ファッションで人は自由になる(原宿ストリートポートレート/レビュー)
なぜ彼は、原宿で外国人ばかりを撮るのだろう。それが初めて一色卓丸氏のポートフォリオを見たときの感想だった。
原宿を行き交う、個性的なファッションに身を包んだ外国人を、彼は一台のライカで切り取る。写真の中の彼女たちは、誇らしげなポーズをとるでもなく、無理に笑顔を作るでもなく、自宅の前で親戚に写真を撮られたような姿で立っている。この時この瞬間、彼女はまちがいなくここにいた。そんなリアリティーのあるポートレート。その撮影は2011年から始まり、そして今も週末になれば、一色卓丸氏はライカを提げて原宿を歩く。なぜ彼は、このようなストリートポートレートを撮り続けるのか。今回、「原宿ストリートポートレート」の編集を頼まれた時、真っ先にそのことを訊ねた。
●一色卓丸「原宿ストリートポートレート」[玄光社][Amazon]
出版社:玄光社
判型:B5変型判 224ページ
発売日:2017年3月7日
その答えのために丸ごと章を割くことにした。第2章「なぜ僕は、原宿でストリートポートレートを撮るのか」は、作家自身の言葉でストリートポートレートの理由がたっぷりと語られている。なぜ原宿なのか、なぜ外国人なのか、なぜライカなのか。ここで種明かしすることはできないが、一色卓丸氏のストリートポートレートに懸ける強い思いを感じてもらえるだろう。
本書の編集者としてひと言。ファッションは人を自由にする。自由を求める心がファッションを為す。どうか世界がいつまでも、ファッションの自由で充ち満ちていますように。
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