【2014年の総括】ライターと写真家の狭間で
2014年、今年もオールドレンズでたくさんの写真を撮りました。玄光社「オールドレンズ・ライフ Vol.4」、日本カメラ「ザ・レンズマニアックス」と二冊のオールドレンズ本を出し、写真講座に関しては、従来からの「オールドレンズ・パラダイス」に加え、「オールドレンズ・ワークショップ」という作品志向の新講座も開設しました。まさにオールドレンズ漬けの一年。ニッチなカテゴリーでありながら、仕事のニーズがあるのは何よりもありがたいです。
そうした中、今年もっとも印象深かった仕事は日本カメラ11月号の口絵掲載です。これまでもカメラ雑誌やムックでたくさんの写真を掲載してきましたが、やはり口絵は別格です。しかも11月号の表紙にもぼくの写真を使ってもらい、この号はぶっちゃけ家宝です(笑)。ライター歴はかれこれ20年になりますが、写真家を名乗るようになったのはせいぜいここ4~5年。しかも自分で名乗り出したというよりは、複数のクライアントから「写真家を名乗ってもらわないと仕事を出しづらい」とクレームがあり、やむなくといった事情がありました。商業誌でさんざん仕事をしておいて何ですが、「オレって写真家名乗っていいの?」と絶え間ない自問自答が(笑)。今回の口絵掲載は、写真家としてのお墨付きをもらったような気分です。見方を変えると、今後は「自分は写真家ではなくてライターですから」といった逃げは通用しませんね(笑)。他の写真家さんと同じフィールドに立ち、写真で真っ向勝負です。
●澤村徹写真展「クラフトマンシップ」
日時:2015年1月26日(月)~2月1日(日) 水曜休廊
場所:アクリュギャラリー
トークイベント:2月1日午後3~4時
その真っ向勝負第一弾が年明け早々の個展です。これまで個展はデジタル赤外線撮影による作品を展示してきましたが、今回は澤村初のオールドレンズによる作品です。自分の中で、ようやくオールドレンズによる作品制作のメドがたち、その成果をご覧いただく用意ができました。年末年始は休み返上でDM発送の準備です(泣)。赤外の個展では毎回プリントにひと工夫してきましたが、今回のオールドレンズの作品展もひと癖あるプリントです。アナログ感覚を重視したプリントなので、質感を楽しんでもらえると思います。会期中は全日在廊する予定です。ぜひ遊びに来てください。
ライターとして20年、そのうちカメラ・写真業界で原稿を書いたのは6年ほどにすぎません。むしろこれからですね。ライターという軸は生涯ブレることはありませんが、写真家という軸足も少しずつ太く強くしていきたい。そんな風に思っています。