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May 2008

May 31, 2008

Leica M8 距離計連動アダプタの連動っぷり

Leica M8を買ってから、ずっと気になっているアイテムがある。ハンザがかつて販売していた距離計連動アダプタ。いまや生産中止の幻のアダプタである(ちと大袈裟)。アダプタファンのぼくにとってぜひとも試してみたいアイテムだが、生産中止では致し方ない。と思っていたら、レモン社にフツーに売ってました……。そんなわけで、ライカR用の距離計連動アダプタのレポートです。

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【距離計連動とは何を意味するのか】
このブログのお客さんは非ライカユーザーの方が多いので、距離計連動のどのへんが熱いのか、まずはそこからざっくり解説してみよう。レンジファインダーカメラというのは距離計をカメラ内に内蔵している。レンズのヘリコイドを回転させると、その動きに合わせてカメラ内の距離計が動作。ファインダー内で二重像が合致したところで回転を止めれば、ジャスピンの写真が撮れる。要は、レンズのヘリコイドが距離計の操作デバイスになっているわけだ。

で、マウントアダプタの話。カメラを問わずマウントアダプタとは、フランジバック差を埋めるスペーサーにすぎない。電子的にも機械的も、カメラとレンズの連携は一切断たれてしまう。そもそも規格ちがいのボディとレンズなのだから、当然といえば当然の話だ。まあこのあたりは、一眼レフでオールドレンズ三昧の人たちには釈迦に説法だろう。ただし、M型ライカの場合はちと事情が異なるのだ。

M型ライカは距離計を内蔵しているが、その距離計を操作するデバイスはレンズのヘリコイドが兼ねている。しかし、非Mマウントレンズをアダプタ経由で装着した場合、レンズのヘリコイドを動かしても距離計は連動しない。マウントアダプタが単なる中間リングだと、ピント合わせができないわけだ。いよいよ核心に近づいてきた。そう、距離計連動マウントアダプタとは、非Mマウントレンズでも距離計操作が行えるのだ。

【単体距離計で十分かも!?】
とまあ、期待に胸膨らませてハンザ製ライカM-ライカR距離計連動マウントアダプタを購入したわけだが、待ちかまえていたのは理想と現実のギャップというか、無知のみがなせる思い込みというか、切ない現実だった。とりあえずは下の写真を見てほしい。

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ボディの上にあるのが距離計連動アダプタ。その上がライカRマウントレンズだ。アダプタにはヘリコイドがあり、ここを回転させるとカメラ内の距離計を操作できる。うむ、操作できるのだが、別にレンズのヘリコイドと連動しているわけではない。アダプタのヘリコイドでピントを合わせ、レンズのヘリコイドをアダプタと同じ数値(距離)にセット。別にレンズとボディが連携するわけではなく、アダプタがボディ内距離計の操作デバイスとして機能するというだけの話だ。つまりそれは、単体距離計の数値をレンズ側に写し取ればOKなのでは!? 距離計連動の連動とは、あくまでもボディ内距離計が使えますよ、という意味だ。

正直不満はあるが、ミニマムスタイルで非Mマウントレンズを使えるのがメリットか。また、M型ライカの高精度な距離計を使えるというのもアドバンテージだろう。ただし、実際のピント合わせ(レンズのヘリコイド調節)はアバウトにならざるを得ないので、開放撮影や近距離は厳しいものがある。

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Leica M8 + Elmarit-R 35mm/f2.8 type I

実際に撮影してみると、やはり絞り込んでしまう。接写は距離計が使えず完全目測になるため、寄り切れないストレスも小さくない。画質については、M8ならではというテイストは感じられなかった。どうしてもM8でアダプタ遊びをしたいなら、距離計非連動アダプタと単体距離計の組み合わせで十分かも。個人的な感触としては、わざわざ距離計連動のデッドストックを探すまでもないなあ、と。これまで生産中止になった理由は「高くて売れないから」と思っていたのだが、操作性の絶対的アドバンテージが見いだしづらいというのが実状かもしれない。どうもアダプタ遊びは、デジタル一眼レフに歩があるようだ。

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May 30, 2008

GR DIGITAL のストラップはどうしてます?

GR DIGITAL IIとDP1、どちらもストラップはひも式だ。そのせいでお気に入りのストラップが使えない。ものすごく選択肢が狭くなる。クラカメ向けのレザーストラップはおろか、手持ちの一眼レフ用ストラップすら流用できない……と思い込んでませんか? 実はいい合わせワザがあるんです。

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【GS-1流用でストラップの自由を!】
このカスタムテクニックはPCfan連載「吾輩は寫眞機である」で取り上げたものだが、まずはリコーの純正ナイロンストラップ「GS-1」を用意してほしい。実用本位のどうということのないストラップだが、GR DIGITALのストラップカスタマイズでは多いに役立ってくれる。

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使うのは取り付けパーツのみ。この取り付けパーツ先端は口の字型の金具になっていて、ここに手持ちのストラップを通せばいい。取り付け部がナイロンのストラップなら、ナイロン to ナイロンで見た目も統一感がある。細めの一眼レフ用ストラップあたりがベストマッチだ。

【レザーストラップは付くのか!?】
GR DIGITALをクラカメ風にカスタムしているなら、やはりレザーストラップでドレスアップしたいはず。GS-1の取り付けパーツでレザーストラップはイケるのか? 取り付けパーツの金具の内径は約8mm。それに対し、一般的なレザーストラップの幅は10~11mm。数値的には付かない。しかし、ときに感情が理論を上回ることもあるのだ。

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通った! かなり苦しそうな姿だが、革の柔軟性のおかげでナンとか装着達成。ちなみに、写真のストラップは平井製作所の一眼レフ用。取り付け部分は二枚革でがっちり補強してある。これだけゴツいストラップが通るのだから、一般的なレザーストラップなら問題なく装着できるだろう。

なお、めざとい人は気付いているだろうが、上の写真はGR DIGITAL IIではなく、SIGMA DP1だ。DP1の純正ナイロンストラップもGR DIGITAL同様ひも式で、取り付けパーツの金具はほぼ同サイズ。つまり、GR DIGITALもDP1も、同じカスタムテクニックが使えるというわけだ。

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純正ナイロンストラップの取り付けパーツを使えば、ストラップの選択肢は一気に広がる。もう「ひも式だから……」とあきらめることはない。最近はハンドストラップの取り付けを攻略中。ケータイストラップ流用が王道だが、どうも突き抜けたアイテムが見つからない。何かこう、心にグッと迫るようなハンドストラップを付けたいものです。いいアイディアが浮かんだら、またご報告します。

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May 11, 2008

Leica M8 は開放撮りが楽しい

ふと我にかえると、手元にライカ用レンズが5本もある……。年末に書いたムックのギャラがすべてレンズに化けた。春先の特集のギャラも消えた。これもみな、M8が楽しすぎるせいだ。写りがいいとか撮りやすいとかそういう次元を超え、明らかに一眼レフと異なるカルチャー、これにやられてしまった。ちょっと大げさにいうと、撮影スタイルが変わってしまった。何がどう変わったのか、そのあたりを自己分析してみたい。

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【いまごろ目覚める開放撮り】
これまでのぼくの撮り方は、街角スナップはF5.6あたりまで絞り、ランドスケープはF7.1~F11で撮影するというもの。基本的に絞ってナンボのスタイルだ。というのも、メイン機はファインダーの見づらいEOS 20D。これとオールドレンズを組み合わせるものだから、ジャスピンを狙おうと思うとどうしても絞り込んでしまう。しかしそんなぼくが、M8で撮った一枚の写真で開放撮りに目覚めてしまった。

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Leica M8 + Summicron-M 35mm/f2 RF

これはメガネ付き8枚玉購入直後の試写。開放のにじみ具合を見ようと、テスト的に開放F2で撮影したものだ。中近距離でベンチにピントを合わせたところ、その後ろの樹がとても立体的にボケた。普段ならF5.6まで絞るシチュエーションなので、この浅い被写界深度は衝撃的だった。

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Leica M8 + Opton Sonnar 50mm/f1.5

これはマウントアダプタを使ってオプトンゾナーで撮ったもの。M8に装着すると中望遠相当になるレンズだ。被写体との距離はけっこう離れていて、普段ならF5.6どころかF8あたりまで絞るシーン。それをあえて開放F1.5で撮ったところ、手前の桜だけが見事に浮き上がった。ボケ味ウンヌンというよりも、まるで3D立体視しているような見え方だ。この時点で完全に開放撮りの虜になってしまった。

これまで開放撮りといえば、ピンのきた一点だけが結像し、それ以外が濃霧に沈んでいくような写真だと思っていた。しかしM8が見せる開放撮りは、全面アウトフォーカスの世界に、厚紙に印刷した主役を貼り付けたような感じ。二次元と三次元の中間、2.5Dとでもいえばいいのだろうか。切り立つような立体感がおもしろい。

【中近距離の開放にM8の醍醐味を見た】
これに味をしめ、EOS 20Dとオールドレンズの組み合わせでもマネしてみた。ええ、惨敗です(笑)。ぜんぜんピンがこない。そこで改めて思ったのは、M8というカメラ、しいてはレンジファインダーカメラというものが、あの開放撮りを可能にしているのだな、と。なぜM8だと開放で撮れて、なぜEOS 20Dだとダメなのか。このあたりを箇条書きにしてみよう。

●ファインダーのクオリティ
M8のファインダーは二重像合致式。これは想像以上にピント合わせがやりやすく、眼鏡使用のぼくでも気負わずにジャスピンが狙える。

●最短撮影距離が長い
ライカ用レンズの最短撮影距離は75~100cm程度。一眼レフの場合は寄れないレンズでも30~50cmまで寄れるので、M8は接写の苦手なカメラということになる。しかし、開放撮りではこれが功を奏す。最短撮影距離が長いということは、開放時でもそれなりに被写界深度が稼げる。このマージンはありがたい。

●M8のシャープネス
M8はローパスフィルターを省略してまでシャープネスにこだわったカメラだ。このシャープさ、3D立体視的な写り方と無縁ではないはず。

●ライカレンズの開放性能
一般にライカレンズは、開放から“使える”ものが多い。ボケ足は暴れるものの、結像部のシャーネスは良好。これも開放撮りしたくなる大きな魅力だ。

あとこれは個人的なことだが、M8だとなぜか両目を開けて撮れる。ハイ、これまでは左目閉じて撮ってました(笑)。両目を開けて撮ると、ピントが合ったとき、その一点がスッと立体的に浮き上がる。M8で撮るようになってから俄然持ち帰り率が高いのは、この両目を開けて撮っているせいかもしれない。EOS 20Dでも試してみたが、目の負担が大きくて断念。勉強不足でナンですが、きっとファインダー性能と関係があるような……。

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Leica M8 + Summilux-M 35mm/f1.4

中近距離の開放撮りは、別に一眼レフでもできる。ただ、M8だとよりやりやすいということか。少なくともぼくはこうした撮り方と無縁だったので、M8に教えられた気分。まだまだ勉強することがたくさんあるようだ。

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