SILKYPIX でコクのある写真を作る
最近、RAW現像時にコクと粘りが気になって仕方ない。デジタル画像の階調の弱さはいまさら喧伝するまでもないが、その一方で逆光補正、ダイナミックレンジなど、様々な名称でHDR的な手法を取り入れたデジタルカメラが増えている。ハイライトからシャドウまでまんべんなく見える写真。これは一見したとき見栄えがよく、今後のデフォルトになりつつある。でも果たして、写真表現としてそれは美しいのだろうか。ぼくらが求めている写真はそういう方向性なのだろうか。
年明け以降、個人的に粘りのある表現が気に入っている。全体にアンダーなのに、ハイライトだけキリッと際立つような写真。Lightroomの部分補正を駆使してそういう画を作っていたが、ナンのことはない、SILKYPIX Developer Studioで簡単にできることがわかった。「調子」のなかにあるガンマという機能だ。
ガンマとはなんぞや、という話をしだすとドツボにはまりそう……。結論からいうと、このガンマを使うと写真にコクと粘りが出る。コクだの粘りだの、非レタッチ用語ではわかりづらいだろう。レタッチ的に解釈すると、ハイライトを白飛びさせず、シャドウを黒つぶれさせず、画全体に濃厚さを加える、といったところか。操作はいたってシンプル。ガンマのスライドバーを左に動かすと、黒つぶれしないギリギリのアンダートーンにハイエストライトだけがキリッと際立つ。右に動かすと全体に明るくなり、それでいてハイエストライトは白飛びしない。以下がそのサンプルだ。
上段がガンマ補正によるサンプル。下段は露出補正を行ったサンプルだ。ともに中央が無補正の状態で、左側がローキー、右側がハイキーとなる。露出補正は画面全体の明るさが均一に変化する。それに対し、ガンマはハイライトとシャドウが粘っているのがわかるだろう。スライドバーひとつでこの表現力。SILKYPIXのガンマ、恐るべし、である。
ちなみに、コントラストやトーンカーブでも似たようなことは可能だ。ただ、コントラスト調整ではここまで極端に補正すると、白飛び黒つぶれが発生してしまう。ガンマはハイライトとシャドウを固定した状態で明るさを調整。そのため大胆な補正でも画像破綻は最小限で済む。
上の写真はガンマ補正後にアレコレ整えたものだ。全体にアンダーでありながら、雲のハイエストライトが伸びやかに輝く。シャドウはかなり暗いが、黒つぶれは最小限だ。また、コントラストのように過剰補正にならないから、オールドレンズで撮った写真も元画像の風合いを活かせる。SILKYPIXのガンマ、かなりおいしい機能だ。
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