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September 2017

September 29, 2017

Kistarシリーズ初のポートレートレンズ

「Kistar the other side」を更新しました。オールドレンズ・ライフ2017-2018に掲載したシリーズ最新製品、Kistar 85mm F1.4をレポートしています。身近な被写体による作例をたくさん載せました。どんなテイストの大口径ポートレートレンズなのか、ぜひご覧ください。

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●Kistar the other side 第10回
シリーズ第3弾は大口径ポートレートレンズ

発売は2017年12月以降の予定です。発売日に向けて、さらに実写レポートを追加していきます。もちろん女性ポートレートもちゃんと載せますよ(笑)。ご期待ください。

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ライカレンズはどこまで寄れる?

「澤村徹のカメラガジェット放浪記」を更新しました。今回のテーマはライカMマウントレンズによるマクロ撮影です。接写リングをLM-EA7を組み合わせ、超絶スーパーマクロに挑戦してみました。

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●澤村徹のカメラガジェト放浪記 第6回
ライカレンズでスーパーマクロAF撮影

ちなみに、この連載のイメージカットなんですが、最近はこっそりとドレスアップ仕様になっています。Cam-inのストラップを組み合わせ、軽く雰囲気出してみました。Cam-inは量産タイプのストラップですが、おいしいところをうまくくみ取っています。買いやすい値段の製品なので、気になった方は焦点工房かAmazonでぜひ。

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「沼」解禁

沼解禁、である。ワケあって、これまでレンズ沼という言葉を極力避けてきた。避け続けたなれの果てが、今年の「オールドレンズ・ライフ2017-2018」の表紙である。大特集「本物のレンズ沼でようこそ」だ。ひたすら避けてよけてを続けてきたのに、よりによって特集タイトルでレンズ沼。言い訳させてほしい。もちろん理由があるのだ。

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●オールドレンズ・ライフ2017-2018[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2017年9月29日

そろそろレアなマウントも紹介したいなあ。そんな思いつきがいけなかった。ミラーレス機が登場しておよそ10年、通りいっぺんのマウントアダプターがそろい、大抵のオールドレンズはデジタルで再利用できるようになった。ただその一方で、「そんなレンズ誰も使わないって、ていうか誰も持ってないし」という世界がいまだ残っているのも事実。そのあたりを軽くさらっていけたらおもしろいかな、くらいの冷やかし気分だった。

とりあえず、ペトリ、ミランダあたりから未知の森に分け入る。良玉の宝庫だが、マウントアダプターの入手に難がある。国産なのに惜しい。パクセッテでB級グルメ的な味わいを知り、レクタフレックスで固唾を呑む。そしてブリックことアーガスC3にさえマウントアダプターがあることを知り、天を仰いだ。いまオレ、船底踏み抜いたよね!? そんな自覚に冷や汗が止まらない。

レンズ沼という言い回しは、自虐ネタと選民意識の入り交じる感じが苦手だった。しかし、期せずして開けたドアの向こうは、途方もなく深いオールドレンズの未踏の地。底に足が付くまで、いったい何年かかるだろう。そんな諦念を込めて、レンズ沼という言葉をあえてタイトルに含めた。「オールドレンズ・ライフ2017-2018」を読んで沼に足を取られても、頭の先まで浸かっても、恨みっこなしだ。ひと足先に沼の底で待つ。

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September 27, 2017

がんばって特色使ってます!【オールドレンズ・ライフ2017-2018】

玄光社「オールドレンズ・ライフ2017-2018」の見本誌が届いた。何冊本を手がけても、見本誌とのファーストコンタクトは緊張する。特に「オールドレンズ・ライフ」シリーズは写真をしっかり見せることをコンセプトにしているので、印刷の仕上がりが殊の外大切だ。さて、今号の仕上がりはどうか!?

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●オールドレンズ・ライフ2017-2018[玄光社][Amazon
出版社:玄光社
発売日:2017年9月29日

結論から言うと、かなりいい、すごくいい。表紙の背景はムラ染めの青いレザーを使っているのだが、中間色の微妙な色合いをしっかり再現してくれた。タイトル文字は特色インクを使用。掛け合わせではないので、色の鮮やかさがバツグンだ。遠くからでも視認できるビビッドカラーである。ちなみに、特色インクはオールドレンズ・ライフ史上初だ(笑)。

肝心の本編はどうか。こちらも色校通りの美しい仕上がりだ。巻頭から巻末まで、一貫して再現性の高い誌面に仕上がっている。これならオールドレンズの微妙なテイストも誌面から感じ取ってもらえるだろう。

発売は今週の金曜日。今年もがんばって撮って書いて編みました。たくさんの方に読んでいただきたいです。ぜひご高覧のほどを!

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September 25, 2017

台湾語版RAW現像読本「Lightroom影像精修速成班」が出ました

「作品づくりが上達するRAW現像読本」の台湾語版が発売になった。ぼくが手がけた本の中で、オールドレンズ本はすでに何冊か翻訳版が出ている。が、ソフト解説本の翻訳オファーははじめてであり、かつかなり意外だったた。

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●Lightroom影像精修速成班
出版社:尖端出版
価格:NT$480/HK$160

なにゆえ意外なのかというと、写真本とソフト解説本では、翻訳作業の量が桁違いだからだ。オールドレンズ・ライフを例にとると、この手の写真の本は画像をすべて流用し、文章だけ翻訳して流し込めばOK。ただし、ソフト解説本はそうはいかない。

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ソフト解説本は大量のスクリーンショット(ソフトウェアの画面画像)が載っている。ぼくは日本語版のLightroomでスクリーンショットを制作しているが、翻訳本となれば、これらを現地語のソフトウェアの画面に置き換えなくてはならない。要はメニュー項目をすべて現地語に置き換えていくわけだ。作業的にはフォトショップで合成するだけだが、なにしろ一冊分だ、枚数が尋常じゃない。台湾語版の編集さん、マジお疲れっす。この作業はチトしんどいわ(泣)。

台湾語の書籍は香港の皆さんも読めるとのこと。台湾と香港のデジタルカメラユーザーの皆さん、画像編集のステップアップにぜひ!

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September 22, 2017

「オールドレンズお散歩フォトレッスン」開講します!

新しい講座がスタートします。講座名は「オールドレンズお散歩フォトレッスン」。マンツーマン形式のオールドレンズ撮影レッスンです。受講者の撮影スキルやリクエストに応じて、柔軟にレッスンいたします。

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●オールドレンズお散歩フォトレッスン
講師:写真家 澤村徹
形式:マンツーマン形式のフォトレッスン(数名のグループも可)

場所:3つの撮影コースを用意しています
時間:約120分(撮影90分/お茶会30分)
特典:レッスン時にオールドレンズを1本お貸しします

ミラーレス機の登場でオールドレンズ撮影はかなり簡単になりましたが、まったくの初心者には依然ハードルの高い世界です。MFの基本的な操作はもちろん、どんなオールドレンズやマウントアダプターを選べばよいのかといった導入指南も含め、皆様のリクエストに応じてレッスンいたします。お申し込みいただくとき、どんなオールドレンズに興味があるのか、オールドレンズでどんな写真が撮りたいのか、オールドレンズを使っていて疑問に感じていることなど、コメントを添えていただけると、よりご希望にそったレッスンができると思います。

撮影地は北千住、西新井大師、小菅の3カ所を選びました。ぼくが作例撮りやテスト撮影でよく通っている場所です。けっして風光明媚なスポットではありませんが、オールドレンズにとってフォトジェニックな被写体がたくさん見つけられます。レッスンが軌道にのってきたら、撮影コースを増やしていく予定です。

レッスンの特典として、オールドレンズを1本レンタルすることにしました。これまで書籍はウェブ媒体で様々なオールドレンズを紹介してきましたが、掲載したレンズは9割方手元に残してあります。「この本の○ページのレンズを使ってみたい」をリクエストしてください。掲載したレンズと同じものを、レッスン中にお使いいただけます。なお、手元にないものも多少ありますので、その点はご容赦のほどを。

オールドレンズをマイペースで楽しむための講座、オールドレンズお散歩フォトレッスン、ご興味あればぜひ!

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September 20, 2017

【7artisans 50mm F1.1 まとめ】セルフアジャストからAF動作まで

最近、七工匠の7artisans 50mm F1.1を気に入って使っている。安価だが収差が多く、まじめに評価すると高ポイントには至らないレンズだ。ただし、この手が好物の人にはたまらないレンズである。そんなわけで、最近スタートしたレビューサイトにて、3本立て続けに記事をアップした。この3本で7artisan 50mm F1.1のおいしいところが一通り伝わると思う。

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●metalmickey's camera
7artisan Special Issue

大手カメラ媒体があまり取り上げないタイプのレンズだと思うので、仕事そっちのけでせっせと書いてみた。ぜひご高覧のほどを!

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September 17, 2017

プリント講評会からのぉ、プリント展示会

今日はオールドレンズ・パラダイス第13期の締め、プリント講評会だった。最近気付いたのだが、プリント講評会ってOLPメンバーの活動報告を兼ねているなあ、と。以前はプリントの仕上げや撮影方法について講師としてアドバイスしていたのだが、最近はすっかりメンバーの活動報告に聞き入っている。

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プロジェクターレンズにどっぷりな人、ズマリットでコスプレを撮る人、シングルヘリコイドのアナモルフィックレンズ(かなりレア)を持っている人、中判ポジのデュープに熱心な人などなど、そのオールドレンズスタイルは千差万別だ。講師という立場でアレだけど、とても勉強になる。ちなみに、オールドレンズ・パラダイスは来月から第14期がスタートする。ご興味あればぜひ。マイペースでオールドレンズを楽しめる講座です。

●東急セミナーBE「オールドレンズ・パラダイス」2017年10月期

講座の後は、OLPのメンバーとともに、上野由日路さんのグループ写真展「オールドレンズ×ポートレート写真展2」を見に行ってきた。台風接近中だというのにものすごい盛況ぶりで、会場に着いたときは身動きがとれないほど。さすがは人気カメラマンだ。

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上野由日路さんは玄光社「オールドレンズ×美少女」の著者。今回もシネレンズで撮ったポートレートを多数展示されていた。

オールドレンズがらみで知り合いに会えるかなあと思ってたところ、「ライカの魔法」の森谷修さんとお会いできた。森谷さんには「オールドレンズ・ライフ」の第1号でフォトギャラリーをお願いしたことがある。もう7年も前のことなのに、ぼくのことをおぼえていてくださった。しかも「マウントアダプター解体新書」を褒めてもらえてダブルでうれしい。あの本は地味なコンテンツだけど、制作にはものすごく労力がかかっている。それだけに、あの本を評価してもらえるのはうれしかった。

話をグループ展に戻そう。展示のメインスペースにたくさんのオールドレンズが並んでいた。実は展示作品のキャプションにすべて使用レンズが書かれていて、それを実際にタッチ&トライできるというのだ。しかも逆光コーナーも完備。逆光。この意味、オールドレンズやってる人ならわかるよね(笑)。

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手前の機材は上野由日路さんの私物カメラ。リコイルのハイグリップケースだよ。かっこいいなあ。

このグループ展は明日が最終日。作品のトーンがそろっていて、クオリティーの高いポートレート写真展だった。明日は天気もいいそうなので、みなさんもぜひ! そうそう、最後に濃ゆい写真を一枚貼り付けておく。「この三人が10年後、オールドレンズの世界に変革をもたらすとは、まだ誰も知らない」みたいな(笑)。

●オールドレンズ×ポートレート写真展2
日程:2017年9月16日(土)〜 9月18日(月・祝)
時間:11:00〜20:00(最終日は18:00)
会場:Studio ZENI.
東京都目黒区鷹番3-16-8 浜崎ビル203(東急東横線「学芸大学駅」徒歩5分)
入場無料

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右からカメラマンの上野由日路さん、ぼく、M42マウントスパイラルのスパイラルさん。ほぼ「混ぜるなキケン」状態だね(笑)。

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September 15, 2017

【オールドレンズ・ライフ 2017-2018】 9月29日発売です!

お待たせしました。シリーズ7冊目となる「オールドレンズ・ライフ 2017-2018」がいよいよ発売となります。普段より1ヶ月ほど遅い発売ですが、別にトラブルとかではありません。今年は5月末に「マウントアダプター解体新書」というマウントアダプターの解説書を出しました。なにぶん、最近は執筆も編集もひとりでやっているので、発売日を1ヶ月ズラし、満を持しての発売となります。

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●オールドレンズ・ライフ 2017-2018[Amazon
出版社:玄光社
発売日:2017年9月29日

本書はシリーズ通巻7冊目となりますが、今年から新たに年度表記になりました。これで最新刊がひと目でわかると思います。あと、一度買った号を再注文してしまうというケアレスミスも防げますね(汗)。

これまでぼくのオールドレンズ本では「沼」という言葉をあえて避けてきたのですが、今回、大特集が「レンズ沼」です。避けてきた言葉をわざわざ使うわけですから、それ相応の思いを込めた特集です。期待してください。深い沼をご用意しました。このあたりはまた改めて書きますね。

この本を企画するとき、いつも肝に銘じていることがあります。それは、「年に一度のオールドレンズのエンターテイメントでありたい」ということです。単なるオールドレンズの解説本ではなく、オールドレンズという切り口でエンターテイメントを提供したい、と。お待ちいただいた皆さん、存分にお楽しみください。オールドレンズの季節です。

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September 09, 2017

【開平ロケハン記04】開平の宿泊食事事情

開平は中国の田舎町だ。上海のような背の高いビルは数えられる程度しかなく、また、深圳のような工場も見当たらない。質素な農村というイメージが一番わかりやすいだろう。バックパッカーにはおいしいエリアだが、撮影ワークショップの場合はまた話が別だ。治安、食事、宿泊、要は文化水準が気になる。開平ロケハンレポート最終回は、開平の宿泊食事事情をまとめてみた。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

今回我々がロケハンで使ったのは、潭江半島酒店という開平唯一の5つ星ホテルだ。市街地の中州の突端にあり、ロケーションと言いグレードと言い、大満足なホテルだった。と言っても、取り立てて贅沢をしたわけではない。宿泊料金は素泊まり360元(6,000円程度)。都内のビジネスホテルより安い。

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中州の対岸から宿泊した潭江半島酒店を望む。このあたりではひと際背の高いビルだ。

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ホテルのエントランス。この過剰に広い感じ、共産圏に来たと実感する。

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パノラマで撮ったことを差し引いても、一人では広すぎる部屋だ。

食事については、朝食はホテルのバイキング、昼食は出先の食堂、夕食はホテルの中華レストランといった具合だ。ホテルのレストランがおいしかったので、必然的にホテルで食事を済ますことが多くなった。撮影で疲れている身としては、改めて外出しないで済むのはとても助かる。ロケハン中、全6回の食事を平均すると、1食あたり100元(1700円程度)ぐらいだった。夕食は少々贅沢するので、平均単価がやや高くなっている。ちなみに、このホテルには喫茶室もあり、夕食後のコーヒーやスイーツもOKだ。食事に関して不安はないだろう。

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夕食はホテルの中華レストランの世話になった。写真の料理はうなぎの釜飯。中華料理でうなぎはめずらしいと思う。

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朝食バイキングで麺をいただく。湯通ししたレタス、甘辛く煮た牛肉、ザーサイ、そしてネギをトッピング。朝から贅沢だ。

トイレ事情はどうか。世界遺産に指定されているだけあって、開平は観光地としての整備が進んでいる。入園料を取る場所は清潔な公衆トイレがあった。ワークショップで巡るスポットに的を絞ると、自力村と錦江里は村落の入口近くに清潔な公衆トイレがある。赤坎鎮は入園料を取らない市街地なので、ここに関しては逆に公衆トイレを避けた方が安全だ(公衆トイレの看板を見つけたが、その道を進むことすら怖いような場所だった)。メインストリートに飲食店があるので、そこのトイレを借りるのが現実的だろう。いずれにしても、現地語のわかるスタッフが同行するので、ひと声かけてもらえればいかようにも対応できる。端的に言うと、日本での旅行とさほど変わらぬ過ごし方で、開平での撮影を楽しんでもらえると思う。

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馬降龍の公衆トイレ。自力村もこんな感じの清潔なトイレだった。車椅子や授乳室も備えている。

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自力村に入園したところ。村落まで整備された道がつづく。左端に見えるのはカフェ。それなりに俗化しているが、村落はどっぷりと濃いのでご安心を。

さて、最後にレンズセレクトに触れておこう。再掲になるが、今回の機材は以下の通りだ。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

このうち、メインで使ったのが球面ズミルックスとビオゴン28ミリで、要所要所でウルトラワイドヘリアー12ミリを用いた。望楼はやはり広角が映える。ビオゴン28ミリは大活躍してくれたが、もう少しワイドでも良かったという印象だった。11月のワークショップ本番では21ミリを持参したいと思っている。

標準域はライカM8に球面ズミルックスでまかなった。35ミリ×1.3倍で35ミリ判換算46ミリ相当だ。ファットエルマリートで遠くから望楼を狙うつもりだったが、ライカM8と球面ズミルックスで案外事足りてしまった。はじめての場所で中望遠を持ち出す余裕がなかったのも事実だけど(汗)。

ライカM8を持ち出した理由はもうひとつある。というか、むしろこちらの理由が本命。開平で赤外写真を撮りたかった。田んぼの中にニョキニョキとそびえる望楼。赤外で撮ってくれと言わんばかりのロケーションじゃないか。ロケハンは天候にあまり恵まれず、赤外で撮れたのは最終日だけだった。それでもインスタ映えならぬ赤外映えするシーンがたっぷり撮れ、開平&赤外はかなりオススメだ。

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自力村で撮った赤外カット。田んぼの奥に望楼が建つ。M8にGビオゴン28ミリを付けて撮影した。

4回に分けて開平ロケハンレポートをお届けした。11月のワークショップでは、赤坎鎮、錦江里、自力村の3カ所を巡る予定だ。ひと口に開平と言っても、村落ごとに狙い目となる被写体が異なる。行く先々で新鮮な被写体と出会えるはずだ。個人旅行ではなかなか行きづらい場所なので、興味があればぜひ。Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾、開平ワークショップ、ご検討のほどを。


【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな
【開平ロケハン記03】遺跡に住む人々

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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metalmickey's camera プレオープン!

新たにレビューサイトをスタートしました。タイトルはmetalmickey's camera。カメラケース、ストラップ、マウントアダプター、オールドレンズなど、カメラ周辺アイテムをレビューするサイトです。カメラではなくカメラアクセサリー、ニュースサイトではなくレビューサイト。自分にできることを優先したら、こんなスタイルになりました。

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metalmickey's camera
・Facebopok
・Twitter

当面は、掲載スタイルやコンテンツをあれこれ試しながら運用していきます。とりあえず、プレオープンといった感じでしょうか。オウンメディアなので、自分らしい原稿を書いていきたいと思っています。RSSリーダーの登録、およびFacebookやTwitterのフォロー、よろしくお願いいたします。

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September 08, 2017

橋で立ち止まってはいけない

橋の上から運河をのぞき込んで撮る。と言っても、何があるわけでもない。お散歩スナップする人ならわかってもらえると思うけど、何もなくてもシャッターは切るモンだ。

そしたらひとり、またひとり、橋から下をのぞきはじめた。何もないですよ。土左衛門とかいませんよ。アッという間に人だかりができ、あわてて逃げ出した。ホント、すみません。悪気はなかったんです(汗)。

Leica M10 + 7artisans 50mm F1.1

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Fujikina 2017 東京 外部プロセッサーでRAW現像とかたまらんな

FUJIKINA2017東京に顔を出してきた。富士フイルムのファンミーティングイベントなのだが、ぼくが参加したのは業界人向けの時間帯で、製品発表会という位置付けになる。開場は綱町三井倶楽部。Tシャツにチェック地の半袖という普段着で行ったのだが、ドレスコードでつまみ出されそうなゴージャス空間だった。久々にKYぶちかましましたよ(笑)。

建物に入ると、いきなり巨大な写真が鎮座していた。何でもGFX 50Sをバルーンで成層圏まで飛ばし、撮影したものらしい。GFXが地球を見下ろす如く、二階の吹き抜けから写真を見下すという凝った演出がなされていた。

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最近、年をとるごとに高所がダメになってきた。腰の引けた写真ですみません(笑)。

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大盛況のタッチ&トライコーナー。業界人向けの時間帯でこれだけの人が並ぶ。

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二階はXシリーズとGFXによるフォトギャラリー。ふかふかの絨毯がヤバイ(笑)。

新製品についてはちゃんとしたカメラ媒体にお任せするとして、タッチ&トライコーナーに行くと、なんとKIPONがブースをかまえていた。CEOの張氏に話を聞くと、富士フイルムと情報交換しながらマウントアダプターを開発しているらしい。GFX 50Sユーザーはマウントアダプターでオールドレンズを付ける人とても多いそうだ。たしかにFacebookのGFXグループの投稿を見ていると、オールドレンズで撮った写真がたくさん流れてくる。ブースにたくさんのマウントアダプターが並んでいるが、マニアックなマウントがちらちらと含まれているからたまらない。ほぼ宝探し状態だ。コンタレックスのGFXマウントアダプターを見たときは、さすがに度肝を抜かれた。前々から気付いていたが、KIPONという会社に売れ筋の概念はない。出せるものは全部出す。素でスゲエなと思う。

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KIPON総代理店の新東京物産によると、GFX用マウントアダプターは30種ほどだという。

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CEOの張氏自ら接客をこなす。ブースには国内外を問わず、お客さんがやってくる。

新製品説明会で一番気になったのは、X RAW STUDIOと名付けられたRAW現像ソフトだ。富士フイルムXシリーズはフィルムシミュレーション、いわゆる仕上がりモードが大きな魅力だが、SILKYPIXおよびLIGHTROOMのプリセット(LIGHTROOMの場合、カメラキャリブレーションのプロファイルでフィルムシミュレーションが選択できる)ではカメラとまったく同じ色調にはならないと言う。富士フイルムXシリーズの絵作りは画像処理エンジンX-Processor Proによるところが大きく、既存のソフトウェアでは再現が難しいそうだ。

で、X RAW STUDIOの登場だ。このソフトウェアは外部プロセッサーに対応している。外部プロセッサー? そう、デジタルカメラの画像処理エンジンをパソコン上のRAW現像で利用しようというのだ。X RAW STUDIOをインストールしたパソコンに、USB経由で富士フイルムXシリーズを接続する。そしてRAWデータをデジタルカメラに送り、いわゆるカメラ内RAW現像でJPEG化、その後パソコンにJPEGを転送するというのだ。絵作りの要がX-Processor Proというのなら、そいつに仕事させればいいじゃないか。理にはかなってるけど、まさかガチでそれをやるとは(汗)。

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X RAW STUDIOは、GFX 50S、X-Pro2、X-T2、X100Fに対応する。あかん、どれも持ってない。

現像処理時間が気になるところだが、X-Processor ProがRAW現像専用ハードウェアとして機能するため、けっこう高速だと言う。高速CPUの現像とX-Processor Proの現像、どっちが早いかかなり気になる。とりあえず、100枚ぐらいのRAWデータでベンチマークテストしてみたいところだ。何よりも、元パソコン誌のライターとしては、外部プロセッサーという言葉の響きに悩殺状態だ。昔はDAWや動画エンコードは専用ハードウェアに頼っていたが、最近はCPUベースが当たり前になってしまった。これはコストパフォーマンスが良い反面、パソコン好きにはちょっと寂しい状況だ。外部プロセッサー、いいよ、いいよね。

これは余談だけど、富士フイルムの人が「パソコンがX-Processor Proを搭載していればいいわけですが、そういう製品はないので」というようなことを言っていた。だからデジタルカメラをつなげた、と話はつづくわけだけど、画像処理エンジンを積んだRAW現像専用パソコンとか、ちょっと夢があるかも(笑)。主要カメラメーカーの画像処理エンジンをオンチップしたノートパソコン。各社仕上がりモードをRAW現像で忠実に再現し、なおかつ現像時間は爆速。やばい、妄想が止らない(笑)。何かこう、X RAW STUDIOはパソコン好きの琴線に触れる気がする。

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September 03, 2017

【開平ロケハン記03】 遺跡に住む人々

ロケハン2日目、朝イチで錦江里に向かう。世界遺産に指定されている村落の中で、開平市街からもっとも離れた場所にある村落だ。タクシーで国道級の道を30分ほど飛ばす。スピードダウンと同時に周囲を見ると、明らかなスラム街に入っていった。それを抜けると一気に視界が開け、どこまでも田んぼが広がる。その田んぼのあちらこちらに、望楼と石造りの家々が点在する。昨日の赤坎鎮は商業地だったが、錦江里は農村だ。

世界遺産に指定されている村落は入園料がかかる。5つの村落で使えるフリーパスが180元。日本円で3,000円前後だ。中国の物価水準からすると、そこそこの金額だと思う。ただ、このお金が村落にフィードバックされ、村落内の道や公衆トイレに姿を変え、観光地としての機能を備えていく。今回、開平の村落を回ってトイレや水分補給に困ったことはなかった。フォトジェニックなロケーションの観光地化は賛否両論あると思うが、僻地で適度な生活水準をキープしてくれると、撮ることに集中できるのでありがたい。

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180元のフリーパスで、立園、自力村、馬降龍、錦江里、南楼の5カ所を回れる。今回のロケハンでは南楼以外の4カ所と赤坎鎮を撮り歩いた。

錦江里はこじんまりとした農村だ。すぐ脇を川が流れ、牛やニワトリの姿が見える。取って付けたような石門をくぐると、一世紀ぐらいタイプスリップしたような感覚に襲われた。石造りの民家がひしめくように身を寄せ合い、その奥に華洋折衷の望楼がそびえ立つ。村落前の広場では、住人が農作物を天日干しにしていた。

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錦江里の入口にある石門。ここをくぐって村落に入る。そこはかとなくアトラクションっぽくてアレだけど、一歩足を踏み入れると別世界が待っている。

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養鶏が盛んな村のようで、至るところにニワトリがいた。養鶏は短時間で現金化できるため、中国の農村ではよく行われているらしい。

土手に上がって村落を俯瞰し、何回もシャッターを切る。次は村落の中へ突入だ。水平に並んだ家々が城壁のようだ。あとで知ったことだが、事実、昔は路地を塞いで城壁の役割を持たせたらしい。細い路地に身を滑らせ、石造りの家々を巡る。窓の隙間からテレビの声が漏れ、食器の触れ合う音が鳴る。人が住んでいる。観光用の遺跡ではない。正真正銘の民家だ。日光江戸村に人が住んでいたら、ちょうどこんな感じだろうか。

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土手から村を一望する。望楼の手前に石造りに家々が密集する。右下にご婦人と赤ちゃんが写り込み、そのスケールがわかるだろう。

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路地は狭く、息を潜めて歩くと、生活音がすぐさまに耳に入ってくる。錦江里の住人は観光客に行為的で、写真は撮りやすかった。ちなみに、馬降龍は住人と観光客のトラブルが多いという。実際、馬降龍をロケしたとき、監視員のような男に立ち入りをとがめられることがあった。

村落の一番奥に望楼が建つ。この望楼は公開されていて、てっぺんまで登れる。錦江里だけではなく、世界遺産に指定された村落の望楼は、観光客に公開されているものが多い。フォトグラファーにとってこれはパラダイスだ。柵もない、ガラスもない。下界に広がる屋根の海に、素のままレンズを向けて撮影できる。俯瞰パラダイス。これはたまらない。

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望楼に昇って村を俯瞰する。日本は素通しで俯瞰できる場所が減っているので、こういうロケーションで撮れるのはとても楽しい。

昼メシ時、この村唯一の食堂に入る。そもそも、この村落に食堂があること自体に驚いたのだが、店内に入るともっと驚くことになった。食堂というよりも、どう見ても一般家庭のダイニングなのだ。がっかりしているのではない。これ幸いと写真を撮り出す。一般家庭の写真なんて、早々撮れるものではない。台所にはかまどが鎮座する。壁はご先祖の肖像。前時代的な光景にシャッターを切る指が止らない。この家のおじさんとおばさんも撮られ慣れているのだろう。カメラの前でにっこりスマイルだ。

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食堂といってもダイニングテーブルがひとつあるだけ。このときは他にお客さんもおらず、Turtlebackのメンバーでテーブルを占拠する。

席に着くと、ざっくりと切り分けたマンゴーが出てくる。これから作るんで、とりあえずこれでもつまんで待っていてくれ、ということらしい。家庭料理の店でそんなに待たされることもなかろうと思ったのだが、甘かった。

おじさんとおばさんが目の前のキッチンで調理をはじめる。いや、調理ではない。食材の調達からはじまった。名シェフたるもの、食材へのこだわりがハンパないのだ。おばさんが黒い物体をキュッと締める。あれって、庭でコケコッて鳴いていたやつだよね。待つことしばし、活きのいい鶏料理が食卓に並ぶ。もちろん抜群にうまい。なにしろ活き作りだからな。

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お通し代わりのマンゴー。たぶん、さっき庭で取ってきたのだと思う。

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調理場に鎮座するかまど。でも、左横にはちゃんとガス台もあるのでご安心を。

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おばさんが慣れた手つきでコケコッをお肉にさばいていく。帰国して妻にこの話をしたら、「子供の頃、晩ごはんがトリカラの日は、じーちゃんが裏庭で何かごそごそやってた」と衝撃のカミングアウトが。

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瓜と砂肝のカレー風味炒め。おいしくいただきました。ちなみに、向こうは鶏肉というと骨ごとぶつ切りなので、日本人の感覚からするとかなりワイルドだ。

帰り際、店のおじさんが近づいてきた。「さっき撮ってもらった写真、ウィーチャット(中国のLINEに似たアプリ)で送ってくれないか」とスマホを取り出す。ちょっと待て、ここでスマホ? あれだけ前時代的ライフスタイルを見せておいて、スマホなの!? 錦江里、侮れない村だ。

【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です
【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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September 01, 2017

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

朝イチの高速バスで香港を発ち、4時間半ほどで開平のホテルにチェックインできた。ホテルのレストランで昼食を済ませ、撮影の準備に取りかかる。普段、海外ロケにはたんまりと機材を持ち込む。ボディ3台、レンズ10本程度が標準的な機材で、1日3本ペースで撮っていく。しかし、今回の開平行きは機材を最小限に絞り込んだ。理由は、香港経由で中国に入るからだ。

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昼食後、まだ青い空が見える。この日、目的地に着くとだいぶ雲が厚くなってしまった。

香港から中国へ出入国する際、同一製品の大量持ち込みはとがめられるリスクがあるという。日用生活品を香港から中国に持ち込む、いわゆる運び屋が横行しているからだ。あらぬ嫌疑でカメラとレンズを没収されてはたまらない。今回はボディ2台、レンズ4本というミニマム構成で撮影に挑むことにした。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

標準レンズが含まれていないが、APS-HのライカM8にズミルックス35ミリを付けると標準画角になる。中望遠は持参したものの、結局は使わずじまいだった。レンズセレクトについては改めて後述したい。

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ホテルのロビーに集合。Turtlebackのメンバーはすでに三脚を立て、GoProでムービーを撮りはじめ、やる気満々だ。あえて言うけど、まだホテルのロビーだからね。

さあ、いよいよ撮影だ。ワゴンタイプのタクシーで赤坎鎮を目指す。中国の運転の荒さは覚悟していたが、川沿いの大荒れの舗装路をノンブレーキが突っ走る。アスファルトはひび割れ、傾き、陥没しているのだが、そんなことはおかまいなし。スクーターを避けるために反対車線に出る。対向車はノンブレーキ、こちらもノンブレーキ。素でチキンレースをやるのだからたまらない。道の両脇に田んぼが広がり、目をこらすと、その奥にレンガ造りの民家が密集している。望楼らしきものも見える。これぞ開平といった村落が、道の両脇の至るとところに広がっていた。正直言って、「赤坎鎮まで行かなくても、ここと撮ってもいいのでは?」というくらいどこもかしこも開平状態なのだ。

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開平は基本的に田舎町だ。山河がゆったりとした時間とともに広がる。世界遺産以外にも撮りたいものがたくさんある。

タクシーが一気に速度を落とす。景色が一変する。2~3階建ての建物が両サイドから迫る。まるで側溝の底をミニカーで走るような気分だ。建物の多くは、西洋とアジアをミックスした開平特有の建築様式をまとっている。どうやら赤坎鎮の旧市街に入ったようだ。西洋化するチャイナというイメージは、映画による刷り込みが多い。事実、この赤坎鎮は映画のロケ地として幾度も登場しているらしい。近代化する中国のテンプレ的風景がここにある。貧弱な発想でアレだが、とりあえず、ジャッキーが5人ぐらいは出てきそうな街だ。

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赤坎鎮は道の両サイドにファザードがつづく。メインストリートは意外と交通量が多く、特に電動自転車の普及は目を見張るものがある。

赤坎鎮の観光地的なメインスポットは、川沿いにある三門里の迎龍楼だ。華洋折衷のファザードが川に沿ってつづいている。赤坎鎮でググって出てくる画像がここだ。特に対岸からの写真はお約束の構図となる。ただ、さすがは世界遺産、この通りはお土産屋や屋台が並び、すっかり俗化している。ここをお目当てに撮り出すと、あまりの観光地っぷりにちょっとがっかりするだろう。ただし、案ずることはない。本番の撮影は、道を一本入ったところからはじまる。

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三門里の迎龍楼のファザード。こういう華洋折衷の建物が川に沿ってずっとつづいている。これを狙うなら対岸からの撮影がオススメ。

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川沿いの通りは観光地化が進み、お土産屋と屋台が、軒ならぬパラソルを連ねる。見方を変えると、ここに来れば食事と水にありつけ、用も足せる。撮影旅行の場合、観光地化したスポットはある意味オアシスだ。

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赤坎鎮のアイコン的な古い石橋は、補修のため通行禁止になっていた。ここの中程からファザードの壁を狙いたかった。

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川沿いにライトアップ用の照明器具を発見。夜になるとライトアップするようだが、あまりの暑さにそれまで待てなかった。

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豆腐と獅子唐にスライスした鶏肉を貼り付け、しっかり焦げ目を付ける。これがスパイシーでうまい。とにかく蒸し暑いので、辛いもので体に活を入れないとやってられない。

細い路地を進むと、目の前の光景はほぼ遺跡だった。しかし、そこには人々の生活が根付いている。遺跡に住む人々、とでも言えばいいのか。強烈なタウンエイジングだ。街自体は古いのだが、驚くほど活気がある。マーケットや屋台は人であふれ、スクーターと電動自転車が群れをなして行き交う。圧倒されるが、賑やかな方が写真は撮りやすい。そもそも世界遺産に指定されている街なので、写真を撮っていてもさほど奇異の目で見られない。が、調子にのるのは禁物だ。路地を奥まったところまで進むと、目に見えないゲートのようなものを感じる。ここから先に進むと、身ぐるみ剥がされても文句言えないな、と。こういうのは理屈ではないので、違和感をおぼえたときは引き返すにかぎる。

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川から1~2本奥まった道を行くと、一気に生活臭が強くなる。ここからが撮影本番だ。

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映画に出てきそうなバルコニー付きの建物に、洗濯物が鈴なりだ。このギャップがたまらない。いや、そもそもこれがギャップなのかどうか(汗)。

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廃墟一歩手前といった風情だが、路上駐車したクルマが生活の場であることを教えてくれる。

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Turtlebackメンバーがイチ押しするロケーション。オールドレンズファンならば、赤坎鎮のランドマークはこれに決定。

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映画のセットではない。時の経過のなれの果てだ。こういう光景が至るところにあり、次第に視神経が麻痺してくる。

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ここで足が止った。赤坎鎮は生活臭の強い街だが、路上にゴミは散乱していなかった。ここから先は進んだらダメだと思った。

赤坎鎮は旧市街ならではのタイムスリップ感をたっぷり楽しめる。建物だけでなく、濃密な生活感に満ちているのがよい。写真を撮る身としては、映画のロケ地云々という蘊蓄はあまり気持ちがのらない。旧市街の生活臭がフォトジェニックだ。

●TurtlebackTurtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
開平フォトギャラリーはこちらでご覧ください。

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【開平ロケハン記01】 高速バスは飲食禁止です

今年の6月、中国広東省の開平を訪れた。Turtlebackオールドレンズ・ワークショップのロケハンだ。開平は世界遺産に指定されていて、望楼を中心に旧市街や村落が広がる。その望楼の建築様式が独特で、西洋とアジアが混在した言わば華洋折衷だ。田んぼの真ん中や密林の中に、そうした望楼がいくつも建っている。開平がフォトジェニックであることは、誰もがうなずくだろう。

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錦江里の望楼に登り、隣の望楼と村落を俯瞰する。撮影目線で言うと、当たり前のように望楼から俯瞰撮影できるのは、かなり美味しい。こんなことならティルトシフトアダプターを持ってくればよかった。

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自力村の眺望は、絵はがきやパンフレットでたびたび見かける光景だ。田んぼにニョキニョキと生える望楼が、違和感いっぱいでおもしろい。ここでしか撮れないシーンのひとつだ。

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錦江里は村落の端が土手になっていて、そこに上ると村落を見渡せる。ちなみに、この村落は人が住んでいて、農耕や養鶏で生計を立てている。このワークショップでは、生活臭たっぷりの村を撮って回る。

香港でTurtlebackの面々と落ち合い、高速バスで開平を目指す。開平は世界遺産に指定されたメジャーな場所だが、アクセスはかなり悪い。香港から高速バスで4~5時間。途中、深圳で出入国の手続きも必要だ。開平の村落は離れて点在しているため、シャトルバスかタクシーで見て回ることになる。撮影目的の場合、最低でも1~2泊は必要だ。中国というお国柄、個人旅行でこれだけの手配をこなすのは大変だろう。正直に言うと、このワークショップの話がなかったら、開平なんて一生訪れなかったと思う。地図を見てもらうとわかるのだが、いい感じに陸の孤島だ。一部の村落はその昔、華僑が世界へ旅立つ交通の要だったようだが、現代の交通網は高速道路が少し離れたところを通っているのみ。旅行者にはきわめて遠い場所だ。

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香港から開平直通の高速バスが出ている。今回はこれを利用した。大型バスだが、シート間隔はけっこう狭い。一応、座席指定なのだが、ぶっちゃけ早い者勝ちというローカルルールがたまらない。

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深圳で一旦バスを降り、イミグレを通過する。日本人観光客の場合、香港を出国し、中国に入国することなる。中国側で別のバスに乗り換え、開平を目指す。

開平直通便とは言え、4~5時間のバス移動はけっこうこたえる。まず、大きい荷物はトランクに預けられるが、座席に持ち込む荷物はできるだけ小さい方がいい。座席上の棚が狭いので、大型カメラバッグはまず入らない。ライカ2台が入るショルダーバッグがどうにか入る程度だ。ちなみにぼくは中型のバックパックを座席に持ち込み、膝の前に置いて道中をすごした。座席間隔が狭く、あまり快適とは言えない。これはもう、移動と割り切って我慢する。ひとつ断言できるが、我慢した甲斐のある風景がこの後待っている。

この高速バス、実は意外なルールがある。それは飲食禁止なのだ。どうせ建前だけだろうと思いきや、中国人は全員このルールを守っていた。我々日本人は途中で音を上げ、クッキーを皆で分けて食べたり、水分補給したいと、ちょっとはしたなかった。日本では中国人観光客のマナーを云々するニュースが多いが、おそらくマナーを守る勘所が我々と異なるのだろう。マナーは文化であり尺度なので、一方的な見方は禁物だと思った。

移動はノンストップというわけではない。香港を出発して1時間ほどで深圳のイミグレで停車、さらに1時間半ぐらいしてパーキングエリアでトイレ休憩がある。4時間ぶっ通しで座っているわけではない。ただし、トイレ休憩は本当にトイレだけで、10分少々ですぐに出発してしまう。このあたり、観光バスではなく、あくまでも高速バスというわけだ。

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高速のパーキングエリアはフードコートやお土産屋があるのだが、共産圏的な閑散とした空気が漂っている。中国に来たなあと実感する。

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開平のバスターミナルで高速バスを降りる。実は、うっかりしてひとつ前のバスターミナルで降りてしまった。まちがえた理由はいくつかあるのだが、中国に入るとGoogle Mapsの表示にズレが生じる。正しい地点を示してくれない。これが厄介だ。中国に行くならスマホに百度地图をインストールしておいた方がいい。

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ロケハンはぼくも含めて5名。ワゴンタイプのタクシーを手配し、まずはホテルへ移動する。ロケハン中、このクルマで開平の村落を見て回った。

これだけしんどい思いして来たんだ。それなりのものを見せてくれるんだろうな? ホテルにチェックインして荷物を下ろし、そう愚痴る。大丈夫、余裕でお釣りが出た。開平の凄まじさを、このときのぼくはまだ知らない。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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