CP+2016 KIPONブースでまさかのライカMフォーカルレデューサー
土曜日の晩、KIPONのCEO、張曉明氏と雑談しているときのことだ。「明日、もう一度ブースに来なさい。そうしたらいいものを見せてあげるから」と。さてはて、と思う。すでにCP+の初日、KIPONの新製品と今後の動向についてはみっちりと話を聞かせてもらった。オフレコな話だってたっぷりと聞いた。もちろん開発中の製品はいろいろあるだろうが、マスコミに出せるネタはおおむね聞き出したつもりだ。
そしてCP+最終日、KIPONのブースに行くと、こんなものが待ち構えていた。富士フイルムのX-T1にライカMレンズが付いてる。要はライカMマウントアダプター。どうということのないセットアップだ。ただ、マウントアダプターの形状が明らかに試作品で、なおかつ既存のKIPON製品では見たことのないデザインだ。
マウントアダプターを単体で見せてもらう。そして絶句した。ライカMマウントアダプターに補正レンズが組み込まれている。これは、ライカMマウントレンズ用のフォーカルレデューサーだ。APS-C機でライカMマウントレンズをフルサイズ相当で使えるマウントアダプターである。倍率は0.65倍。X-T1の場合、1.5倍×0.65倍=0.975倍となる。周知の通り、フォーカルレデューサーは一眼レフレンズ向けの厚みのあるマウントアダプターがベースになる。ライカMマウントアダプターは薄く、到底レンズを組み込む余地などない。でも目の前のライカMフォーカルレデューサーは、現に5枚のレンズが組み込んであるという。
ライカMフォーカルレデューサーを裏面からみたところだ。後玉は四角くカットされ、しかも大きく後方に飛び出している。この補正レンズが、APS-C機のイメージセンサーぎりぎりまで降りてくるわけだ。マウントアダプター自体を回転させるとイメージセンサー外周と干渉するため、、2ピース構成でスピゴット式になっている(補正レンズ部分を回転させずに固定できる)。そして極めつけが、この製品は電子シャッター専用だという。要は補正レンズ後玉の位置がぎりぎり過ぎて、物理シャッターを切ると干渉してしまうのだ。改造Gホロゴンとかミラーアップ用広角レンズと似たような取り付けおよび操作となる。
ライカMマウントアダプターの厚みにフォーカルレデューサーを組み込むなんて、ネタとして思い描くことはあっても、それを実現化するメーカーがあるとは思いもしなかった。技術的に相当な苦労と課題があったはずだ。KIPONはBaveyes、HandeVisionとレンズ畑に裾野を広げるようになってから、何か一線を突き抜けたような気がする。
フォーカルレデューサーはレンズが一段明るくなる。このライカMフォーカルレデューサーにノクチを付けたら、どんな絵が撮れるだろう。試したいことがまたひとつ増えてしまった。
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