足腰が弱るので、無理やり用事をつくって外に出る。最近はラムネ菓子を買いにコンビニに行くというミッションが多い。口どけのよいレインボーラムネミニがお気に入りだ。
せっかくの外出なのでカメラを提げる。ただこのご時世、中年男性がカメラだけを提げて歩くのはあまりに危険だ。歩いているだけで通報事案である。念のため小さめのカメラバッグも斜め掛けしておく。帽子をかぶり、メガネをかけ、最後にマスクで口もとを覆う。大丈夫だろうか。本当に通報されないだろうか。止めどない不安をおぼえながら、半径500メートルの冒険に出かける。
いったい何度この道を撮り歩いたことか。それでも何かしら発見がある。今日はこれまで見過ごしていた小道に挑戦した。人のすれちがいが難しいほどの小道。アスファルトではなく、タイルを敷き詰めた遊歩道的な佇まいだ。道は周囲より一段低く、暗渠でも走っているのかもしれない。
土地の成り立ちに思いを馳せながら撮り進む。小道は右へ左へとせわしくなく折れ曲がり、これ幸いと方向感覚を手放した。ご近所でさまようだらしない感じがたまらない。道を曲がるたびに初見の風景があらわれ、これは撮らねばとシャッターを切る。たかが100メートルほどの道なのに、撮影が忙しくてぜんぜん前に進めない。
Nikon Z 6 + Auto Mamiya/Sekor 55mmF1.4
撮影枚数が200枚を超えたあたりで太い道に出た。ああ、ここにつながっていたのか。一気に現実に引き戻される。道沿いのコンビニでレインボーラムネミニを手に取り、レジ待ちの列に並ぶ。昼めしどき、弁当を手にした区役所の職員がたくさん並んでいた。そのなかにレインボーラムネミニだけをもって立つ。なかなかの羞恥プレイ。昼めしどきの冒険はやめようと心に誓った。