良く写る昔のレンズと、味わい重視の最新レンズ
先日、2本の大口径中望遠レンズでポートレート撮影してきた。1本はオールドポートレートレンズの銘玉、New FD 85mm F1.2L。もう1本は今年の年末以降に発売予定の木下光学研究所 Kistar 85mm F1.4だ。Kistar 85mm F1.4で撮った作例は以下のサイトで公開されている。
●Kistar the other side
第11回 Kistar 85mm F1.4でポートレート
もともと撮り比べが目的ではなくて、Kistar 85mm F1.4のお仕事撮影にオマケでNew FD 85mm F1.2Lも相乗りさせたという次第。双方で撮った画像を見比べると、かなりわかりやすくレンズのキャラクターがあらわれていた。New FD 85mm F1.2Lはすっきりくっきり良く写る。「絞ると」ではなくて、開放からいかなる絞りでも均一に良く写る。F1.2でもF4でも、描写傾向が変わらないというのはホントすごいことだと思う。
翻ってKistar 85mm F1.4は、絞りでころころと描写が変わる。特に逆光時のフレアとゴーストは、1~2絞るとスッと収まり、まるでレンズがフレアスイッチを搭載しているかのようだ。解像力はあくまでもナチュラル派で、こちらは絞り込んでも過度に先鋭化しない。ただし、解像力がいまひとつだなどと誤解してはいけない。開放近辺からかなり広範囲にわたって解像し、被写体をどこに配置してもちゃんと合焦する。Kistar 85mm F1.4はオールドレンズライクな描写を目指したレンズだが、やはり締めるべきところはしっかり締めている。こういうさじ加減、つくづくうまいなあと感心する。
New FD 85mm F1.2Lは古いレンズなのに超絶良く写る。Kistar 85mm F1.4は最新レンズなのに描写の味わいを追い求める。大口径中望遠レンズは、殊の外キャラのちがいが際立つ気がする。
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