写真展前から裏話 【プリント編】
先日のエントリーで尻切れトンボに終わった写真展舞台裏のお話です。技術面というか、プリントの話です。去年の合同写真展ではピクトラン局紙を使いました。局紙にカラースワップした赤外写真をプリントすると、油絵チックで濃厚な雰囲気が出ます。このあたりのおもしろさも含め、昨年は赤外写真を楽しんでいただきました。
で、今年はどういう方向性かというと、モニターで見ているトーンをそのまま出したいな、と。ぜんぜんヒネリがなくてすみません(笑)。ただし、モニターは透過光、プリントは反射光。当然ながら同じようにはいきません。そこで今回はピクトランクリスタルという紙を選んでみました。
実はこの用紙、バックライト展示に対応しています。当初はバックライト展示を検討してみたのですが、「壁から垂れる電気ケーブル、かっこわるいよなあ」というきわめてリアルな問題にぶつかって挫折(笑)。あとは透過光で見たときにシャドウの浮きが気になり、バックライトは断念しました。それでもなおピクトランクリスタルを選んだ理由は、反射光展示でもトーンの出方がモニターに近かったからです。半透明の皮膜で覆ったような、ぬめり感のある光沢。ハイライトはやや抑え込まれる印象ですが、シャドウはギリギリまで拾ってくれます。けっして万人向けの用紙ではありませんが、少なくとも今回の作品との相性は抜群でした。
プリントの印象をひと言でいうと、ものすごくデジタル臭い(笑)。これが気に入りました。なにしろぼくの作品はゴリゴリのフルデジタルですから、出力形態もデジタルっぽくてOKだな、と。
そうはいっても、トラディッショナルは表現も気になります。実はマジックリーに出力してみたところ、これがかなりいい雰囲気。黒がキリッと締まるんですね。マジックリーかピクトランクリスタルか、これは最後の最後まで悩みました。悩んだ結果……マジックリーもご用意することに(笑)。さすがに大判プリントすると制作費が大変なことになるので、A4相当でプリントしてファイリング。ブックを会場に置いておきます。両者を見比べて、「紙質でこんなに写真が変わる」というあたりをお楽しみください。
写真展は純粋に写真を楽しんでいただく空間ですが、テクニカルな話もぼくがわかる範囲で積極的にお答えするつもりでいます。期間中は気軽にお声がけください。
そうそう、デジカメWatchさんで写真展の告知をしていただきました。なにかこう、後戻りできない感じがヒシヒシと……。大丈夫かなあホントに。いまから緊張してきました。
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