4TEEN
石田衣良「4TEEN」を読む。
14才の少年4人組の青春群像、
といってしまうとありがちだが、
彼らを通して、援交、DV、不登校、
プチ家出、拒食症などなど、現代人が抱える
ダークな側面をていねいに描いている。
文体はポップで読みやすいわりに、
そのテーマは気が滅入るほど重い。
彼ら(および我々)のまわりには
出口のない闇しかない。
その闇を闇そのものとして描くのではなく、
少年たちの無邪気さと、いまどきの少年らしい
諦念で口当たりよい読み物に仕上げている。
石田衣良の作品を読むのははじめてだ。
正直、作家そのものに言及するには情報不足だが、
全編を貫くやさしさと甘さはこの作家の空気感と見た。
そしてこの空気感が売れるポイントのような気がする。
人は作品の世界観で小説を買うのではない。
作家の世界観に惹かれて新刊を手にするのだ。
あらためてそんなことを思った。
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