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March 2008

March 28, 2008

i1 Display 2 でカラーマッチング

一線を越えることにした。これまでhueyを使ったナンチャッテカラーマッチングでごまかしてきたけど、もうムリ! 1枚の色見本を出力するのに十数枚もプリントして、挙げ句の果てには何が正しい色なのかわからなくなり、こりゃもうカオス以外のナニモノでもない。そんなわけで、カラーキャリブレーションセンサーの国内業界標準、i1 Display 2を導入することにした。

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【カラマネスペシャリストがやってきた!】
そうはいっても、ぼくはカラーマッチングの専門知識がない。それどころか過去の記事を見てもわかるとおり、相性のあまりよくないジャンル。困っていると、知り合いの写真家さんがカラーマッチングのスペシャリストを紹介してくれた。アドバイスをもらえるだけでもありがたいのに、自宅まで足を運んでセッティングしてくれるというじゃないか。こりゃもう業界人特権(笑)、ありがたくお言葉に甘えて、セッティングしてもらった。

その際、彼がこんなことを言った。「モニターとプリンタの環境が整うと、RAW現像が3倍楽しいですよ」と。このひと言は衝撃的だ。これまでぼくは、カラーマッチングにネガティブな印象しか持ていなかった。表示と出力の色を合わせるだけ。たったこれだけのために数万円も払うなんてありえない。i1 Display 2を買うのだって渋々だ。しかし彼は、とてもポジティブにカラーマッチングをとらえている。そう、写真をより楽しむためのカラーマッチング。そんなカラーマッチングスペシャリストの名言を交えつつ、なぜカラーマッチングやモニターキャリブレーションが必要なのか、最終的な落とし所はどこにあるのか、なんてことを探ってみたい。

【キャリブレーションの目標値を読み解く】
はじめにカラーマッチングスペシャリストはこう切り出した。「そもそも100点満点のカラーマッチングは原理のちがいから難しいのですが、85点レベルでかなり満足のいく写真の画像処理が楽しめます」と。ディスプレイはRGBの世界であり、印刷はCMYKの世界。液晶ディスプレイは自ら“発光”して発色するが、印刷物は外光を“反射”して発色する。ひと口にカラーマッチングといっても色の原理が異なるのだから、パーフェクトなマッチングは困難を極めるという。残り15点というのは、発色原理そのものの差異を吸収する必要があり、きわめて専門的な世界だ。写真に造詣の深い人であっても、85点のカラーマッチングでおおむね満足が得られるという。そこから先は必要に応じて詰めていくということになるだろう。まずはぼくの作業環境を列挙しておく。使用機材は以下の通りだ。

モニター:RDT261WH
プリンタ:PX-G930
キャリブレーションセンサー:i1 Display 2

i1 Display 2を用いたRDT261WHのキャリブレーション方法は、実は三菱電機のホームページに掲載されている。単純にキャリブレーション手順だけを知りたい人は、この上記URLのホームページで問題解決するはずだ。RDT261WHに特化した手順解説だけあって、同ディスプレイを確実に、しかも適切にキャリブレーションできる。ちなみに、上記ホームページの手順は、「モニターの写真とプリントした写真をほぼイコールにするためのキャリブレーション手順」だ。あくまでもプリント向けのキャリブレーションであり、ウェブ素材向けではない。再度強調しておこう。これはモニターとプリントをマッチングするための手順だ。こうしたことを踏まえた上で、この記事ではキャリブレーション手順の肝となる部分を掘り下げてみたい。

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キャリブレーションの序盤、上のような画面が出てくる。これはキャリブレーションの目標値を設定する画面だ。ここの値を目標にモニター表示を調整していくことになる。基本的に前述の三菱電機ホームページの手順通りに設定すれば問題ないのだが、各値の意味を知りたいと思いませんか? がんばって解説してみます、ってできるんだろうか(汗)。

白色点
要は色温度を設定するのだが、問題となるのは何の色温度を設定すればよいのか、ということ。世間ではよく、ウェブは6500K、商用印刷は5000Kなどという。しかし、ここで設定する色温度とは、あくまでも屋内の色温度だ。屋内の色温度をキャリブレーションの目標値にすると、屋内照明下(自然光も含む)で画面の白とプリント用紙の白がほぼイコールになる。これが大切。もう一度くり返しておこう。画面の白と用紙の白をマッチングするのだ。より具体的にいうと、Photoshopで白い新規画像を作成し、その横に普段使っているプリント用紙を並べる。両者の白が近いものであれば、自ずと画面と印刷の調子が近づいてくるというわけだ。

ちなみに、この画面の後にアンビエントライト(環境光すなわち屋内照明)を測定する。白色点の目標値はそれに合わせて再設定可能だ。ぼくの環境を紹介しておくと、日中(窓からの自然光と屋内蛍光灯)で5200K、夜間(屋内蛍光灯のみ)は5500Kだった。よって目標値は5500Kに設定している。少々アバウトな設定だが、実はこの程度でいいらしい。先のカラーマッチングスペシャリスト曰く、プリントを前提とした場合、遮光カーテンと評価用蛍光灯で光の無菌室状態を作っても、必ずしもベストとはいえないそうだ。なぜか? 結局プリントした紙は様々なアンビエントライト下で観賞することになるので、光の無菌室状態で見た雰囲気と変わってしまうというのだ。プリントしたものをいろいろなアンビエントライト下で見て、おおむねOKが出せればそれでよし。この程度のとらえ方が現実的なのだろう。

ガンマ
写真を目的とした場合、Windows、Macともにガンマ値2.2が推奨値だ。AdobeRGB、sRGBともに、策定前提でガンマ値2.2になっており、実際にキャリブレーション後の画面とプリントを見比べた際、ほぼ同テイストに見える。Windowsはデフォルトが2.2なのでなんら問題ないが、Macのデフォルトはたしか1.8。Macユーザーがキャリブレーション後の画面を見ると、少なからず違和感をおぼえるかもしれない。しかし、画面とプリントのマッチングという観点からすると、これがベターな目標値となる。

輝度
これはディスプレイの明るさで、数字が大きいほどディスプレイの画面が明るくなる。写真プリントを前提とした場合は80~120cd/m2あたりが順当だという。写真プリントの明るさと画面の明るさが、80~120cd/m2を目標値にすると大体同じになるわけだ。ぼくの環境を例にとると、はじめ120cd/m2でキャリブレーションしたところ、プリントした写真が心持ち沈んで見えた。つまり、画面の方が明るかったわけだ。そこでカラーマッチングスペシャリストのアドバイスに従って80cd/m2に目標値を設定。これでキャリブレーションを行うとプリントと画面の印象がほぼイコールになった。こうしたオペレーションから見えてくるのは、画面コンディションをプリントに合わせていくというアプローチ。もちろんこの際のプリントとは、ICCプロファイルを読み込んでドライバ補正を無効化して行う。このあたりの手順も三菱電機のホームページに詳しく載っている。なお、ディスプレイ側のDVモードはテキストモードを選択しておこう。これで10ビットガンマ機能が有効になり、好結果が得られるようになる。

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一通りキャリブレーションした結果が上の画面だ。色温度とガンマは目標値とジャスト。輝度はごくわずかに誤差が出ている程度で、RDT261WHの優秀さが際立つ結果となった。階調を示すグラフは、各色ともきれいな直線を描いているのが理想的。昨今の液晶パネルはおおむねきれいな直線を描くが、もし何度測定し直してもグラフが乖離したり極端に歪むような場合は、グラフィックボードの性能を疑った方がよいそうだ。ちなみにぼくの環境はNVIDIA GeForce 7600 GTを搭載。すでに旧式のグラフィックボードだが、これだけのグラフが描けていれば問題ないとカラーマッチングスペシャリストはいっていた。

このあとPX-G930のプリンタキャリブレーションも行った。ちなみに、エプソンの純正ICCプロファイルは素性がよく、カスタムプロファイルを作らなくてもおおむねOKだという。純正プロファイルとカスタムプロファイルでプリント結果を見比べてみると、シャドウ部の階調に若干のちがいが見てとれた。カスタムプロファイルは画面とほぼイコールであるのに対し、純正プロファイルはやや持ち上げている印象。おそらく暗部が見やすいように調整してあるのだろう。そうはいっても純正プロファイルで十分に画面の印象に近い。この状態になってはじめて、冒頭のスペシャリストの言葉――RAW現像が3倍楽しい――が理解できた。たとえば、RAW現像ソフトでこだわり抜いたトーンカーブを描くと、それがそのままプリントされる。シャドウがつぶれたりハイライトが飛んだりしない。そのまま出てくる。色味だってしかり。グレースケール化した画像にのせたわずかなブルー、その微細なトーンがしっかり出る。ちゃんとプリントしてくれるから、トコトン補正にこだわれる。そりゃRAW現像が3倍楽しいのも当然だ。

なお、スペシャリストはプリンタキャリブレーションについてこんなことを言っていた。「紙で遊べるようになるんですよ」と。一般に、“いい紙”を使わないとちゃんとした色が出ない、専用紙じゃないと正しく色が出ない、と言われている。しかし、プリンタキャリブレーションで各用紙に合わせてカスタムプロファイルを作っておけば、用紙の発色特性に煩わされることなく、おおむねOKなプリント結果が得られるわけだ。発色が一定ならば、光沢感、マット感、テクスチャなど、用紙の味を積極的に選べるようになる。純正用紙以外はグレーが確実に出力できるという保障がなく、人によって邪道に思えるかもしれない。そうはいっても、紙で遊ぶ――そっちの世界もずいぶんと楽しそうだ。

【色に覚醒したとき必要性が生まれる】
これまでぼくは、キャリブレーションとは守りの世界だと思っていた。色がちがうから合わせる。合わせて、終わり……。しかし、カラーマッチングスペシャリストからのアドバイスは、色が合うことで開かれる世界――RAW現像が楽しく、紙で遊べる――を教えてくれた。ぼくの自宅環境で彼が作業をはじめる前、こんなことを言っていた。「カラーマネージメントは一手段です。カラーマッチングが目的なんです」と。モニターとプリンタの色を合わせるために(カラーマッチング)、キャリブレーションセンサーで各機器の色空間のバラつきを調整する(カラーマネージメント)。この“手段”と“目的”の関係をしっかり理解しておけば、何をすべきかが自ずと見えてくるだろう。

たとえば、プリンタドライバの調整画面でディスプレイ表示にプリントを近づける――これだって立派なカラーマッチングだ。画面とプリントの色のちがいを見越して、RAW現像の段階で色味に手を加えておく。これも実践的なカラーマッチングといえる。しかし、こうした手探りのカラーマッチングは、画像ごとに調整が異なるし、それなりにノウハウの蓄積も必要だ。効率性を考えたとき、カラーマネージメントという手法がもっともスマートであり、なおかつ汎用性がある。キャリブレーションは必ずしも、色合わせの必須作業ではない。効率を求めたとき、忽然とその必要性に気付くものだ。

かつてhueyを導入したとき、その見やすい画面に感動した。プリンタとのマッチングもそれなりにとれているように感じた。しかしいま思うと、hueyはキャリブレーションツールではない。モニター自動最適化ツールだ。正しい表示ではない。あくまでも“見やすい”表示にすぎない。するとあの感動は、単なる錯覚だったのか……。

いや、そうとは思わない。あの当時ぼくは、色に対してhueyで事足りる程度の認識だったのだろう。プリントはプライベートに限られていたし、RAW現像もさほどシビアな調整ではなかった。ただその後、雑誌に写真を載せる機会が増え、モニター上の写真とプリント(この場合は雑誌の誌面だけど)のちがいが気になりだし、作例の色見本を付けるにあたってhueyでは完全に役不足になってしまった。結局、仕事で写真を扱うようになり、ぼく自身の色のとらえ方が変わってきたということなのだろう。

キャリブレーションされたモニターとプリンタは、たしかに理想的な環境だ。しかし、必須ではない。色は数値化できるが、それを感受する人間自身があいまいだ。青信号は青なのか緑なのか。キャリブレーションは、色への興味が必要性を喚起する。

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March 16, 2008

Leica M8 はデジイチユーザーにどう映る!?

改造ビオゴンを手に入れてから二ヶ月、意を決してライカM8を購入した。R-D1sか、M8か。この選択にずいぶんと悩んだが、最終的な決め手はコストパフォーマンスだ。むろん、M8のコストパフォーマンスがよいという話ではなくて、R-D1sを手に入れるとますますM8がほしくなり、きっと二台とも買うハメになるだろう。ならばいっそ、最初からM8を買った方が、最終的には安く上がる。まあ、高い買い物にありがちな、自分をナットクさせるための屁理屈ですが(笑)。

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そんなわけでM8のレビューでも書いてみようと思うのだが、ことライカに関しては先達のすぐれたブログ記事がある。いまさらぼくがM8のよしあしを語るまでもないだろう。ただ、彼らは筋金入りのカメラファンということもあり、意外と初歩的な部分が省かれていたりする。その初歩的な部分とは、レンジファインダーと一眼レフのちがいだ。現在は一眼レフ全盛。片やライカM8はレンジファインダーカメラだ。フィルム時代からカメラに精通していても、レンジファインダーは未体験という人だって少なくない。なにしろ、かくいうぼくがそうなのだ。そこで本記事は、デジイチユーザーにとってのデジタルレンジファインダーカメラという視点で、ライカM8を見ていきたいと思う。

【快適なマニュアル操作がM8の魅力】
はじめにぼくのスタンスを明記しておこう。普段はEOS DIGITALとオールドレンズの組み合わせで撮影。よってMFには抵抗感がない。ライカ歴はライカフレックスSLを所有し、ライカRレンズはElmarit-R 28mm/f2.8 type I、 Elmarit-R 35mm/f2.8 type I、Summicron-R 50mm/f2 type Iなど、主にオールドテイストのものを好んで使っている。レンジファインダー機はこのM8がお初。もちろんM型ライカに触れるのもM8がはじめてだ。

試写して早々に実感したのは、ピント合わせのやりやすさだ。マウントアダプタ経由のオールドレンズは実絞りでの撮影となり、いちいち絞り開放に戻さないとファインダーが暗くなってしまう。それに対し、レンジファインダー機は絞りの状態に依存することなく、いつでもファインダーが明るい。二重像でのピント合わせもピントの山がつかみやすくてよい。当然といえば当然だが、MFカメラはMFがやりやすい。AF機のMFとはわけがちがう。

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ボディの向かって右側にレバーがある。恥ずかしながら、こいつはセルフタイマーなのだと買ってしばらく勘違いしていた。正しくはフレームセレクター。これを動かすと、画角の異なるフレームを選択できる。フレームは、24/35mm、50/75mm、28/90mmの3種類があり、レンズを装着するとレンズに適したフレームが自動表示される仕組みになっている。さらにこのフレームセレクターを操作すると、別のフレームに切り替えられるのだ。たとえば50mmレンズを装着してファインダーを覗き、フレームセレクターを操作。「この風景は28mmの方がハマるな。よし、レンズ交換だ!」という具合になる。ホント、カメラってミニマムボディにいろいろな機能が詰まっているからおもしろい。

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ライカM8は露出計を内蔵し、絞り優先AEで撮影できる。シャッタースピードダイヤルを「A」に合わせると絞り優先AEだ。ただ困ったことに、露出補正のボタンがない。露出補正は液晶メニューで操作しなければならないのだ。この点に不満を抱くM8ユーザーは少なくないし、デジイチユーザーにとってもネックになりがち。個人的にライカレンズはアンダー目にして撮るのが好きなので、購入前にこの点はずいぶんと頭を悩ませた。

しかし、いざ実機を触ってみると、それが杞憂なのだと知る。ナンのことはない、マニュアルモードが使いやすいのだ。マニュアルモードでも露出計が動作し、ファインダー下部に適正露出、アンダー目、オーバー目を赤ランプで表示してくれる。たとえばアンダー目に撮りたいのであれば、いったん適正露出にシャッタースピードを合わせ、そこから1~2段、スピードを速めてやればいい。液晶メニューで露出補正するよりも、こちらの方が格段にスピーディ。なにしろカメラから顔を離さずに操作できるのがいい。

M型ライカはスナップカメラだ。先入観でいわせてもらうと、速写性とは無縁のカメラだと思う。ところが、M8にかぎっていえば思いのほか速写性能がいい。モードダイヤルを「C」にセットしておくと、最大10枚の連続撮影が可能。さすがに“連写”というほどではないが、動く被写体だって追いかけられる。通常撮影のレスポンスに関しては、データ書き込みに時間を要する印象を受けた。ぼくはRAW撮りオンリーなのだが、一度シャッターを切ると赤い書き込みランプがけっこう長い時間点滅している。はじめトランセンドの2GBを使っていて、あまりの遅さに辟易。サンディスクのExtreme III 2GBに交換して、ずいぶんとレスポンスがよくなった。むろん、バッファメモリの容量内であれば、書き込みランプが点滅していても連続してシャッターが切れる。デジイチと同フィーリングのレスポンスとまではいかないが、コンデジのようにモタついてじりじりすることはないはずだ。

【ジャギーはいかんだろジャギーは!】
M8の画質はどうだろう。実はこの点について、購入前に頭を抱えてしまった。というのも、某ウェブ媒体で見たフルサイズの作例があまりにひどい画質だったからだ。階調はべったりとつぶれ、斜め線ではジャギーが発生。M8ユーザーのブログを拝見しても、ときどきジャギーや過度のJPEG圧縮にともなうブロックノイズが見受けられる。M8はローパスフィルターを省いてまでシャープネスにこだわったカメラ。シャープすぎてジャギーが出るのか!? でも、いまどきジャギるデジタルカメラなんて早々お目にかかれない。そのわりに大半のM8ユーザーは、とても満足げに写真を楽しんでいる様子。このギャップ、どう考えればよいのか!?

M8はきわめて高価なカメラだ。新品で実売60万弱。中古で40万半ばから50万弱。いずれにしても、デジタル一眼レフのプロ向け機を買ってお釣りがくる値段だ。これだけ高い買い物をして、それをけなすのは“気持ちの上で”難しい。デジタル版M型ライカという点に満足を見いだし、画質に目をつむってしまっているのではないか、という懸念がよぎる。その一方で、RAWならいけるという予感もあった。あの荒れた画質はJPEG圧縮の問題であって、RAWから現像すれば良好な画像が得られるのではないか。根本的に低画質なのか、それともJPEG圧縮の問題か。答えは作例を見ていただければ自ずとわかるだろう。以下の作例はRAWデータをLightroomに読み込み、そのまま現像したものだ。レンズはG Biogon T* 28mm/f2.8を使用。UV/IRフィルターを装着し、6ビットコード検出はオフにしている。

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一見してわかるのは、きわめてシャープな画像だということ。シャープネスを優先するためにローパスフィルターを搭載していないというが、その効果を実感できる。ただし、ローパスフィルターがないとモアレが発生しやすい。M8はソフトウェア処理でモアレ除去を行っているものの、やはり条件によって“それなりの高確率”で発生する。一方、雲の表情に注目すると、すぐれた立体感が目を見張る。日頃からEOS-1D Mark IIIを使っているが、ここまでの階調性はお目にかかったことがない。特にシャドウ部の粘りは特筆モノであり、“ライカらしさ”といっていいだろう。なお、周辺部がシアンドリフトを起こしているが、これは6ビットコード検出がオフになっているためだ。個人的には、屋外撮影だとほどよい青かぶりに感じられるため、しばらくはこのまま使ってみようと思っている。

このように、RAW現像したM8の画質は申し分ない。ただ、JPEG撮って出しはお世辞にも高画質といえず、圧縮がかなりキツイのではないかと推測できる。事実、試写したJPEG撮って出しはウェブで見た画像とそっくりの傾向で、圧縮荒れとジャギーがひどかった。

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左がJPEG Fine(最高画質)の撮って出し、右はRAWデータをLightroomに読み込み、無補正で現像したものだ。それぞれ等倍表示している。ジャギーの有無が明確にわかるだろう。というわけで、M8はRAW専用で使うことにした。ただし、ここでひとつ問題が……。M8はSDHC未対応。一応4GBメディアには対応しているようだが、安全性と高速性のバランスを重視するなら、高速タイプの2GBが現実的なチョイスとなる。2GBだとRAW撮りは190枚弱。メディア1枚では半日もたないのだ。いくらライカといえどもデジタルカメラである以上、目の前の技術が使えないのはツライ。アップグレードでサファイアガラスの液晶モニタを提供するくらいなら、SDHC対応を先行してほしい。

【ドレスアップの楽園】
M型ライカといえば、やはりドレスアップについて触れなくては。ぼくはGR DIGITALのドレスアップが大好きなのだが、そのお手本にしているのがM型ライカのスタイルだ。で、本家M型ライカを手に入れたわけだから、ノーマルのまま使うはずがない。そうはいってもボディ購入ですっかり散財してしまったので、ちょろっと小物アクセサリーを付けてみた。

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ONE-OFFのソフトレリーズボタンと関東カメラサービスのアクセサリーシューカバーだ。ふたつ合わせても三千円ちょっと。安いわりにスタイルが引き締まり、とてもお得感のあるドレスアップだと思う。

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レンズフードはMSオプティカルR&DのM46システムスリットフードを付けてみた。これはGR DIGITALカスタム用に購入したものだが、そもそもは改造ビオゴンなど、L/Mマウントの広角レンズ向けのフードだ。よってこれが本来のあるべき姿となる。レンズのくびれから四方に広がる曲線、そして繊細な印象がステキ(笑)。ライカは純正アクセサリーだけでもたくさんあって、いろいろ遊べそうな予感。とりあえずは純正ライカレンズを買わないと。メガネ付きSummaron 35mm/f3.5か、初期型Summilux 35mm/f1.4か、はたまた固定鏡胴のSummicron 50mm/f2か。夜な夜なヤフオク巡回が止まりません。

●M8の写真は以下に順次アップしていきます。
metalmickey's montage : Leica M8

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March 14, 2008

Google Sky ウェブ版が失ったもの

Google Skyのウェブバージョンがリリースされた。Google Earthの一機能として追加されたSkyモードが、ついに独立コンテンツとして登場だ。ブラウザで閲覧できて便利な反面、心に巣食うこの虚しさ……。Google Skyを使っていると、少々複雑な気持ちでなってしまう。

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【Mapsのインターフェイスで使いやすく】
Google Skyウェブ版は、機能的にGoogle EarthのSkyモードを踏襲し、インターフェイスはGoogle Mapsに準じている。日本語ローカライズも徹底し(一部翻訳ソフト調だけど……)、誰もが気軽に使える宇宙ビューワだ。また、KMLファイルの読み込み(当該ファイルへのリンクで実現)にも対応。ベテランユーザーからGoogle EarthのSkyモードを知らない人まで、ユーザースキルを問わず色々と楽しめるはずだ。まずはGoogle Skyウェブ版で何ができるのか、それを見ていこう。

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画面下段にサムネイル上のコンテンツメニューがある。ここをクリックすると、天体写真、星座線、太陽系の惑星の現在位置などが閲覧可能。これがGoogle Skyのメインコンテンツだ。

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上の画面はハッブルショーケースを表示したところ。下段に天体写真のサムネイルが並び、それぞれをクリックすると瞬間ワープして衛星写真を大きく表示してくれる。Google Earthではレイヤーパネルからこうした操作を行っていたが、それよりもインターフェイスとして洗練された印象を受ける。

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画面の右上のボタンをクリックすると、赤外線、マイクロ波、ラムゼイ天体地図をオーバーレイ表示できる。それぞれ透明度を調節するスライドバーがあり、天体写真との相関関係を確認できるのが特長だ。

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検索窓を備えているところは、さすがというかやはりというか、Googleサービスの「らしさ」が感じられる。キーワードを入力すると検索結果をプルダウンメニューで表示。クリックしたものがメイン画面に大きくあらわれる。

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画面左上にはGoogle Moon/Marsのリンクがあり、Googleの宇宙コンテンツがずいぶんと充実してきたことを実感する。特にGoogle Moonはアポロ計画の資料を多数収録しており、一見の価値がある。

一通り使ってみた感触としては、Google Mapsのインターフェイスを拝借したことにより、ずいぶんとコンテンツにアクセスしやすくなった。その一方で、天体写真ビューワという性格がより明確になった気もする。つまりGoogle Skyウェブ版は、Mitakaのような宇宙シミュレータではなく、天体写真を見るためのビューワサービスというわけだ。ただ、この点はGoogle EarthのSkyモードと同様で、いまさら落胆するほどでもない。実はもっと大きな喪失感が待ちかまえているからだ。

【ウェブ版が失った3Dフィーリング】
Google EarthのSkyモードも天体写真ビューワにちがいなかったが、それでも3Dの天球に写真を敷き詰めることで、宇宙空間を再現していた。むろんそれはMitakaのようなシミュレーションではないものの、移動時のモーションに慣性をつけ、宇宙遊泳気分を巧みに演出していたと思う。しかしGoogle Skyウェブ版は、とめどなく平面的だ。Google Mapsのインターフェイスを用いたのが原因と思われるが、移動時に3D空間を感じることはできない。この喪失感は、致命的だと思う。

Google Earthがブレイクしたのは、世界中の衛星写真が見られるからだろうか。もちろん世界中を俯瞰する感覚はとても斬新だったし、地理データベースとしての有効性も先進的だった。しかしそれ以上に、マウスで地球体を動かし、世界の至るところにダイブするようなフィーリング――3D遊泳がおもしろかったのではないか。慣性力をともなうパンやズーミングは、たしかにマウス操作の演出にすぎない。ただ、そのちょっとした演出が、お堅くなりがちな地勢ソフトを、エンターテイメントに昇華していた。残念なことにGoogle Skyウェブ版は、それがない。

ウェブサービスに3Dを求めることは無茶な話だろうか。いや、Virtual Earth 3Dは着々と3D都市を増やし、北米のみならずヨーロッパにも進出しはじめたという。アプローチは色々と考えられるだろう。けっして無い物ねだりではないはずだ。


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March 12, 2008

GR DIGITAL II テレコンフード装着の奥の手

これまでカブセ式を中心に物色してきたテレコン「GT-1」のフードだが、いよいよ行き詰まってしまった。テレコンの外径は62mm弱。この微妙なサイズにフィットするカブセ式フードが見つからない。そんな折り、当ブログを見てくれているecさんが、耳よりな情報を寄せてくれた。「その手があったか!」と目からウロコのナイスアイディアだ。

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【58mm径フードを内ハメ式で】
ecさんから教えてもらったテクニックはこうだ。テレコンの内径は58mm強。よって58mm径のレンズフードがはまる。少々ゆるいが、ハマるにはハマる。そこで紙テープを細く切り、テレコンの内周とフードの外周にテーピング。要は紙テープをスペーサー代わりにするわけだ。そしてテレコンにフードをグリグリ押し込むと、いやあこれが思いのほかしっかりと固定できる。いわば、内ハメ式といったところだ。

Lmimg_018532_2 そんなわけで、手持ちの58mm径フードを取り付けてみたのが上の写真だ。これはMC Biometar 80mm/f2.8用のフード。このレンズはPENTACON Sixという中判カメラ(左写真参照)用のもので、中判カメラの80mmは標準レンズに相当する。つまり、35mmフィルム換算で40mm相当のテレコン「GT-1」でもイケるのではないか、と。ちなみに、紙テープはパーマセルテープを使うことにした。パーマセルテープは剥離性がよいので、いつでも元に戻せる。しかもはがしやすい割りにほどよい粘着性もあり、この手のトライアンドエラーにウッテツケだ。もし本格的に取り付けるのであれば、ウーペを両面テープでテレコン内周に貼り付けてもいい。多少厚みのあるテープなら、フード側にはテーピングしなくてもそのままいけるかもしれない。

【ケラレとゴーストは消えるのか!?】
さて、肝心のケラレはどうだろう。以前、バトラーキャップを装着した際はさんざんな結果に終わったが、今回はどうにか許容範囲内の写真が撮れた。まずはアスペクト比4:3のサンプルから見てもらおう。

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【GR DIGITAL II 4:3】

ベランダからの花粉飛び散るナイスビューでお送りしております。手抜きサンプルですみません。それはさておき、四隅に若干ケラレがある。無視できなくもないが、カメラをやっている人なら「ケラレてるなあ」とひと目でわかってしまう。では、アスペクト比3:2ではどうか。

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【GR DIGITAL II 3:2】

右上に、ごくわずかにケラレが見える。でも、これくらいなら無視できそうだ。全面にわたっていろいろと写り込んだ写真なら、まずもってケラレが気になることはないだろう。

とまあ、そんなこんなで、ケラレないフードをテレコンに装着できるようになった。ただし、このフードを付けても赤い悪魔――ゴーストは防げない。つまり、実用的なカスタムとはいえないだろう。かといって、ドレスアップという側面から見ても微妙な姿だし……、どうしましょうか!?

唯一の救いは、革巻きアダプタとレンズフードの柄が、奇跡的(笑)にマッチしてるってところかなあ。GT-1、一筋縄ではいきませぬ。

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March 07, 2008

Lightroom カタログファイルにリベンジ

抜かりました(汗)。先日の記事でLightroomはカタログファイルの別名保存・分割保存ができないと書きましたが、できます! yanzさんからのアドバイスでアドビ社のチュートリアルを見たところ、カタログファイルの書き出し応用テクニックを紹介してました。そこで今回はライブラリ機能の追補として、カタログファイルと改めて闘います。

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【プロとアマで管理スタイルがちがう】
はじめにアドビ社のチュートリアルの内容をざっくり紹介しておこう。チュートリアルで解説しているテクニックは、すべての写真を含むカタログファイルから、特定の写真だけを選んで画像データごとカタログファイルとして書き出すというもの。このテクニックは、たとえばこんなシーンで活用できる。製品撮影の写真を含むカタログファイルから、OKカットだけを選び、画像データごとカタログファイルを外付けHDDに保存。外付けHDDの画像データ込みのカタログファイルをクライアントに納品し、不要カットの写真群はまるまる削除する。てな感じ。

これならOKカットを確実にバックアップできるし、不要カットでHDD容量を圧迫することもない。抽出保存とでもいうべきテクニックだが、これを応用すれば、別名保存や分割保存も可能になる。毎日のように仕事で撮影するプロフォトグラファーには便利な機能だ。でも、アマチュア写真家はどうだろう。たとえば土日の一泊旅行の写真、OKカットをバックアップしたから残りを全削除……なんてできるだろうか。少なくとも、ぼくにはできない。プライベートフォトはOKカットもNGカットも分け隔てなく、かけがえのない思い出だ。時間をおいて見直すと、NGカットの方がいきいきしていた、なんてこともよくある。仕事の写真は納品して終わりだが、プライベートフォトは記録なので終わりがない。プロは写真を捨てられる。アマは写真を捨てられない。ここでプロとアマの管理スタイルのちがいが明確になってくる。

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じゃあ、どんな風に管理したらいいのさ!? ということになる。ぼくの場合は、シンプルにフォルダ管理だ。photoと名付けた写真保存用フォルダの下層に「年月日+カメラ名+レンズ名+イベント名」という名前のフォルダを作る。具体的には「20080307_mk3_flek35上野動物園」といった感じ。こうしたフォルダを撮影のたびに作り、そこに該当写真を放り込んでいる。おそらく未来永劫、こうやって写真をひたすら貯め込んでいく予定だ。なんのひねりもない管理方法だけど、年月日の数値で簡単にお目当ての写真を探し出せるし、エクスプローラ上では昇順に並んでくれるのでとても見やすい。年月日は重複のないユニークコードなので、死ぬまでフォルダを作り続けても大丈夫。西暦が五桁になるとこの管理スタイルはアウトだが、幸いそれまでには死んでる。きっと地球も消滅してる。年月日フォルダ管理はある意味、最強かもしれない。

最近はHDD内の写真を自動で年代順に管理する機能が流行っているが、そうしたものには頼らない。あくまでも意図的かつ明示的にフォルダ管理している。ちなみに、これらのフォルダはけっしてクローンを作らない。もちろんバックアップは別ドライブにしているが、オリジナルデータの複製は行わない。なにしろほとんどの画像がRAWデータだから、複製するとどちらのデータに現像処理を施したのかわからなくなってしまう。また、写真を分散保存するとパソコンを乗り換える際に移行し忘れる可能性があるので(90年代に一度、やっちまいました……)、写真専用フォルダを決め、そこに一括保存するようにしているのだ。

とまあ、こんな風にオリジナル画像を管理しているのだが、カタログファイルの登場でちと面倒なことになりだした。Lightroomを使い出す前は、SILKYPIXとDigital Photo Professionalを併用。どちらもフォルダを直接参照するタイプのソフトなので、別段ノントラブルでRAW現像を楽しんでいた。ところがLightroomのカタログファイルは単なるプレビューインデックスではなく、現像設定を含んだデータベースだ。たとえば、「上野動物園」というフォルダの写真を、カタログファイルAとカタログファイルBで別々に読み込み、別々の現像を施し、それぞれ独立して保存できてしまう。もちろんこれは多機能かつ高性能というわけだが、ぼくとしては「一度現像処理した写真は、どのカタログファイルに読み込んでも同一の現像設定をキープしている」状態にしたい。つまり、カタログファイル間で整合性をとっておきたいのだ。そのための処理がxmpファイルの生成であり、先日書いた「Lightroomのライブラリは本当に便利か!?」の骨子だ。

【カタログだけを書き出すプチTips】
実は「カタログの書き出し」機能については以前から知っていた。あれはアドビ主催のLightroom beta 4の説明会だったと思うが、画像と現像設定を一括出力できて便利だなあと感心したのをおぼえている。ただひとつ、勝手な思い込みで誤解している部分があった。その誤解とは「常に画像データを含んでしまう」ということ。〈ファイル〉メニューの〈カタログとして書き出し〉を実行すると、常に画像データ込みのカタログファイルを書き出してしまうと勘違いしていた。ええ、純粋にカタログファイルだけを書き出す方法、あるんですね。見落としてました(笑)。別名保存、分割保存、思いのままです。以下、その使い方例として、別名保存のやり方を載せておきます。

まず、別名保存したいカタログファイルを読み込む。もし、一部の写真だけを書き出す場合は、それらの写真を選択。たとえば、星3つ以上とか、フラグ付きのみとかは、〈編集〉メニューからまとめて選択するとよい。とりあえずここではカタログファイル全体の別名保存が目標なので、該当カタログを読み込むだけでOKだ。

Clg04

メニューバーの〈ファイル〉→〈カタログとして書き出し〉をクリックする。保存先のフォルダを選び、ファイル名を付ける。そして、画面の下段に注目してほしい。

Clg05

〈使用可能なプレビューを含める〉にだけチェックを入れるこれが純粋にカタログファイルだけを書き出すコツだ。〈元画像を書き出し〉にチェックが入っていると、書き出し実行で画像+カタログの状態で出力してしまう。ちなみに、選択画像に限定したカタログファイルを書き出したいときは、〈選択した写真だけを書き出し〉をチェックしておく(複数画像を選択した状態で〈カタログとして書き出し〉をクリックすると、自動的にチェックが入るようだ)。要は〈使用可能なプレビューを含める〉だけチェックしておけば、読み込んだカタログファイル全体の、カタログ情報のみの別名保存が可能になるわけだ。

とりとめもなく書いてしまったが、yanzさんのアドバイスがきっかけとなり、どうにかカタログファイルをハンドリングできそうな予感がしてきた。ふと思うに、画像なしカタログを自由に書き出せるということは、xmpファイルなんて生成しなくてもいいのか……。アドビのソフトは高性能でさらに自由度が大きいけれど、ときとして使い方のメインルートが見えなくて途方にくれる。闘えどリベンジ果たせず。そんな気分です。

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March 02, 2008

Lightroom のライブラリは本当に便利か!?

ズボラぶっこいていたら、Lightroomがエライことになってしまった。読み込み枚数が3万枚を超え、スワップしまくりでひどく動作が重い。メインメモリ2GBのVistaマシンなのだが、メモリ使用量はMax! そりゃスワップするよなあ、なんて感心してる場合じゃなくて、そろそろカタログファイルをちゃんと整理せにゃいかん。というわけで、Lightroomのライブラリ機能と格闘してみた。

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【ライブラリ機能はデータベース】
Lightroomのライブラリはビューワ画面ではない。こいつはデータベースだ。カタログファイルの正体とは、要は画像データベースというわけ。カタログファイルには画像の保存場所、サムネイル、現像設定などなど、読み込んだ画像にまつわる情報が記録されている。もちろんデータベースだから、検索はお手のものだ。フラグやスターでの絞り込みは当然として、EXIFの値やタグ付けしたキーワードでもスピーディに絞り込める。かくいうぼくも、この検索性に魅せられてつい3万枚も読み込んでしまったのだ。

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日頃からオールドレンズを使っているのだが、この手のレンズはEXIFに焦点距離やレンズ名が一切反映されない。そこでライブラリに読み込む際、キーワードタグを付けておく。こうすると、左ペインのキーワードタグから簡単にレンズ別に画像を一覧表示できる。画像は往々にしてフォルダごとに管理するが、Lightroomのライブラリ機能ならフォルダにとらわれず、横断的に画像検索できるのだ。このオールドレンズ別横断検索があまり便利で、つい延々と画像を読み込んでしまったが、アドビによると、ひとつのカタログファイル(データベース)につき1万枚が目安だという。それ以上になるとパフォーマンス低下が顕著になってくる。さらにアドビによれば、ライブラリ機能はプロジェクト単位での使用を前提としているようだ。プロジェクト単位という表現は少々わかりづらいが、そもそもLightroomはプロフォトグラファー向けのソフト、お仕事単位でカタログファイルを切り替えてくれというわけだ。

【xmpファイルで現像設定を書き出す】
そんなこんなのライブラリ機能だが、パーソナルユースではどうしたらいいのか。ぼくの撮影ペースは月に1000~2000枚程度。とりあえずは半年から一年でカタログファイルを切り替えていくことにした。まあこれからのことはいいが、問題は過去のカタログファイル。こいつはさすがに肥大しすぎなので、どうにか分割保存しておきたい。ただ、カタログファイルの分割や別名保存は若干使いこなしを要する。ならばいっそ、新規カタログファイルを作り、そこに過去の画像を一定期間ごとに読み込んではどうか。しかし、ここでトラブルが発生した。新規カタログに過去の画像を読み込んだところ、現像設定が白紙になっている。ただ単なる新規読み込みなのだ。

初期設定のLightroomは、現像設定をカタログファイルに保存している。つまり、別のカタログファイルに現像済み画像を読み込んでも、現像設定は引き継がれない。カタログファイル間で現像設定を共有するには、xmpファイルの生成が必要となる。このxmpファイルとは、そもそもPhotoshopのCameraRawと情報共有するためのファイルだ。xmpファイルには現像設定が保存されており、Lightroomで現像した写真をPhotoshopに読み込んだとき、現像設定もそのまま引き継がれるというもの。まさかこいつがカタログファイルの現像設定共有にも使われてるなんて、思っても見なかった……。

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そんなわけで、早速xmpファイルを生成することにした。メニューバーの〈ファイル〉→〈カタログ設定〉をクリックして、〈メタデータ〉タブを開く。〈変更点をXMPに自動的に書き込む〉をチェックオンにして〈OK〉ボタンをクリックしよう。バックグランドで読み込み済み画像のxmpファイル生成がスタート。ただし、作成中にプログレスバーなどは一切表示されないので、途中でLightroomを終了しないように。読み込み画像が多い場合は寝る前にでも設定変更して、一晩放置しておいた方がよい。マシンスペックにもよると思うが、万枚単位のxmpファイル生成はけっこう時間がかかります。

Dump04

数時間後、画像を保存してあるフォルダを開くと、RAWデータにまじってxmpファイルがズラリと並ぶ。xmpファイルはどのカタログファイルからも参照されるため、現像設定を共有できるというわけだ。むろん、現像設定を変更すれば即時xmpファイルは更新されてしまうため、完成データをイジる際は十分に注意したい。なお、DNG形式のRAWデータは、RAWデータ内に現像設定をサイドカーとして書き込む。この場合はxmpファイルが生成されないが、現像設定はちゃんと共有できるのでご安心を。また、JPEGも同様にファイル内に現像設定が埋め込まれ、別のカタログファイルに読み込んだ際もちゃんと現像設定が反映されるようになっている。

【キーワードセットは最大9つまで】
現像設定をカタログファイル間で共有できるようになり、とりあえずはカタログファイル管理のメドがついた。ただ、新規カタログで画像を読み込んでいくと、さらにプチトラブルに遭遇。今度はキーワードタグがカタログファイル間で共有できないことが判明した。痛い、こいつは微妙に痛い。

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上の画面はライブラリに新規フォルダを読み込む際のもの。読み込み時にキーワードタグが入力でき、しかもオートコンプリート機能で入力の手間を省いてくれる。一度入力したキーワードをカタログファイルに記憶し、二回目以降は類似キーワードを選択候補として表示してくれるのだ。ただ、このキーワードはあくまでもカタログファイルに保存されているため、新規カタログファイルには引き継がれない。イチから入力し直しなのだ。

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一応Lightroomにはキーワードセットという機能があり、ひとつのセットにつきキーワードタグを最大9つまで登録できる。メニューバーの〈メタデータ〉→〈キーワードセット〉→〈編集〉で上記の画面を呼び出し、プリセット登録していくわけだ。このキーワードセットはカタログファイル間で共有できるので、とりあえずの対処は可能。ただ、ワンセット9つって微妙に少ないような……。手持ちのオールドレンズは9本以上あるわけで、ええと、マウントごとにプリセット作れってことですか。

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とまあそんなこんなで、ナンとかカタログファイルがハンドリングできるようになった。でもどうなんだろう、Lightroomのライブラリ機能って、便利だけどかなりわかりづらいのではないか。上の画面はキヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」だ。フォルダを直接参照するビューワスタイルを採用。Lightroomほどの検索機能はないが、フォルダ名に規則性を持たせて管理している人ならば、むしろこちらの方が使いやすいと思う。

そもそもLightroomは、「プロフォトグラファーがベテランパソコンユーザーとはかぎらない」という立脚地で開発されている。だからこそ、画像管理→現像→プリントといったワークフロー重視の設計、このソフト1本ですべてが完結する設計になっているのだ。もしそうならば、カタログファイルの管理はもっと洗練されていいだろう。現在のライブラリ機能は、カタログファイルを管理しようと思った途端、かなりの面倒をユーザーに強いる。いわば「やろうと思えばできる」といったレベル。「やりたいことができる」レベルではない。せめて、作成済みカタログファイルの一覧画面でもあれば、ずいぶんと見通しがよくなるのだが。

アドビはカタログファイルを、プロジェクト単位で使ってほしいという。しかしデータベースは、情報量が多ければ多いほど、その価値が高まる。プロジェクト単位というショートスパンの作業なら、フォルダの直接参照で十分だ。データベース機能を組み込んだからには、そのメリットを最大限活かせるよう、今後のブラッシュアップに期待したい。

●追記
yanzさんからアドバイスをいただき、カタログファイルの機能について修正しました。yanzさん、本当にありがとう。カタログファイルのハンドリングはリアルに困っていたので、とても助かりました。また後日、yanzさんのアドバイスを参考にしてカタログファイルについてまとめてみたいと思います。

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