DOMKE F-3xBB
カメラバッグは難しい。プロカメラマンならば、LIGHTWARE、TENBA、tamracといった一流カメラバッグメーカー品でがっちり機材を守ることに力点を置くだろう。ただしアマチュアがこうした一流カメラバッグを持つと、「バッグ一流、腕三流」と嘲笑されそうで気が引けるのだ。かといって安いバッグはとりあえず感が漂うし、手持ちのバッグにインナーボックスを入れるという手もあるが、それではカメラバッグを買いたいという購入欲(笑)が満たされない。結果、ファッションバッグメーカーが出すカメラバッグというひどく中途半端にところに行き着いた……。いやきっと、同じような人がたくさんいるはずだ。
はじめて買ったカメラバッグは、ARTISAN & ARTISTのACAM-7100(写真右)だ。カメラバッグっぽく見えないカメラバッグ、というセールストークに乗せられた(笑)。レンズをつけたEOS 20Dとレンズ二本がジャストで入る。街歩きにちょうどいいサイズだ。次に購入したのはBRIEFINGのプロテクションタックル(写真左)だ。BRIEFINGはマジモンの軍需工場で製造されるミルスペック準拠のバッグというのが売り。一応BRIEFING初のカメラバッグなのだが、仕切りの使い勝手が今ひとつで所詮はファッションバッグ……と言わざるを得ない。ただ、容量は余裕があるので、デジイチ一式とノートパソコン、それにHDVカメラがらくらく入る。デジタルアイテム一式を持ち出すときに愛用中。そして最近、追加購入したのがDOMKE F-3xBB(写真上)だ。今回はこいつについて詳細レビューしてみたい。
DOMKEの特徴は軽くて機動性があるという点だ。主力ラインナップはキャンバス地で、インナーは申し訳程度のペラッペラ。機材を守るという発想は希薄だ。ただ、インナーが薄い分、サイズの割に収納力があり、しかもキャンバス地で軽いから機動性がいい。なによりミリタリーテイストのデザインがかなりグッとくる。一般的には機動性重視の報道カメラマン向けのカメラバックらしい。報道カメラマンはいわゆる社カメ。機材は会社支給だから壊れてもすぐに代わりが手配できる。ぶ厚いインナーで機材を守るよりも、できるだけ小さいバッグにできるだけ多くの機材を詰め込み、それを持って走りまわるという発想になるわけだ。代替品をすぐに用意できないフリーのカメラマンは、やはりTENBAのようなプロテクション重視のカメラバッグで機材を守ることになるのだろう。
とまあ、DOMKEのカメラバックはひとクセあるわけだが、ミリタリーな外観は魅力だ。そもそも創始者がミリタリーバッグを改造したのが発端とか。しかもこのキャンバス地、けっこう色落ちしていい感じにエイジングするらしい。黒くて小さくてプチオサレなカメラバッグを探していたところなので、F-3xはかなりグッときた。グッときたのだが、冷静になってみると早々手を出せない。キャンバス地ということはホコリがたつ。ホコリはレンズの大敵だ。さらに防水性も気になる。チープなクッションも不安要因だし、黒モデルは真っ赤なDOMKEというロゴマークがいかにもという感じで気恥ずかしい。そんな風に気持ちが萎えていたときに出逢ってしまったのがF-3xBBだ。こいつは耐久性と防水性に配慮したナイロン仕様。内装こそF-3xと同じだが、ネットで調べていたらエツミのクッションボックススクエア3というのがジャストサイズで使えるらしい。しかも――これが最重要ポイント――ログマークは控えめなグレー。これなら買える! ていうか買っちゃいました。
F-3xBBはナイロン仕様だが、前面と背面部分はキャンバス地になっている。これはワンポイントのオサレ(笑)ということか。ただ、背面は身体と触れる部分なので、ここが染色したキャンバス地だと服への色写りが気になる。背面こそナイロン地、という配慮があってもいいはずだ。
評判通り、申し訳程度のクッションだ。しかし、その収容力は想像以上。大口径ズームのFE24-70mm F2.8L USMを装着したEOS 20Dがすっぽり入り、しかも両サイドにレンズを二本、ポータブルフォトストレージにフィルターケースを入れてもまだ余裕がある。F-3xBBは高さ22センチ(内寸)と背が高いので、望遠ズームレンズも難なく納まるだろう。ちなみに、これだけ詰め込んでも側面のポケットは空。ケータイやタバコ、財布といった小物類がしまっておける。なお、底面には薄いクッションが敷いてあり、最低限の保護性は確保されている。
ストラップは滑り止めのゴムひもが編み込んである。幅5センチと厚みがあるものの、機材を満載すると肩にズシリと食い込むので要注意。オプションのショルダーパッドがほしいところだが、見た目重視なら痩せ我慢……か。フラップは金具で止める。こいつがカメラに当たってキズが……と神経質にならなくもないが、個人的にはミリタリーっぽくてお気に入りだ。フラップの裏と本体前面にポケットがある。メモリカードやフィルター、クロスなど、小物類の収納も万全だ。
エツミのクッションボックススクエア3を装着してみた。バッグの内側にベルクロテープが貼ってあるが、クッションボックス側面がツンツルテンなのでそのままでは固定できない。とはいえ、レンズなどの重みでボックスが浮いてくることはなく、実用面での支障はないだろう。クッションボックスを装着すると収納力が犠牲になってしまうが、機材保護を考えるとこの程度のクッションはやはりほしい。自分流にカスタマイズするのがDOMKEの正しい使い方かもしれない。
実際にこのバッグを提げて撮影に出かけてみた感触としては、たすき掛けがすごく気持ちいい。クッション満載のカメラバッグはまったくもって型くずれしないが、それが災いして腰骨のあたりでバッグがゴロゴロしてしまう。しかしF-3xBBはバッグ自体がクタクタなので、腰まわりにうまくフィットしてくれるのだ。F-3シリーズは「バッグを持って走れる」をキャッチフレーズにしているが、それはこのクタリ感のおかげかもしれない。DOMKEは万人向けではないし、クセもある。それでも不思議と惹きつけられるカメラバッグだ。
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