無線LAN大混乱
家中電波だらけで死にそうだ。
仕事部屋をリビングから4畳半に移動することにした。かつてはパソコン7台を並べてご満悦だったのだが、最近は原稿マシンとテスト機、そしてモバイル用のノートパソコンがあるのみ。なにもリビングで仕事をする必要もあるまい。というわけで、仕事部屋大移動の真っ最中なのだ。
問題は、光ファイバの回線がリビングにきていて、4畳半までは廊下を隔てているという点だ。LANケーブルがうねうねと廊下を這うのはいただけない。そこでリビングと4畳半にそれぞれLANを構築して、ワイヤレスでLAN間接続することにした。いわゆる無線LANのブリッジ接続だ。ちょっとわかりづらいけど、こんな感じのレイアウトを考えた。
●リビング
モデム(FTTH終端装置)-ルータ-無線LANアクセスポイント
●4畳半
スイッチングハブ-無線LANアクセスポイント
各部屋のルータとスイッチングハブにはそれぞれパソコンが有線/無線LANでつながっている。要は両部屋のパソコンでファイル共有とインターネット接続ができるようになればOK。知り合いの某ライター氏によると「無線LANのブリッジ接続なんて簡単ですよ」とのことなので、オレもその程度だろうとタカをくくっていた。が、しかし、これがけっこう面倒なのだ。実際問題として、一般ユーザーでブリッジ接続をノントラブルで構築できる人なんているのだろうか。いやもう特集1本十分に組めます。ていうか組もう組みたい、組むならその仕事はオレにチョーダイ。
そんなわけで、いかに面倒がご堪能くださいませ。
今回用意したのはバッファローの無線LANアクセスポイントWLA2-G54Cを2台。それぞれリビングと4畳半に設置して、ふたつのLANを相互接続する。そそくさとアクセスポイントを各部屋に設置。ノートパソコンから無線LAN経由でセッティングに取りかかる。リビングのアクセスポイント(ルータに接続)はすぐ設定できるのだが、4畳半(スイッチングハブに接続)にはうまく接続できない。ちょっと考えればわかることだけど、スイッチングハブにつなげただけではIPアドレスがちゃんと割り当てできない。そりゃつながりませんよ。というわけで、ブリッジ接続の設定を行うときは、アクセスポイントを2台ともルータに接続してから設定に取りかかりましょうね。
さて、ブリッジ接続するときは双方のアクセスポイントで以下の点を共通設定にしておく。これはWLA2-G54C固有の問題かもしれないが、概ね原則と考えていいだろう。他社製品を使っている人は適宜読み替えて作業を進めよう。
(1)無線チャンネルを共通にする
(2)暗号化キーはWEPを使用(WEP以外は不可)
(3)WEPのパスワードは共通にする
こうした作業を行った上で、ブリッジ接続を有効にしよう。WLA2-G54Cではブリッジ接続のことをWDS(アクセスポイント間通信)と呼んでおり、まずはこれを「有効」にする。そして「通信するアクセスポイントの無線側MACアドレス」の欄に、相手のアクセスポイントのMACアドレスを登録。これでアクセスポイント同士の相互通信、いわゆるワイヤレスLAN間接続が可能になる。設定直後、双方のアクセスポイントに接続して通信状態を確認したくなるが、ここで一点注意。ルータに2台のアクセスポイントをつないだままだとうまく接続できない。まあこれも当然といえば当然。ルータに有線接続した状態で、アクセスポイント間で無線接続してしまうわけだから……。ループしちゃいますね。あせらずに片方のアクセスポイントを所定の場所(今回は4畳半のスイッチングハブ)につなぎ直してから接続確認を行おう。
これでLAN間接続は完了したが、まだ仕事場移動に着手できない。というのも、メインで使っているレーザープリンタが依然パラレル接続だからだ。いや、パラレル接続が問題というわけではない。4畳半ではメインマシンとプリンタをどうしても離して設置せざるを得ないので、このままだとあのぶっといパラレルケーブルが室内を這うことになる。それは許せない許されない。勢いでプリンタも無線化することにした。
チョイスしたのは同じくバッファローの無線LANプリントサーバーLPV2-WS11GCだ。プリンタのパラレルポートに接続して電源ケーブルをつなげる。無線LAN搭載ノートパソコンで「ワイヤレスネットワーク接続」を表示すると、LPV2-WS11GCがすんなりと見える。奇妙なことにアドホックモードで稼働している様子。これにはちゃんとした理由がある。LPV2-WS11GCを設定する際、まずはじめてに無線LAN搭載パソコンからLPV2-WS11GCにアクセスし、その後各種設定を進めながらインフラストラクチャモードに切り替える。アドホックモードとは要はピアトゥーピアなので、既存のワイヤレスネットワークと混乱することなく設定が進められる。この方が何かと都合がいいのだ。
LPV2-WS11GCにアクセスしたら付属ユーティリティ「LPV2マネージャ」で各種設定を行う。ところがLPV2マネージャを起動しても肝心のLPV2-WS11GCを検出してくれない。ウィンドウズ上ではちゃんとLPV2-WS11GCに接続しているし、ファイアウォールもオフにした。マニュアルを隅々まで読んでみると、無線LAN以外のネットワークにTCP/IPがバインドしてあると、検出に失敗することがあるらしい。 ものは試しで有線LANとIEEE1394のTCP/IPをオフにする。するとあっさりLPV2-WS11GCが検出できた。正直いってTCP/IPのバインドを外すという発想はなかった。かなりマニアックな設定だと思う。自力でこの設定に気づく人が何人いるだろう……。その後、LPV2マネージャで各種設定を進めるのだが、通信モードをアドホックモード(無線LANパソコン間通信(WiFi))からインフラストラクチャモード(エアステーション経由通信)に切り替えるのがポイント。その上で以下の点に注意してほしい。
(1)既存のアクセスポイントのESS IDを指定
(2)チャンネルはアクセスポイントと共通にする
(3)WEPのパスワードはアクセスポイントと共通
そしてこの時点で重大なことが発覚した。LPV2-WS11GCで使用できる暗号化技術はWEPのみなのだ。幸いブリッジ接続の設定ですべてWEPに統一していたからいいものの、別の規格でそろえている人はちと面倒なことになりそうだ。
これで設定完了、などと侮ってはいけない。さらにプリンタのプロパティを開いて新たなローカルポートを追加し、そこでLPV2-WS11GCのネットワークパスを指定する。またLPV2-WS11GCは双方向通信不可なので、これもチェックボックスをはずしておくこと。このあたりはマニュアル通りに進めていけば問題ないだろう。
いやはやその作業量たるや自作パソコンに負けず劣らずだ。あなたもぜひ、ハイエンド無線LANの世界に足を踏み込んで、いや踏み外してみませんか?