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July 2007

July 23, 2007

P904i Bluetooth経由でデータ通信

P904iを買ってから丸二日、Bluetoothとひたすら格闘した。Bluetooth搭載パソコンとワイヤレスでデータ通信したいのだが、これがなかなかどうしてうまくいかない。ぼくが理想として思い描いているのは、セットアップからデータ通信開始まで、すべてUSBケーブルを使わず、Bluetoothのみで行うこと。いやあ、けっこうめんどくさかった(笑)。そんなわけで、なんとかセットアップできるようになったので、その手順覚え書きを載せておきます。

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まず環境から明記しておこう。ケータイはP904i。パソコンは今年の2月に購入したVistaプレインストールのVAIO Type R master。このマシンはBluetoothを搭載していて、「Bluetooth Stack for Windows by Toshiba」という東芝製のデバイスドライバとBluetoothユーティリティがプレインストールされている。今回はこの東芝製ユーティリティを使い、FOMAの64Kデータ通信パケット通信のダイヤルアップネットワークを作成してみたい。ドコモは「FOMA PC設定ソフト」というセットアップツールを無償公開しているが、どうもこのソフト、Bluetooth経由だとうまくセットアップできない。USB接続のみを想定したソフトなのだろうか。悩んでも前に進めないので、確実な方法で参ります。

【64Kデータ通信のセットアップ手順】
64Kデータ通信から解説していこう。これはごくごくフツーのダイヤルアップ接続と考えればいい。ケータイがモデムとなり、プロバイダのアクセスポイントに電話をかけてインターネットに接続する。特殊事項はひとつだけ、パソコンとモデム代わりになるケータイが、Bluetoothによってワイヤレス化されているだけだ。東芝製Bluetoothユーティリティを使うと、Bluetooth機器のペアリングを行いつつ、その流れでダイヤルアップネットワークを作成してくれる。ペアリングとデータ通信設定をひとつのウィザードで行うわけだ。早速セットアップの手順を見ていこう。

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タスクトレイのアイコンから右クリックメニューを出し、 〈Bluetooth設定〉をクリックする。

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「Bluetooth設定」という画面があらわれるので、〈新しい接続〉をクリックしよう。

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ウィザードが画面にあらわれるので、〈エクスプレスモード〉を選択する。〈次へ〉をクリックしたいところだが、マウスから手を離してケータイを握ろう。この後、パソコンとケータイをペアリングすることになるので、そのためにケータイを待機状態にしておく必要があるのだ。

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P904iでメニューを出し、「LifeKit」メニューの〈Bluetooth〉を選択する。これがその画面だ。3番の〈ダイヤルアップ登録待機〉を選ぼう。

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端末暗証番号(4桁の数字)を入力する。初期設定では「0000」になっているので、事前に変更していなければ「0000」を、変更している場合はその番号を入力しよう。

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ケータイが待機中になった。このダイヤルアップ登録待機という用語はわかりづらいが、要はペアリング待機と考えてほしい。これからパソコン画面にもどってBluetoothのペアリングに着手する。

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ケータイをペアリング待機にした状態で、ウィザードの前画面の〈次へ〉をクリック。するとこのような画面になり、パソコンがBluetooth機器を検索しはじめる。

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無事発見できた(笑)。〈P904i〉を選択した状態で〈次へ〉をクリック。ここがひとつめの山場、パソコンとケータイのペアリング開始だ!

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Bluetoothのパスキーがウンチャラカンチャラと書いてある。Bluetoothパスキー(PINコード)とは、Bluetooth機器をペアリングする際に必要なコードのこと。双方の機器に同じパスキーを設定して、はじめてペアリングが成立するのだ。

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ケータイを見ると、パソコンから接続要求があったと表示されている。もちろん〈YES〉を選ぼう。

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Bluetoothパスキーの入力画面があらわれる。4桁で任意の数字を入力しよう。

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すかさずパソコンを見ると、こちらもパスキーの入力画面があらわれる。ケータイに入力した4桁の数字を入力しよう。

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ペアリングに成功して、パソコンとケータイの間がBluetoothでワイヤレス接続される。ホッと一息という感じ。なお、このペアリング作業はタイムアウトが短めに設定してあるようなので、さくさくと作業を進めよう。操作にもたつくとすぐにタイムアウトしてしまう。

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モデムのインストールがはじまる。これはケータイをBluetooth経由でモデムとして使うためのドライバだ。

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ここからはダイヤルアップネットワークの設定に突入する。Bluetooth経由でケータイをモデムとして使い、ダイヤルアップするための設定だ。

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ああ、どこか懐かしいダイヤルアップネットワーク設定画面。一応、ここがふたつめの山場だ。電話番号、ユーザー名、パスワードを入力しよう。この電話番号というのは、契約しているプロバイダのFOMA用アクセスポイントの番号だ。ぼくはniftyユーザーなのでniftyを例にとると、「0035-054-101010」と入力する。詳しくはniftyのサポートページを参照してほしい。プロバイダによって電話番号が異なるので、めいめい調べて入力しよう。

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「Bluetooth設定」に新しいアイコンがあらわれる。これをダブルクリックするとケータイにアクセスしてネットワーク接続してくれるわけだが、ちょいとケータイ側で下準備が必要だ。ケータイを接続待機の状態にしておかないと、アイコンをダブルクリックしても接続できないのだ。

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例によってBluetoothメニューを開き、1番の〈登録機器リスト〉を選ぶ。

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この登録機器リストはペアリング済みBluetooth機器のリストだ。画面ではさきほど登録したパソコンが表示されているので、このパソコンを選択する。

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4番の〈ダイヤルアップ〉を選ぶ。ここで選択したBluetooth機器からの接続を待機してくれるのだ。

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待ち受け画面を表示すると、右上にBluetoothの青いマークがあらわれる。これが待機中の目印だ。パソコンにもどってダイヤルアップネットワークのアイコンをダブルクリックしよう。データ通信を開始すると、青いマークが点滅する。

とまあ、こんな具合で64Kデータ通信のセットアップは完了だ。う~ん、長い道のり。ぜんぜんシンプルじゃない(笑)。大まかな流れをおさらいしておくと、ペアリング→ダイヤルアップネットワーク作成→ケータイを接続待機状態に、ということになる。つまずきそうなポイントとしては、ペアリング時はケータイをダイヤルアップ待機中にしておき、データ通信したいときは同じくケータイを接続待機にしておく、というあたりか。みなさん、大丈夫ですか。ついてこれてますか? ああもう、ぼくがへばってます。

【パケット通信のセットアップ手順】
さあ引き続きパケット通信のセットアップに着手だ。すでにケータイとパソコンをペアリングしてあるので、ダイヤルアップネットワークの作成だけでOK。こりゃ楽勝だね、と思ったアナタ、いやいやこれからが本番ですから。気を抜かないように(笑)。

まずパケット通信とは何か。これはケータイを使ったPPP接続ならびにIP接続だ。よってプロバイダに電話をかけてアクセスするのではなく、特定ドメインにネットワーク接続することになる。PPP接続なのにダイヤルアップネットワーク……。この微妙さがたまらない。ポイントはAPN(アクセスポイントネーム)の設定。接続するべきドメインを指定し、そこにアクセスするわけだ。ここに独自のお作法が介在するが、順を追って説明していこう。

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前述の通り、パケット通信はAPNの設定が必要だ。実はこのAPN、パソコンの設定項目ではない。ケータイ本体にAPNのドメイン名を登録し、ダイヤルアップネットワークで登録した番号を指定する。こうすることでネットワーク接続を実現しているのだ。じゃあ、どうやってケータイにAPNを登録するのか? それはケータイ付属のFOMA PC設定ソフトを使う。〈接続先(APN)設定〉ボタンをクリックしよう。

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冒頭で述べたように、このソフトはBluetooth経由でケータイを認識してくれない。ケータイをパソコンとUSBケーブルでつなぎ、〈OK〉ボタンをクリック。せっかくBluetooth搭載なのにもったいない……。

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APNの設定画面があらわれる。初期状態では1番と3番にモペラが登録済み。他のプロバイダを使っている人は、そのプロバイダのドメインを追加しなくてはならない。〈追加〉ボタンをクリックだ。

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〈接続先(APN)〉にドメインを入力する。niftyの場合は「nifty.com」だ。ここは契約しているプロバイダによって異なるので、めいめい調べて入力するように。〈番号(cid)〉は初期状態だと2番になっている。ここではパソコン画面取得のため4番になっているが、初期設定の2番のままで問題ない。  〈接続方式〉はPPP接続とIP接続が選択可能。これもプロバイダによってまちまちのようだが、niftyは双方に対応していた。一通り設定し終えたら、〈OK〉ボタンをクリックしよう。前画面にもどるので、〈FOMA端末へ設定を書き込む〉をクリックする。

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この画面が表示されたらAPNの設定は完了だ。ケータイのUSBケーブルをパソコンから抜いておこう。大丈夫ですか、へばってませんか? まだまだこれからですから(笑)。

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ダイヤルアップネットワークの作成に取りかかろう。Bluetooth設定ユーティリティを起動して、〈新しい接続〉をクリックする。

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〈エクスプレスモード〉を選んで〈次へ〉をクリックする。でもその前に、忘れずにケータイをダイヤルアップ接続待機にしておこう。

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パソコン側のBluetoothがケータイを探してます。がんばれぇ。

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見つかりました。さきほどはこのあとペアリングにともなってBluetoothパスキーを入力したが、この作業は一度やっておけばOK。よって〈次へ〉をクリックすれば自動的にウィザードが進んでいく。

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ケータイと接続してます。しっかりつながってくださいね。

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Bluetooth経由のモデム用ドライバがインストールされる。新しい接続を作るたびにモデムは増えていきます。今回のテストでモデムが最大6個になりました。まあ、どうでもいい話ですが。

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ダイヤルアップネットワーク作成の下準備が整ったようです。さあ、ここからもう一山ありますよ。しっかし長げぇ手順だなあ。

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ハイこの画面、かなり重要。パケット通信は本来PPP接続だが、ダイヤルアップネットワークの機能を使ってネットワーク接続する。 ユーザー名とパスワードは各々プロバイダのFOMAパケット通信用設定を参照して入力すればOKだが、問題は電話番号だ。PPP接続なんだから電話をかけても仕方ない。実はパケット通信の場合、ここにATコマンドを入力するのだ。いやあ、のけぞるねえ。2007年にもなってATコマンドなんて言葉と遭遇するとは。ここまでこの記事通りに設定してきた場合は「*99***2#」と入力。下2桁目の「2」という番号は、APNで指定したcid番号に相当する。仮にAPNの設定でドメインを5番に登録した場合は「*99***5#」となるわけだ。

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ついにできました、パケット通信用のダイヤルアップネットワーク。これまでの苦労をかみしめながらダブルクリックしよう。そうそう、ダブルクリックする前にケータイのBluetoothを接続待機にしておくように。ああ、いろいろ大変だぁ。

そんなわけでパケット通信設定の流れをまとめておこう。ケータイにAPNを登録→Bluetoothでパソコンとケータイを接続→ダイヤルアップネットワークの作成。とまあこうなるわけだが、つまずきそうなのはAPN登録でUSB接続することと、電話番号にATコマンドを入力するところ。特にATコマンドの下2桁目をcid番号にするなんてあたり、かなりクセモノだ。

今回Bluetoothのデータ通信を試してみて、黎明期の無線LANを思い出してしまった。快適だが、その道のりは遠い。そんな感じ。ここに載せた方法も汎用性には乏しいし、もしかしたらもっと簡単につながるやり方があるのかもしれない。一刀両断してしまうなら、インターフェイスが洗練されていない。ISAやSCSI、DMAやIRQのような、どこかレガシーチックな臭いがする。それでもレガシーデバイスは、拡張派はいやでも通らざるを得ない道だった。だからパソコン誌などでひんぱんに特集が組まれ、情報収集しやすくノウハウの蓄積も早かった。でもBluetoothはどうだろう。モバイルユーザーには必須かもしれないが、残念ながらモバイルは流行らない。きっとパソコン誌もBluetooth特集なんて組まないだろう(一応、提案はしてみるけど)。正直、萎えてます……。もっとがんばれ、Bluetooth。

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July 20, 2007

P904i パソコン連携の不毛

ケータイを買い換えた。ドコモのP904iだ。これまでケータイに対して冷淡だったのだが、最近のモデルはやれワンセグGPSBluetoothだと、なにやらとても楽しそう。なかでもGPSとBluetoothはパソコン連携でおもしろことができそうなので、昨年末あたりから気になっていた。ところがいざ実機を手に入れてみると、あくまでもケータイはクローズドな世界。パソコン連携なんてオマケ程度の機能にすぎない。その自己完結ぶりをレポートしたい。

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【思ったほど使えないGPS機能】
まずはじめに注目したのがGPS機能だ。ケータイで撮った画像に位置情報を埋め込み、それをPicasa経由でGoogle Earthに展開。前々からこれをやってみたかった。ええと、結論からいうとですね、P904iではできません(キッパリ)。GPSを使って位置情報の取得は可能。でもそれを画像のEXIFに埋め込むことはできない。ウェブを漁ってみると、この点に関してはauの方が進んでいる様子。ドコモは搭載機能を広くユーザーに使ってもらおうという考えはないらしい。というのも、GPSで位置情報を取得し、現在位置を地図で確認。そこから最寄り駅を調べたり、ナビっぽいことはできる。ただ、その現在位置を表示した地図には広告サイトのリンクがベッタリ……。嗚呼、ケータイ業界お得意のビジネスモデルってやつですか。ユーザーベネフィッツ重視の機能強化ではなくて、あくまでも金になるかどうか。ノッケから気持ちが萎えていきます。

そんなわけで、GPSのトラッキングログなんてモンもとれるわけがない。一部のユーザーは位置情報をメール添付して特定のサイトに連続送信し、それを連結させてトラッキングログを作るという工夫をしている。なかなかおもしろい試みだが、やはり実用的とは言い難い。もしケータイひとつでGPS情報付きの写真が撮れ、トラッキングログを記録できるならば、それをGoogle EarthやGoogle Mapsに展開して自分の軌跡を再現できる。デジタルならではの遊び方だと思うのだが、残念ながら現時点では難しいようだ。

ただトラッキングログに関しては、個人情報保護の観点からケータイでの取得は将来的にも実現不可能かもしれない。なにしろ特定個人の行動がケータイ会社のサーバーに蓄積されてしまうので、SFさながらの管理社会が出来上がってしまう。いや、政府による管理ならまだいい。広告代理店の手に情報が渡ろうものなら、村上春樹がいうところの高度情報化社会どころか、高精度情報化社会の出現だ。現在の広告主体の情報にさえウンザリしているのに、これ以上は願い下げだ。

【Bluetoothでケータイをワイヤレスモデム化】
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Bluetooth
の方は大丈夫だろうか。まずBluetoothで実現したいことといえば、ケータイのワイヤレスモデム化だ。ノートパソコンにケータイをケーブル接続してメールやウェブをチェック。これをワイヤレスでやりたい。幸いなことに、この点は問題なくクリアできる。Bluetoothのペアリングを行った後、ダイヤルアップネットワークを作成。いったん作成してしまえば、次からはパソコン上でダイヤルアップネットワークのアイコンをダブルクリックすればOKだ。ケータイとBluetoothで通信を確立して、プロバイダ経由でダイヤルアップしてくれる。ネットワーク接続の設定は、付属のFOMA PC設定ソフトを使ってもいいが、Bluetoothで接続する場合はBluetooth付属のユーティリティ、もしくはウィンドウズ標準のダイヤルアップネットワーク作成機能を使った方がやりやすいだろう。

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通信速度はドコモの場合、ダイヤルアップ接続で64Kbps。ウェブ閲覧はつらいが、メールチェックなら実用的な速度だ。最近は無線LANスポットが増えているものの、環境に依存せず、通信手段を常に身につけている安心感が利点。しかもケーブル接続や通信カードの挿入も不要だ。日頃からモバイルノートを持ち歩いている人なら、Bluetooth搭載ケータイを買う価値があるだろう。

もちろんパケット通信もBluetooth経由で行える。パケット通信という用語はパソコンユーザーにとってややわかりづらいが、要はPPPもしくはIP接続でネットワークに接続する方法だ。ケータイ版ブロードバンドインターネットと考えるとわかりやすいだろう。通信速度は384Kbps。HSDPA方式に対応したケータイなら、最大3.6Mbpsで接続できる。いずれにしてもダイヤルアップより遙かに高速だ。ただし、今回テストした環境では設定時にパソコンとケータイをUSB接続する必要があり、ちょっと面倒な印象を受けた。Bluetooth経由のデータ通信については、後日詳しく解説したい。

【基本スタンスは周辺機器接続用】
ファイル転送についてはどうだろう。実はBluetooth機能に一番期待していたのはこの点だ。ケータイ内の写真データや電話帳を、パソコンに近づけるだけで転送。こんなことができたらかなりステキ。ただこれは、さすがに虫がよすぎたようだ。

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ドコモはdatalinkというユーティリティを無償公開している。ケータイをパソコンにUSB接続すると、電話帳、写真、テキストメモなど、ケータイ内のデータを一括してパソコンに転送できる。もちろん、パソコン上で編集してケータイに書き戻すことも可能だ。このソフトがBluetoothに対応しているのではないかと密かに期待していたのだが、望みすぎでした(笑)。P904iで唯一可能なファイル転送は、電話帳のデータだ。これはケータイ上で電話帳を開き、機能メニューの「Bluetooth送信」を選べばよい。一件のみでも電話帳全体でも、パソコンにBluetooth経由で転送してくれる。

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今回はBluetoothを搭載したVAIO type R masterでテストしたのだが、ケータイから電話帳を送信するとプレインストールされているBluetooth用ユーティリティが応答。所定のフォルダにVCFファイルがあらわれた。VCFファイルは電子名刺の標準フォーマットで、アウトルックで開くことができる。利用シーンを想定してみると、合コンやキャバクラでおねえちゃんのケータイ番号を聞き出し、自分のケータイに登録。帰宅してパソコンに転送保存する。そんなところだろうか。ちなみにケータイから転送したVCFファイルは、アウトルックのインポート機能でアドレス帳に統合できる。

P904iのBluetoothを使ったファイル転送は、このようにごく限られた機能だ。ではいったい、ナンのためのBluetoothなのか。それはケータイに周辺機器を接続するためだ。ヘッドセットやオーディオ機器などをBluetoothでワイヤレス接続し、ケータイを機能拡張しようというものらしい。P904iはミュージックケータイをひとつの売りにしているので、主にワイヤレスイヤホンをつないでくれということなのだろう。

今回P904iを使ってみて、パソコンとケータイでは機能に対する姿勢がちがうのだと痛感した。パソコンでGPS、Bluetoothといえばフル機能を指す。一方、ケータイは特定機能を実現するために、GPSなりBluetoothの一部機能を用いるという印象を受けた。よってパソコンユーザー気分でケータイに接すると、ぼくのように肩すかしを食らう。おそらくチップ自体はフル機能が使えるのかもしれないが、肝心のソフトがない。誰か画像転送用のiアプリでも作ってくれないかしら、なんて思うのだが、パソコンとちがって早々フリーソフトが出回る世界でもない。当然ながらケータイは専用機だ。汎用性は限りなく少ない。自由がほしいならスマートフォンへどうぞ、ということか。

P904iのGPSとBluetooth、なにかおもしろい遊び方があればおしえてください。

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July 12, 2007

Rolleiflex 3.5B 初心者のためのBAY1講座

カタルシスが染みわたる。ついに行くところまで逝ったという気分だ。クラシックカメラの王道、二眼レフの王様、ローライフレックスを買ってしまった。現行品はもちろん、中古でも十数万という高級カメラ。しかし、そんな大金あるわけもない。実はこれ、レンズにプラナーを搭載したモデルにかぎった話。テッサー付きは5万円程度と案外リーズナブルなのだ。

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ぼくは購入したのはRolleiflex 3.5B(MX-EVS)というモデル。1954年から1956年にかけて製造され、レンズはCarl Zeiss Jena Tessar 75mm/f3.5を搭載している。ローライフレックスはプラナー付きが偉くてテッサー付きは普及価格帯モデルと見られがち。しかし、1929年に製造されたファーストモデルRolleiflex Originalはテッサー付きだった。そんなわけで「ローライフレックスの魂はテッサーに宿る」のだ。まあ、かなりムリムリだけど(笑)。

【意外と少ないアクセアリー情報】
Rfx02_1さて、ローライフレックスの魅力については様々な書籍やサイトで紹介されている。ここで改めて触れることもないだろう。ぼくが取り上げたいのはローライフレックスのアクセサリーについてだ。というのも、手に入れたローライフレックス3.5Bにはあまりにチープなレンズキャップが付いていた。明らかに社外品のプラスチック製キャップをふたつ、ガムテープで留めたもの。サイズがレンズ径より大きいものだから、内側に薄く切ったスポンジをスペーサ代わりに貼り付けてある。悲しいほどに急ごしらえだ。レンズ保護という観点からは実用的だが、二眼レフの王様にあまりに失礼。ヤフオクやオンラインショップを徘徊してローライフレックス純正のレンズキャップを探す。するとどうだ、こいつがひどく高い。プラスチック製中古品が3000円以上、メタルキャップに至っては当たり前のように1万円を超える。しかもローライフレックスの型によって種類が分かれていて、いったいどれを買えばいいのかわかりづらい。安くない買い物だけに、より確実な情報がほしい。でもそれが見当たらない。きっとぼくと同じような境遇の人がいるはず。そんな人のために、手持ちアクセサリーを例にサクッとまとめてみることにした。

【BAY1用メタルレンズキャップの装着手順】
ローライフレックスのレンズ周囲は、BAY1、BAY2、BAY3というバヨネット式のマウントになっている。ローライフレックス3.5BはBAY1を採用。レンズの内周と外周が、それぞれバヨネット式マウントになっている。ビューレンズとテイクレンズの双方に、凹凸を施してあるのがわかるだろう。ここにレンズキャップやフィルター、フードを付けるわけだ。まずメタル製レンズキャップの取り付け方法から解説しよう。

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右の写真はメタル製レンズキャップを裏返ししたものだ。左の円に爪がある。この爪をBAY1のバヨネットマウントに合わせて装着。かぶせ式ではなく、ちゃんとロックできるわけだ。

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レンズキャップを折りたたみ、爪のある側を下にしてビューレンズ内側のBAY1にはめる。そのままちょうつがいを下向きに動かすと、レンズキャップがBAY1に固定できるという仕組みだ。

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畳んでいたキャップを広げ、テイクレンズにパチリとはめる。これでレンズキャップの装着完了だ。まあ、どうということのない作業だが、こうした手順で見えてくるのは、BAY1のボディにBAY2/3のアクセサリーは流用不可能という事実。バヨネットマウントでガチッと固定するので、対応アクセサリーしか装着できない。つまり、自分のモデルが採用しているマウント形状を、事前に把握しておくことが大切だ。

【BAY1用レンズフードの装着手順】
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つづいてレンズフードの装着を見ていこう。レンズフードの底面がバヨネット式になっている。これをテイクレンズ外周のBAY1に装着。カチリと回せば取り付け完了だ。これもレンズキャップ同様にどうってことない作業だけど、テイクレンズ内周がちと寂しいと思いませんか。内周にフィルターをつけ、外周にフードをはめる。そんな使い方ができるようだ。ちなみに、このBAY1内周の規格は現在B30と呼ばれ、市販のフィルターが装着できる。新品のフィルターがほしい人はケンコー光学ショップで特注フィルターを注文するといいだろう。納品に2週間以上かかるのがナンだけど、B30対応のPLフィルターやNDフィルターが注文できる。でもなぜか、一番ニーズのありそうなプロテクトフィルターがない……。ちと残念だ。

このBAY1という規格は、国産二眼レフにも広く採用されている。ぼくはローライ純正のキャップとフードを購入したが、国産の中古BAY1アクセサリーなら5分の1から10分の1くらいの値段で揃うはずだ。ていうか、BAY1対応ローライフレックスを買ったからには、国産アクセサリーで安くあげるのが通ってモン。こういうところでブランド志向が露呈しますな。でもまあ、かっこいいから許す(笑)。

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ちなみに、ローライフレックスといえばカニ爪ストラップが有名ですが、ローライフレックス3.5Bには付きません。ええ、買って試したからまちがいありません(泣)。カニ爪ストラップって高いんですよ。軽く一万超え……。勉強代ですか、ね。

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July 11, 2007

Angenieux 35/2.5 悩ましいレンズ径

P.Angenieux Paris 35mm/f2.5というレンズは厄介だ。こいつのレンズ径は51.5mm。この口径は市販のフィルターやレンズフードが使えない。かといってオリジナルのアクセサリーは、ヤフオクを気長に漁ってもお目にかかれない。やむなし、クラシックカメラを得意とするMS OPTICAL R&DでM51.5システムフードを買ってみた。

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実はぼくが手に入れたアンジェニューには、52mm径のHama製レンズキャップがついていた。そのためてっきり52mm径なのだと思い、そのサイズに合わせてフィルターやレンズフードを購入。ナンだか微妙にちがうなあと感じつつも、しばらくはこんな姿で撮っていた。

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アンジェニューったら銀縁のフィルターがよく似合う。Hamaの角型フードはちょっとミスマッチだけど、ちゃんと撮れるんだからいいじゃない、なんて開き直ってみたり。ただ、51.5mm径のレンズに52mm径のフィルターを付けるってコトは、小さいところに大きなものをブチこんでるわけです。本来ならば入らない。付くはずがない。どうも前オーナーがむりむり付けて使っていた様子。途中までいけるんですね、途中まで。ただそこから先はビビってねじ込めない。ナンていうか、痛がる生娘に気後れして先っぽまで、という感じ。下品ですみません……。

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そんなわけで、M51.5システムフードの出番です。こいつのいいところは、特殊口径のAngenieux 35/2.5に市販のレンズキャップやフィルターが使えるという点。ただ単に51.5mmのレンズフードというわけじゃない。外径は62mmで、これは一般的な市販レンズキャップが装着可能なサイズ。フードは分割式になっていて、フード部分をはずすと内側にもネジ切りがある。ここは58mm径でこれまた市販サイズのフィルターが装着可能。しかもブランド志向の強い人に朗報、お安いフィルターを使っても、フードがフィルタメーカー名を隠してくれる。さらにフードに「ANGENIEUX 35/2.5」とプリントしてあって、まるで純正品っぽい雰囲気まで醸してくれるのだ。

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例によってかわいくない値段だけど、レンズとの一体感が気持ちいい。先端に62mm径の銀縁フィルターを付けたらかっこいいだろうな。GR DIGITALのときもそうだったけど、カメラアクセサリーは凝り出すとキリがない。奥、深すぎです。

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July 09, 2007

Lightroom 1.1 はSILKYPIXに追いついたか

Lightroom 1.1の日本語版アップデータが公開になった。「EOS 1D Mark III」の発売に合わせてのアップデートというのが正直なところと思われるが、機能強化でバージョン1.0の不満点をていねいに解消している。日本国内ではプロアマ問わずSILKYPIXがディフェクトスタンダードといえるが、いよいよ政権交代の日が近いかもしれない。

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【やっとプリセットが増えました】
Lm03_1以前、別記事にて「Lightroomはプリセットが少ない」と嘆いてみたが、その声が届いたようだ。倍増とはまではいかないが、現像モジュールのプリセットが増えている。ただこのプリセットに関しては、海外サイトを中心にユーザー作成のものが多数公開されている。アドビ謹製を待つまでもなかった……。でもってプリセットが増えてくると、リストがデロ~ンと長くなって左パネルを忙しくスクロールしなくてはならない。そんな不便を軽減すべく、プリセットのフォルダ管理が可能になった。アップデート直後は「Lightroomプリセット」と「ユーザープリセット」のふたつが表示され、もちろんユーザーが自由に追加作成できる。ぼくはネットからダウンロードしたプリセットを「ユーザープリセット」に放り込み、自分で作ったものは「オリジナル」というフォルダに保存することにした。

ただひとつ、プリセットに関して困ったことがある。それは読み込み時のデフォルトに戻すプリセットが見当たらないのだ。バージョン1.0では「トーンカーブ-Lightroom初期設定」というプリセットがあり、これをクリックすれば読み込み時の状態に戻せた。しかしバージョン1.1ではこいつが見当たらないのだ。もしかしたら英語版バージョン1.1をインストールしたため、その関係で消えてしまったのかもしれないが、このままじゃあちと不便。初期化ボタンをクリックする手もあるが、初期化するとトリミングやゴミ取りした情報まで元に戻ってしまう。やむなく、画像を読み込んだ直後にプリセットを作成して、そいつを「Lightroomデフォルト」という名前で登録することにした。常用していた機能がこっそりなくなっているのって、地味に不便で困ります。

【シャープが多機能になった】
Lm04_5最近はLightroomをメインに使っているが、それでもSILKYPIXから完全移行するには至っていない。理由はいくつかあるが、そのうちのひとつにシャープとノイズ除去の機能性が挙げられる。SILKYPIXはシャープがとにかく高性能で、線があまり太くならずに気持ちよく解像感を高めることができた。しかもノイズ除去が強烈だから、設定を詰めていけば狙いどおりの解像感が手に入る。それに引き替えLightroom1.0のシャープときたら、スライドバー1本という男らしさ(笑)。さすがにアドビもシャープの貧弱さは認識していたのだろう。半径、ディティール、マスクといったスライドバーが加わり、Photoshop並みの自由な調整ができるようになった。特にマスキングできるのは重要で、エッジ(輪郭部分)以外のシャープを抑え、ノイジーになるのを防いでくれる。プリセットとシャープの貧弱さはベータ版の頃から痛感していたが、ようやく実用レベルにこぎつけたという印象。こうしたことを踏まえると、バージョン1.1がLightroom本来の姿といえそうだ。

【さりげなく便利なスプレーツール】
アドビ社のリリースノートですら触れられていないのだが、ライブラリーモジュールにスプレーツールなるものが追加されている。とりあえずこいつでサムネイルをプシューっとクリックしてみた。何も起きない……。ナンじゃこの機能!? と首をかしげていたのだが、マニュアルを読んで感心した。こいつ、けっこう便利なツールだ。

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ライブラリーモジュールは画像管理する場所。なんでスプレーなのか腑に落ちないが、要はこの機能、キーワードやラベル、現像設定などをまとめて適用するためのものだ。どのような設定を適用したいかメニューから選び、対象となる画像にスプレーをプシューっ! つまり、画像に設定を吹きかけるというイメージのようだ。

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操作手順をちゃんと説明すると、まず上のスプレーアイコンをクリック。その右横にあるメニューをポップアップして、適用したい設定の種類を選ぶ。キーワード、ラベル、メタデータなど、けっこう種類は豊富だ。

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種類を選んだら、今度はスプレーする内容を選ぶ。上の画面は「回転」を選んだ状態だ。こうやって一括変更したい設定を選べるようになっている。

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一通り設定を終えたら、サムネイルに向けてプシューとやる(クリックする)。同じように設定を適用したい画像にすべて、プシューっとやればいい。スプレーというメタファがはたして適しているのか微妙なところだが、あえていえば設定スプレーということか。

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この機能が一番活躍しそうなのはキーワード設定だ。ライブラリーモジュールでは画像読み込み時にキーワードによるタグ付けが可能。タグ付けした画像は自動分類され、キーワードタグリストからワンクリックで一括表示できる。要は検索キーになるわけだ。しかし、フォルダ単位で読み込み時にキーワード指定すると、フォルダ内の全画像に同じタグが割り当てられてしまう。スプレーツールを使えば、任意に画像に限定して、しかも手際よくタグ付けできるわけだ。

Lm11_2Lightroomの評価記事の多くは現像機能に注目したものが多い。しかし、Lightroomが突出しているのは、実はこのライブラリーモジュールだ。サムネイル形式の画像管理画面などという単純なものではなく、これはれっきとしたデータベース。 フォルダ単位の画像管理は当然のこととして、キーワードタグやEXIFのメタデータからも自動分類してくれる。ぼくは最近、オールドレンズやフィルムカメラでよく撮るのだが、LightroomはこうしたEXIF非対応のアナログ機材で撮った画像管理に便利だ。デジタル機材ならEXIFから自動的にカメラ名やレンズ名を取得して、自動分類してくれる。しかしアナログ機材(フィルム時代の機材)はそうはいかない。このときキーワードタグでレンズ名、カメラ名、フィルム名などを入力しておくと、あとあと写真を探し出すときにとてもスピーディなのだ。Lightroomの本領はライブラリーにあり。最近はそんな気がしている。

【LightroomはSILKYPIXを超えたか!?】
バージョン1.1のアップデートにより、Lightroomは自らのスタンスをより明確にしたようだ。プリセットとシャープの強化によって、現像機能に関してSILKYPIXにどうにか追いついた。とはいえやはり、SILKYPIXの強力なシャープとノイズ除去機能を追い越すレベルではない。また、プリセットについてもSILKYPIXの各種フィルム調は絶妙で、あの色合いがほしいためにSILKYPIXを起動することもたびたびだ。LightroomはSILKYPIXに肉薄するが、追い越してはいない。ただしこれは、現像機能に関しての話だ。

SILKYPIXはRAW現像に特化したソフトだ。画像管理という概念はないし、印刷機能についてもレイアウトという発想はない。一方Lightroomは、画像管理→現像→出力というワークフローを網羅し、写真家のデジタルワークを全面的にフォローしてくれる。特にライブラリーモジュールというデータベースは、写真家にとっての資産管理ツールという側面もある。むろん、数万枚、数十万枚の写真をひとつのデータベースファイルで管理できるのか、分割管理した際にデータベースの切り替えやバックアップはどうなるのか、といった現実的な問題もあるだろう。ただ、ひとつ明言できるのは、SILKYPIXはRAW現像専用ソフトであり、Lightroomは統合型RAW現像ソフトという事実だ。

数枚現像しただけではLightroomの良さはわからない。むしろプリセットの充実したSILKYPIXの方が使いやすく、便利に感じることだろう。しかし、数千枚の写真を読み込んだとき、Lightroomのアドバンテージに気づくはずだ。

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