オールドレンズ・ライフの見どころ読みどころ
本日、玄光社「オールドレンズ・ライフ」が発売になりました。早いところでは週末から店頭に並んでいたようですが、今日から全国の書店、カメラ量販店の書籍コーナーなどにてご購入いただけます。本記事ではオールドレンズ・ライフの見どころ読みどころ、制作の裏話などをご紹介します。
●オールドレンズ・ライフ[玄光社][Amazon]
監修/執筆:澤村 徹
出版:玄光社
価格:1,995円(税込)
発売日:2011年5月30日
ぼくが手がけたオールドレンズ本は、これで3冊目になります。翔泳社の「オールドレンズパラダイス」シリーズは、マウントアダプターの取説を書くという目的で企画しました。いわばメカ寄りの本になります。そして今回の玄光社「オールドレンズ・ライフ」は、オールドレンズの成果物である写真をメインに据えた一冊です。オールドレンズならではの写真表現を、じっくりと愉しんでいただける構成になっています。
一番の見どころは、巻頭の「オールドレンズ・ストーリー」というコーナーです。飯田鉄さん、河田一規さん、森谷修さん、飯塚達央さんといった先輩格の写真家さんにお願いし、オールドレンズで撮影した作品をたっぷりと掲載しています。これだけならよくある口絵ですが、本コーナーは写真家さんにオールドレンズにまつわるエッセイを書いていただきました。オールドレンズのレビューではなく、エッセイというところがミソです。主観重視でオールドレンズに対する思いを語っていただくことで、写真家の方々が普段からどのようにオールドレンズと付き合っているのか、その様子が伝わってきます。できればシリーズ化したいほど、おもしろいコーナーに仕上がりました。
本書はオールドレンズ本ですから、オールドレンズの紹介、マウントアダプターの解説はもちろんふんだんにページを割いています。その一方で、ドレスアップとカメラアクセサリーの紹介にも注力しました。昨今のオールドレンズにまつわるムーブメントを、まるごと本書に収めたい。そういう思いで構成しています。「オールドレンズって、何だかカッコイイよなあ」というカジュアルな雰囲気も、ぼくは大切にしたいと考えています。
本書の制作は、3月と4月がピークでした。そう、地震、津波、原発といった問題に、日本中が揺れた時期です。先の見えない状況下で、こうした本を作るのはけっしてラクな作業ではありませんでした。生死にかかわるシビアな問題を目の前に、カメラと写真の本を作る。こんな事をしていていいのかという不毛感、明日が見えない不安。正直なところ、幾度となくくじけそうになりました。そうしたなか、唯一支えになったのは、「生死の問題とくらべ、オールドレンズは些末なことに過ぎないだろう。しかし、その些末なことに没頭できる時間こそが、人生にとって貴重なのだ」という思いです。この考えはいまでも変わりません。本書が没頭できる時間をみなさんに提供できたならば、監修者としてこれ以上のよろこびはありません。オールドレンズ・ライフ、ぜひお楽しみください。