パナソニック DMC-G1とオールドレンズの相性
昨年暮れからのLUMIX G1ブーム、すごかったですね。オールドレンズファンが一斉に飛びついて、あんなレンズやこんなレンズや……。「アダプタ入門書を書くくらいだから、当然澤村も買ったんだろ?」という予想に反して、思うところあって静観しておりました。が、最近になってようやく自分なりの遊び方がイメージできるようになり、遅ればせながらG1デビューです。ええ、もうすぐGH1が発売なのに、G1。レンズキットで5万前後。ひと世帯分の定額給付金で買えますよぉ。
【後ピン、前ピン、カンケーないね】
マイクロフォーサーズのフランジバックは、フォーサーズ規格の約1/2、一般に約20mmと言われている。レンズ交換式カメラのなかできわめて短く、死蔵レンズのレッテルを貼られていたキヤノンFDマウント、一眼レフには装着できなかったライカL/Mマウントのレンズが付く。焦点距離が2倍になってしまうものの、これまで付かなかったレンズが付く……。こりゃたまらんですよ。世のオールドレンズファンが飛びつくのも道理です。でも個人的には、ライカレンズは手持ちのM8で遊べばいいし、キヤノンFDはイチからそろえないといけないし、その他のマウントはEOSに付ければいいし……、とまあG1を買う口実がみつからない。そんなこんなで春になってしまいました。
で、やっとたどりついた遊び方が上の写真。以前「Opton Sonnar 50mm/f1.5はストーンウォッシュデニムみたいだ」で取り上げた旧Contaxマウントのレンズたちだ。3万円も出して買ったContax-Leica Mマウントアダプタが、目も当てられない後ピンぶり。Jupiter-8M 50mm F2でも試したが、やはり後ピン。広角レンズならアバウトな手動補正でもどうにかなるが、50mmレンズはボケが大きいからけっこうつらい。レンジファインダーカメラのアダプタ遊びは、距離計連動がやはりボトルネックだ。そんなわけで大枚はたいた割に死蔵状態だった。
【MFアシストで開放ジャスピンを狙う】
そこでG1の出番、というわけだ。G1は一眼カメラだから、レンズから入ってきた光(像)をそのまま見ることができる。よって、アダプタが後ピンだろうが前ピンだろうが関係ない。ピントの合ったところでシャッターを切ればよい。これは一眼方式ならではの利点だ。Contax-Leica MとLM-M4/3のアダプタ2枚重ねになるが、とりあえず無限遠は問題なし。しかもG1はファインダー(EVF)をのぞいた状態でMFアシスト(ファインダー像の一部拡大)ができるから、開放ジャスピンがバシバシきまる。もちろん背面液晶のライブビューでも同じことは可能だけど、やはりファインダーをのぞいたままというスタイルがいい。ホールドが安定するし、写真を撮ってるという高揚感がある。三脚使用時はライブビューの方が便利だけど、手持ちメインならEVFのMFアシストは威力絶大だ。開放撮影だけでなく、広角レンズの中近距離撮影でも便利だ。
ただし、EVFは生理的なまどろっこしさがともなう。G1のEVFは明るいし、追従性にもすぐれている。にもかかわらず、「素で被写体を見たい」という欲求を抑えられない。中判カメラのファインダーをのぞくと、吸い込まれそうな気持ちになる。ファインダー像の美しさは、カメラにとって大きな価値だ。しかしEVFは、詰まるところコンソール画面。ぶっちゃけ、ナマで見たくなる。これは機能性とかクオリティとかの問題を超え、おそらく「見る」という行為の原初的な感覚なのだろう。
とまあ、そんなわけで、Opton Sonnarの作例を載せておきます。例によってRAW撮影してLightroomで現像。今回はほぼ無補正です。ピクセル等倍で見たい人は、Flickrにアップした写真をどうぞ。
LUMIX DMC-G1 + Opton Sonnar 50mm F1.5
Leica M8で撮った写真とくらべると、どこか現代的な味付けになっているような……。ただまあ、ボディがちがえば画作りは異なって当然。一般にオプトンゾナーはさっぱりした色合いと言われているが、その雰囲気はしっかり残っていると思う。開放でフワフワして、F2まで絞ると途端に研ぎ澄まされる豹変ぶりも健在だ。これで焦点距離が、せめて1.5倍前後ならねえ……。G1はおもしろいカメラだけに、無い物ねだりもしたくなります。
Comments