Lightroom 1.0 スプリットトーンが楽しい
もともとモノクロ写真やモノトーンライクなカラー写真が好きだ。安直に雰囲気を作り出せるという姑息な考えもなくはないが、放っておくとすぐにグレースケール変換や彩度のスライドバーをマイナス方向に引っ張ってしまう。そのせいかこのところ、Lightroomにゾッコンだ。何が楽しいかって、Lightroomは簡単にスプリットトーンが試せるのだ。
一般にモノクロ写真といっても、セピアにしたりクールトーンに仕上げたり、何らかの色をかぶせるのはレタッチやRAW現像の常套手段。デジタルカメラで撮った写真を単純にグレースケール変換してしまうと、コントラストが抑えめのせいかどうも味気ない。ぼくらが幼い頃から見てきたモノクロ写真はプリントしたものだ。それは純粋な白黒の世界ではなく、用紙そのものの色や外光の加減で何らかの色を帯びていた。突き詰めるとぼくたちは、本当の白と黒を知っているのか、なんて大げさな境地に突入してしまう……。
【2色で描く光のグラデーション】
ノッケから横道に逸れたが、スプリットトーンとは要はツートーンのこと。単色の階調で光を描くのではなく、ふたつの色で世界を表現する。モノトーンは濃淡の世界だが、スプリットトーンは濃淡にふたつの色が加わる。こう書くとなにやら難しそうだが、Lightroom上の操作は簡単だ。現像モジュールに「明暗別色補正」という項目があり、ハイライトとシャドウで個別に色相と彩度を調節できる。たとえば、色相でハイライトを黄色に、シャドウを青に設定すると、暖色と寒色で階調を描けるわけだ。これはありそうでなかった色彩感。いや、ぼくが知らなかっただけかもしれないけど、とにかくいい雰囲気なのだ。論より証拠、作例を見てもらおう。
左は普通のグレースケール変換、中央はハイライトが黄色、シャドウが青。右はハイライトが青でシャドウに紫をあてがってみた。セピアやクールトーンとはまたひと味ちがった趣がある。スプリットトーンが効果的な素材は、コントラストがハッキリしている写真だ。作例のように光源を入れ込んだ写真は特に効果がわかりやすい。中間階調の豊かな写真の場合は、ハイライトとシャドウで彩度をわずかにズラし、濃淡の強調として応用すると良さそうだ。
【チョコレートセピアに挑戦!】
そんな具合にスプリットトーンで遊んでいたところ、衝撃的な写真を見つけてしまった。A-Powerで取り扱っているチョコレートフィルムというポラロイド用フィルム。煮詰めたような濃いセピアカラーは脳天直撃だった。サンプルの色合いをみてすっかり気に入ったのだが、いかんせん2本で5000円オーバーではそうそう手を出せない。色合いをよくよく調べてみると、ハイライトはアンバー、シャドウは茶色。モノトーンでは表現が難しそうだがスプリットトーンならナンとかなりそうだ。
作例はNDフィルタを装着したSX-70で600インスタントフィルムを使っている。ハイライトは黄色、シャドウはオレンジ。ともに彩度は抑えめで、気持ちコントラストを調整した。どうだろう、それとなく近づけたような気がするのだが……。ホンモノのチョコレートフィルムをよく見ると、ハイライト部分がかすかに青みがかる。さすがにそこまでは再現できなかったが、アプローチとしてはグレースケール変換せずに彩度を落とし、色温度で青みを付ける。その上でスプリットトーン化していけばナンとかなりそう。ただ、いろいろと微調整してみたのだが、パッと見の印象は掲載した作例の方がチョコレートフィルムに似ている。
【プリセット、公開しちゃいます】
海外のサイトではLightroomのプリセット公開がぼちぼち始まっているようだ。そんなわけで、このチョコレートフィルム風プリセットをダウンロードできるようにしました。ZIPファイルを解凍すると「チョコレート.lrtemplate」というファイルがあらわれるので、こいつを「C:\Users\〈ユーザー名〉\AppData\Roaming\Adobe\Lightroom\Develop Presets」に放り込んでください。と、ここまで書いて気づいたんですが、上記の手順、Vista環境の例になります。うむ、XPの場合はどこのフォルダなんだろう……。ていうかLightroomってVista未対応でしたっけ(汗)。
なお、このプリセットなんですが、デジイチで撮った写真だといまひとつチョコレートっぽくなりません。おそらくポラロイドフィルム特有のコントラストとかボケ味が影響するのかなあ、と。写真というのはホント、理数的に縦割り解釈するのが難しいです。
ハイライトの彩度、ちょい下げかなあw
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