Leitz 12501 に誘われて Elmarit 28mm F2.8
このところ、D-LUX4にLeitz 12501を付けて持ち歩くのが気に入っている。このカスタムは日本カメラやデジタルカメラマガジンといった紙媒体、そしてブログ記事でも紹介したが、たくさんの方から「どうやって付けるのさ?」と問い合わせをいただいた。やっぱみんなも12501、好きなのね(笑)。で、このレンズフード、オリジナルの姿が気になりませんか? そもそもどんなレンズに装着するのか。オリジナルボディとの組み合わせはどんな姿なのか。ハイ、こんな姿になります。
【どうしてもクビレちゃんがいい!】
Leitz 12501は、ライカM型の広角レンズ用フードだ。Super-Angulon 21mm F3.4とElmarit 28mm F2.8に対応している。スーパーアンギュロンは後玉が飛び出しているため、Leica M8に装着すると露出計が正常動作しないとか。そんなわけで、エルマリート28mm F2.8に的を絞って安い出物を物色。半年ほどかけて手に入れたのがこいつだ。
Elmarit 28mm F2.8は1965年に初代(第1世代)が登場し、以後、現行モデルの第4世代までつづくロングセラーレンズだ。各世代ごとに熱心なファンがいて、なかでも人気高なのが第1世代。ぼくは使ったことがないので描写についてはコメントを控えるが、そのフォルムが強烈にかっこいい。鏡胴の根元が斜めにカットオフしてあり、フードを付けるとレンズがくびれているように見える。ウエストシェイプしたレンズ。こりゃたまらん、官能的です(笑)。この腰のくびれは第1世代だけのアドバンテージ。第2世代以降は寸胴デザインにシフトしていく。ただし、第1世代はスーパーアンギュロンと同様、後玉が飛び出している。ライカM8に装着すると露出計が正常動作しない。ツワモノはレンズを加工して使っているようだけど、ぼくにはそんな知識も技術もなく、泣く泣く第1世代は購入候補から外すことにした。
でもさ、あんたのエルマリート、腰くびれてるじゃん!? そう、手持ちのエルマリートは第1世代ではないが、ウエストシェイプしている。これがポイント。いろいろと調べてみたところ、第2世代前期型の極初期は第1世代の鏡胴を流用していたらしい。つまり、見た目は第1世代、中身は第2世代というわけだ。もし、ライカ検定3級なんてテストがあったら、ひんぱんに出題されそう(笑)。ちなみに、第1世代は6群9枚、第2世代はコストダウンのためか6群8枚になっている。
エルマリート28mm第2世代前期型は、レンズ先端にねじ切りがない。フィルターはシリーズ7を用いる。でも、UV/IRカットフィルターは1万円前後と高価。極力出費を抑えたいので、46mm径のUV/IRカットフィルターを流用することにした。フィルターを逆さまにしてフードに装着。そのままレンズにかぶせればOKだ。若干遊びがあるため、携行中はカチャカチャと音がする。でもまあ、実用には問題なしだ。
【浅い被写界深度の謎】
さてこのクビレちゃん、どんな写りをするのだろう。エルマリート28mm第2世代の定評というのは、中近距離は階調がスムーズだけど、無限遠はいただけないというもの。うむ、それほど評価は高くない……。さらに手持ちのレンズ、前玉が傷だらけなのだ。どうやら第2世代のエルマリート28mmは、ガラスがやわらかく傷つきやすいらしい。この前玉傷だらけが写りに影響するかのか否か、この点も気になる。まいどながら、作例はRAW撮りしてLightroomで現像したものを掲載している。UV/IRカットフィルターを装着し、6bitコードはオフ。周縁はバリッとシアンドリフトしております。
Leica M8 + Elmarit 28mm F2.8 2nd
発色とコントラストは典型的なオールドライカレンズという雰囲気。あっさりとした色合いで、コントラストも穏やかだ。合焦部は繊細なシャープさがあり、シャドウを上手に拾ってくれる。このあたりもオールドライカレンズらしい描写だと思う。無限遠撮影は凡庸な印象。決して甘いわけではなく、十分にシャープ。ただ、ライカレンズとして突出した印象は薄い。もちろん相対的にみると、とてもよく写るレンズなんだけど。
とはいえ、ひとつ目を惹く表現があった。それは開放での無限遠撮影だ。中段右の写真(歩道橋から撮った遠景)に注目してほしい。気持ちミニチュア写真のような雰囲気。手前のバスはフワッとぼけ、その後ろのクルマにはピンがきている。開放撮影とはいえ、広角なのに被写界深度浅くね!? そのわりにF5.6まで絞れば隅々までカチッとよく写る。単に奥行きのある構図だったからという気もするが、このレンズ、開放だといい感じににじみをともなう。そのせいで本来よりも被写界深度が浅く感じられ、ミニチュア写真っぽく見えるのかもしれない。もちろん、前玉の傷が影響しているという可能性も捨てきれないけど……。
これまで広角28mmは、Lマウント改造したG Biogon T* 28mm F2.8を使っていた。このレンズは開放無限遠でもカリカリシャープ。ただ、あまりに切れ味が良すぎて、人物撮影で使いづらかった。ていうか、カミさん撮ったらシワが目立つと怒られた……。今回手に入れたエルマリート28mm第2世代は、ちょうど対照的なレンズといえそうだ。たとえ開放のにじみが前玉の傷のせいであったにせよ、緩急メリハリのきいた絵筆がそろったことになる。ライカレンズといえども40年以上前のもの。オリジナルの描写を云々するよりも、現物主義で自分の撮影スタイルにどう組み込むかを考えるべきか。少なくとも、精神衛生上はその方が楽しそう。
これはサービスショット。なんかもう、まるでミニチュアですね。ていうか、フードがレンズ購入のトリガーになるなんて、だいぶ末期症状かも……。
Comments
澤村さま
はじめまして、magと申します。
このブログに触発されて、D-LUX4のカスタマイズに日々励んでおります。
私の場合は、見てくれ重視のカスタムなので、?な部分が多いと思いますが、洒落と思って笑って下さい。
これからも、MYカスタムの参考にさせていただきたいと思っておりますので、新たなカスタマイズの発表期待しております。
Posted by: mag | April 26, 2009 09:14 PM
magさん、こんばんは。
D-LUX4のカスタム、拝見しました。あのダミーリング、凄まじくかっこいいですね! ビゾフレックスのElmar 65mmみたいでステキです。実はパナソニックのフードアダプタを見たとき、あまりに素っ気ないのでヘリコイド風にカスタムできないものかと目論んでいました。お見事です!
もし支障なければ、どんなリングを使われているのか教えていただけないでしょうか。ジャンクレンズの流用? それとも何か他のパーツでしょうか。ぼくもぜひリングで遊んでみたいです。
Posted by: metalmickey | April 26, 2009 09:29 PM
澤村さま
お褒めいただき恐縮です。
あの部品ですが、SONYのデジタルビデオカメラTRV900のジャンクからはぎ取ったフォーカスリングを流用しております。
レンズフードとフードに付いているリングもTRV900のレンズフードを加工したものです。(TRV900で画像検索していただければ、見られます)
TRV900は、数年前にマップカメラでジャンク品を500円位で手に入れたものです。
このカメラのレンズフードが、なかなか痺れるデザインだったのを思い出して、D-LUX4のカスタム用に加工してみたところ、思った以上に良いできとなりました。
レンズフードはSONYパーツとして2000円程度で購入できるので、加工用にもう一つ入手しました。実はこのリングだけ、複数購入しようと思ったのですが、どうも部品としては個別に購入できないようです。現在フォーカスリングの部品取り用に、ジャンク品のTRV900も探しています。それにしても、このカメラのフードリングの造形には痺れるものがあります。可能なら、このリングだけでも10個ほどストックしておきたいくらいです。
Posted by: mag | April 26, 2009 10:05 PM
早速のコメント、ありがとうございます。
ビデオカメラのリングですか。それはノーマークでした(笑)。レンズの鏡胴はさすがに流用が難しそうですが、ビデオカメラならこういうカスタムができるんですね。とても参考になりました。今度ぼくもジャンクを漁ってきます。
Posted by: metalmickey | April 26, 2009 10:39 PM
カメラ関係の部品は、何故か誂えたようにピッタリと合ってしまったり、ほんのコンマ数ミクロンの差で付かなかったりするのが、楽しいですね。
だからこそ、ジャンク部品のストックが必要で、何時か使える時が来ると思っていますが、うちの奥さんは、まったく理解してくれません(笑)
壊れているもの、イコール“ゴミ”、不用品と思っていますから。
将来のカスタムのためにも、これからもガラクタの保護に尽力します。
Posted by: mag | April 26, 2009 11:57 PM
パーツがピタリをはまったときは快感ですよね。
特にひと工夫して付いたときは、「神降臨」という気分になります(笑)。
ああ、カメラ屋巡り、したくなりました。
Posted by: metalmickey | April 27, 2009 12:10 AM