円偏光フィルターの効果
梅雨が明けたら夏。嗚呼、青い空が撮りたい……。しかし、東京に住んでいるかぎり、澄み渡るような青空なんて早々望めない。そんなときは円偏光フィルター(サーキュラPLフィルター)が効果的だそうな。空はより青く、緑はよりみずみずしく写るらしい。運良く天気予報がハズレて青空が広がったので、ちょいとテストしてみた。
円偏光フィルターというのは光の乱反射を抑え、彩度やコントラストを高めてくれる。空や緑といった風景の色彩アップに加え、水面やガラス面の写り込みも低減。大口径用は軽く一万円を超える高額アイテムだ。個人的には、「空の青みなんてレタッチすりゃいいんじゃねえの」とやや疑心暗鬼だが、ヨドバシのポイントが貯まっていたので試しに買ってみた。このフィルターは二層構造になっていて、上層部を回転させてもっともフィルターの効き具合のよいポイントを探す必要がある。また、逆光だとあまり効果が得られず、基本的に順光で使用。付ければ即効果アリ、というフィルターではない。といっても使い方は簡単で、上層部の△印を太陽に向ければOK。もっともファインダーをのぞいてフィルターを回転させば、視界が明るくなったり暗くなったりする。暗く見えるのは偏光効果の証し。一番暗いところにセットすればよい。今回はEOS 20DにFE-S 10-22mm F3.5-4.5 USMを装着して、東京の薄汚れた空を撮ってみた。
【円偏光フィルターの効果】
円偏光フィルターの有無でどれほど写りが異なるのだろうか。F3.5に固定して撮影してみた。左がフィルターなし、右がフィルターありの画像だ。フィルターを装着した画像は、中央より上方の青が明らかに深みを増している。また周辺部も光量が落ち、色が濃くなっているのがわかるだろう。ちなみに、フィルターなしのシャッタースピードは1/2000。それに対し、フィルターありは1/640。円偏光フィルターは光の通過を抑制するので、森林のようなうす暗い場所では手ブレに注意したい。
【露出による効果のちがい】
前述のとおり、円偏光フィルターは光の通過量を抑制する。では、露出によって効きは変化するのだろうか。左がF3.5で撮った画像、右がF5.6で撮った画像だ。F5.6でも未装着の画像より色が濃いものの、F3.5の色ノリにはかなわない。円偏光フィルター装着時は開放気味で撮った方がより効果が得られるようだ。
【セッティングによる効果のちがい】
円偏光フィルターは向きによって効きが異なる。そのちがいを確かめてみた。左は△印を太陽の方向の向けたもの。右は太陽の方向から△印を90度傾けて撮影したものだ。左の画像は狙い通り空がより青く写っているが、右の画像は中央より下方の色が濃くなっている。こいつはいただけない。ただし、水面の写り込みを防ぎたいときは下方の光を抑えることになるので、いつも△印を太陽に向ければいいということでもない。狙い通りの効果を得られるように、ファインダーで効きを確かめながら撮りたい。
【レタッチで超えられるか!?】
レタッチすりゃいいじゃん、という疑問はやはり尽きない。左はF3.5で撮影したフィルター使用時の画像。中央は「Digital Photo Professional 2」で彩度とコントラストを高めたフィルター未使用の画像だ。青空の鮮やかさは補正画像の方が勝っている。ただし、周辺に向けって色が濃くなるという円偏光フィルター特有の味は再現できていない。ちなみに、右の画像はフィルター使用時の画像を「DPP2」で補正したもの。いやあ見事な夏空。東京とは思えない(笑)。
今回、円偏光フィルターをテストしてひとつ痛感したことがある。「気持ちいい空の青さとは、鮮やかさではなく、青の深さにある」ということ。円偏光フィルターはその深みを手軽に作り出してくれる。その反面、青の深さはフォトレタッチソフトでグラデーション状のマスクを駆使すれば表現可能な気もした。ただし、水面の写り込みなどはフィルターでなければ対処できず、レタッチ万能のデジタル時代とはいえ、円偏光フィルターは価値ある撮影アイテムといえそうだ。
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