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June 2007

June 19, 2007

Logicool MX620 マウス選びの難しさ

これまでメインPCはずっとケーブルマウスだった。さすがにPS2マウスではないが、黎明期のワイヤレスマウスに辟易し、メインPCはケーブルマウスと決めている。とはいえワイヤレス化は時代の趨勢。いつまでもケーブルマウスというわけにはいくまい。今回ロジクール「MX620」を長期試用する期待に恵まれたので、サクッとレビューしてみたい。

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【フリースピンモードが快感!】
ロジクールには「MX Revolution」というダブルホイールのハイエンド製品がある。「MX620」はその廉価版という位置づけだ。同社はマウス専業メーカーだけあって、技術的に他社より頭ひとつ抜きん出ている(トレンドメーカーとしては微妙だけど)。「MX620」のアドバンテージはハイエンド製品で採用されたMicroGearプレシジョンスクロールホイールを搭載しているところだ。

一般的なスクロールホイールは、ギアを噛み合わせて回転した分だけスクロールする。いわゆる慣性でそのまま回転しつづけたりはしない。本製品ではこの状態をクリック・トゥ・クリックモードと呼び、これとは別にフリースピンモードを搭載している。ギアの噛み合わせを解除し、ホイールの回転が止まるまで延々とスクロールしていく。たとえばこのブログページはかなり長大だが、フリースピンモードだとワンアクションで一気に末尾へ到達した。さらにページのスクロールが流れるように滑らかで、ハマるともうヤミツキ。ヒュイーン、ヒュイーンとスピンさせまくりだ。ちなみにクリック・トゥ・クリックモードだと、このページの末尾まで40回も中指を動かした。フリースピンモード恐るべし、である。

Lmimg_0313_1モード切替はマウス底面のスイッチで行う。実はこの点がMicroGearプレシジョンスクロールホイールの微妙なところ。フリースピンモードはとても便利だが、小さくページを動かすには不向き。普段はクリック・トゥ・クリックモードで、ここぞというときにフリースピンモードに切り替えるのが一般的な使い方だろう。その「ここぞ」というときに、いちいちマウスをひっくり返すのは面倒くさい。結局どういうことになるかというと、クリック・トゥ・クリックモードのまま使い続けている自分がいた……。宝の持ち腐れだ。スイッチはやはり、上部か親指側の側面あたりが理想的だろう。

【細かな不満が積もり積もって】
基本的な部分でいくつか気になる点がある。ひとつ目は専用ユーティリティのバグ。タスクトレイのアイコンでマウスのバッテリ状態が確認できるのだが、付属の新品電池を入れたにも関わらず!マークがずっと点滅している。手持ちのアルカリ乾電池に交換してもこの状態は相変わらず。しかもユーティリティの画面を開いて度肝を抜かれた。

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「電池残量:フル」でもって「電池を取り替えてください」って気は確かですか? このマウスは単3乾電池2本で一年動くというのが売りなのだが、何はともあれタスクトレイアイコンの点滅がかなり目障り。これは早めに対処してほしい。

スクロールホイールの精度も気になる。インターネットエクスプローラではしごく快適だが、なぜかアウトルック2007でメール画面をスクロールさせると具合がわるい。いったん下方向に移動し、ホイールから指が離れると上方向に少しだけ戻る。なにかこう、ギアの揺り戻しがそのまま反映しているような感じ。IEやエクセルではこうしたトラブルはなく、アウトルック2007だけというのがいやはやナンとも……。

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チルト機能(水平スクロール)は移動の遅さが惜しまれる。上画面のようにほぼ最速状態にしてもIEではジリジリとした動きでいらついてくる。エクセルはまずまずスピーディといった状態で、ソフトによって挙動が異なるようだ。プログラムごとに設定を保存できるので、いろいろとカスタマイズしてチョーダイということなのか。マウスチューニングはたしかに重要だが、あくまでもそれは自分流に使いやすくするのが目的だ。デフォルトセッティングに改善の余地があるのではないか。

Lmimg_0292とまあ、辛口レビューになってしまったが、これもマウスがもっとも使用頻度の高いインターフェイスゆえのこと。入力デバイスはユーザー各々要求レベルが高いので、操作フィーリングの調整はかなり難しいアイテムだと思う。その一方でワイヤレスマウスとしての完成度はすばらしく、スリープ状態からのハイレスポンスな復帰といい、高精度レーザーで狙い通りに動かせる操作性といい、不満を書きながらも毎日このマウスを使っている。ルックスは大人びた品があり、ブラックのレザーマウスパッドとよく似合う。コンパクトUSBレシーバも利点のひとつだ。普及価格帯でこの機能、この質感ならわるくない。なお、専用ユーティリティは本体に付属せず、ロジクールのホームページからダウンロードする。涙ぐましいコスト削減、こういう企業努力は好きです。

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June 17, 2007

SX-70 カメラ色を遊ぼう

最新デジタルカメラはキレイに撮れる。でも、突出した個性を感じることはない。知り合いの編集者がトイカメラの王様LOMO LC-Aを引き合いに出し、その独特の写りをカメラ色といった。ああ、カメラ色……そのカメラでしか撮れない風合い。それを求めてPolaroid SX-70を買ったのに、どうにも写りが冴えない。やはり生産中止になったTZフィルムあってのSX-70なのか……。諦めきれない、諦めたくない。SX-70のカメラ色を取り戻すことにした。

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【失われたTZブルーを求めて】
そもそもSX-70には、SX-70TZ(Time Zero)という専用フィルムがあった。これは2006年3月に生産中止になり、現在のユーザーは600インスタントフィルムという高感度フィルムとNDフィルターを組み合わせ、なんとかしのいでいるというのが現状だ。クールトーンに転びつつも暖かみがあり、そしてノスタルジックに色褪せた写り。あれはTZフィルム特有の写りで、600インスタントフィルムでは再現できない。決定的なちがいは青み。TZフィルムは独特の褪せた青みがあった。しかしよくよく考えてみると、あのTZブルーは色かぶりだ。要は色温度の問題。ならばフィルムカメラのセオリーに則って、色温度変換フィルターを付けたらどうだろう。そんな思いつきでフィルターを自作することにした。

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まず用意したのはSX-70 FOREVERのガラス製NDフィルターだ。これはSX-70本体にマグネットリングを貼り付け、NDフィルターを着脱できるというスグレモノ。ポラロイド純正のNDフィルターはプラスチック製で、どうにも使い捨て感覚が気になる。その点はこいつはガラス製で透明度が高く、金属筒だから見た目も高級感がある。なによりもフィルターリングにネジ切りがあり、改造の余地が残されているのがいい。そう、こいつをバラして色温度変換フィルターを組み込み、ND + 色温度変換ダブルフィルターを作ろうという目論みだ。

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色温度変換フィルターは富士フイルム「LBB8」というシートフィルターを選んだ。本来LBBフィルターは、暖色かぶりになる屋内照明下で自然な色調に撮るためのもの。暖色に寒色を足し、相殺しようというわけだ。今回はこのフィルターで青みを足してみる。なお、末尾の数字は補正具合の強度を示しており、数字が大きくなるほど青みが強くなる。この点についてはサンプルを交えながら後述しよう。

LBB8フィルターを円切りカッターで直径22~23ミリにカット。NDフィルターのリングをカメラオープナーで外し、カットしたLBB8フィルターをNDフィルターに重ねる。これで特製TZブルーフィルターの完成だ。さて、どんなカメラ色を見せてくれるのか。サンプルを見ていこう。

【かすかに残る青がTZっぽい!?】
サンプル撮影は600インスタントフィルムを使い、光源の種類を変えながら撮ってみた。撮影したフィルムをスキャナで読み込み、トリミングしている。厳密な意味では実物そのもの色合いとはいえないが、雰囲気は伝わるだろう。

電球下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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まず電球下の撮影から。NDフィルターのみだと全面オレンジだが、ND+LBB8だとかなり落ち着いた。色温度変換フィルターの正当な使い方といえる。一点注目してほしいのは、奥のカメラの軍幹部。青みがほどよく残り、いい味を出している。

蛍光灯下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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今度は蛍光灯下での撮影だ。緑かぶりが収まり、その上で全体にブルーが残る。しかしその奥底にアンバーな色合いが見え隠れして、セピアクールっぽい写りが気持ちいい。

自然光下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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自然光下では過剰に青い。NDフィルターのみの方がSX-70らしい写りだ。「LBB4」か「LBB6」ぐらいだとほどよく青がのりそうだ。

「LBB8」をNDフィルターに重ねると、屋内照明下ではほどよくレトロな写りを見せてくれた。しかし自然光下では青みが強烈で、ちょっとあざとい感じがいただけない。もっと淡い色温度変換フィルターを付けてもいいが、実は露出補正という裏ワザも使える。

自然光ND+LBB8 左:プラス露出補正/右:露出補正なし
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露出補正なしだとさすがに寒々しいが、ハイキーに撮るだけでグッと雰囲気が増す。シャドウ部の青みがかなりTZフィルムっぽいくはないか!? 600インスタントフィルムはNDフィルター併用でポラっぽさを楽しめるが、惜しむらくは色合いが淡泊という点だ。安価なロシアレンズのように色にコクというものがない。ND+LBB8はTZブルーをそのまま再現するに至らないものの、無難なニュートラルカラーから頭ひとつ抜け出せる。

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Sample11 Sample12

フィルター改造はちょっと手間だけど、カメラ色を楽しんでみませんか。

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