« MOO でMiniCardsを買ってみた | Main | GR DIGITAL II LC-1でフルカバードスタイル »

February 25, 2009

False color がデジタル赤外線写真の真骨頂

相も変わらずコツコツと、Leica M8で赤外線写真を撮ってます。巷でも、DP1やGR DIGITALといったコンパクト機、ケンコー製赤外線フィルターを付けたデジイチで撮る人が増えている様子。撮影画像をモノクロ化すると、葉っぱは白く、空は黒く、たしかに往年の赤外線写真らしい写真になる。でも単なるモノクロ化だと、試して終わり……という人も案外多いのでは!? デジタル赤外線写真の醍醐味は、やはりFalse colorに尽きます。

Lml1003793edit

False colorというのは、直訳すると偽色。撮影画像本来の色ではなく、偽の色を割り当てるというレタッチ技法だ。昨今のデジタル赤外線写真は、おおむねFalse color的な処理が施してある。上の写真もそのFalse colorの作例だ。葉っぱはベージュがかった白、空は青。まるで樹氷の写真みたいに見える。モノクロ赤外も雰囲気満点だけど、せっかくデジタルで撮ってるなら、False colorを試してほしい。というわけで、その遊び方をサクッとまとめてみることにした。


【ホワイトバランスで遊ぶ】
まずは手軽な遊び方から紹介していこう。今回掲載した画像は、Leica M8にB+W 092を装着して撮ったもの。HOYA R72よりも若干可視光線を多く通すため、画像に色情報が残りやすい。色情報が多いということは、それだけ色をイジくりやすいわけで、False colorで遊ぶときはB+W 092がハンドリングしやすいのだ。

Ir01 Ir02
左が撮って出しの画像。真っ赤というか紫というかマゼンタというか、ホント、この画を見るとひるむよね(笑)。そりゃ、モノクロ化まっしぐらというのもよくわかります。でもご安心を。案外カンタンにこの状況から脱出できるのだ。右の画像はホワイトバランスを調整したもの。色温度を2000、色かぶりを緑方面に思いっきり引っ張る。この画像で注目してほしいのは、空が褐色、葉っぱが青になっている点。そう、立派なツートーンになっているわけだ。

Ir03
上の状態から、色相と彩度とチョロチョロとイジってみた。それほど手間をかけずに、違和感たっぷり(!?)の赤外写真が完成。この程度の作業なら、レタッチビギナーでも試してみようという気になるのでは!? 特にRAW現像ソフトだと作業しやすいと思う。


【秘技!カラースワッピング】
いやいや、こんな色じゃなくて、樹氷みたいにしたいんだよ! わかっちょります。冒頭に挙げた写真は、ホワイトバランス調整だけではできない。色相や彩度をイジってもたどりつけない。あの写真は、カラースワッピングという処理を施している。カラースワッピングとは文字通り、色の差し替え、入れ替えだ。具体的には、Photoshopを使ってカラーチャンネルごとに色を入れ替えていく。どのチャンネルを何色にするかはお好み次第。やり方も人によって千差万別なのだが、一例としてLife Pixelのチュートリアルを見てもらうのが手っ取り早い。ここではカラースワッピングによってどう色合いが変化するかを追いかけてみよう。

Ir04 Ir05
左が撮って出しの画像。右が前述のやり方でホワイトバランスを整えたものだ。葉っぱが青みを帯び、空は褐色。このように、きれいにツートーンになっている画像がカラースワッピング向きだ。デジタル赤外線写真業界では、右写真のような状態を「きれいに分離した」と呼んでいる……というのはウソで、ぼくが勝手にそういってるだけ(汗)。逆光下で撮ってしまうと、葉っぱに青みが載らず、全体に褐色になってしまう。ホワイトバランス調整できれいにツートーン化できないと、狙い通りにカラースワッピングできないので要注意だ。

Ir06
ホワイトバランス調整後の画像を、Life Pixelのチュートリアルに従ってカラースワッピングしたのが上の画像だ。葉っぱと空の色が入れ替わっている。空は青く、葉っぱは褐色(ベージュがかった白)。このまま完成としてもいいし、カラーバランスを整えて好みの落とし所を探してもいい。

Ir07 Ir08
カラースワッピング後もいくつか定番処理がある。左の画像は彩度を全体に持ち上げ、空をより青く仕上げたもの。空が青いと「リアル」に見える。でも葉っぱは白っぽいから「アンリアル」の世界。現実と非現実の同居がおもしろい。右は色相を操作して、葉っぱのベージュを赤にシフトしてみた。モチーフはフィルム時代のカラー赤外。真っ向勝負で非現実、という潔さが妙味か。

デジタル赤外線写真はふたつのファクターから成り立っている。ひとつはスノー効果による特異なトーン。葉っぱが白く、空が黒く写る異質なトーンだ。そしてもうひとつは、赤、紫、マゼンタといった近赤外域のカラー情報。デジタル赤外線写真のおもしろさは、このわずかなカラー情報から、出来うるかぎりの色を絞り出す点にある。そのアプローチがホワイトバランス調整であり、カラースワッピングなのだ。特異なトーンはモノクロ化で楽しめる。でもせっかくデジタルで撮っているのだから、近赤外域のカラー情報で遊んでみてはどうだろう。

Lml1001441edit2

でも、やりすぎはイカンと思う

|

« MOO でMiniCardsを買ってみた | Main | GR DIGITAL II LC-1でフルカバードスタイル »

Comments

はじめまして。

赤外線画像に興味があり撮ってみましてが
画像処理が上手く行かず悩んでおります

処理も仕方や処理ソフト等のアドバイス
お願いできませんでしょうか。

Posted by: なかいち ひろみち | March 21, 2011 08:38 AM

> ひろみちさん
はじめまして。ぼくの場合は、Photoshopを使ってカラースワップしています。カラースワップの手順については玄光社「カメラライフ Vol.8」で解説しているので、もしご興味あればご覧ください。あと、逆光で撮影した画像はカラースワップしづらいです。晴天順光の写真の方が、スノー効果(木の葉が白く写る現象)が得やすいです。

Posted by: metalmickey | March 21, 2011 10:44 AM

初めまして。
IRを調べてインターネットを徘徊しておりましたら、
こちらのページに辿り着きました。
IRといえばモノクロのイメージしかなかったので
幻想的な写真を拝見させていただいて驚きと撮影してみたいという欲求にかられましてご連絡させていただきました。
もしよろしければご教授いただいきたいです。
まずは自分なりに調べてみました。
私の使用カメラはCANON 5D2です。
デジタル一眼には機種によってホットフィルター(赤外線カットフィルタ)があると伺いました。それの効果で思うようにfalse colorの写真にならないと。
ホットフィルターを改造して外すという情報もありました。
こちらに掲載されております写真などは改造や光線領域の幅のある機種を使われていらっしゃるのでしょうか?
5D2で撮影を試みようと思っておりますが注意点などございますでしょうか?
突然のメールにて大変恐縮ではありますがどうぞ宜しくお願い致します。

sasaki

Posted by: renkon | February 19, 2012 12:47 AM

renkonさん、はじめまして。
ぼくはライカM8で赤外撮影しています。M8は内蔵の赤外カットフィルターがきわめて薄いため、IRフィルターをレンズに付けるだけで手持ちで赤外撮影できます。5Dmk2の場合は、要改造になると思います。試したことはないのですが、IDAS(http://icas.to/space/index.htm)という業者さんが5Dmk2の赤外改造を請け負っています。

赤外写真は撮影に手間がかかり、ポストプロセスでも手間がかかり、面倒な写真ではありますが、独特の世界観が魅力だと思います。ご参考になれば幸いです。

Posted by: metalmickey | February 19, 2012 01:19 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« MOO でMiniCardsを買ってみた | Main | GR DIGITAL II LC-1でフルカバードスタイル »