P904i Bluetooth経由でデータ通信
P904iを買ってから丸二日、Bluetoothとひたすら格闘した。Bluetooth搭載パソコンとワイヤレスでデータ通信したいのだが、これがなかなかどうしてうまくいかない。ぼくが理想として思い描いているのは、セットアップからデータ通信開始まで、すべてUSBケーブルを使わず、Bluetoothのみで行うこと。いやあ、けっこうめんどくさかった(笑)。そんなわけで、なんとかセットアップできるようになったので、その手順覚え書きを載せておきます。
まず環境から明記しておこう。ケータイはP904i。パソコンは今年の2月に購入したVistaプレインストールのVAIO Type R master。このマシンはBluetoothを搭載していて、「Bluetooth Stack for Windows by Toshiba」という東芝製のデバイスドライバとBluetoothユーティリティがプレインストールされている。今回はこの東芝製ユーティリティを使い、FOMAの64Kデータ通信とパケット通信のダイヤルアップネットワークを作成してみたい。ドコモは「FOMA PC設定ソフト」というセットアップツールを無償公開しているが、どうもこのソフト、Bluetooth経由だとうまくセットアップできない。USB接続のみを想定したソフトなのだろうか。悩んでも前に進めないので、確実な方法で参ります。
【64Kデータ通信のセットアップ手順】
64Kデータ通信から解説していこう。これはごくごくフツーのダイヤルアップ接続と考えればいい。ケータイがモデムとなり、プロバイダのアクセスポイントに電話をかけてインターネットに接続する。特殊事項はひとつだけ、パソコンとモデム代わりになるケータイが、Bluetoothによってワイヤレス化されているだけだ。東芝製Bluetoothユーティリティを使うと、Bluetooth機器のペアリングを行いつつ、その流れでダイヤルアップネットワークを作成してくれる。ペアリングとデータ通信設定をひとつのウィザードで行うわけだ。早速セットアップの手順を見ていこう。
タスクトレイのアイコンから右クリックメニューを出し、 〈Bluetooth設定〉をクリックする。
「Bluetooth設定」という画面があらわれるので、〈新しい接続〉をクリックしよう。
ウィザードが画面にあらわれるので、〈エクスプレスモード〉を選択する。〈次へ〉をクリックしたいところだが、マウスから手を離してケータイを握ろう。この後、パソコンとケータイをペアリングすることになるので、そのためにケータイを待機状態にしておく必要があるのだ。
P904iでメニューを出し、「LifeKit」メニューの〈Bluetooth〉を選択する。これがその画面だ。3番の〈ダイヤルアップ登録待機〉を選ぼう。
端末暗証番号(4桁の数字)を入力する。初期設定では「0000」になっているので、事前に変更していなければ「0000」を、変更している場合はその番号を入力しよう。
ケータイが待機中になった。このダイヤルアップ登録待機という用語はわかりづらいが、要はペアリング待機と考えてほしい。これからパソコン画面にもどってBluetoothのペアリングに着手する。
ケータイをペアリング待機にした状態で、ウィザードの前画面の〈次へ〉をクリック。するとこのような画面になり、パソコンがBluetooth機器を検索しはじめる。
無事発見できた(笑)。〈P904i〉を選択した状態で〈次へ〉をクリック。ここがひとつめの山場、パソコンとケータイのペアリング開始だ!
Bluetoothのパスキーがウンチャラカンチャラと書いてある。Bluetoothパスキー(PINコード)とは、Bluetooth機器をペアリングする際に必要なコードのこと。双方の機器に同じパスキーを設定して、はじめてペアリングが成立するのだ。
ケータイを見ると、パソコンから接続要求があったと表示されている。もちろん〈YES〉を選ぼう。
Bluetoothパスキーの入力画面があらわれる。4桁で任意の数字を入力しよう。
すかさずパソコンを見ると、こちらもパスキーの入力画面があらわれる。ケータイに入力した4桁の数字を入力しよう。
ペアリングに成功して、パソコンとケータイの間がBluetoothでワイヤレス接続される。ホッと一息という感じ。なお、このペアリング作業はタイムアウトが短めに設定してあるようなので、さくさくと作業を進めよう。操作にもたつくとすぐにタイムアウトしてしまう。
モデムのインストールがはじまる。これはケータイをBluetooth経由でモデムとして使うためのドライバだ。
ここからはダイヤルアップネットワークの設定に突入する。Bluetooth経由でケータイをモデムとして使い、ダイヤルアップするための設定だ。
ああ、どこか懐かしいダイヤルアップネットワーク設定画面。一応、ここがふたつめの山場だ。電話番号、ユーザー名、パスワードを入力しよう。この電話番号というのは、契約しているプロバイダのFOMA用アクセスポイントの番号だ。ぼくはniftyユーザーなのでniftyを例にとると、「0035-054-101010」と入力する。詳しくはniftyのサポートページを参照してほしい。プロバイダによって電話番号が異なるので、めいめい調べて入力しよう。
「Bluetooth設定」に新しいアイコンがあらわれる。これをダブルクリックするとケータイにアクセスしてネットワーク接続してくれるわけだが、ちょいとケータイ側で下準備が必要だ。ケータイを接続待機の状態にしておかないと、アイコンをダブルクリックしても接続できないのだ。
例によってBluetoothメニューを開き、1番の〈登録機器リスト〉を選ぶ。
この登録機器リストはペアリング済みBluetooth機器のリストだ。画面ではさきほど登録したパソコンが表示されているので、このパソコンを選択する。
4番の〈ダイヤルアップ〉を選ぶ。ここで選択したBluetooth機器からの接続を待機してくれるのだ。
待ち受け画面を表示すると、右上にBluetoothの青いマークがあらわれる。これが待機中の目印だ。パソコンにもどってダイヤルアップネットワークのアイコンをダブルクリックしよう。データ通信を開始すると、青いマークが点滅する。
とまあ、こんな具合で64Kデータ通信のセットアップは完了だ。う~ん、長い道のり。ぜんぜんシンプルじゃない(笑)。大まかな流れをおさらいしておくと、ペアリング→ダイヤルアップネットワーク作成→ケータイを接続待機状態に、ということになる。つまずきそうなポイントとしては、ペアリング時はケータイをダイヤルアップ待機中にしておき、データ通信したいときは同じくケータイを接続待機にしておく、というあたりか。みなさん、大丈夫ですか。ついてこれてますか? ああもう、ぼくがへばってます。
【パケット通信のセットアップ手順】
さあ引き続きパケット通信のセットアップに着手だ。すでにケータイとパソコンをペアリングしてあるので、ダイヤルアップネットワークの作成だけでOK。こりゃ楽勝だね、と思ったアナタ、いやいやこれからが本番ですから。気を抜かないように(笑)。
まずパケット通信とは何か。これはケータイを使ったPPP接続ならびにIP接続だ。よってプロバイダに電話をかけてアクセスするのではなく、特定ドメインにネットワーク接続することになる。PPP接続なのにダイヤルアップネットワーク……。この微妙さがたまらない。ポイントはAPN(アクセスポイントネーム)の設定。接続するべきドメインを指定し、そこにアクセスするわけだ。ここに独自のお作法が介在するが、順を追って説明していこう。
前述の通り、パケット通信はAPNの設定が必要だ。実はこのAPN、パソコンの設定項目ではない。ケータイ本体にAPNのドメイン名を登録し、ダイヤルアップネットワークで登録した番号を指定する。こうすることでネットワーク接続を実現しているのだ。じゃあ、どうやってケータイにAPNを登録するのか? それはケータイ付属のFOMA PC設定ソフトを使う。〈接続先(APN)設定〉ボタンをクリックしよう。
冒頭で述べたように、このソフトはBluetooth経由でケータイを認識してくれない。ケータイをパソコンとUSBケーブルでつなぎ、〈OK〉ボタンをクリック。せっかくBluetooth搭載なのにもったいない……。
APNの設定画面があらわれる。初期状態では1番と3番にモペラが登録済み。他のプロバイダを使っている人は、そのプロバイダのドメインを追加しなくてはならない。〈追加〉ボタンをクリックだ。
〈接続先(APN)〉にドメインを入力する。niftyの場合は「nifty.com」だ。ここは契約しているプロバイダによって異なるので、めいめい調べて入力するように。〈番号(cid)〉は初期状態だと2番になっている。ここではパソコン画面取得のため4番になっているが、初期設定の2番のままで問題ない。 〈接続方式〉はPPP接続とIP接続が選択可能。これもプロバイダによってまちまちのようだが、niftyは双方に対応していた。一通り設定し終えたら、〈OK〉ボタンをクリックしよう。前画面にもどるので、〈FOMA端末へ設定を書き込む〉をクリックする。
この画面が表示されたらAPNの設定は完了だ。ケータイのUSBケーブルをパソコンから抜いておこう。大丈夫ですか、へばってませんか? まだまだこれからですから(笑)。
ダイヤルアップネットワークの作成に取りかかろう。Bluetooth設定ユーティリティを起動して、〈新しい接続〉をクリックする。
〈エクスプレスモード〉を選んで〈次へ〉をクリックする。でもその前に、忘れずにケータイをダイヤルアップ接続待機にしておこう。
パソコン側のBluetoothがケータイを探してます。がんばれぇ。
見つかりました。さきほどはこのあとペアリングにともなってBluetoothパスキーを入力したが、この作業は一度やっておけばOK。よって〈次へ〉をクリックすれば自動的にウィザードが進んでいく。
Bluetooth経由のモデム用ドライバがインストールされる。新しい接続を作るたびにモデムは増えていきます。今回のテストでモデムが最大6個になりました。まあ、どうでもいい話ですが。
ダイヤルアップネットワーク作成の下準備が整ったようです。さあ、ここからもう一山ありますよ。しっかし長げぇ手順だなあ。
ハイこの画面、かなり重要。パケット通信は本来PPP接続だが、ダイヤルアップネットワークの機能を使ってネットワーク接続する。 ユーザー名とパスワードは各々プロバイダのFOMAパケット通信用設定を参照して入力すればOKだが、問題は電話番号だ。PPP接続なんだから電話をかけても仕方ない。実はパケット通信の場合、ここにATコマンドを入力するのだ。いやあ、のけぞるねえ。2007年にもなってATコマンドなんて言葉と遭遇するとは。ここまでこの記事通りに設定してきた場合は「*99***2#」と入力。下2桁目の「2」という番号は、APNで指定したcid番号に相当する。仮にAPNの設定でドメインを5番に登録した場合は「*99***5#」となるわけだ。
ついにできました、パケット通信用のダイヤルアップネットワーク。これまでの苦労をかみしめながらダブルクリックしよう。そうそう、ダブルクリックする前にケータイのBluetoothを接続待機にしておくように。ああ、いろいろ大変だぁ。
そんなわけでパケット通信設定の流れをまとめておこう。ケータイにAPNを登録→Bluetoothでパソコンとケータイを接続→ダイヤルアップネットワークの作成。とまあこうなるわけだが、つまずきそうなのはAPN登録でUSB接続することと、電話番号にATコマンドを入力するところ。特にATコマンドの下2桁目をcid番号にするなんてあたり、かなりクセモノだ。
今回Bluetoothのデータ通信を試してみて、黎明期の無線LANを思い出してしまった。快適だが、その道のりは遠い。そんな感じ。ここに載せた方法も汎用性には乏しいし、もしかしたらもっと簡単につながるやり方があるのかもしれない。一刀両断してしまうなら、インターフェイスが洗練されていない。ISAやSCSI、DMAやIRQのような、どこかレガシーチックな臭いがする。それでもレガシーデバイスは、拡張派はいやでも通らざるを得ない道だった。だからパソコン誌などでひんぱんに特集が組まれ、情報収集しやすくノウハウの蓄積も早かった。でもBluetoothはどうだろう。モバイルユーザーには必須かもしれないが、残念ながらモバイルは流行らない。きっとパソコン誌もBluetooth特集なんて組まないだろう(一応、提案はしてみるけど)。正直、萎えてます……。もっとがんばれ、Bluetooth。
Comments
Hello! Good Site! Thanks you! qqkethznipe
Posted by: rlcrydnxal | August 04, 2007 01:49 AM
P903iTVとノートPC間Bluetoothデータ通信の複雑さ、パナソニックとドコモのマニュアル(わからないように書いてるのか?)を怨みつつ貴ページにたどり着きました。助かりました~大感謝!
Posted by: 助かりました | April 18, 2008 03:28 AM
お役に立ててなによりです。PC分野で十数年物書きをしておりますが、Bluetooth経由のデータ通信はかなりヘビー(笑)でした。
Posted by: metalmickey | April 18, 2008 10:48 AM