G Biogon T* 2.8/28 改造の果てに
少し前から写真家飯塚達央さんのブログを拝見している。チェックしはじめて当初は「やっぱ北海道の写真はいいなあ」と冷静に見ていられたのだが、ここ最近トンでもないことになってきた。R-D1sとG Biogon 2.8/28で撮った写真が連日のようにアップされ、濃厚さといい周辺光量の落ち具合といい、たまらなくステキなのだ。そんなわけでつい、見境もなくポチってしまった。
このG Biogon T* 2.8/28は、CONTAX Gシリーズというレンジファインダーカメラ用のレンズだ。先の飯塚達央さんはこれをMマウントに改造してR-D1sで撮っている。実はコシナからBiogon T* 2.8/28 ZMというMマウントのBiogonが現行発売されているのだが、それはそれ、必ずしも同じ写りではないだろう。飯塚達央さんの写真に感化されたのであれば、やはりG用Biogonを手に入れ、それで撮るしかない。もちろん向こうはプロの写真家さん、ぼくが同じ機材を揃えたからといって、同じように撮れるわけじゃあない。そんなことは百も承知ですが、ガマンできないモンは我慢できんのですよ。
Mマウント改造はMSオプティカルR&Dというライカ関係では有名なショップにお願いした。正確にはLマウント改造してL-M変換リングをかますのだが、その改造費たるやG Biogon本体の価格も含めると、コシナBiogonが新品購入できるほど……。正直、悩む。でも、手元にはすでにG Biogon T* 2.8/28があるわけで、後にも引けない。改造依頼してから数日、こんな姿になって戻ってきた。
く、くびれがたまらん(鼻血)。このフォルムはどう考えたって反則だろぉ。
かつてGR DIGITALのカスタマイズで購入したM46システムスリットフードを付けてみた。改造レンズという雰囲気はなく、これがこのまま売られていてもぜんぜんおかしくない。いやあ、レンジファインダーの世界ってホント、奥深いんだなあ。
で、ボディ。ボディはええと、まだ買ってません……。
R-D1sをショッピングカートまで入れたものの、どうしてもポチれなかった。R-D1sはステキなカメラだと思う。でも、写真機というよりはデジタル機器だな、と。発売からの経年を考えたとき、これから20万近いお金を払ってそれに見合う満足が得られるのかどうか。無理をしてでもLEICA M8を買った方がいいのではないか、と。
むろん、M8の評判は微妙なところだ。赤外線フィルターの問題で黒がマゼンタかぶりする。それを抑えるためにUV/IRフィルターを付けると、今度は広角レンズでシアンドリフトが発生。6ビットコードで制御できるようだが、純正レンズでさえ6ビットコード化は有償。フェイク6ビットコードという手もあるが、それはそれでけっこう大変……という具合。まあ国内製品ならまちがいなく、回収騒ぎになるプロダクトクオリティだ。こうしたもろもろのトラブルを抱えつつ、60万円前後というプレミアムプライス。正常な判断のできる人なら、買わない。しかしM8が悩ましいのは、ちゃんと写真機の匂いがする。この写真機っぽさが正常な判断を狂わせる。
M8の画質については賛否両論あるだろう。ネット上のフルサイズ画像を見ると、斜め線で悉くジャギーが走り、細部はベタッとつぶれ、お世辞にも良好なコンディションとはいえない。それでも何か独特の存在感を醸すのは、デジタル一眼レフ的な画像解釈で物足りない写真だとしても、レンジファインダー的画像解釈においてきわめてすぐれているからではないか。そんな予感がするのだ。つまり、レンジファインダー派の人々は、一眼レフ派と異なる視点で写真を見ているのではないか、と。ここ最近特に思うのは、彼らが見ているものをぼくも感じてみたいということ。そのためには、自分の手で触れその目で撮って見るのが一番の近道だろう。
R-D1sかM8か、それともフィルムのレンジファインダー機か。どこにどう転ぶかわからないけど、今年はレンジファインダーで遊びますよ。なにしろGR DIGITALカスタム用に買ったファインダーとフードがたっぷりあるから、ドレスアップはやりたい放題(笑)。とりあえず、走れるところまで走ってみます。