Windows Vista 導入計画
ウィンドウズビスタの発売まであと数日。これを機にパソコンのリプレイスを考える人、夏あたりまで様子見の人、はたまたSP1まで待ち、と腹をくくる人、いろいろだと思う。デジタル系ライターという職業柄、ぼくに選択肢はない。発売即バージョンアップ。ほぼ強制的に、である。ウィンドウズ3.1以降、10年以上にわたって幾度となくOSアップデートを体験してきたが、ビスタ導入の方向性は呆気なく決まった。メインマシン入れ替え。しかも自作ではなくメーカー製パソコンで。その経緯を雑感も交えながらまとめてみたい。
【ウィンドウズはXPで完結した】
いまのメインマシンはNEC Directで購入した水冷マシンだ。CPUはペンティアム4 2.80GHz、メモリ1GB(512MBから増設)、チップセットはインテル865G、HDDは120GB×2、光学ドライブはDVDスーパーマルチという構成。いまとなっては旧式だし、さすがにRAW現像を行うと動作が極端に重くなる。それどころかIE7.0導入でへこたれる始末……。このマシンを買ったのは2004年2月、およそ3年前だ。しかしこの3年間、システムクラッシュしたことはない。ここ半年ほどはさすがに、シャットダウンの際に「○○.exeを終了しています」なんてメッセージがやたらと出るようになったが、それでも就寝時以外フル起動でまる3年使い、大きなトラブルには遭遇しなかった。ウィンドウズ9x系時代では考えられないほどの安定性だ。
その一方で、所有するマシンは年々数が減っていった。いまはメインマシンとテスト機、そしてモバイル用のノートパソコンの3台しかない。この状態は自分のパソコン歴と照らし合わせて異例のこと。ウィンドウズ9x時代、90年代後半から2000年を超えるあたりまでは、最大時で7台以上のパソコンを所有していた。なぜわずか3台で済むようになったのか。けっして単にパソコンに飽きたからではない。複数機で分業化する必要性がなくなったからだ。
大量のマシンを所有していた当時、各マシンにはぞれぞれ役割があった。原稿執筆用のメインマシン、周辺機器やベータ版ソフトを試用するテスト機、DTM専用機、ファイルサーバー、BeOSやLinuxなどのOS遊び専用機、そしてノートパソコンにマッキントッシュ。1台にふたつ以上の役割を持たせると、クラッシュ時に壊滅的な状況になる……そんな経験則から1台1機能を長らく貫いてきた。しかし現在は、原稿執筆用のメインマシンでヘビーなRAW現像も行うし、個人的に使ってみたいソフトのベータ版もインストールしてしまう。それでも執筆に支障なく使えてしまうのは、ウィンドウズXPがきわめて安定したOSであり、なおかつハードウェアリソースという側面でも十分にパソコンが高性能化した証だろう。
【3台のPC、それぞれのアップグレード】
思い出話がすっかり長くなってしまった。結論をいおう。メインマシンはソニースタイルでBTOしたVAIO type R masterを購入予約した。テスト機は去年購入したNEC Direct「ValueOne G(タイプMT)」をXPからVista Ultimateにアップグレードする。ノートパソコンはMacBookにリプレイスする予定だ。なぜこうしたチョイスになったのか。ひとつずつ解説していこう。
まずメインマシンのVAIO type R masterから。BTOの仕様は左の画面写真を参照してほしい。見ての通り、BD & 地デジ対応マシンという構成だ。その一方で、基本スペックは中の上ぐらいに抑えてある。液晶モニターは先日購入した三菱「RDT261WH」を使用。HDCP対応なのでハイビジョン映像の著作権保護機能の諸問題はクリアできるはずだ。こう記すとどうということのない選択肢に思えるが、実は消去法に消去法を重ねた結果である。当初はNECのBD & 地デジ対応マシンを検討していた。というのも、同じNEC製品なら旧機種の下取りサービスが利用できるからだ。安く上げようということではなく、捨てるのに金をかけるなら下取りに出した方がマシというだけ。ところがNEC春モデルは水冷マシンが消え、しかもスリムデスクトップはBD未対応。BTOモデルに関しても、BD搭載時は液晶ディスプレイの同時購入が条件となる。液晶は「RDT261WH」を使うので、この時点でNECは候補から消えた。富士通は個人的に趣味が合わないので却下(けっしてわるいマシンではないけれど……)。BTOメーカーは静音性の問題があるので同じく候補外。ショップブランドはサポート面に不安があるのでやはり除外(なにせ最低3年は使いたいので)。こうやって消去法をくり返していくと、最後に残ったのがソニーだった。
単にビスタ導入ということならば、ここまで面倒な話ではない。液晶別売りでハイビジョン対応(いわゆるBD & 地デジ)させようと思うと、現状では極端に選択肢が狭まるのだ。さらに困ったことに、ブルーレイドライブは後からでも追加できるが、地上デジタル放送チューナは後付けできない。なんだかやとハイビジョン環境を整えようと思うと、本体のみで40万オーバーという突き抜けた価格になってしまった。デジタル系ライターなんて仕事をしていなければ、夏まで待ってBDドライブの低価格化とビスタの動向を静観したはずだ。
ペンティアムD 920(2.8GHz)
メモリ1GB
HDD80GB(SATA)
インテル945エクスプレス
DVDスーパーマルチ
上記のスペックはいまテスト機として使っている「ValueOne G(タイプMT)」のものだ。テスト機はこれをそのままVista Ultimateにバージョンアップする。テスト環境はちょっと古いくらいがいい。一般ユーザーの環境に近づけておくことが大切だ。そのためあえて去年の春、テスト機をこのマシンに入れ替えた。あれから約一年たち、ほどよく枯れたシステムといえるだろう。ビスタのRTM版を走らせた感触では、このままで十分実用的なパフォーマンスを発揮する。エアロも特に問題ない。現在上記のようなシステムを使っている人ならば、様子を見ながらメモリを2GBに増設するだけでいいはずだ。
ノートパソコンのリプレイスはいますぐに、ということではない。しかし、次期ノートパソコンはMacBookでいく。いうまでもなく、インテルマックになってアップル製ノートパソコンでもウィンドウズが動くようになった。もうマック風デザインのノートパソコンを買う理由はない。正真正銘のマックでウィンドウズを走らせればいい。また、手持ちのノートパソコンを強化してビスタに対応させるという考えは、毛頭ない。なぜか。答えは簡単。ノートパソコンというものは、そのときどきのOSおよびアプリケーションがかろうじて快適に動作するハードウェアリソースしか搭載していない。どれだけパソコンメーカーが「デスクトップ機に肉薄するパフォーマンス!」などと謳おうが、OSのアップグレードはおろか、ウイルス対策ソフトをバージョンアップしただけで激遅……。ノートパソコンはプレインストールOSで使う――これは鉄則だ。
【なぜメーカー製パソコンなのか】
このようにビスタ導入はすべてメーカー製パソコンで行うことにした。むろんぼくも、かつては自作パソコンや拡張にさんざんハマった口だ。DIY的ビスタ導入も一応は検討してみた。しかし、何ひとつ自作の利点を見出せなかった。ハイビジョン映像を満喫したいのであれば、メーカー製パソコンが有利。しかも各パソコンメーカーは購入時に下取りサービスを行っているので、旧機種を捨てずに済む。自作パソコンは組み立てた瞬間から、いずれ金をかけて捨てなくてはならない。こんな不条理は願い下げだ。
拡張増設によるパワーアップという観点も、現在ではずいぶんと色褪せて見える。メモリとHDDの増設は必要に応じて行うべきだが、グラフィックボードやマザーボードの換装を必要とするほど、現在のパソコンは低性能ではない。もしこうした作業が必要なほどに陳腐化したパソコンなら、潔くリプレイスした方がコスト的にも作業的にも理にかなっているだろう。むろん、自作や拡張を否定するつもりはない。しかしそれは、ホビーのひとつとして、だ。実用としてのパソコン、ツールとしてのパソコンは、メーカー製パソコンの方がハンドリングしやすい。そして新OSの登場に合わせて新調しておけば、少なくとも3~4年の間は快適に使えるはずだ。
現在のパソコンは、安定したOSと潤沢なハードウェアリソースを手に入れた。その一方でハイビジョン映像との相性のわるさが際立つ。恵まれた環境と付け焼き刃。このふたつを踏まえた上でウィンドウズビスタ導入を検討すると、自分なりの結論が見えてくるだろう。
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