E-P1をカスタマイズするとき、避けて通れない壁がある。それはマウントアダプター。言わずもがな、レンズの自由を手に入れる片道切符(おそらく地獄行き)であり、マウント形状とフランジバック差を吸収する中間リングだ。E-P1カスタマイズではこのマウントアダプターが大活躍してくれるわけだが、どうもデザインが……。そんななか、すばらしいアウトフィットをまとったマウントアダプターがあらわれた。三晃精機のライカMアダプターである。
EOS DIGITALでオールドレンズ遊びをしていると、マウントアダプターのデザインはあまり気にならない。なにしろ大半のマウントは薄いドーナッツ板。デザイン以前に付いていることすら意識しないで済む。厚みのあるライカRや中判マウントとて、レンズ自体が目立ってアダプターは黙殺状態。しかし、E-P1の場合は事情が異なる。マイクロフォーサーズのフランジバックは約20mm。レンジファインダー用レンズのマウントアダプターですらけっこうな厚みがあり、一眼レフ用マウントに至ってはレンズ並みの尺になる。目立つ、とにかくアダプターが目立つ。E-P1はデザインリッチなカメラなので、マウントアダプターが野暮ったいとスタイル作りが難しいのだ。
そこで三晃精機ライカMアダプターの登場だ。三晃精機というのは、アルミや真鍮の精密加工を得意とする工房。ぼくははじめて知ったのだが、フードやソフトレリーズなど、クラカメのアクセサリー製造で実績の多い工房のようだ。で、上の写真をよく見てほしい。アダプターの底面はE-P1のマウント外径とジャストフィット。上面はLMリング(ライカMマウント)外周とジャストフィットしている。ナンでも世界最小・最軽量のライカMアダプターを目指したとかで、非常にスリムな仕上がりだ。
個人的に注目しているのは、シルバーという点。白ボディに白レンズを付けても、アダプターが黒では統一感が出ない。三晃精機のシルバーアダプターなら、白系でフルコーディネートできるわけだ。しかもレンズ指標に赤いラインストーンを埋め込むあたり、これまでにないセンスを感じさせる。このアダプターでドレスアップした例が、以下の写真だ。
まちがい探しゲーム……ではないですよ。左がヘリアー50mmF3.5、右はヘキサノン50mmF2.4だ。レトロな沈胴式レンズがよく似合う。もちろんLマウントのエルマーを付けてもベッピンさんだ。うまい言葉が見つからないのだが、エレガントなスチームパンクといったところだろうか。
これは黒アダプターの装着例。レンズはGR Lens 21mmF3.5だ。ボディー、マウントアダプター、そしてレンズ。これらの連なりが自然で美しい。ガジェット色の強いE-P1だからこそ、こういうスマートなマウントアダプターが映える。
なお、アダプターの入手方法だが、現在は製造元直販のみ。三晃精機のホームページに電話番号とメールアドレスがあるので、直接注文することになる。実際に注文してみたところ、電話注文の方がレスポンスがよかった。価格はシルバーが15000円、黒が16000円。ともに送料+代引き手数料込みの値段だ。諸経費を差し引くと、他社のアダプターと同価格帯といえるだろう。
これまでマウントアダプターは、大手メーカー製の安心感を選ぶか、安い海外製を選ぶかという二極化した選択肢だった。三晃精機のライカMアダプターは、そこにデザイン性という第3の選択肢を提案している。スタイルに惚れてE-P1を購入した人なら、このマウントアダプターの価値がより実感できるだろう。