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January 2005

January 22, 2005

iPod shuffle は成功する

iPod shuffleはiPodの抽象だ。
けっして簡易版iPodではない。
業界他社のエライさんは「液晶がないからコケる」
と余裕をかましているようだが、認識を改めた方がいい。
すでにアップルストアでは2~3週間の入荷待ち。
買いたくても買えない状況だ。
そんな品薄状況にも関わらず、
ちょっとズルをして1GBモデルを買ってみた。
そして試用した第一印象が冒頭のひと言だ。

iPod shuffleはiPodの抽象である。

iPod shuffleはメモリタイプのオーディオプレイヤーで、
記録したサウンドファイルをランダム再生する。
だからシャッフル。実にわかりやすいネーミングだ。
しかし、シャッフルは再生時だけではない。
iTunesからデータ転送する際もランダムなのだ。
HDD上のサウンドデータを、ランダムにピックアップして
ランダムに再生。二重の意味でシャッフルだ。
完全なるランダム再生ゆえに液晶は不要。
この思い切りが手を出しやすい価格を実現した。
これはまちがいなく売れる。なぜなら、
このランダムぶりはまさにiPodそのものだからだ。

iPodは大容量HDDを内蔵し、それこそ家中の
CDを収録できるのがアドバンテージ。
CDライブラリーの携帯。これがiPodの姿だ。
さて、実際にiPodで音楽を聴くとき、
いちいちお目当ての曲を探す人が
どれだけいるだろう。多くの人は
膨大な収録曲からランダム再生で
音楽を楽しんでいるのではないか。
ということであれば、iPod shuffleの
ランダム再生とまったくかわりない。
iPodとiPod shuffleでは記憶容量に
圧倒的な差があるものの、
リスニングスタイルという点で
ニアイコールとなる。だから
iPod shuffleはiPodの抽象、だと僕は思う。

さらに便利な点は、USBポートに挿すだけで
充電とデータ転送が同時に行え、
さらにUSBメモリとしても利用可能。
バッグに忍ばせておけば何かと役立つ。

iPod shuffleはiPodのエッセンスが詰まっている。
そしてモバイルアイテムとしても即戦力になる。
きっと他社が似たような製品と続々と投入するだろう。
でもHDDプレイヤーがそうであったように、
シリコンプレイヤーもiPod shuffle一色になるにちがいない。
性能誇示がいかに虚しいか、iPod shuffleはよく物語っている。

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January 21, 2005

安全神話を疑え

誘拐するタクシードライバー。
空き巣に精を出す鍵屋。
窃盗する宅配業者。
どれも実際にあってはならないことだが、
ちょっと想像を膨らませればリアリティを伴う。
時に現実になることだって、ある。

某誌の仕事で名古屋へ向かった。
早朝の新幹線。編集者、カメラマン、
そしてオレの三人で、並びで指定席を予約した。
が、宅配業者の手違いでカメラマンに
チケットが届かない。配達事故。
そう頻繁にあることではないが、
嘆いても仕方ない。
宅配業者が弁償するという確約をとり、
別途指定席を予約する。

そして当日、新幹線に乗り込むと、
紛失したチケットの席にサラリーマンが座っている。
もう一度書く。配達事故で紛失した
チケットの席に、人が座っているのだ。

ありえない。でも、想像は容易だ。

チケットが何らかの経緯で金券ショップに流れ、
そのチケットを買った男が席に座っている。
それだけのこと。問題は、紛失したものが
どうして金券ショップに流れたのか……。

チケットは本当に「紛失」だったのか。
故意によるものではなかったのか。
換金可能なチケットを、宅配で
送った者がバカだったのか。
それともJRのダブルブッキング!?
いずれにせよ、なくなったはずのチケットを
何からの経緯で取得した者がいる。
それは事実だ。

郵便局には書留というサービスがある。
配達記録が残るため、最低限のセキュリティは
保たれている、はずだ。民営化もけっこうだが、
それによってセキュリティが失われるのは寂しい話。
安全神話なんて幻想ですか?

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January 13, 2005

パソコンってやつは

パソコン春モデルのリリースラッシュだ。
パソコンのことを知りたいならパソコン誌。
という考え方はもう古いのかもしれない。

ここ数年、パソコン誌でパソコン特集を
書いた記憶がない。パソコン特集のオファーが
あるのはモノ雑誌やデジタルギア雑誌が中心。
もちろん、パソコン誌は新製品情報を
リアルタイムに掲載しているので、
わざわざ特集を組むまでもないわけだが……。
でも、長らくパソコン誌で仕事をしてきた
自分にとって、この変化はちょっとショックだ。

パソコンってもう、日用品、なのかもしれない。

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January 07, 2005

勘違い野郎

iTunesは独禁法違反だ!
そう、騒いでいる奴がいるらしい。
iTunes Music StoreはiPodにしか対応していない。
自分はiTunes Music Storeを利用したいのであって
iPodがほしいわけではない。
でもiPodにしか対応していないから
ほしくもないiPodを買うハメになった。
これはアップルの横暴だ、というのだ。

一般人的なフィーリングでは、
「まあ兄さん、そりゃムチャな話だって」
となるが、こと裁判ではどうなるかわからない。
でもまあ、やっぱムリムリだよね。

似たような話が国内にもある。
ソフトバンクBBの孫社長は
光ファイバ開放義務撤廃に反対を表明した。
NTTの所有する光ファイバはそもそも
電電公社時代に国民の税金によって作られたものであり、
よって他社にも広く開放するべきだ、という理屈だ。
光ファイバが開放されれば当然価格競争が起こり、
これまでよりも格安でFTTHが導入できる。
ユーザーメリット大。がんばれ孫社長!

と思っている人はどれだけいるだろうか?

USENブロードバンドもTEPCOひかりも
自前のブロードバンド回線でがんばってる。
他人のふんどしで相撲をとろうだなんて、
ちょっとムシがよすぎるんじゃない?
と僕は思ってしまうのだが。

そもそもiTunes Music Storeも
光ファイバ開放義務撤廃も簡単な話だ。

企業は独占を目指す組織体である

これだけのこと。
くれぐれも留意すべきは、
NTTが独占を目指しているのと同じく、
ソフトバンクBBだって独占を目指している。
そのことはADSLの例を思い浮かべて
もらえばすぐに理解できるはずだ。
何が気に入らないかって、
他人のふんどしで独占を目指そうって
んだからふてぶてしいじゃない!?

いかなる企業も業界ナンバーワン、
すなわち独占を目指している。
業界他社と協調していくつもりはない。
キヤノンとエプソン。ATIとnVIDIA。
マイクロソフトとアップル。
IEとネットスケープナビゲータ。
docomoとAU。具体例に事欠かない。
ただ、実際に独占してしまうと
価格つり上げでユーザーが悲鳴を
あげるわけで、各社が独占を目指し
競争している状態こそがベストだ。
ライバル会社に泣き言いったり、
企業の独占指向を嘆くのはナンセンス。
企業とはそういうものなんだから。

願わくは、ユーザーの支持による
シェアナンバーワン獲得、これを
目指してほしいものです。
ユーザー不在の独占は、
断固として看過しません。
看過してはいけません。

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January 01, 2005

そして移ろいゆく

この業界、すなわち出版業界には、
年末進行という定例行事がある。
年末年始は印刷所のラインが止まってしまうので、
前倒しで進行するというものだ。
もちろん前倒しで文字数が届けば問題ない。
年内にすみやかに原稿を仕上げ、
ゆっくりのんびりと正月休みを満喫できる。
ライターにとって実際の年末進行とは、
通常ペースでコンテンツを受け取り、
正月返上で原稿書きに精を出すことだ。

正月? フツーに原稿書いてるよ。

これがライターの正しいあり方、と思っていた。
が、しかし、ここ数年、正月はヒマだ。
もちろん仕事は抱えているものの、
年明け着手で何とか帳尻合わせができる。
少なくとも「4日に耳をそろえて原稿ください」
という失礼な発注はなくなった。
年末ギリギリの発注であっても、
5~7日程度までの猶予はある。
昨年はこっちから「年内に文字数ください。
正月返上で書きますから」と
お願いしても音沙汰なしという案配。
年明けからぼちぼち動き出すようだ。
編集者が「お互い休めるように」と気をつかって
くれているのはもちろんだけど、
ヘンに忙しがったりせず、大人な仕事の仕方を
体得したということかもしれない。

このように物事は移ろう。

今年でこの仕事も10年目。
自分自身も業界も、ずいぶんと変化した。
よくなったこともあれば悪くなったこともある。
人は変化を拒む動物だから、ついつい
これまで通りのやり方に固執しがちだけど、
流れに身をまかせた方がおそらく楽だ。
そもそもライターになったのもなりゆきだし、
自分の半生をふり返ってもおおむねなりゆきだ。

そんなわけで今年も流されていきます。
どこかに流れ着けるといいんだけど。

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