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March 02, 2007

HOLGA 中判カルチャーショック!

森谷修「銘機浪漫」を読んだ。ハッセルブラッドの熱い想いが綴られている。そんなに楽しいカメラならオレも……と思うのだが、ハッセルブラッドはそうそう買える値段じゃない。使う資格があるのかすらわからない。とはいえ、一度は中判カメラを使ってみたいなあと思い、HOLGA120CFNを手に入れた。

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【フィルム巻き上げから頓挫!?】
HOLGA120CFN
はボディもプラスチックならレンズもプラスチック。全身全霊プラスチックのトイカメラだ。そのくせフィルムはブローニ判。カラーフラッシュまで搭載してなかなかどうして侮れない。しかし、そうはいっても手軽さが持ち味のトイカメラだ。特に気負うことなく中判フィルムを装着。いざ撮ろうとフィルムを巻き上げたとき、異変に気づく。

どこまでも巻き上がっちゃうんですが!?

これまで銀塩カメラといえば35ミリフィルムしか使ったことがない。当然この手のカメラは巻き上げレバーがあり、ひとコマずつフィルムを巻き上げてくれる。ところがこのHOLGAって奴は、そんな気の利いた機能はない。調べてみるとHOLGA固有の問題ではなく、中判フィルムとはそもそもがそういうものらしい。世の中のHOLGAユーザーのみなさんは、中判フィルム独自のお作法でつまずかなかったのだろうか。いや、きっと面食らったにちがいない。いまさらではあるが、HOLGAの(中判カメラの)フィルムのお作法をまとめてみたい。

【長さは自分で決める-それがルール】
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HOLGAはブローニ120フィルムを使用し、6×6判6×4.5判で撮影できる。12枚撮り用と16枚撮り用の2種類のフレームが付属。12枚用が6×6判フレーム、16枚撮り用が6×4.5判フレームとなる。ここでポイントとなるのが、ひとつの120フィルムで複数画角を選べるという点だ。35ミリフィルムは通常24ミリ×36ミリに固定されているが(一部にハーフサイズで撮れるカメラもある)、中判フィルムは6×4.5/6/7/9判といった複数の規格がある。HOLGAはそうした規格から6×4.5判と6×6判を選択できるのだ。

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ウンチクはさておき、フィルムを装填して巻き上げる。まあここまでは誰だってできる。適度に巻き上げると「START」なんて文字が見えてくるので、このあたりで裏ブタを閉じておく。いや、それが正しいのかわからないが、「このあたりで閉めんとマズイだろ!?」という気持ちになってくる。裏ブタには赤外線フィルタ付きの窓がある。今回は6×6判フレーム(12枚撮り)を装着しているので、矢印を12に合わせておく。そのままさらにフィルムを巻き上げる。グリグリと巻き上げる。途中、横線やら●やら○が見えてくるが、ひるんで巻き上げる手を止めてはいけない。窓に「」という数字が見えたらストップ。これでやっと撮影できる。シャッターをきったら今度は「」まで巻き、あとは以下同順というわけだ。

なるほど目視巻き上げか、とナットクしつつ、素朴なギモンがわく。6×4.5判のときはどうすんの? 裏ブタの窓を16にセットすればいいのはわかる。ただそのとき、枚数表示はどうなるのか。気になる。どうにも気になる。じゃあフィルムがもったいないけど、開けてみましょうか。

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ああなるほど、画角ごとに数字が打ってあんのね。のぞき窓の位置で横幅を使い分けるってことか。いやあ、勉強になる(笑)。ってことは、中判フィルムの画角とのぞき窓の位置は業界標準化されているわけだ。中判フィルムの標準化規格なんて、HOLGAを買わなければ一生知らずに終わっただろうな……。

【これぞメーカーエゴイズムの彼岸】
_mg_5982古くから写真をやっている人にとって、こんな話は語るまでもないことなのだろう。しかし、あえて中判フィルムを取り上げたのは、この仕組みがとても理にかなっているからだ。ブローニ判という1本のフィルムを、のぞき窓の位置で複数の画角に使い分ける。アナクロだが、合理的。先人の知恵とはまさにこのことだ。写真は画角で見え方が変わる。縦位置、横位置、そしてスクエアフォーマット。どの画角もそれぞれの魅力がある。フィルムというひとつの記録媒体を、複数の規格で共有。この発想がすばらしい。

翻って現在、規格は常に排他的だ。ユーザーを囲い込むため、独自規格が規格競争を巻き起こす。ビデオテープのVHS対Beta、記録型DVDの-R陣営と+R陣営、次世代ディスクのHD DVD対Blu-ray、圧縮オーディオのAAC対WMA、パソコン用OSのWindows対Mac OS。カメラはメーカーごとにマウントが異なり、デジタルカメラの記録素子はフルサイズとAPS-Cが拮抗する。こうした規格競争は、どんなユーザーベネフィッツがあるのだろう。メーカーエゴイズムに振り回され、映像を観る楽しみ、音楽を聴く楽しみ、そして写真を撮る楽しみが削がれていく。

寡占独占よりも、共有を目指してほしい。

●HOLGA120CFNの作例はこちらにあります。

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Comments

こんにちは。
座談会記事、ありがとうございました。
楽しく読ませていただきました!
オレ、ずいぶんいい人になってる~(笑)!
お気遣い感謝です。m(__)m

HOLGAいいですねぇ。
作品を楽しみにしています!
で、ハマったら次はRICOHFLEXへ~!
http://www.flickr.com/photos/79333856@N00/169311673/

Posted by: ジュンイチ | March 02, 2007 09:27 AM

その節はお世話になりました。
広田さんのblogでも取り上げていただき、
みなさんに気に入っていただけたようで
ひと安心というところです(笑)。
パソコン誌でああいうコアな話を
展開できたのは、今後の大きな布石に
なると感じています。

HOLGA、いろいろと撮ってはいるのですが、
けっこう難しいっすね……。
狙いをつけて撮るというよりも、
アタマをまっしろにして撮った方がいいのかなあ。
感性で撮れるよう目下特訓中です(笑)。

RICOHFLEX、かっちょいい!
実はHOLGA購入直後から「次はこいつ」と
狙いをつけてまして、夜な夜なヤフオクを徘徊中です。
こんなことを書くと西日暮里の師匠が紹介メールを
たくさん送ってくれそうですがw

Posted by: metalmickey | March 02, 2007 12:21 PM

はじめまして
スタートの位置の設定間違ってますよ。

ホルガの構造は知りませんが、ふつうはフィルムが最初に巻いてあるスプール付近のボディー側に印があって、そこにスタートを合わせます。

Posted by: とおりすがり | December 06, 2008 03:53 AM

とおりすがりさん、はじめまして。
フィルムのスタート位置、やっぱヘンですよね ただ、ホルガのボディにそれらしいマークが見当たらず、ざっくり適当な位置合わせで済ませてしまいました。またお気づきの点があればご指摘ください。

Posted by: metalmickey | December 06, 2008 09:31 AM

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