EOS 20D モノクロつながり
そういえば、EOS 20Dのモノクロモードって使ったことないな……。ふとそんなことを思った。GR DIGITALはYAフィルター(オレンジフィルター)まで買ってモノクロで撮るのに、なんでデジイチはモノクロモードを使わないんだろう。こりゃイカン。というわけで、EOS 20Dのモノクロモードを試してみることにした。
【モノクロフィルター完全装備の贅沢さ】
EOS 20Dでモノクロ撮影する際は、現像パラメータで「モノクロ」を選ぶことになる。これまで現像パラメータはデフォルト(パラメータ2)で使っていたので気づかなかったのだが、このモノクロモード、フィルター効果を装備した贅沢な仕様だ。黄、橙、赤。さらに緑まで選択できる(写真左)。さらに調色ではセピア、青、紫、緑が選べ(写真右)、こりゃもうレタッチいらず。モノクロ撮るならEOS 20Dでキマリ、か!?
さて、モノクロ撮影のテストにあたって、レンズはCarl Zeiss Jena FLEKTOGON 20mm/f4を使うことにした。型番にMC(マルチコーティングの略)がない。ゼブラ柄のレンズは時代的にシングルコーティング。今回のテストにうってつけだ。本来なら早速レビューを載せたいところだが、いかんせん、手に入れたのが昨日の今日。詳細な画質傾向や使い勝手はまた改めて紹介したい。ただこのレンズに関しては、画質云々のよりもボディに付けたときの迫力に尽きる。そんなレンズ選びがあってもいいじゃない(笑)。
【所詮フィルター効果、代用にはならない!?】
一枚目はカラー撮影から。F5.0近辺にて撮影している。うむ、モノコーティングなのにコッテリ系。恐るべしFLEKTOGON……。なんて話はさておき、とりあえずは暖色系の部位をおぼえてほしい。これがEOS 20Dのフィルター効果の正体を暴くカギになる。
フィルターなし、黄、橙、赤の順にサンプルを並べてみた。前回のエントリーで解説したとおり、モノクロフィルターは青から緑にかけての波長、わかりやすくいえば寒色系を濃くすることでメリハリのある写真と撮る。しかしこのサンプルを見てもらえばわかるとおり、フィルター効果を変えても寒色系は同じトーンだ。代わりに暖色系(朱色と黄色)の部位が強めのフィルター効果を選ぶごとに明るくなっていく。
今度は緑フィルターの例。左がフィルターなし、中央が緑フィルター、右は赤フィルターだ。緑フィルターは暖色系(特に朱色)がグッと濃く(暗く)なっている。赤フィルターと比べるとその明暗差は歴然。しかし、寒色系はほぼ同じトーンだ。つまりEOS 20Dのフィルター効果とは、暖色系の明暗をコントロールする機能、といえるだろう。本物のモノクロフィルターとは逆のアプローチでコントラストを高めているわけだ。
【現像パラメータ、意外な盲点が発覚!】
このように実際のモノクロフィルターと効き目は異なるが、デジタル的発想でコントラストを付けられるのがフィルター効果の利点といえそうだ。しかし、もしあなたがRAWオンリーで撮影しているなら、現像パラメーターをモノクロにする必要はない。なぜなら、カメラに付属するRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」でいつでもモノクロ化できるからだ。しかも単にモノクロ化するだけでなく、フィルター効果と調色も自在に変更できる。さらにいうならば、モノクロモードで撮影しておいて、ピクチャースタイルをモノクロ以外に変更すればすぐさまカラー写真になる。今回モノクロモードを試してみて、RAWデータの自由度を再認識する結果となった。ただしここでひとつ、大きな問題が露呈した。この自由度はDPPとの組み合わせのみで実現できることなのだ。
モノクロ撮影したRAWデータを「SILKYPIX Developer Studio 3.0」で読み込んだところ、すべてカラーになってしまった。どうやら現行バージョンのSILKYPIXは現像パラメータをまったく反映しないらしい。パラメーター2からセット1(任意で指定したパラメータ)に変更したものもすべて同一表示となり、コントラストや色合いのちがいは破棄されていた。ためしに「Lightroom beta 4」で読み込んでも結果は同様。現像パラメータは反映されなかった。おそらくキヤノンのRAW形式は、純粋なRAW情報+現像パラメータになっているのだろう。そして市販ソフトは現像パラメータを余計な情報として破棄してしまう。カメラ側で現像パラメータをカスタマイズして、なおかつ市販RAW現像ソフトを使っている人は、気をつけたいポイントだ。
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