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June 2009

June 21, 2009

Visoflex Elmar 65mmF3.5 が手放せない!

最近、個人的に高稼働中のオールドレンズがある。それがElmar 65mmF3.5だ。ライカ、ビゾフレックスマウントのマクロレンズ。こいつがややもすると、EOSに1週間付けっぱなしというくらい大活躍なのだ。正直、ここまで使用頻度が上がるとは思ってもみなかった。ビゾフレックスのなかでは評判のよいレンズだけど、かといって大絶賛というレンズでもない。それでも妙に惚れ込んでしまう愛おしいレンズなのだ。

Lmimg_0019 Elmar 65mmF3.5はVisoflex用のレンズだ。本来であれば、ライカM型にビゾフレックスを付け、そこにこいつを装着する。ライカM8の場合はビゾIII型が使えるらしいが、実は試したことがない。ぼくがこのレンズを使うときは、もっぱらマウントアダプタ経由のEOS DIGITALだ。

というのも、M8だと焦点距離1.33倍になってしまうが、EOS 5D Mark IIならフルサイズで撮れる。アダプタ経由がオリジナルスタイルという、ちょっとした逆転現象だ。ただそうはいっても、このレンズ、アダプタ経由だと使い勝手がいまひとつ。まずピントリングに目盛りがない。しかもレンズ指標が底を向いてしまう。絞りリングは無段階調整だから、いちいち底面をのぞいて絞り値をセットしないといけない。絞りストッパー搭載がせめてもの救いだ。

そんな使いづらいレンズをなにゆえ重宝がっているのかというと、こいつでブツ撮りするといい感じに仕上がるのだ。ここ最近、ブログや仕事でカメラのブツ撮りが多い。メカものの撮影といえばパキッとハイコントラストがお約束だが、ぼくの被写体は必ずしもそうではない。オールドレンズを付けたデジタル一眼レフ、ゴテゴテにカスタムした高級コンパクトなど、レトロ感あふれる被写体が圧倒的に多いのだ。そこで「オールドアイテムをオールドレンズで撮ったらどうなる?」と思い立ち、このエルマー65mmF3.5で撮りはじめた。すると予想以上におもしろい仕上がりで、ことブログのブツ撮りはエルマー65mm一本槍。仕事でも冒険が許される案件に関してはこいつで納品している。ブツ撮り時の描写傾向に触れる前に、通常撮影のサンプルをご覧いただこう。カメラはEOS 5D Mark II、RAWモードで撮影し、Lightroomでストレート現像したものを掲載している。

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EOS 5D Mark II + Elmar 65mmF3.5

うむぅ、どんなもんでしょう。発色は黄味がかかるものの濃厚。ボケ味はマクロレンズだけあってなだらか。シャープネスはカッチリ系というよりは繊細派。ライカらしい中間調重視の描写で、なかなか味わい深い。ただ、マクロで中間調重視だとインパクトに乏しい。よく写るけど、パンチのある描写とは言い難い……てなところだろうか。

ところが、このパンチ不足がぼくのブツ撮りスタイルにマッチする。手持ちのレンズはやや曇りがあるせいか、シャドウの締まりが弱い。言い方を変えると、シャドウをよく拾ってくれる。それが幸いして、カメラのブツ撮りではシャドウまでしっかり写るのだ。カメラは大半が黒だから、現行レンズだとコントラストがつきすぎて潰れてしまうこともしばしば。でもこいつなら、1灯レフ板なし、なんて条件でもシャドウを拾ってくれる。しかも中間調重視のテイストだから、やわらかい描写がレトロな被写体とよく似合う。そんなこんなで最近は、すっかりこいつがブツ撮り専用レンズと化しているのだ。

ただし、やはりオールドレンズなので本気撮りでは神経をつかう。色がかぶりやすく、ホワイトバランスはマニュアル設定が必須。色収差が顕著なので収差補正も欠かせない。さらにブツ撮り用には線が細すぎるため、シャープネスも要調整だ。

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気に入っているとはいえ、けっこう手間のかかるレンズという点は否めない。枚数をこなすときは正直音を上げたくなる。ただ、こうやってオールドレンズを実戦投入して思うのは、つくずくレンズって絵筆なんだなあ、と。ほしい画が撮れるレンズは、周囲の評価がどうあれ、かけがえのない一本になる。劣化や個体差も含め、自分にとってのオンリーワンは本当に得難いものだ。レンズテイスティングは楽しい。でも、自分が求めている描写を見極め、それとマッチするレンズを探す旅はもっとスリリングだ。いや、もしかするとイバラの道か!?

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June 19, 2009

IT PLUS 「時代が追いついた高級コンパクト シグマ「DP2」の神髄」を掲載

日経ネット IT PLUSにて、SIGMA DP2のレビューを掲載しました。発売から少々時間がたっているため、オーソドックスなレビューというよりも、コラムっぽい読み物に仕上げてあります。なぜいまSIGMA DP2が人気なのか、その背景にあるものは何か。そんなことをぼくなりに考察してみました。

●日経ネット IT PLUS
時代が追いついた高級コンパクト シグマ「DP2」の神髄

DP2で撮影していると、コンパクト機なのにデジタル一眼レフをかまえているような気分になります。スナップのつもりが、いつの間にか本気撮りになっているような感じ。RAWデータのクオリティが高いので、仕上がりを見越してつい本気になってしまうのでしょう。DP2、PEN E-P1と立て続けにおもしろいカメラが登場し、デジタル一眼レフブームから新たなフェイズへシフトした予感がします。ぜひご覧ください。

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June 16, 2009

LEICA M8/M8.2 WORLD で新作赤外写真を掲載

「このカメラだけは絶対に仕事に結びつかん!」 そんな確信とともに購入したLeica M8が、予想に反して仕事につながりました。世の中なにがどう転ぶかわからんもんです。日本カメラ社のM8ムックで、ちょろっとお手伝いさせてもらいました。

M8_m82_world_cover_s ■ LEICA M8/M8.2 WORLD
出版:日本カメラ社
価格:2310円
発売:2009年6月17日

ぼくが担当したコーナーは以下の通りです。

●赤外の世界(M8 GALLERY)
M8で撮影したデジタル赤外線写真を掲載しています。商業誌で本格的に作品発表するのはお初。写真展「Echo of Light」の作品とは作風を変え、ダークトーンで不穏な時代性を表現してみました。

●Capture One ガイド
M8/M8.2に付属するRAW現像ソフト「Capture One」の操作ガイドです。いまや機種別ムックでは定番コンテンツですが、王道的な基本操作にとどまらず、「M8画像の補正」を意識した内容にしました。M8ユーザーにとって即効性の高い操作ガイドになっています。

●コンパクト系デジタルライカヒストリー
ライカは富士フイルムやパナソニックと協業し、旬のコンパクトデジタルカメラを発売してきました。そんなコンパクト系デジタルライカのフルラインナップを紹介しています。資料性の高いコーナーだと思います。

この他にもアレやコレやと書いています。高嶺の花といわれたライカM8も、いまや中古で30万前半。がんばれば手の届くカメラになりました。このムックが良くも悪くも背中を押してくれることでしょう。ぜひご覧ください。

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June 14, 2009

D-LUX 4 Richard Franiec カスタムグリップを試す

最近、リチャードフラニエックのカメラアクセサリーが熱い。もともとキヤノンG7向けのカスタムグリップやホットシューカバーを作っていたブランドだが、シグマDP1、パナソニックLX3、ライカD-LUX 4など、あれやこれらと対応機種を増やしている。特にDP1用カスタムグリップは、同ブランドの真骨頂といえるだろう。そんなリチャードフラニエックから、いつの間にかD-LUX 4用カスタムグリップが発売になっていた。さて、早速試してみましょうか。

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今回購入したのは、D-LUX 4用のアルミ製カスタムグリップだ。Kleptography内のショッピングページで購入した。このKleptographyというのがよくわからんのだが、リチャードフラニエック製アイテムを代理で直販しているようだ。支払いはPaypalが利用でき、本体29.95ドル、送料込みで34.45ドルだった。日本国内だとオリエンタルホビーで取り扱っている。ただ、直販の2倍近い値段なので、国内通販の安心感をとるか、直販の安さをとるか、各人で判断した方がよいだろう。

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ボディへの取り付けはDP1用グリップ同様、両面テープだ。数回程度なら着脱OKとのことだが、プレートを付けて三脚穴に取り付けるスタイルにできないものだろうか。ライカ純正ハンドグリップほど厚みがなくてもいい。薄いプレートでかまわない。けっこう粘着力の強いテープなので、剥がす際にボディの塗装を痛めないかちと不安になる。

見た目はアルミ製だけあって重厚感満点だ。黒の質感は、ボディよりもやや光沢感が強い。コシナのブラックペイントしたファインダーと同程度の光沢感だ。取り付けた姿は流れるようなラインが美しく、35ドル弱でこのルックスが得られるのはお得な気分。ただし、実際のホールド感はやや微妙な印象だ。グリップ幅が狭いため、つまんでいるような握り方になってしまう。個人的には、せり出し部分がもう少しレンズ寄りだとしっかり握れると感じた。

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さて、早速カスタムしていきましょうか。さすがにライツ12501と組み合わせると見た目がヘビー。M-HEXANON 28mm F2.8用のフードでスッキリとまとめてみた。フードアダプタはシンプルなパナソニック製を選んでいる。グリップが個性的なので、寸止めカスタムがちょうどよいと思う。

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ワルツの46mm径フードを付けてみた。こっちの方がそつなく収まる感じか。実のところ、円筒形スリットフードはあまり好みではない。これまでは「ちょっと凡庸かなあ」と思っていたのだが、寸止めカスタムに用いるとヘンに強調しすぎないからバランスが良さそうだ。ちなみにこのフード、外装は光沢感のあるブラックペイント。そのため、フード、グリップ、ファインダーの光沢感がそろう。ここにマットブラックのアイテムが加わると、またちがった見え方になるだろう。

とまあ、Richard Franiecのカスタムグリップでドレスアップしてみたが、やはりこのアイテム、単独で付けるのが一番かっこいいかも(汗)。グリップ&ハンドストラップくらいが上品でよい!? 

 

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June 08, 2009

GR DIGITAL カスタムブック 本日発売です!

本日より、「GR DIGITAL カスタムブック」が全国の書店で発売になります。先週から一部の書店では販売されいたようですので、すでにお手にとってくださった方もいらっしゃるかもしれません。以下に目次とカスタム例を掲載しました。ご購入の参考にしていただければ幸いです。

Coverfixs 「GR DIGITAL カスタムブック」
クラシックカメラへと続くドレスアップの誘い

●翔泳社の紹介ページです
●metalmickey's webの紹介ページです

著者:澤村 徹
監修:和田高広
発行:翔泳社

価格:1980円+税
発売日:2009年6月8日


●Chapter 01 Dress Up
GR DIGITALの定番カスタマイズを筆頭に、個性的なカスタムスタイルを取りそろえました。鉄板のM46システムスリットフードをはじめ、フォクトレンダー製のパーツだけでつくったカスタムも紹介しています。

●Chapter 02 Custom Technic
フードアダプタの革巻き、ファインダーやフードの選び方など、カスタムの具体的なテクニックを解説しています。汎用性のあるテクニックなので、GR DIGITALだけでなく、DP1/DP2、DMC-LX3、D-LUX 4にも応用できると思います。

●Chapter 03 Classic Modify
古今東西のクラシックカメラをモチーフに、GRDカスタマイズを試みています。単に似せるのではなく、デザインエッセンスからカスタムの切り口を学んでいこうというコーナーです。ワイコン装着時のカスタム例が目玉カスタムです。

●Chapter 04 Photo Customize
スクエアフォーマット、TEモードなど、GR DIGITALにはフィルムテイストな撮影機能があります。それらを活用し、写真のバリエーションを楽しんでみようというコーナーです。

●Chapter 05 Function Customize
GR DIGITALの柔軟かつ多様な撮影機能を、隅々までカスタマイズしています。外観のカスタムだけでなく、外と内の両面からGR DIGITALをカスタマイズしていきます。

●Chapter 06 Case and Bag
フルカスタムしたGR DIGITALを前提に、携行時のバックやケースを考察してみました。といっても単なるバッグ紹介ではなく、飛びっきりの大ネタを用意しています。ある種の“お楽しみページ”といえるかもしれません。

●Chapter 07 Other Camera, Another Style
GR DIGITAL以外のデジタルカメラをドレスアップしています。DP1、D-LUX 4、デジタル一眼レフなどを取り上げました。それぞれのカメラにフィットするパーツを選び、所有欲を刺激するスタイルにこだわりました。

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※これらのカスタムはすべて「GR DIGITAL カスタムブック」で解説しています。

本書では、新品購入できるカメラアクセサリーに加え、クラシックカメラ用のアイテムを多数取り上げています。こうしたアイテムはいざ手に入れようと思うとなかなか巡り会えなかったりするのですが、今回、監修の和田高広氏が、中古アクセサリー購入に便利な厳選カメラショップリストを作ってくれました。ぼくもよく買いに行く我楽多屋さんをはじめ、通なカメラショップがズラリと並んでいます。こちらも合わせてご覧ください。

カメラには、撮る楽しみと持つよろこびがあります。本書はその両面を、カスタムというキーワードで一歩推し進めてみました。90年代のデジタルカメラは、キャプチャーマシンの域を脱しませんでした。しかし、十余年の時を経て、いまやデジタルカメラはフィルムカメラと肩を並べる存在です。1~2年で買い替えるのではなく、長きにわたって使い込める高機能性、細部にわたりこだわり抜いたプロダクトデザインをまとい、ようやくわたしたちの前に、愛着のわくデジタルカメラがあらわれました。カスタムというホビーが成立するのは、デジタルカメラが写真機の風格を持ち得たからではないでしょうか。デジタルカメラが「カメラ」になった証を刻みたい――そんな思いを込めて本書を執筆しました。GRDカスタマイズの世界、ぜひお楽しみいただければ幸甚です。

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June 03, 2009

Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. の本気っぷりと盲点

昨年のフォトキナにて、ライカは広角レンズのラインナップを拡充した。そのなかで気になっていたのがSuper-Elmar 18mm F3.8 ASPH.だ。「え、それってマイクロフォーサーズ用?」なんてネガティブな意見もありそうですが(笑)、M8で広角24mmは大きな魅力。幸い新製品としてはコストパフォーマンス重視の価格設定なので、思い切ってみた。

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【この造形美、ホンモノの匂いがする】
ぼくの師匠の言葉に「かっこいいカメラは写りもよい」という格言がある。性能にこだわったプロダクツだからこそ、メーカーは外観にもこだわる。昨今のカメラだと、GR DIGITALが好例だろう。一方、知り合いのクリエイターの格言には「製品の魂は初期型に宿る」というものがあった。初期型製品は、設計者の思想がストレートに反映される。しかし、世代を重ねるごとコスト意識があらわれ、性能も外観も平均化されていく。極端な例だが、ガンダムとジムの関係だ。スーパーエルマー18mmを手にしたとき、こうした先輩諸氏の言葉を思い出した。

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まずツラがまえがいい。上の写真は専用フードと専用UV/IRカットフィルターを付けた姿。鏡胴との一体感が美しい。フードは金属製で、エッジのきいたデザインだ。ここ最近の現行レンズは樹脂製フードが多かっただけに、この造形美に満ちたフードはそそる。テーパー状のルックスはエルマリート28mm第1世代を彷彿させ、色気を感じさせるデザインだ。もし仮にマイクロフォーサーズ向けの18mmだとしたら、ここまで造型にこだわる必要はないだろう。「初モノに魂宿る」が伝わってくる造型だ。

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このスタイルの要となるが、特殊なスクリュー方式だ。フードとUV/IRカットフィルターはともにねじ込み式なのだが、エンド部分に切り欠きがあり、フードが水平位置で止まるようになっている。ライカレンズに多いフック式フードよりも着脱に手間がかかるものの、フードから鏡胴にかけてのシームレスなつらなりは、この特殊スクリュー方式ならではのアドバンテージだ。

【過剰補正でマゼンタドリフトが……】
さて、お待ちかねのサンプルショットに参りましょう。今回は現行レンズなので、6ビットコード検知を「UV/IR」(最下段のみ「入」)にして撮影。RAW撮影したものをLightroomでストレート現像している。絞りはおおむね開放F3.8からF5.6あたり。開け気味でも見事にパンフォーカスのオンパレードだ。

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Leica M8 + Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH.

超広角だと横位置が多くなりますね(笑)。それはさておき、広角らしい力強いコントラストにハッとする。シャドウがストンと落ちて、ライカRのElmarit-R 35mm F2.8 Type Iに似た印象深い画作りだ。Capture Oneで現像するともう少し大人しいが、それでもメリハリ感はしっかりしている。現行レンズだからということもあるが、広角レンズならではの味付けといえるだろう。反面、シャープネスはやや甘い。ズミルックスのような繊細さはなく、やはり価格相応の線の太さだ。F8まで絞ってもさほど鮮鋭感は変わらず、名称どおりエルマー級のレンズである。ただ線が太いといっても、あくまでも「ライカレンズとしては」という前置きがつく。けっして不満を感じるような太さではない。周辺部の描写はよく整っている。開放でも周辺光量落ちはあまり気にならないし、隅々までていねいな描写だ。18mmという思い切った画角だが、けっして数値だけを誇るレンズではない。洗練された外観に相応しく、まさに“かっこいいレンズはよく写る”である。

このレンズは超広角ということもあり、ひとつ避けて通れない問題がある。M8ユーザーならおなじみのシアンドリフトの問題だ。スーパーエルマー18mmは、トリエルマーをのぞけば最大画角のライカ製単焦点レンズだ。UV/IRカットフィルターを付けると、当然ながらシアンドリフトが発生する。これを解消するために6ビットコードをONにするわけだが、それはそれで別の問題が発生するのだ。

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まず左の画像から。これはUV/IRカットフィルターを付け、レンズ検知で「UV/IR」を選んだ状態だ。シアンドリフトは補正されているが、過剰補正によってマゼンタドリフトしている。決して夕刻の写真ではない。日中、午後2時ごろの写真である。ためしにCapture Oneで「UV/IRジェネリック」を適用してみたが、マゼンタドリフトは緩和されなかった。そこでレンズ検知を「入」で撮影したのが右の画像だ。色温度の問題もあるが、見事にシアンドリフトが残っている。つまり、6ビットコード検知で補正を有効しても、何らかの色かぶりが発生してしまうのだ。

むろん、すべての写真でこのような状態になるわけではない。被写体やシーンによっては、色かぶりが目立たないこともある。実は以前、GR Lens 21mm F3.5にフェイク6ビットコードを描き、レンズ検知「UV/IR」で使っていた。このときも過剰補正でマゼンタドリフトしてしまい、結局はレンズ検知をOFFに……。こうした問題が現行最新レンズで発生してしまうのは惜しまれる。個人的にはレタッチ可能なレベルと判断しているが、高齢のライカユーザーにレタッチを強要するのは酷だろう。

なお、ライカは外付け18mmファインダーを同時発売したが、これは是非ともそろえたいアイテムだ。M8内蔵ファインダーだと撮影画像と画角に開きがあり、撮るたびにプレビューを確認する必要に迫られる。さらにぼくは眼鏡使用なので、四隅をいちいちのぞき込むのが面倒だった。現在は21mmファインダーで代用しているが、これも微妙に異なるわけで……。18mmファインダーはM8用24mm相当のフレームがあるとか。入荷が待ち遠しいです。

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