Turtleback オールドレンズワークショップ

October 12, 2017

開平ワークショップ 締め切り間近です!

「澤村徹と行く開平ワークショップ」の応募締め切りが迫ってきました。ワークショップ開催は11月23日~26日。応募締め切りは10月15日です。香港に集合し、中国の世界遺産開平にてオールドレンズ撮影を楽しむワークショップです。開平は個人旅行だと訪れることが難しく、またツアーパックだとさらっと触りをなぞるだけで終わってしまいます。本ワークショップは中国語と英語に精通したスタッフが旅をサポートし、撮影については澤村徹がじっくりとガイドいたします。

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●Turtleback オールドレンズ・ワークショップ第2弾

澤村徹と行く開平ワークショップ
日程:2017年11月23日~26日
応募締め切り:2017年10月15日

オフィシャルサイトに詳細が載っているので、こちらに目を通した上でお申し込みください。オフィシャルサイトにはロケハンで撮影した開平の写真やムービーも掲載しています。ワークショップ参加の検討材料にしてください。もともと少人数構成のワークショップですので、アットホームな雰囲気で和気藹々と撮影旅行を楽しめればと考えています。オールドレンズワークショップと冠していますが、現行機で撮られる方の参加も大歓迎です。ぜひご検討ください。

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September 09, 2017

【開平ロケハン記04】開平の宿泊食事事情

開平は中国の田舎町だ。上海のような背の高いビルは数えられる程度しかなく、また、深圳のような工場も見当たらない。質素な農村というイメージが一番わかりやすいだろう。バックパッカーにはおいしいエリアだが、撮影ワークショップの場合はまた話が別だ。治安、食事、宿泊、要は文化水準が気になる。開平ロケハンレポート最終回は、開平の宿泊食事事情をまとめてみた。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

今回我々がロケハンで使ったのは、潭江半島酒店という開平唯一の5つ星ホテルだ。市街地の中州の突端にあり、ロケーションと言いグレードと言い、大満足なホテルだった。と言っても、取り立てて贅沢をしたわけではない。宿泊料金は素泊まり360元(6,000円程度)。都内のビジネスホテルより安い。

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中州の対岸から宿泊した潭江半島酒店を望む。このあたりではひと際背の高いビルだ。

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ホテルのエントランス。この過剰に広い感じ、共産圏に来たと実感する。

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パノラマで撮ったことを差し引いても、一人では広すぎる部屋だ。

食事については、朝食はホテルのバイキング、昼食は出先の食堂、夕食はホテルの中華レストランといった具合だ。ホテルのレストランがおいしかったので、必然的にホテルで食事を済ますことが多くなった。撮影で疲れている身としては、改めて外出しないで済むのはとても助かる。ロケハン中、全6回の食事を平均すると、1食あたり100元(1700円程度)ぐらいだった。夕食は少々贅沢するので、平均単価がやや高くなっている。ちなみに、このホテルには喫茶室もあり、夕食後のコーヒーやスイーツもOKだ。食事に関して不安はないだろう。

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夕食はホテルの中華レストランの世話になった。写真の料理はうなぎの釜飯。中華料理でうなぎはめずらしいと思う。

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朝食バイキングで麺をいただく。湯通ししたレタス、甘辛く煮た牛肉、ザーサイ、そしてネギをトッピング。朝から贅沢だ。

トイレ事情はどうか。世界遺産に指定されているだけあって、開平は観光地としての整備が進んでいる。入園料を取る場所は清潔な公衆トイレがあった。ワークショップで巡るスポットに的を絞ると、自力村と錦江里は村落の入口近くに清潔な公衆トイレがある。赤坎鎮は入園料を取らない市街地なので、ここに関しては逆に公衆トイレを避けた方が安全だ(公衆トイレの看板を見つけたが、その道を進むことすら怖いような場所だった)。メインストリートに飲食店があるので、そこのトイレを借りるのが現実的だろう。いずれにしても、現地語のわかるスタッフが同行するので、ひと声かけてもらえればいかようにも対応できる。端的に言うと、日本での旅行とさほど変わらぬ過ごし方で、開平での撮影を楽しんでもらえると思う。

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馬降龍の公衆トイレ。自力村もこんな感じの清潔なトイレだった。車椅子や授乳室も備えている。

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自力村に入園したところ。村落まで整備された道がつづく。左端に見えるのはカフェ。それなりに俗化しているが、村落はどっぷりと濃いのでご安心を。

さて、最後にレンズセレクトに触れておこう。再掲になるが、今回の機材は以下の通りだ。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

このうち、メインで使ったのが球面ズミルックスとビオゴン28ミリで、要所要所でウルトラワイドヘリアー12ミリを用いた。望楼はやはり広角が映える。ビオゴン28ミリは大活躍してくれたが、もう少しワイドでも良かったという印象だった。11月のワークショップ本番では21ミリを持参したいと思っている。

標準域はライカM8に球面ズミルックスでまかなった。35ミリ×1.3倍で35ミリ判換算46ミリ相当だ。ファットエルマリートで遠くから望楼を狙うつもりだったが、ライカM8と球面ズミルックスで案外事足りてしまった。はじめての場所で中望遠を持ち出す余裕がなかったのも事実だけど(汗)。

ライカM8を持ち出した理由はもうひとつある。というか、むしろこちらの理由が本命。開平で赤外写真を撮りたかった。田んぼの中にニョキニョキとそびえる望楼。赤外で撮ってくれと言わんばかりのロケーションじゃないか。ロケハンは天候にあまり恵まれず、赤外で撮れたのは最終日だけだった。それでもインスタ映えならぬ赤外映えするシーンがたっぷり撮れ、開平&赤外はかなりオススメだ。

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自力村で撮った赤外カット。田んぼの奥に望楼が建つ。M8にGビオゴン28ミリを付けて撮影した。

4回に分けて開平ロケハンレポートをお届けした。11月のワークショップでは、赤坎鎮、錦江里、自力村の3カ所を巡る予定だ。ひと口に開平と言っても、村落ごとに狙い目となる被写体が異なる。行く先々で新鮮な被写体と出会えるはずだ。個人旅行ではなかなか行きづらい場所なので、興味があればぜひ。Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾、開平ワークショップ、ご検討のほどを。


【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな
【開平ロケハン記03】遺跡に住む人々

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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September 03, 2017

【開平ロケハン記03】 遺跡に住む人々

ロケハン2日目、朝イチで錦江里に向かう。世界遺産に指定されている村落の中で、開平市街からもっとも離れた場所にある村落だ。タクシーで国道級の道を30分ほど飛ばす。スピードダウンと同時に周囲を見ると、明らかなスラム街に入っていった。それを抜けると一気に視界が開け、どこまでも田んぼが広がる。その田んぼのあちらこちらに、望楼と石造りの家々が点在する。昨日の赤坎鎮は商業地だったが、錦江里は農村だ。

世界遺産に指定されている村落は入園料がかかる。5つの村落で使えるフリーパスが180元。日本円で3,000円前後だ。中国の物価水準からすると、そこそこの金額だと思う。ただ、このお金が村落にフィードバックされ、村落内の道や公衆トイレに姿を変え、観光地としての機能を備えていく。今回、開平の村落を回ってトイレや水分補給に困ったことはなかった。フォトジェニックなロケーションの観光地化は賛否両論あると思うが、僻地で適度な生活水準をキープしてくれると、撮ることに集中できるのでありがたい。

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180元のフリーパスで、立園、自力村、馬降龍、錦江里、南楼の5カ所を回れる。今回のロケハンでは南楼以外の4カ所と赤坎鎮を撮り歩いた。

錦江里はこじんまりとした農村だ。すぐ脇を川が流れ、牛やニワトリの姿が見える。取って付けたような石門をくぐると、一世紀ぐらいタイプスリップしたような感覚に襲われた。石造りの民家がひしめくように身を寄せ合い、その奥に華洋折衷の望楼がそびえ立つ。村落前の広場では、住人が農作物を天日干しにしていた。

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錦江里の入口にある石門。ここをくぐって村落に入る。そこはかとなくアトラクションっぽくてアレだけど、一歩足を踏み入れると別世界が待っている。

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養鶏が盛んな村のようで、至るところにニワトリがいた。養鶏は短時間で現金化できるため、中国の農村ではよく行われているらしい。

土手に上がって村落を俯瞰し、何回もシャッターを切る。次は村落の中へ突入だ。水平に並んだ家々が城壁のようだ。あとで知ったことだが、事実、昔は路地を塞いで城壁の役割を持たせたらしい。細い路地に身を滑らせ、石造りの家々を巡る。窓の隙間からテレビの声が漏れ、食器の触れ合う音が鳴る。人が住んでいる。観光用の遺跡ではない。正真正銘の民家だ。日光江戸村に人が住んでいたら、ちょうどこんな感じだろうか。

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土手から村を一望する。望楼の手前に石造りに家々が密集する。右下にご婦人と赤ちゃんが写り込み、そのスケールがわかるだろう。

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路地は狭く、息を潜めて歩くと、生活音がすぐさまに耳に入ってくる。錦江里の住人は観光客に行為的で、写真は撮りやすかった。ちなみに、馬降龍は住人と観光客のトラブルが多いという。実際、馬降龍をロケしたとき、監視員のような男に立ち入りをとがめられることがあった。

村落の一番奥に望楼が建つ。この望楼は公開されていて、てっぺんまで登れる。錦江里だけではなく、世界遺産に指定された村落の望楼は、観光客に公開されているものが多い。フォトグラファーにとってこれはパラダイスだ。柵もない、ガラスもない。下界に広がる屋根の海に、素のままレンズを向けて撮影できる。俯瞰パラダイス。これはたまらない。

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望楼に昇って村を俯瞰する。日本は素通しで俯瞰できる場所が減っているので、こういうロケーションで撮れるのはとても楽しい。

昼メシ時、この村唯一の食堂に入る。そもそも、この村落に食堂があること自体に驚いたのだが、店内に入るともっと驚くことになった。食堂というよりも、どう見ても一般家庭のダイニングなのだ。がっかりしているのではない。これ幸いと写真を撮り出す。一般家庭の写真なんて、早々撮れるものではない。台所にはかまどが鎮座する。壁はご先祖の肖像。前時代的な光景にシャッターを切る指が止らない。この家のおじさんとおばさんも撮られ慣れているのだろう。カメラの前でにっこりスマイルだ。

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食堂といってもダイニングテーブルがひとつあるだけ。このときは他にお客さんもおらず、Turtlebackのメンバーでテーブルを占拠する。

席に着くと、ざっくりと切り分けたマンゴーが出てくる。これから作るんで、とりあえずこれでもつまんで待っていてくれ、ということらしい。家庭料理の店でそんなに待たされることもなかろうと思ったのだが、甘かった。

おじさんとおばさんが目の前のキッチンで調理をはじめる。いや、調理ではない。食材の調達からはじまった。名シェフたるもの、食材へのこだわりがハンパないのだ。おばさんが黒い物体をキュッと締める。あれって、庭でコケコッて鳴いていたやつだよね。待つことしばし、活きのいい鶏料理が食卓に並ぶ。もちろん抜群にうまい。なにしろ活き作りだからな。

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お通し代わりのマンゴー。たぶん、さっき庭で取ってきたのだと思う。

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調理場に鎮座するかまど。でも、左横にはちゃんとガス台もあるのでご安心を。

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おばさんが慣れた手つきでコケコッをお肉にさばいていく。帰国して妻にこの話をしたら、「子供の頃、晩ごはんがトリカラの日は、じーちゃんが裏庭で何かごそごそやってた」と衝撃のカミングアウトが。

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瓜と砂肝のカレー風味炒め。おいしくいただきました。ちなみに、向こうは鶏肉というと骨ごとぶつ切りなので、日本人の感覚からするとかなりワイルドだ。

帰り際、店のおじさんが近づいてきた。「さっき撮ってもらった写真、ウィーチャット(中国のLINEに似たアプリ)で送ってくれないか」とスマホを取り出す。ちょっと待て、ここでスマホ? あれだけ前時代的ライフスタイルを見せておいて、スマホなの!? 錦江里、侮れない村だ。

【開平ロケハン記01】バスは飲食禁止です
【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
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September 01, 2017

【開平ロケハン記02】観光地の顔にだまされるな

朝イチの高速バスで香港を発ち、4時間半ほどで開平のホテルにチェックインできた。ホテルのレストランで昼食を済ませ、撮影の準備に取りかかる。普段、海外ロケにはたんまりと機材を持ち込む。ボディ3台、レンズ10本程度が標準的な機材で、1日3本ペースで撮っていく。しかし、今回の開平行きは機材を最小限に絞り込んだ。理由は、香港経由で中国に入るからだ。

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昼食後、まだ青い空が見える。この日、目的地に着くとだいぶ雲が厚くなってしまった。

香港から中国へ出入国する際、同一製品の大量持ち込みはとがめられるリスクがあるという。日用生活品を香港から中国に持ち込む、いわゆる運び屋が横行しているからだ。あらぬ嫌疑でカメラとレンズを没収されてはたまらない。今回はボディ2台、レンズ4本というミニマム構成で撮影に挑むことにした。

(ボディ)
Leica M8
Leica M10

(レンズ)
Ultra Wide-Heliar 12mmF5.6 Aspherical
G Biogon T* 28mmF2.8
Summilux-M 35mmF1.4
Tele-Elmarit 90mmF2.8

標準レンズが含まれていないが、APS-HのライカM8にズミルックス35ミリを付けると標準画角になる。中望遠は持参したものの、結局は使わずじまいだった。レンズセレクトについては改めて後述したい。

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ホテルのロビーに集合。Turtlebackのメンバーはすでに三脚を立て、GoProでムービーを撮りはじめ、やる気満々だ。あえて言うけど、まだホテルのロビーだからね。

さあ、いよいよ撮影だ。ワゴンタイプのタクシーで赤坎鎮を目指す。中国の運転の荒さは覚悟していたが、川沿いの大荒れの舗装路をノンブレーキが突っ走る。アスファルトはひび割れ、傾き、陥没しているのだが、そんなことはおかまいなし。スクーターを避けるために反対車線に出る。対向車はノンブレーキ、こちらもノンブレーキ。素でチキンレースをやるのだからたまらない。道の両脇に田んぼが広がり、目をこらすと、その奥にレンガ造りの民家が密集している。望楼らしきものも見える。これぞ開平といった村落が、道の両脇の至るとところに広がっていた。正直言って、「赤坎鎮まで行かなくても、ここと撮ってもいいのでは?」というくらいどこもかしこも開平状態なのだ。

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開平は基本的に田舎町だ。山河がゆったりとした時間とともに広がる。世界遺産以外にも撮りたいものがたくさんある。

タクシーが一気に速度を落とす。景色が一変する。2~3階建ての建物が両サイドから迫る。まるで側溝の底をミニカーで走るような気分だ。建物の多くは、西洋とアジアをミックスした開平特有の建築様式をまとっている。どうやら赤坎鎮の旧市街に入ったようだ。西洋化するチャイナというイメージは、映画による刷り込みが多い。事実、この赤坎鎮は映画のロケ地として幾度も登場しているらしい。近代化する中国のテンプレ的風景がここにある。貧弱な発想でアレだが、とりあえず、ジャッキーが5人ぐらいは出てきそうな街だ。

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赤坎鎮は道の両サイドにファザードがつづく。メインストリートは意外と交通量が多く、特に電動自転車の普及は目を見張るものがある。

赤坎鎮の観光地的なメインスポットは、川沿いにある三門里の迎龍楼だ。華洋折衷のファザードが川に沿ってつづいている。赤坎鎮でググって出てくる画像がここだ。特に対岸からの写真はお約束の構図となる。ただ、さすがは世界遺産、この通りはお土産屋や屋台が並び、すっかり俗化している。ここをお目当てに撮り出すと、あまりの観光地っぷりにちょっとがっかりするだろう。ただし、案ずることはない。本番の撮影は、道を一本入ったところからはじまる。

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三門里の迎龍楼のファザード。こういう華洋折衷の建物が川に沿ってずっとつづいている。これを狙うなら対岸からの撮影がオススメ。

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川沿いの通りは観光地化が進み、お土産屋と屋台が、軒ならぬパラソルを連ねる。見方を変えると、ここに来れば食事と水にありつけ、用も足せる。撮影旅行の場合、観光地化したスポットはある意味オアシスだ。

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赤坎鎮のアイコン的な古い石橋は、補修のため通行禁止になっていた。ここの中程からファザードの壁を狙いたかった。

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川沿いにライトアップ用の照明器具を発見。夜になるとライトアップするようだが、あまりの暑さにそれまで待てなかった。

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豆腐と獅子唐にスライスした鶏肉を貼り付け、しっかり焦げ目を付ける。これがスパイシーでうまい。とにかく蒸し暑いので、辛いもので体に活を入れないとやってられない。

細い路地を進むと、目の前の光景はほぼ遺跡だった。しかし、そこには人々の生活が根付いている。遺跡に住む人々、とでも言えばいいのか。強烈なタウンエイジングだ。街自体は古いのだが、驚くほど活気がある。マーケットや屋台は人であふれ、スクーターと電動自転車が群れをなして行き交う。圧倒されるが、賑やかな方が写真は撮りやすい。そもそも世界遺産に指定されている街なので、写真を撮っていてもさほど奇異の目で見られない。が、調子にのるのは禁物だ。路地を奥まったところまで進むと、目に見えないゲートのようなものを感じる。ここから先に進むと、身ぐるみ剥がされても文句言えないな、と。こういうのは理屈ではないので、違和感をおぼえたときは引き返すにかぎる。

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川から1~2本奥まった道を行くと、一気に生活臭が強くなる。ここからが撮影本番だ。

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映画に出てきそうなバルコニー付きの建物に、洗濯物が鈴なりだ。このギャップがたまらない。いや、そもそもこれがギャップなのかどうか(汗)。

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廃墟一歩手前といった風情だが、路上駐車したクルマが生活の場であることを教えてくれる。

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Turtlebackメンバーがイチ押しするロケーション。オールドレンズファンならば、赤坎鎮のランドマークはこれに決定。

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映画のセットではない。時の経過のなれの果てだ。こういう光景が至るところにあり、次第に視神経が麻痺してくる。

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ここで足が止った。赤坎鎮は生活臭の強い街だが、路上にゴミは散乱していなかった。ここから先は進んだらダメだと思った。

赤坎鎮は旧市街ならではのタイムスリップ感をたっぷり楽しめる。建物だけでなく、濃密な生活感に満ちているのがよい。写真を撮る身としては、映画のロケ地云々という蘊蓄はあまり気持ちがのらない。旧市街の生活臭がフォトジェニックだ。

●TurtlebackTurtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
開平フォトギャラリーはこちらでご覧ください。

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【開平ロケハン記01】 高速バスは飲食禁止です

今年の6月、中国広東省の開平を訪れた。Turtlebackオールドレンズ・ワークショップのロケハンだ。開平は世界遺産に指定されていて、望楼を中心に旧市街や村落が広がる。その望楼の建築様式が独特で、西洋とアジアが混在した言わば華洋折衷だ。田んぼの真ん中や密林の中に、そうした望楼がいくつも建っている。開平がフォトジェニックであることは、誰もがうなずくだろう。

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錦江里の望楼に登り、隣の望楼と村落を俯瞰する。撮影目線で言うと、当たり前のように望楼から俯瞰撮影できるのは、かなり美味しい。こんなことならティルトシフトアダプターを持ってくればよかった。

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自力村の眺望は、絵はがきやパンフレットでたびたび見かける光景だ。田んぼにニョキニョキと生える望楼が、違和感いっぱいでおもしろい。ここでしか撮れないシーンのひとつだ。

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錦江里は村落の端が土手になっていて、そこに上ると村落を見渡せる。ちなみに、この村落は人が住んでいて、農耕や養鶏で生計を立てている。このワークショップでは、生活臭たっぷりの村を撮って回る。

香港でTurtlebackの面々と落ち合い、高速バスで開平を目指す。開平は世界遺産に指定されたメジャーな場所だが、アクセスはかなり悪い。香港から高速バスで4~5時間。途中、深圳で出入国の手続きも必要だ。開平の村落は離れて点在しているため、シャトルバスかタクシーで見て回ることになる。撮影目的の場合、最低でも1~2泊は必要だ。中国というお国柄、個人旅行でこれだけの手配をこなすのは大変だろう。正直に言うと、このワークショップの話がなかったら、開平なんて一生訪れなかったと思う。地図を見てもらうとわかるのだが、いい感じに陸の孤島だ。一部の村落はその昔、華僑が世界へ旅立つ交通の要だったようだが、現代の交通網は高速道路が少し離れたところを通っているのみ。旅行者にはきわめて遠い場所だ。

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香港から開平直通の高速バスが出ている。今回はこれを利用した。大型バスだが、シート間隔はけっこう狭い。一応、座席指定なのだが、ぶっちゃけ早い者勝ちというローカルルールがたまらない。

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深圳で一旦バスを降り、イミグレを通過する。日本人観光客の場合、香港を出国し、中国に入国することなる。中国側で別のバスに乗り換え、開平を目指す。

開平直通便とは言え、4~5時間のバス移動はけっこうこたえる。まず、大きい荷物はトランクに預けられるが、座席に持ち込む荷物はできるだけ小さい方がいい。座席上の棚が狭いので、大型カメラバッグはまず入らない。ライカ2台が入るショルダーバッグがどうにか入る程度だ。ちなみにぼくは中型のバックパックを座席に持ち込み、膝の前に置いて道中をすごした。座席間隔が狭く、あまり快適とは言えない。これはもう、移動と割り切って我慢する。ひとつ断言できるが、我慢した甲斐のある風景がこの後待っている。

この高速バス、実は意外なルールがある。それは飲食禁止なのだ。どうせ建前だけだろうと思いきや、中国人は全員このルールを守っていた。我々日本人は途中で音を上げ、クッキーを皆で分けて食べたり、水分補給したいと、ちょっとはしたなかった。日本では中国人観光客のマナーを云々するニュースが多いが、おそらくマナーを守る勘所が我々と異なるのだろう。マナーは文化であり尺度なので、一方的な見方は禁物だと思った。

移動はノンストップというわけではない。香港を出発して1時間ほどで深圳のイミグレで停車、さらに1時間半ぐらいしてパーキングエリアでトイレ休憩がある。4時間ぶっ通しで座っているわけではない。ただし、トイレ休憩は本当にトイレだけで、10分少々ですぐに出発してしまう。このあたり、観光バスではなく、あくまでも高速バスというわけだ。

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高速のパーキングエリアはフードコートやお土産屋があるのだが、共産圏的な閑散とした空気が漂っている。中国に来たなあと実感する。

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開平のバスターミナルで高速バスを降りる。実は、うっかりしてひとつ前のバスターミナルで降りてしまった。まちがえた理由はいくつかあるのだが、中国に入るとGoogle Mapsの表示にズレが生じる。正しい地点を示してくれない。これが厄介だ。中国に行くならスマホに百度地图をインストールしておいた方がいい。

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ロケハンはぼくも含めて5名。ワゴンタイプのタクシーを手配し、まずはホテルへ移動する。ロケハン中、このクルマで開平の村落を見て回った。

これだけしんどい思いして来たんだ。それなりのものを見せてくれるんだろうな? ホテルにチェックインして荷物を下ろし、そう愚痴る。大丈夫、余裕でお釣りが出た。開平の凄まじさを、このときのぼくはまだ知らない。

●Turtlebackオールドレンズ・ワークショップ第2弾
澤村徹と行く開平ワークショップ
2017年11月23日~26日
お申し込みと詳細はこちらをご覧ください。

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August 23, 2017

開平ワークショップ フォトギャラリー公開

Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾の準備を進めています。今年の行き先は中国の開平。世界遺産に指定されている華僑の古い村落です。6月にロケハンを行い、そのフォトギャラリーが公開になりました。晴れても降っても曇っても、様になる迫力満点のロケーションです。

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●Turtlebackオールドレンズワークショップ第2弾
開平ワークショップ フォトギャラリー
開催日程:11月23日~26日
集合解散:香港

開催スケジュールも決まりました。11月の連休に絡めて開催します。香港に集合し、皆で出入国して開平に向かいます。11月はあの地域にとっていい季節です。オールドレンズ撮影をともに楽しみましょう。ワークショップ代や申込については最終調整を行っています。いましばらくお待ちを。ご興味ある方、ぜひスケジュールは空けておいてくださいね。

11月23日(木):香港に集合。夜からウェルカムディナー
11月24日(金):開平に移動。香港-開平。午後から赤坎鎮を撮影。開平泊
11月25日(土):終日撮影。午前中錦江里、午後自力村を撮影。開平泊
11月26日(日):香港へ移動。開平-香港。解散(夜便で戻れる時間帯です)

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November 21, 2016

香港のオールドレンズ本事情

11月の香港行きで個人的に大収穫だった鯉魚門(レイユームン)、ここは海鮮レストラン街であると同時に、夕日の名スポットとしても有名だ。週末は観光客はもちろん、日暮れとともにガチ撮りのカメラユーザーもごっそりとやってくる。大型三脚持参の人もめずらしくない。

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ワークショップ一行で鯉魚門を散策中、現地スタッフが地元のガチ撮りカメラマンらと談笑していた。ひとりのカメラにツァイスレンズが載っていて、カメラレンズ談義に花を咲かす。広東語なので詳しい話はわからないのだが、「おまえのツァイスいいなあ」「そういうおまえだってOtusじゃねえか!」みたいなやり取りだと思う(憶測MAX)。彼らとは撮影中に二度遭遇し、そのたびに二言三言言葉を交わした。

我々一行は夕焼け撮影を堪能した後、海鮮レストランでワークショップの打ち上げへとなだれ込む。美味しい海鮮料理を楽しみ、店を出た頃にはけっこう遅い時間になっていた。鯉魚門から地下鉄の駅に向かう。オクトパスカードで改札を通ったそのときだ。例のガチ撮りカメラマンたちとまたもや遭遇した。どんだけ愛し合ってるんだオレたち(笑)。同じ方向だというので、地下鉄に乗ってカメラ談義を再開する。そこで衝撃の事実が発覚した。

ぼくの本の読者だった。オールドレンズライフのせいでツァイス地獄にハマったという。どうやら本人の知らぬ間に、国際的に悪の伝道師として名を馳せていたようだ(笑)。

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彼が読んだのは日本語版のオールドレンズライフのようだ。実は香港のカメラショップ巡りをした際、何軒かで自分の本を見かけることがあった。たぶん、ぼくらが洋書のカメラ本で情報収集するように、香港のカメラファンは日本語のカメラ本を好むのかもしれない。

ちなみに、ぼくの書いたオールドレンズ本は、その何冊かが台湾語に翻訳されている。台湾はオールドレンズが流行っているのかなあ、なんて思っていたら、現地スタッフ曰く、香港の人も台湾語の本を読むらしい。香港では、話し言葉は広東語、読物は昔ながらの漢字「繁体字」を用いるという。中国は漢字を簡略化した簡体字を用いているのに対し、台湾と香港は昔ながらの繁体字だ。台湾は香港よりも人口が多く、繁体字で書かれた台湾の本を香港に輸入しているという。台湾語版は台湾の人向けと思っていたのだが、どうやら香港というマーケットも対象になるようだ。この話を聞いてはじめて、自分の本の普及範囲を認識できた。今度香港に行ったら本屋巡りだな。

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Leica M + Ektar 47mmF2

※香港と台湾の漢字表記について詳しい情報をいただいたので、記事を修正しました。

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November 15, 2016

香港ワークショップ・ダイジェスト!

デジカメWatchにて、Turtlebackオールドレンズワークショップ「澤村徹と行く香港ワークショップ」のレポートが掲載されました。ワークショップは4日間にわたってたくさんのスポットをまわったのですが、その中から特に印象深いスポットについて紹介しています。

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●デジカメWatch
オールドレンズユーザーにおすすめしたい「香港撮影地ガイド」

デジカメWatchでは長らく記事を書かせてもらっていますが、撮影地ガイドははじめてですね(笑)。写真と文章、両方で楽しんでもらえるとうれしいです。ぜひご覧ください。

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November 11, 2016

鯉魚門(レイユームン)という名の聖地

今回の香港行きで、鯉魚門(レイユームン)を二度訪れた。香港ワークショップの最終日に訪れる予定の地だが、実は4月のロケハンで下見できなかった場所なのだ。そのため、ワークショップ初日、集合時間前にレイユームンを下見することにした。

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レイユームンはひなびた漁村であり、同時にちょっとした観光地でもある。船溜まりの奥に古い建物が並んでいるのがわかるだろう。この一帯は生け簀とレストランが軒を連ねている。生け簀で魚介類を注文し、レストランで調理してもらうというシステムだ。日本で言うと、おいしい魚を食べに伊豆に行く、みたいな感じだろうか。

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それなりに観光地化した場所なのだが、建物は古く、寂れたバスケットコートに放し飼いの犬が寝そべるなど、なかなかどうしてフォトジェニックな場所だ。香港通からすると、手垢にまみれたスポットかもしれないけど。

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レストラン街を抜けるとこの燈台(!?)にたどり着く。ここがレイユームンのランドマークだ。観光客はここまでやってきて記念写真を撮り、折り返していく。しかし、写真好きにとっては、むしろここからが本番だ。

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燈台から東に歩き出すと、超絶ひなびた漁村があらわれる。たぶん、ひとりだとブルって歩けないほどの枯れようだ。

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下着類もかまわず外乾しだ。生活空間に立ち入った感がハンパない。ただ、観光地と隣接しているためか、通行人や撮影に対し、それほどナーバスな感じはない。

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さらに歩くと廟に到着する。この廟の中にはらせん状の線香がたくさん吊してあり、被写体にもってこいだ。ここまで歩いてくる観光客もそこそこいる。実は夕方になると夕焼けの名スポットと化し、三脚持参のカメラマンでごった返す。とりあえず、ここまでがレイユームンのお約束スポットである。ただし、我々ロケ隊はさらに東に向かって歩いて行く。

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道幅が急激に狭くなり、屋根の上から犬に吠えられる。このあたりは放し飼いの犬がたくさんいて、ひとり歩きはかなりリスキーだ。この屋根の上の犬がやたらと吠える。それでも我々は進む。ちょっと尋常じゃないくらい吠える。それでも歩みを進めると、なんと民家に囲まれ行き止まりになってしまった。引き返してみると、犬が吠えだしたところに分かれ道がある。どうやらこの犬、「ちがうって、道ちがうって! そっちじゃないから」と訴えていたらしい。番犬としていい仕事していたわけだね。犬は我々が分かれ道を歩き出すまで執拗に吠え続ける。ごめん、ホントごめんて。

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最大の難関はここだろう。ここを左に折れて進むなんて、ひとりだったら絶対に無理だ。もちろんまっすぐ進むのは罰ゲームに他ならない。ただ壁をよく見ると、赤いペンキで「←可」と左に進めることが記されている。いやあ、仮にこの矢印に気付いてもひとりだったら進めないって(笑)。

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生活臭はMAXモードに突入。ロケに同行しているスタッフもめっきり口数が減った。ときどきぼくを振り返り、いくの? マジでまだいくの!? と目で訴えてくる。

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ひなびた漁村とかいうレベルじゃないね。部外者NGでしょ完全に。かろうじて遠くに見える高層ビルが香港であることを臭わすが、とんでもないところに来たなと泣きそうだ。しかし、このあと我々は至福の時を迎える。

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いきなり採石場跡があらわれた。戦時中のものだろうか。突端の釣り人がいい雰囲気を醸してくれる。

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ええ、ここに来たかったんです。ビビって引き返さずによかった。産業遺跡万歳!

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さらに進むと、野っ原に地層剥き出しの崖というありえない光景があらわれた。現地スタッフも香港にこんなところがあるなんて知らなかったとのこと。ひなびた漁村→過剰な生活臭→トドメの最果て感と、トリプルコンボなロケーションだ。と、これだけなら、スゲエなあレイユームン、で終わるわけだが、実はこの話にはさらなる続きがある。ワークショップ最終日の日曜日、この場所を参加者ともども訪れたときのことだ。我々はこの最果ての地で桃源郷を目にすることになる。

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カップルが廃墟に腰掛け、カメラマンに写真を撮らせている。右手前の三人もセルフィー目的の女の子たちだ。女子率急上昇である。

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キャッキャうふふと黄色い声がする。そこいら中で写真の撮り合いっこだ。何のことはないレイユームンの突端は、セルフィーのメッカ、インスタグラマーの聖地だった。最後の二枚はエクター47ミリF2の開放である。女の子たちのキャピキャピふわふわした感じがよく表現できたと思う、ともっとらしくまとめるのすらアホらしい(笑)。レイユームンの秘境、日曜日はぜんぜんフツーに賑わってますからね。

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November 09, 2016

Turtlebackオールドレンズワークショップ、行ってきました!

5泊6日で香港に行ってきました。このブログでも何度か告知しましたがが、11月3日~6日にかけてTurtlebackオールドレンズワークショップが開催され、その講師として参加してきました。

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α7II + Quinon 50mmF2

今回10本のレンズを持ち込みました。画角的にマッチしたのは28ミリ。スーパータクマー28ミリF3.5とズイコーオートW 28ミリF2.8が活躍してくれました。、描写的にはキノン50ミリF2とエクター47ミリF2がおもしろかったです。ロケーションや被写体によってレンズを変えるよりも、付けたオールドレンズを自らの目として、そのまま切り込むような撮り方がしっくりきます。わかりやすく言うと、好きなレンズで大いに撮るといった感じですね。身も蓋もないなあ(笑)。

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