オールドレンズ・ライフ Vol.2に、とあるカメラバッグを掲載しました。ユリシーズのCICLISSIMO(チクリッシモ)というメッセンジャーバッグ型カメラバッグです。そのカメラバッグが、きびだんごというクラウドファンディングで製作資金を募っています。クラウドファンディングによるカメラバッグ製作というだけでもめずらしい話ですが、実はこのバッグ、ぼくにはちょっとした因縁(笑)があるんです。
●ULYSSES CICLISSIMO [kibidango]
このバッグのサンプルを見たのは、去年の5月ぐらいでしょうか。「試作品だが、外観はおおむねできあがっている」という話なので、何度か試用した後、オールドレンズ・ライフ Vol.2に掲載しました。ところがムックが発売になっても、肝心のカメラバッグの販売がなかなかスタートしません。ユリシーズのオーナーとは雑談する程度に仲良くさせてもらっているので、電話やメールで探りを入れます。すると、「○○社のバックルを使いたいのだが、大人の事情で入手できない。これをナンとか手に入れるべく奮闘中」とか、「中国で作れば安くあがるけど、何としても国内工場で作りたい」という具合に、ディテールへのこだわりがハンパないんですね。
ユリシーズのカメラレザーケースを使っている人ならおわかりだと思いますが、このブランドのディテールのこだわりは異様なほどです。特にNEX-5とGXR MOUNT A12用のケースについては、フィット感といい、操作性を犠牲にしない設計といい、カメラ史に刻んであげたいほどにこだわりっぷりでした(個人的にNEX-5ケースの完成度はほぼ奇跡ではないかとw)。詳しくはきびだんご上の専用ページに譲りますが、チクリッシモはカメラファンの琴線に触れる仕掛けがそこかしこにちりばめられています。必然性の積み上げを、洗練された形で具現化する。デザインの王道をゆく製作スタンスは、ユリシーズの得意とするところです。ぼくが特に気に入っているのは、背負ったときに重量バランスの良さです。カメラ満載でも背中にぴったりとフィットし、アクティブに動いてもゴロゴロしないんですね。メッセンジャーバッグとしての機能性もちゃんと重要視している証だと思います。
オールドレンズ・ライフ Vol.2掲載から約一年、そのチクリッシモが公の場に姿をあらわしました。長かったなあ(笑)。紆余曲折ありましたが、ディテールのこだわりっぷりはさすがです。興味があれば、ぜひフォローしてあげてください。