Poladroid で手軽にアナログ写真
ポラロイド、トイカメラ、針穴写真にクロスプロセス。相変わらずこの手のアナログ写真は人気がある。ぼくもひと頃、SX-70やホルガをよく持ち出していたが、いかんせん、最近はめっきり出番が少なくなった。なにしろSX-70は代替フィルムの600 filmすら生産中止。中判フィルムは現像に時間がかかるし、ついデジタルカメラの利便性に身をゆだねてしまう。でもアナログ写真の味わいは捨てがたいし……という優柔不断なぼくにウッテツケのソフトがあった。ポラ風写真をドラッグ&ドロップで作ってくれるPoladroidというソフトだ。
【ドラッグ&ドロップでポラ風写真】
Poladroidは「http://www.poladroid.net/」からダウンロードできるドネーションウェア(いわゆるカンパウェア)だ。そもそもはFlickr Groupに端を発するようだが、単独のソフトウェアとして利用できる。画像をポラロイドのアイコンにドラッグ&ドロップするだけという簡単操作。解説はさておき、まずは作例からどうぞ。
どうでしょう。いい味出てると思いませんか。ぼくはオリジナルのSX-70 filmは使ったことがないのだけれど、もしエイジングフォトというカテゴリがあるとするならば、十分合格点の仕上がりではないか、と。なにしろドラッグ&ドロップするだけでこの風合いですから、俄然お得な気分です。
【ツッコミどころ満載のディティール】
さてこのソフト、シンプルな操作方法に反して、ディティールにえらくこだわっている。その不毛ともいえるこだわりぶりをいくつか紹介しょう。まずは画像変換処理からだ。
画像をポラロイドのアイコンにドラッグ&ドロップすると、「ガシャコーッ」という音とともにポラが排出される。排出直後のポラは茶色。ジワジワと画像が浮かび上がり、紙の部分にチェックマークが付くと現像完了だ。変換後の写真は、事前に指定したフォルダへ自動保存される。オフィシャルサイトには「待って待って、さらに待って、写真を振ると画像が見えてくるよ」と書いてあるが、まあ写真をシェイクする必要はない。待っていれば自ずと浮き上がる。この間、3分半程度。デジタルなんだから、そこまで待たすことないだろ! というのが第1のツッコミどころだ。念のため、現像中にマウスハンドしてシェイクしてみたのだが、やはり現像時間に変化はなかった。って何をマジモードで検証してんだか(汗)。
ちなみに、現像中のサムネイルをダブルクリックすると、「現像中の状態でファイル保存する?」とたずねてくる。「Save」ボタンをクリックすればサムネイルの表示状態で画像保存が可能。これは何度でも途中保存でき、もちろん現像完了後の状態も別画像として自動保存される。つまり、1枚の写真から複数の版が作成できるのだ。恐るべしポラドロイド!
11枚目の画像をドラッグ&ドロップすると、こんなメッセージがあらわれる。「フィルムカートリッジが空になったから、ソフトを再起動してチョーダイ」と。そりゃたしかに600 filmは1カートリッジ10枚だけど、ソフトなんだからカンケーねえだろ!? というのが第2のツッコミどころ。そしてさらに、第3のツッコミどころまである。
写真に指紋やホコリが付着しているのがおわかりだろうか。これがまた、「アァ、指紋ついちゃったよお」と残念な気持ちになるくらいにリアル。ポラ撮影経験者ならことのほか感慨深いのでは!? ちなみに、この指紋やホコリはStripesという機能で再現できる。使い方は以下の通り。
ポラロイドアイコンの青いマークをクリック。プルダウンメニューがあらわれるので、「Settings」をクリックしよう。
「Post-Processing」タブを開き、「stripes」のチェックボックスをオンにする。「Photo」にチェックすれば写真面に、「paper」にチェックすれば外周の紙の部分に指紋やホコリが付く。ちなみに、その下の「Vignetting」とは周辺光量落ちのこと。初期設定でMax設定の「strong」になっている。これはこのまま使った方が「らしく」仕上がる。
Poladroidは簡単にポラ風エフェクトが楽しめるわけだが、どんな写真でも……というわけではない。ドラッグ&ドロップしたものの、フツーな写りで肩すかしを食らうことも。以下はそんなショットを並べてみた。
元画像の絵柄や色彩、トーンによっては、いわゆるポラ風にならないこともある。色調調整機能は搭載していないので、ある種の出たとこ勝負だ。そもそもSX-70の仕上がりも画が出てくるまで運任せだし、あまりシビアにならず、いろいろな写真で偶然を楽しむのがPoladroid流か。昨今、この手の味だし写真加工ソフトが増えているが、Poladroidはアナログ写真のスローテイストまで上手に再現している。だからといって「オリジナルの再現性」なんて無粋なことは言わず、雰囲気重視で楽しみたい。
●追記
ちと気になったので、色調をテストしてみました。同じ画像をポラドロイドに20回ほどドラッグ&ドロップ。案の定、現像のたびにちがうトーンで出力されました。ただ、色調はプリセット化されているようで、ざっくり7パターンほど確認できました。
この写真に関しては、紫、黄、緑の3色相、そしてコントラストの強弱を組み合わせている印象。元画像によって見え方は変わってくると思いますが、このソフト、シンプルなわりに奥深いです。プリセットの割り当てはランダム? それとも画像解析を行っているのか……。いずれにせよ、思ったような効果が得られなくても、トライ&エラーで好結果が得られる可能性大です。