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January 01, 2019

レンズの様にスーツケースを探す男

明けましておめでとうございます。

昨年、ベトナムの帰りにスーツケースが壊れた。以前から不調だった伸縮ハンドルが、小さな段差でスポンッと抜けてしまったのだ。旅の最中はホテルに置きっぱなしか空港に預けるため、さほど問題はなかった。成田に着いて自宅に戻るまで、その間が地獄だった。

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2輪タイプのスーツケースだったので、常に傾けた状態でないと転がして歩けない。スーツケース上部の直付けされたハンドルを握り、体をかがめて歩く。スーツケースの傾きが浅いとかかとにぶつかり、深く傾けるには体を無理に曲げなくてはならない。不自然な姿勢で上野駅構内を歩く。夏にやらかしたギックリ腰が再発しないかとヒヤヒヤした。

そんなわけで帰国以後、暇さえあればスーツケースを物色している。壊れたスーツケースはRIMOWAのSALSA PLUS(容量60L程度)だ。ポリカーボネート製の出始めの製品で、16年前に3万円弱で購入した。同等品を買おうとRIMOWAのホームページを調べると、SALSAはESSENTIALというこじゃれた名前に変わり、税込で10万円ほどと大変に値段になっている。「安くて丈夫」がウリのSALSAは、いつの間にか「高くて丈夫」なESSENTIALになっていた。ここまでお金を出すなら、ポリカーボネートではなくアルミの方がいい。そう思い立ったこの日、長きにわたるスーツケース放浪の旅がはじまった。

RIMOWAのアルミ製スーツケースはとかく人気だ。そのため空港ではけっこうな確率で人とかぶる。しかも最近はRIMOWAのパチモンが大量に出回っている。中国の団体さんとかち合うと、ベルトコンベアーはRIMOWAもどきだらけだ。大枚はたいてパチモンと同一視されるのもシャクだ。ゼロハリバートン、TUMIといったライバルメーカーのアルミスーツケースを調べる。同容量の製品で値段と重量を比べると、TUMIはRIMOWAより安いが重い。ゼロハリはRIMOWAより高くてしかも重い。なんだろうこの三つ巴な感じ。悲しいほど決め手がない。

ここでアルミスーツケースに対する物欲が冷めてしまった。そもそもスーツケースに15万以上もかけていいものか。自分の生活水準からすると、5~7万が常識的なところだろう。とは言え、どうせ長く使うことになるだろうから、格安スーツケースではなく、バッグとして愛着が持てるものがいい。そんなことを考えながら、色々なメーカーのホームページを見て回る。BRIEFING、VICTORINOX、BERMAS、このあたりだと愛着を持って使えそうだし、価格的にも無理がない。ただし、必然性がだいぶ怪しくなってくる。質実剛健なBERMASを選ぶなら日本のACEでもいいはずだし、デザイン重視のBRIEFINGを選ぶならINNOVATORだって候補になるはずだ。そもそもRIMOWAやゼロハリのポリカーボネート製だって候補になる。どれを選んでも満足できると思うが、どれを選んでも少したてば別のスーツケースがほしくなりそうな気がする。

初心に返ると、一番ほしいのはやはりRIMOWAのアルミスーツケースだ。パチモンと横並びになるという部分を回避できれば、この選択肢が一番しっくりくる。例えば、かっこいいステッカーでカスタマイズするとか。実は壊れたSALSA PLUSは白いパーセルで一部分をストライプにしていた。このおかげで遠くからでも一発で見つけられた。アルミスーツケースにパーセルはさすがにどうかと思うので、何か良さげなステッカーをあしらいたい。

ただ、このステッカー探しが思いの外大変なのだ。訪問した国のステッカーを貼っていくのはあまりに昭和の発想だ。カメラメーカーのロゴは盗難を助長するし、海外に持ち出すので政治やミリタリー色の強いステッカーは論外。「OLD LENS LIFE」や「OLD LENS PARADISE」のロゴステッカーを作っておけばよかったなあ、なんてことを考えつつ、夜な夜なかっこいいステッカーを探してネットを徘徊している(←今ここ)。

なにゆえ、スーツケースの話を書いたのか。スーツケース探しの思考回路が、レンズ探しとあまりに似ていたからだ。買いたいレンズが決まっているのにいろいろな対抗馬を並べ、選択肢が広がりすぎて何がほしかったのかわからなくなる。一番ほしいものがあるのに、なぜその代替品を探そうとするのか。代替品を買ってもいずれ一番ほしいものを買い直すのに。もうさんざんそれを繰り返し、幾度となく後悔してきたというのに。

どうか今年は、一番ほしいものをすぐさま買える大人になれますように。

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