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October 2008

October 22, 2008

IT PLUS 高級コンパクト特集

今年は高級コンパクトの当たり年です。まず春先にSIGMA DP1が登場し、この秋冬モデルではパナソニック「LUMIX DMC-LX3」、キヤノン「PowerShot G10」、ニコン「COOLPIX P6000」と怒濤のリリースラッシュ。そんなわけで、日経ネットIT PLUSで高級コンパクト特集を執筆しました。

●高級コンパクトの魅力
第1回 こだわりの画質と機能、これぞ大人のためのデジタルカメラ
第2回 クラシックな装い、デジカメの成熟を体現
第3回 5機種の高画質ぶりを実際の作例でチェック

ピックアップするモデルを5機種に厳選し、高級コンパクトのアドバンテージが浮き彫りになるように構成しました。レビューベースの記事ではなく、高級コンパクトというジャンルを俯瞰的かつ横断的に考察しています。高画質モデルならではの安心感、豊富なアクセサリーによるシステムアップとドレスアップ。大人が本気で遊べるカメラだと思います。ぜひ、ご覧ください。

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October 13, 2008

BiND2 という試金石

先日、ホームページ「metalmickey.jp」をリニューアルしたばかりだというのに、またまたリニューアルすることになった。ホームページ制作はデジタルステージの「BiND for WebLiFE*」を使っているのだが、これがバージョン2になったのだ。肯定派と否定派のまっぷたつに分かれるBiND2、その問題点を整理してみたい。

Bind01

まずぼくのスタンスを明確にしておくと、ぼくはBiND2の擁護派だ。PhotoCinemaとIDもプライベートで使っているので、digitalstageシンパと考えてもらっていい。BiND2はデザインリッチなテンプレートを多数搭載。HTMLやCSS、Ajaxの知識がなくても、最新ウェブ技術を取り入れたホームページが簡単に作成できる。にも関わらず、「BiND2はとてもよいソフトだけど、人には薦めづらい」と感じている。PhotoCinemaとIDは無条件で人に薦められる。でもBiND2はダメだ。これは薦められない。その理由を述べていこう。

【見た目通りに作れない違和感】
薦められない理由その1、方言があまりにキツイ。総じてアプリケーションというものは、お約束のインターフェイスというものがある。マニュアルを読まなくても、画面を見ただけである程度使いこなせ、ちょっとこだわったことをするときだけヘルプファイルや取説で操作方法を確認するものだ。しかし、BiND2は独自のインターフェイスを採用しているため、取っかかりがつかめないのだ。

Bind05

これがBiND2のメイン画面だ。ウェブページをブロックと呼ばれるエリアで区切り、このブロック単位で編集を行う。ブロックのレイアウトは、「ページレイアウト」からテンプレートを選択。その上でブロックの追加削除を行う。こう書くとどうということはないが、WYSIWYG(懐かしい!)非対応という点に留意してほしい。ドラッグ&ドロップでブロックを追加したり、マウス操作で移動やサイズ調整ができるのではない。あくまでも定められたサイズのブロックを並べることしかできないのだ。

デジタルステージのソフトはテンプレートの質にことのほかこだわりがある。おそらくブロックのサイズや配置を限定しているのも、「この見せ方がベスト!」という思いが強いのだろう。ただ、ワープロで当たり前のようにできることが、BiND2ではできない。ここに違和感をおぼえる。

Bind08

ブロック内のコンテンツはテンプレートを選んで入力していく。このブロックテンプレートは実に豊富で、しかも実用性の高いレイアウトが多い。この点は「さすがはデジタルステージ」と感心する部分だ。しかしこのあと、我々は大きな壁にぶち当たる。

Bind06

これはブロックエディタと呼ばれるブロックの内容を編集する画面だ。実際のウェブページとは似ても似つかぬ画面。この編集画面から、仕上がりを想像するのは難しい。

Bind07

バージョン2になり、見出し関係はマーキングが付くようになった。それでもやはりWYSIWYGとかけ離れた画面であることには変わりない。ホームページ作成ソフトはワープロと異なるから、WYSIWYGの実現は意外とハードルが高いのだろう。しかし、このブロックエディタがメイン画面の右パネルとして組み込まれていたらどうか。パネル上で変更を加え、適用ボタンを押すとプレビューエリアで確認できるという流れ。これならずいぶんとスマートに作業できそうだ。BiND2のみならず、他社ホームページ作成ソフトやブログツールも含め、編集画面とプレビュー画面の関係性、これをいかにシームレスにするかが重要な問題だ。

【マイナートラブル続出の不安定さ】
お薦めできない理由その2、それは動作の安定性という問題だ。マック版は安定しているそうなのだが、なぜかウィンドウズ版は大小さまざまなトラブルが多い。BiND2の初期バージョンでは、「適用」ボタンを押すとデータ反映までに10秒以上待たされるというノンキな仕様だった。これはバージョン2.11のアップデートで劇的に改善されたが、いうまでもなく、改善後のパフォーマンスこそが市販アプリケーション本来の姿である。

Bind10

BiND2には「SiGN」というロゴ作成ツールが付属する。写真にテキストを載せて画像化するミニソフトだ。手軽にロゴが作れる便利なツールなのだが、どうしたわけかぼくの環境では、SiGNを起動すると下のようなエラーが発生する。

Bind09

「続行」を数回クリックすると無事SiGNが起動するのだが、精神衛生上よろしくない。また、このエラーも出たり出なかったりで、さてはて何が原因なのか……。そういえば、ウチの環境では当初、BiND2をインストールすることすらできなかった。インストールを進めると、インストーラーが途中で落ちてしまうのだ。この問題はすでにデジタルステージのFAQに対処策が掲載されているが、楽しみにしていたソフトがインストールすらできず、当時はずいぶんがっかりした。

そういえば、ブロックの編集がいっさいできなくなるというトラブルも。このときは結局、ページをイチから作り直した。順次アップデートで改善されてはいるものの、BiND2は市販アプリケーションのクオリティを満たしていない。デザインリッチなテンプレートという着想はすばらしい。そしてテンプレートそのものもたしかにすぐれている。しかし、アプリケーションとして最低限の動作が確保できていない。ぼくは十数年にわたってソフトウェアレビューを書いてきたが、「ベータ版がそのまま売られている」という印象は拭えない。当然ながら、ベータ版クオリティのソフトを人に薦めることはできない。

【パッケージ版の意義とは!?】
ダメ押しでお薦めできない理由その3、それはパッケージ販売の意味が実感できない点だ。前述のとおり、このソフトはデザインリッチなテンプレートを多数搭載している。しかし、搭載こそしているが、収録されていないのだ。

Bind04

これサイトシアターというサイト管理兼テンプレート選択画面だ。ここでは新規サイトを作るためにテンプレートを選択している。左上の「未インストール」という赤字が読み取れるだろうか。このように表示されたテンプレートは、デジタルステージのホームページからダウンロードして追加インストールすることになる。サイトテンプレートの多くは、こうしてダウンロード&インストールが必要だ。ちなみに、BiND2はパッケージ版のみの販売で、ダウンロード販売は行っていない。収録データ容量が多くなるから……というのがメーカーの言い分だろうが、パッケージ版に必要なデータが含まれていないというのは問題だ。

【それでも使う理由は成果物のパフォーマンス】
我ながら驚くほど不満点を並べてしまった……。これだけ文句を書き連ねておいてナンだが、それでもぼくはこのソフトを使う。理由はひとつ、「投入する労力に対し、成果物の完成度が極めて高い」からだ。ぼくはウェブプログラミングの知識を持ち合わせていない。デザインやレイアウトについても特別な勉強をしたことがない。それでもBiND2を使えば、あたかもウェブデザイナーが作ったようなホームページに仕上げられる。「できないことができる」というのはすばらしい。

BiND2のテンプレートは、現在のウェブトレンドをしっかり踏襲している。最上部にメニューバーを展開し、ワイド画角の大きな写真、ブログライクなサイドバー付きのコンテンツエリアへとつづく。階層が深くなるときは、中段にもう一本メニューバーを加え、閲覧者を迷わせないように配慮。自分がサイト内のどこにいるのか、把握しやすいホームページが作成できる。こうしたウェブデザインは、多くのオフィシャルなサイトで採用されているものだ。専門知識のないパーソナルユーザーが、プロと同じステージで勝負できる。

いまBiND2に必要なのは、強固なプラットフォームに成長することだ。マイナートラブルを一掃し、器として完成度を高めること。その上でトレンドを踏まえたテンプレートを随時発売していけば、多くのユーザーに支持され、息の長いソフトになるのではないか。そうなれば、ぼくも胸を張って人に薦められると思う。

●参考URL
BiND2で作り直したmetalmickey.jp

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October 07, 2008

オールドレンズ パラダイス 表紙公開

「オールドレンズパラダイス」の表紙が上がってきました。ウェブ公開してかまわないという版元の意向ですので、早速アップします。

Cover04
「オールドレンズ パラダイス」翔泳社
監修:和田高広 著者:澤村 徹

クラカメ系の書籍というと、バリッと硬派、もしくは高級路線というのがお約束ですが、ほどよくリラックスした雰囲気の表紙になります。本書はマウントアダプタの専門書であると同時に入門書でもあります。ビギナーの方も手にとりやすい表紙に仕上がりました。

この表紙、実はちょっとした仕掛けがあります。表紙の下1/3に帯が付くのですが、その帯にはEOS 20Dの写真が刷ってあります。つまり、帯付きの状態だと「EOS + オールドレンズ」、帯を外すと「オリジナルボディ + オールドレンズ」になるんですね。「マウントアダプタでレンズスワッピング」という、本書の内容を象徴的に表現した表紙です。もちろん、ぼくがそんな素敵なアイディアを思いつくわけもなく、デザイナーさんのご尽力の賜物なのですが。

着手から丸一年、腰を据えて書いた一冊です。ぜひ、よろしくお願いいたします。

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October 05, 2008

オールドレンズ パラダイス 発売日決定

最近はあちこちのブログでオールドレンズの作例を見かけます。そして当ブログでも、各種オールドレンズやマウントアダプタを取り上げてきました。デジタル一眼レフの普及にともない、こうした遊び方もずいぶんと手軽になったものです。しかし、初心者にとってまだまだ敷居が高いのも事実。そこで誰もが気軽にこうした世界で遊べるように、マウントアダプタの入門書を執筆しました。

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●「オールドレンズ パラダイス」翔泳社 (11月4日発売)
監修:和田高広 執筆:澤村 徹

メーカーの異なるレンズとボディで撮る。これを実現するマウントアダプタは、長らくベテランカメラユーザーの閉ざされた世界でした。なにしろメーカー保証外の行為ですし、撮影もMFになってしまいます。初心者にはハードルの高い世界にちがいありません。しかしデジタル一眼レフなら、フィルム代がかからないから何度でもシャッターが切れます。ライブビューを活用すればシビアなピント合わせもクリアできるはず。これまで敬遠していた人たちも、気負わずマウントアダプタやオールドレンズの世界に飛び込めるのではないでしょうか。

しかし、ここでひとつ問題があります。そもそもマウントアダプタは中上級者向けの世界ですから、参考書のたぐいがほとんどありません。オールドレンズガイド的なものは時折見かけますが、マウントアダプタの着脱方法、撮影手順、コンディションのよいオールドレンズの選び方など、初心者向けのガイドブックがないのです。ウェブで検索しても、オールドレンズの作例、歴史的背景や描写解説は簡単にヒットします。でも、初歩的な情報は驚くほど少ない……。ぼくがマウントアダプタで遊びはじめた当時、この点にずいぶん手を焼きました。

ないなら自分で書いてみよう。そう思い立ったのが昨年のことです。ぼくはライターという職業柄、カメラマンや写真家の方々からいろいろとアドバイスをもらえる立場にあります。オールドレンズ選びやアダプタの使い方で悩んでも、いつも近くに教えてくれる人がいました。しかし、誰もがこのような恵まれたスタンスにいるわけではありません。教えてくれる人がいない……。ガイドブックも見当たらない……。ウェブ情報さえも上級者向けのものばかり。これでは興味があってもマウントアダプタの世界に飛び込めません。そこで本書「オールドレンズ パラダイス」は、初心者がひとりでマウントアダプタの世界を歩けるように、極力ていねいに解説しています。初心者がつまづきそうなポイントを整理し、監修の和田高広さんからは各レンズの位置づけや描写傾向についてアドバイスをいただき、マウントアダプタとオールドレンズの総合入門書としてまとめました。マウントアダプタの指南書として、またオールドレンズ選びのガイドブックとして、きっと役立てていただけるものと信じています。

●OLDLENS PARADiSE 目次

第1章「合い言葉はM42」
はじめてのオールドレンズといえば、やはりM42マウントが筆頭にあがります。カールツァイスイエナやロシアレンズといった、安くて写りの良いものを中心にピックアップしています。特にマウントアダプタの着脱方法、MFの基本操作はていねいに解説しています。近年増えている電子マウントアダプタにも触れています。

第2章「MFなんて怖くない!」
AF全盛のいま、MF(マニュアルフォーカス)に抵抗を感じる人は少なくありません。そこでMFで撮影するコツをまとめてみました。マグニファイアやフォーカシングスクリーンなど、MFのサポートアイテムも取り上げています。

第3章「憧れのブランドレンズたち」
CONTAXのプラナー、ライカRのズミクロン、そしてエキザクタのアンジェニューなど、銘玉と呼ばれるレンズたちを結集しました。第1章と同様に、マウントアダプタの着脱、銘玉の個性を引き出す撮影方法、フードやフィルターの選び方など、基本をおさえた構成になっています。また、個々の作例は、レンズの特長がよくあらわれているものを中心にセレクトしています。

第4章「マウントアダプタの深淵」
マウントアダプタを使い込むと、いろいろな専門用語に突き当たります。自動絞りと手動絞り、ピン押し、フランジバッグにコーティング。専門用語の意味を知らなくても撮影はできますが、知ることでより自由に撮れるようになります。単なる用語解説ではなく、カメラの歴史を踏まえながら、その意味と機能を解説しました。

第5章「中判レンズをデジタルで」
マウントアダプタ遊びは、なにも35mm判レンズだけではありません。中判カメラのレンズもデジタル一眼レフに付きます。旧東ドイツ製のペンタコンシックス、そしてプロ御用達だったハッセルブラッドを例に、中判レンズでの遊び方を解説しています。

ぼくがまだオールドレンズビギナーだった頃、「こんな入門書がほしい!」と感じていたことを、そのまま一冊にまとめました。本書を片手に、マウントアダプタとオールドレンズの世界を楽しんでいただければ幸いです。

●参照リンク翔泳社の「オールドレンズ パラダイス」解説ページ

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