SEOの秘訣とは?
SEOって知ってます? Web2.0の解説本を読んだことにある人なら一度は目にした記憶があるはず。Search Engine Optimizationの略で、日本語では検索エンジン最適化と訳すらしい。自分のホームページを検索結果の上位に表示させ、アクセスを誘導する手法のことだ。そもそもはアダルトサイトのようなアンダーグラウンド系サイトの検索スパムに端を発し、あまり上品な手段とはいえない。しかし、ウェブサイトを営業・広告ツールとして使う上で、いまやSEOは避けて通れないというのが現実だ。
実際にどんなことをするのかというと、検索エンジンのアルゴリズムや巡回ロボットの癖を解析し、自身のホームページがピックアップされやすいように工夫をこらす。コンテンツに流行りのキーワードを散りばめたり、相互リンクを張って信頼性を高めたり、はたまた検索エンジンがすくいやすいようにXHTMLタグをつけたりと、あの手この手で検索上位を狙うわけだ。最近ではSEOコンサルティングなる商売まで存在するらしい。「お客さん、ウチにまかせてくれればアクセス数100倍ですよ100倍!」とでも営業トークするのだろうか。他人様の商売を邪魔する気はないが、このSEOというやり口はどうにも胡散臭さが漂う。個人的には要はコンテンツ次第だと思えてならないからだ。手法で検索上位は狙えるのか。コンテンツ充実こそが最大のSEOではないのか。前置きがすっかり長くなった。当ブログのアクセス数から、SEOを有効性を検証してみたい。
【まじめに書いたらアクセスが伸びた!】
まずは上のグラフを見てほしい。これは当ブログの過去4ヶ月のアクセス履歴だ。緑が訪問者数で、黄色がアクセス数、いわゆるPV(ページビュー)となる。当ブログはそもそもスロ日記と仕事の愚痴を綴った単なる雑記だった。そのためアクセス数と呼べるようなアクセスはない。六月中旬以降、キヤノンの標準ズームレンズやポータブルフォトストレージのレビューを皮切りに、本格的にデジタル系記事を掲載していく。それと呼応するようにアクセス数が伸びているのがわかるだろう。現在では当初の約10倍以上のアクセスがあり、雑記と記事でこうもアクセス数がちがうのかと実感している。なお、五月中旬にココログのアクセス解析ツールが更新されたため、それ以前の情報はこのグラフに反映されていない。
【検索上位に食い込めるか?】
このように、当ブログはここ二ヶ月ぐらいで急速にアクセス数が伸びてきた。むろん、いわゆる人気ブログと比較したら申し訳程度のPVだが、少ないなりにアクセス向上しているのは事実。ではアクセス向上の結果として、検索エンジンでどの程度にランクインするのか、それを確かめてみよう。比較的アクセス数の多い記事に的を絞り、該当キーワードをGoogle(www.google.co.jp)で検索してみた。
●Adobe Lightroom Beta 3
アドビがパブリップベータ版として公開しているRAW現像ソフトに関するレビュー。
「lightroom」:31位/5,820,000件中
「lightroom beta」:3位/1,050,000件中
(日本語ページのみだと1位……ヾ(^v^)k)
●SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta
市川ソフトラボラトリーのRAW現像ソフト最新ベータ版のレビュー。
「silkypix」:103位/288,000件中
「silkypix 3.0」:5位/49,500件中
●EOS 20Dでロシアレンズ
EOS 20D(デジタル一眼レフ)でロシアレンズを使うためのレポート記事。ロシアレンズ購入から装着、操作方法に至るまでを解説している。
「ロシアレンズ」:16位/19,200件中
「ロシアレンズ EOS」:1位/665件中
「ロシアレンズ デジタル一眼レフ」:3位/709件中
●Web2.0は村上春樹だ
Web2.0にまつわるキーワードを解説したコラム。Web2.0というキーワードはビジネス用語としては眉唾だが、インターネットを学術に昇華させた点は評価すべき、というのが主旨。
「web2.0」:802位/55,400,000件中
「web2.0 キーワード」:351位/6,480,000件中
「web2.0 村上春樹」:1位/236,000件中
(2006年9月2日現在調べ)
ニッチ分野の記事ばかりだが、おおむね上位に食い込めている。Googleはデフォルトで1ページに10件の検索結果を表示するので、複数キーワードの組み合わせ検索でははじめのページに当ブログが表示されるわけだ。現在のGoogleはブログ記事を上位に表示しやすい傾向があり、オーソドックスなホームページで記事を掲載していたらまたちがった結果になっただろう。注目すべきは、そのものズバリの単一キーワードで検索した場合に大きくランクダウンしている点だ。単一キーワードだと検索上位はメーカーやショップが占めてしまう。ここに個人ブログが食い込むのはやはり難しいようだ。なお、「Web2.0は村上春樹だ」の順位が奮わないが、これについては後述する。
【SEO的アクセス稼ぎの効果は!?】
まじめに書くだけでアクセスが伸び、検索上位を狙えるのか? これに対する答えは「Yes and No」だ。実は7月の下旬以降、それとなくSEO的手段を試みている。問題はそれがアクセス数や検索上位表示に貢献しているか否か。試した手法ごとにその効果のほどを検証してみよう。
●トラックバック-効果アリ
トラックバックとは言い換えれば相互リンクのこと。これはインターネット黎明期からアクセス数向上の常套手段であり、その効果はいうまでもない。しかし、ただトラックバックを送ればいいというものではない。それでは単なるトラバスパムになってしまう。ここがトラックバックの難しいところだ。当初、検索上位にランクインしているブログにトラックバックを送っていたが、自分のアクセス数稼ぎのためだけにトラックバックを送るのは後ろめたい気持ちがあった。そこで最近は、いわゆるトラックバックピープルを活用している。当ブログが使っているのは「BlogPeople」というサービスだ。カテゴリーごとにメジャーからニッチまで様々な話題のエントリーがある。ここにユーザーがトラックバックを送ることで長大なリンクができあがり、関連記事を芋づる式に読めるというシステムだ。ブログ記事連鎖によるコミュニティと思えばわかりやすいか。実際に関連項目にトラックバックを送ってみると、一日数件程度ではあるが確実にアクセスが増えた。筆者自身もトラックバックピープルで興味のある記事を探すことが多々あり、送る者も読む者も互いにメリット大のシステムといえる。
●ブログランキング-効果薄
閲覧者のクリックを投票として数え、クリック数に応じてブログの人気ランキングをつけるサービス。当ブログも記事の末尾に「お願いクリックしてね」とおねだりしているので、すでにお気づきの人もいるだろう。ランキング上位ほど人気のあるブログとなり、上位ブログはランキング表の目立つところに掲載されるから、雪だるま式にアクセス数は増えていく。以下は筆者が開設しているブログのランキングだ。
metalmickey,s blog:ネット・PC(全般)69位
光学仕掛けのモノローグ:写真(全般)265位
(2006年9月2日現在)
この順位結果の根拠はいたって簡単だ。一日一回、自分で毎日クリックすると大抵このくらいの順位になる。つまり、当ブログの閲覧者はほとんどクリック(投票)していない。しかしそれは当然のこと。筆者自身もこれまで、他のホームページやブログでランキング用のリンクをクリックしたことはない。ブログランキングの難しいところは、自己顕示欲というドロドロした感情にある。要は「ランキングで上位になりたい、目立ちたい、だからみんなオレに協力してくれ!」というわけだ。閲覧者にしてみれば、「記事はおもしろかったけどさ、だからといってアンタの自己顕示欲に付き合うつもりはないよ」となるだろう。クリック誘導はアクセス誘導以上に難しい。もしあなたが二十歳前後の女の子なら、ブログのプロフィール欄にブラちらした写真を載せておけばクリック誘導も簡単だろうけど。いや、これは失言です……。
ランキング上位を狙うには、検索上位狙いと同等以上の努力と工夫が必要になる。つまり、ブログランキング自体が目的になってしまうわけだ。これではSEOのためにSEOという矛盾した状態に陥ってしまう。SEOとブログランキングは別物として考えた方がいい。
●タイトルの付け方-効果大
ココログのパーマリンク(固定リンク)のURLは、記事タイトルを簡略して自動的に生成する仕組みになっている。たとえば「SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta」はsilkypix_develo.htmlとなり、「EOS 20Dでロシアレンズ」ならeos_20d_96d0.htmlという具合。検索エンジンはURLのHTMLファイル名も検索対象としているので、タイトルにメインのキーワードは必ず盛り込んでおきたい。ただし、「ハイビジョン狂想曲」のようにすべて日本語にしてしまうと、post_b8af.htmlという素っ気ないファイル名になってしまう。アルファベットベースの検索エンジンが理解しやすいタイトルにすることが大切だ。
こうしたシステム的なこと以外にもタイトルは重要な意味を持つ。前述した「Web2.0は村上春樹だ」の検索順位を見てほしい。どうにも冴えない順位だ。802位ということは、Googleの「次へ」を80回クリックしたことになる。こんなにもクリックする人がいるとは思えないので、これは検索に引っかからなかったのと同意だ。記事内容がつまらないという指摘は真摯に受け止めるとして、それ以外の要因としてキーワードが広すぎるという点に留意したい。Web2.0はいま流行りのトレンドキーワード。いまや一般用語といっても過言ではない。これに関する記事はあまりに膨大だ。一般用語やそれに準ずるキーワードでは、よほど引きのある記事を書かないかぎり検索上位を目指すのは難しい。たしかにWeb2.0と村上春樹を組み合わせて複数キーワード検索すれば1位になるものの、これはまったく意味がない。なにしろWeb2.0を調べている人は村上春樹という言葉を組み合わせないだろうし、村上春樹について知りたい人がWeb2.0というキーワードを追加するとも思えない。「Web2.0は村上春樹だ」というタイトルは人の目こそ惹くかもしれないが、巡回ロボットの目は惹かない。検索上位を目指すのであれば、人よりも巡回ロボットの好みそうなタイトルを付けるべきだ。
●キーワードを散りばめる-効果アリ
検索エンジンとは、言葉を言葉で調べる機能だ。仮にWeb2.0のコラムを書いたとしても、記事中に一度もWeb2.0という言葉を使わなければ検索に引っかからない。検索エンジンはあくまでも言葉と言葉のデータ的同一性を見るのであって、言葉の意味はけっして解釈しない。つまり、キーワードなくして検索上位はありえないのだ。このことを顕著にあらわしているのが「光学仕掛けのモノローグ」のアクセス数である。このブログは1日1枚ずつ写真を公開するいわゆるフォトログだ。テキストはほとんどない。写真のみのブログである。当然検索エンジンに引っかかりようがないし、事実一日のアクセス数はごくわずか。グラフを公開してもいいのだが、ある意味自虐行為(泣)になるのでやめておく。なお、ココログの記事投稿ページには「キーワード」という欄があり、ここにキーワードを入力しておくとタグとして機能する。本文中にそのものズバリのキーワードが出てこない場合は、ここに関連キーワードを入力しておくとよい。
●プロフィールの公開-効果アリ
当ブログはプロフィールを公開していない。フリーライターという肩書きこそ表明しているが、どんな雑誌でどんな記事を書いているかは明かしていない。一般的な人気ブログを見てみると、必ずといっていいほどにプロフィールを公開している。やはり人となりがわかっていると、読む側も安心感があり、また技術系情報系の記事の場合は信憑性にも関わってくるのだろう。インターネットの情報発信がホームページ掲示板型からブログWiki型にシフトするにともない、ユーザーは匿名から特定個人に変貌した。そういう観点からすると、プロフィール未公開(匿名)の当ブログは失格だ。SEO対策するのであれば、情報発信者として身元を明らかにしなくてはいけない。それが時代の流れである。ただ、エクスキューズさせてもらうのであれば、記事内容だけで勝負してみたい、なんて青臭い気持ちもあったりして(笑)。
【コンテンツが最強のSEO】
手軽に試せるSEO的手法について考察してきたが、当ブログのアクセス解析を踏まえ、なおかつ個人的な感触を盛り込んだ上でいうならば、SEOは地道な広報活動といった印象だ。たしかにトラックバック送信やタイトルの工夫でアクセス数は伸びた。しかしそれ以前の大前提として、雑記レベルの投稿をやめ、レビューやレポート、コラムといった記事的投稿に切り替えたという事実がある。その上でSEO的手法をとった結果が現在のアクセス数であり、検索エンジンの上位ランクインである。けっしてSEO的手法だけでアクセス数は稼げないし、検索上位表示されるわけでもない。まして飛躍的にアクセス数が伸びることはなく、じりじりとアクセス数が伸び、結果として検索上位に表示されていた、程度のものだ。SEO対策は広報宣伝にすぎない。コンテンツの実体がないのに宣伝に精を出してどうするのか。SEOを声高に叫ぶ輩がいたら、まずはコンテンツありきと微笑み返してあげよう。
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