Toy Camera

June 17, 2007

SX-70 カメラ色を遊ぼう

最新デジタルカメラはキレイに撮れる。でも、突出した個性を感じることはない。知り合いの編集者がトイカメラの王様LOMO LC-Aを引き合いに出し、その独特の写りをカメラ色といった。ああ、カメラ色……そのカメラでしか撮れない風合い。それを求めてPolaroid SX-70を買ったのに、どうにも写りが冴えない。やはり生産中止になったTZフィルムあってのSX-70なのか……。諦めきれない、諦めたくない。SX-70のカメラ色を取り戻すことにした。

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【失われたTZブルーを求めて】
そもそもSX-70には、SX-70TZ(Time Zero)という専用フィルムがあった。これは2006年3月に生産中止になり、現在のユーザーは600インスタントフィルムという高感度フィルムとNDフィルターを組み合わせ、なんとかしのいでいるというのが現状だ。クールトーンに転びつつも暖かみがあり、そしてノスタルジックに色褪せた写り。あれはTZフィルム特有の写りで、600インスタントフィルムでは再現できない。決定的なちがいは青み。TZフィルムは独特の褪せた青みがあった。しかしよくよく考えてみると、あのTZブルーは色かぶりだ。要は色温度の問題。ならばフィルムカメラのセオリーに則って、色温度変換フィルターを付けたらどうだろう。そんな思いつきでフィルターを自作することにした。

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まず用意したのはSX-70 FOREVERのガラス製NDフィルターだ。これはSX-70本体にマグネットリングを貼り付け、NDフィルターを着脱できるというスグレモノ。ポラロイド純正のNDフィルターはプラスチック製で、どうにも使い捨て感覚が気になる。その点はこいつはガラス製で透明度が高く、金属筒だから見た目も高級感がある。なによりもフィルターリングにネジ切りがあり、改造の余地が残されているのがいい。そう、こいつをバラして色温度変換フィルターを組み込み、ND + 色温度変換ダブルフィルターを作ろうという目論みだ。

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色温度変換フィルターは富士フイルム「LBB8」というシートフィルターを選んだ。本来LBBフィルターは、暖色かぶりになる屋内照明下で自然な色調に撮るためのもの。暖色に寒色を足し、相殺しようというわけだ。今回はこのフィルターで青みを足してみる。なお、末尾の数字は補正具合の強度を示しており、数字が大きくなるほど青みが強くなる。この点についてはサンプルを交えながら後述しよう。

LBB8フィルターを円切りカッターで直径22~23ミリにカット。NDフィルターのリングをカメラオープナーで外し、カットしたLBB8フィルターをNDフィルターに重ねる。これで特製TZブルーフィルターの完成だ。さて、どんなカメラ色を見せてくれるのか。サンプルを見ていこう。

【かすかに残る青がTZっぽい!?】
サンプル撮影は600インスタントフィルムを使い、光源の種類を変えながら撮ってみた。撮影したフィルムをスキャナで読み込み、トリミングしている。厳密な意味では実物そのもの色合いとはいえないが、雰囲気は伝わるだろう。

電球下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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まず電球下の撮影から。NDフィルターのみだと全面オレンジだが、ND+LBB8だとかなり落ち着いた。色温度変換フィルターの正当な使い方といえる。一点注目してほしいのは、奥のカメラの軍幹部。青みがほどよく残り、いい味を出している。

蛍光灯下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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今度は蛍光灯下での撮影だ。緑かぶりが収まり、その上で全体にブルーが残る。しかしその奥底にアンバーな色合いが見え隠れして、セピアクールっぽい写りが気持ちいい。

自然光下撮影 左:NDのみ/右:ND+LBB8
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自然光下では過剰に青い。NDフィルターのみの方がSX-70らしい写りだ。「LBB4」か「LBB6」ぐらいだとほどよく青がのりそうだ。

「LBB8」をNDフィルターに重ねると、屋内照明下ではほどよくレトロな写りを見せてくれた。しかし自然光下では青みが強烈で、ちょっとあざとい感じがいただけない。もっと淡い色温度変換フィルターを付けてもいいが、実は露出補正という裏ワザも使える。

自然光ND+LBB8 左:プラス露出補正/右:露出補正なし
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露出補正なしだとさすがに寒々しいが、ハイキーに撮るだけでグッと雰囲気が増す。シャドウ部の青みがかなりTZフィルムっぽいくはないか!? 600インスタントフィルムはNDフィルター併用でポラっぽさを楽しめるが、惜しむらくは色合いが淡泊という点だ。安価なロシアレンズのように色にコクというものがない。ND+LBB8はTZブルーをそのまま再現するに至らないものの、無難なニュートラルカラーから頭ひとつ抜け出せる。

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フィルター改造はちょっと手間だけど、カメラ色を楽しんでみませんか。

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March 02, 2007

HOLGA 中判カルチャーショック!

森谷修「銘機浪漫」を読んだ。ハッセルブラッドの熱い想いが綴られている。そんなに楽しいカメラならオレも……と思うのだが、ハッセルブラッドはそうそう買える値段じゃない。使う資格があるのかすらわからない。とはいえ、一度は中判カメラを使ってみたいなあと思い、HOLGA120CFNを手に入れた。

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【フィルム巻き上げから頓挫!?】
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はボディもプラスチックならレンズもプラスチック。全身全霊プラスチックのトイカメラだ。そのくせフィルムはブローニ判。カラーフラッシュまで搭載してなかなかどうして侮れない。しかし、そうはいっても手軽さが持ち味のトイカメラだ。特に気負うことなく中判フィルムを装着。いざ撮ろうとフィルムを巻き上げたとき、異変に気づく。

どこまでも巻き上がっちゃうんですが!?

これまで銀塩カメラといえば35ミリフィルムしか使ったことがない。当然この手のカメラは巻き上げレバーがあり、ひとコマずつフィルムを巻き上げてくれる。ところがこのHOLGAって奴は、そんな気の利いた機能はない。調べてみるとHOLGA固有の問題ではなく、中判フィルムとはそもそもがそういうものらしい。世の中のHOLGAユーザーのみなさんは、中判フィルム独自のお作法でつまずかなかったのだろうか。いや、きっと面食らったにちがいない。いまさらではあるが、HOLGAの(中判カメラの)フィルムのお作法をまとめてみたい。

【長さは自分で決める-それがルール】
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HOLGAはブローニ120フィルムを使用し、6×6判6×4.5判で撮影できる。12枚撮り用と16枚撮り用の2種類のフレームが付属。12枚用が6×6判フレーム、16枚撮り用が6×4.5判フレームとなる。ここでポイントとなるのが、ひとつの120フィルムで複数画角を選べるという点だ。35ミリフィルムは通常24ミリ×36ミリに固定されているが(一部にハーフサイズで撮れるカメラもある)、中判フィルムは6×4.5/6/7/9判といった複数の規格がある。HOLGAはそうした規格から6×4.5判と6×6判を選択できるのだ。

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ウンチクはさておき、フィルムを装填して巻き上げる。まあここまでは誰だってできる。適度に巻き上げると「START」なんて文字が見えてくるので、このあたりで裏ブタを閉じておく。いや、それが正しいのかわからないが、「このあたりで閉めんとマズイだろ!?」という気持ちになってくる。裏ブタには赤外線フィルタ付きの窓がある。今回は6×6判フレーム(12枚撮り)を装着しているので、矢印を12に合わせておく。そのままさらにフィルムを巻き上げる。グリグリと巻き上げる。途中、横線やら●やら○が見えてくるが、ひるんで巻き上げる手を止めてはいけない。窓に「」という数字が見えたらストップ。これでやっと撮影できる。シャッターをきったら今度は「」まで巻き、あとは以下同順というわけだ。

なるほど目視巻き上げか、とナットクしつつ、素朴なギモンがわく。6×4.5判のときはどうすんの? 裏ブタの窓を16にセットすればいいのはわかる。ただそのとき、枚数表示はどうなるのか。気になる。どうにも気になる。じゃあフィルムがもったいないけど、開けてみましょうか。

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ああなるほど、画角ごとに数字が打ってあんのね。のぞき窓の位置で横幅を使い分けるってことか。いやあ、勉強になる(笑)。ってことは、中判フィルムの画角とのぞき窓の位置は業界標準化されているわけだ。中判フィルムの標準化規格なんて、HOLGAを買わなければ一生知らずに終わっただろうな……。

【これぞメーカーエゴイズムの彼岸】
_mg_5982古くから写真をやっている人にとって、こんな話は語るまでもないことなのだろう。しかし、あえて中判フィルムを取り上げたのは、この仕組みがとても理にかなっているからだ。ブローニ判という1本のフィルムを、のぞき窓の位置で複数の画角に使い分ける。アナクロだが、合理的。先人の知恵とはまさにこのことだ。写真は画角で見え方が変わる。縦位置、横位置、そしてスクエアフォーマット。どの画角もそれぞれの魅力がある。フィルムというひとつの記録媒体を、複数の規格で共有。この発想がすばらしい。

翻って現在、規格は常に排他的だ。ユーザーを囲い込むため、独自規格が規格競争を巻き起こす。ビデオテープのVHS対Beta、記録型DVDの-R陣営と+R陣営、次世代ディスクのHD DVD対Blu-ray、圧縮オーディオのAAC対WMA、パソコン用OSのWindows対Mac OS。カメラはメーカーごとにマウントが異なり、デジタルカメラの記録素子はフルサイズとAPS-Cが拮抗する。こうした規格競争は、どんなユーザーベネフィッツがあるのだろう。メーカーエゴイズムに振り回され、映像を観る楽しみ、音楽を聴く楽しみ、そして写真を撮る楽しみが削がれていく。

寡占独占よりも、共有を目指してほしい。

●HOLGA120CFNの作例はこちらにあります。

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February 28, 2007

Horizon パノラマスキャンのお作法

Horizon Perfektスイングレンズ式パノラマカメラだ。フィルムこそオーソドックスな35mmだが、そのひとコマは通常の1.5倍ほどあり、そのままではDPEショップで紙焼き(プリント)してもらえない。こんなときこそパソコンの出番。スキャナで読み取り、プリンタで印刷すればいい。ただ、パノラマサイズのフィルムスキャンはちょっとしたお作法がある。そのお作法をキヤノンの複合機「MP960」と、エプソンのフラットベッドスキャナ「GT-X900」でまとめてみた。

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【MP960のパノラマスキャン】
現在のスキャナは、35mmフィルムを読み込むと自動的に1コマずつにサムネイル表示してくれる。このおかげでいちいちエリア指定する手間が省けるわけだが、パノラマスキャンの場合は話が別。横長のコマが途中で分断され、そのままではスキャンできない。そこでパノラマスキャンのお作法が必要になるわけだ。

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MP960でスキャンする際は、スキャナドライバのモードを拡張モードにする。原稿の種類でネガかポジを指定して、プレビューボタンをクリック。この状態だと画面左のようにコマごとにサムネイル表示されてしまう。これではせっかくのパノラマ写真が台無しだ。そこで画面左上のツールボタンをクリックする。これは縮小版表示と全体表示を切り替えるボタンだ。縮小版では1コマずつのサムネイル表示だが、全体表示ではスリーブ全体を表示してくれる(画面右)。この画面にしてスキャンエリアを手動で指定すればパノラマ写真をすみずみまで取り込める。

【GT-X900のパノラマスキャン】
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GT-X900の場合は、まずモードをプロフェッショナルモードに切り替える。その上で原稿種をフィルム(フィルムエリアガイド使用)に設定(画面左)。ここでフィルムフォルダ使用を選ぶと1コマずつのサムネイルになってしまうので要注意だ。プレビューをクリックした状態が画面右。この画面でスキャンエリアをしてしていく。

今回はMP960とGT-X900を例に解説したが、要はキヤノンならScanGear、エプソンならEPSON Scanの使いこなしということになる。機種がちがっても操作法はおおむね似たようなものだろう。両社のスキャナドライバを使って感じたのは、EPSON Scanの方がやりたいことにダイレクトにアクセスできる印象を受けた。その反面、ScanGearはプレビューの向きを自由に変更でき、エリア指定がやりやすい。一長一短はあるものの、どちらも完成度の高いユーティリティだ。いまさらながらスキャナの成熟ぶりに感心する。

昔のスキャナで懲りてしまったあなた、またスキャナに戻ってきませんか? ずいぶん使いやすくなってますよ。

●Horizon Perektの作例はこちら

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January 29, 2007

Horizon Perfekt パッケージングの美学

DVカメラはあこぎな商品だった。製品自体がわるいのではない。売り方がいけない。必須アイテムのバッテリーキットをオプション扱いにして、見せかけの本体価格を下げる。むろんバッテリーキットがないと使いモノにならない(ACアダプタで運動会を撮るんですか!?)。ユーザーはDVカメラ本体とバッテリーキットを同時に買い、釈然としない気持ちを抱えたまま家路に着く。ついこの間まで、そんな売り方がまかり通っていた。ロシア製のパノラマカメラ「Horizon Perfekt」は、その対極にある気持ちいい全部盛りだ。

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【撮影シーンを想定したパッケージング】
必要最低限のものがそろっている――これはカスタムベースにうってつけだ。必要なものがすべてそろっている――一般ユーザーにとってこれは安心感につながるだろう。さらに上をいくパッケージングとして、フル装備という状態がある。しかし、こいつは実に微妙だ。過剰装備だと割高感が増すし、過剰な割に肝心なアイテムが抜けていれば不満もつのる。同梱アイテム数を競うと、こうしたフル装備の罠に陥りがちだ。

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その点Horizon Perfektは、パノラマカメラという自らの特殊性を踏まえ、実際の撮影シーンを想定した機能性およびパッケージングになっている。まず、実用的な太めのストラップ、そしてボトムグリップが付属。このボトムグリップは手持ち撮影で欠かせないアイテムだ。というのも、Horizonは広角28mmレンズが120度旋回して撮影する。両サイドからカメラをホールドすると、指が写りこんでしまうのだ。そのため左手はこのボトムグリップでしっかりと固定し、シャッターボタンは右手で背面からカメラをつかむように押す。さらに旋回レンズという特殊形状のため、市販のフィルターは装着不可。その点を考慮して専用フィルター(UV、ND、モノクロG)が標準で付属する。ボトムグリップのエンドキャップが外れるので、普段はここにしまっておくとなくさずに済むだろう。

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_mg_5840_1本体上部には水準器が埋め込んである。パノラマカメラは水平をしっかり出さないと上下に水平線が湾曲してしまう(作例参照)。そのため水準器を標準搭載しているのだ。しかもこいつがスグレモノで、ファインダー内部からも水準器の像が確認できる。アングルを探りながら同時に水平も出せるわけだ。ただし、しょせん(!?)はロシア製なので水準器の精度はそこそこと考えた方がいい。一応調整できる仕組みなので、手持ちの水準器と併用して、必要に応じて微調整するといったところか。

【考え抜かれたアクセサリー類】
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Horizon Perfektにはしっかりとした作りのレザー風ケースが付属する。最近はデジタルカメラにも申し訳程度のケースが付属するが、それとは一線を画し、こいつでHorizonを持ち出してくれという意志がビンビン伝わってくる造りだ。まずストラップ部分に3つのフィルムホルダーがある。ケースの上蓋にはボトムグリップの収納バンド(!?)があり、必須アイテムをちゃんと携帯できる仕様になっているのだ。取扱説明書は欧米版とは別に、日中韓のアジア言語で書かれたものも付属する。撮影スタイルはむろん、フィルム装着、フィルターの着脱など、Horizonは特殊なことばかり。自国語で取り扱い方法をちゃんと確認できるのはありがたい。また、パノラマ写真集も付属しており、これを見ることで効果的なパノラマ撮影のヒントも湧いてくるだろう。

【カスタムとフルパッケージの共通項】
Horizon Perfektは使う身に立った発想でパッケージングされている。最近のパッケージプロダクツは「アレはできるけどコレはできません」「コレをやりたいならアレを選んでください」的なものばかり。あえて長所短所を組み合わせることで、ラインナップを水増ししている。むろんメーカーの言い分としては、「豊富なラインナップで多彩なニーズに対応」ということなのだろう。ただ問題なのは、その多彩なニーズを利用シーンからちゃんと割り出しているか、ということだ。あなたはそれを持って街に出たことがありますか!?

_mg_5621カスタム、改造とは、不足を補うものではない。あるプロダクツを手にしたとき、「コレをアアしたらおもしろいんじゃないか」「ここまでできるならアンナこともできるんじゃないの!?」と想像力を掻き立てられることがある。その瞬間、はじめてカスタムの世界が拓かれるのだ。GR DIGITALポラロイドSX-70を手にとると、こうした興奮が湧き起こった。それとまったく同じ意味において、Horizon Perfektを買ったときも気持ちが高ぶった。使っている自分の姿が即座に想像でき、いまの自分を想像上の自分と早く近づけたいという想いが湧き起こる。こうした感情を掻き立てるプロダクツこそが、逸品の名に値するのだろう。

最後にHorizonの作例をひとつ。パノラマなんて広角で撮って上下を裁ち落とせばいいじゃない!? そう思っている人にぜひ見てほしい。同じ広角28mmのGR DIGITALと比較してみた。そこにはパノラマ風と別格の世界がある。広角とパノラマは別物だ。改めてそう実感した。

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RICOH GR DIGITAL

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Horizon Perfekt

●そのほかの作例はこちらにあります。

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January 28, 2007

Polaroid SX-70 儀式という楽しみ

若い頃、YAMAHA SR400というオートバイに乗っていた。セルスターターはなく、いちいちキックスターターで始動しなくてはならない。デコンプレバーがあるのでさほど難しくはないが、真冬はなかなか火が入らず、かといって夏場はキックに失敗するとすぐにプラグがかぶる。面倒なことこの上ないオートバイだ。ただそれは、SR乗りにとって走るための儀式。手順を踏むことで走り出す心の準備が整っていく。ポラロイドSX-70をはじめて手にしたとき、そんなことを思い出した。

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【インスタントカメラ-その言葉に騙された!?】
ポラロイドSX-70 FIRSTMODELは、1972年から1977年にかけて製造されたインスタントカメラだ。現在のポラロイド製カメラがそうであるように、撮影するとフィルム(感光紙!?)が吐き出され、じわじわと像が浮かび上がる。現像せずにその場で写真が見られる。当時は画期的な商品であり、デジタルカメラ全盛のいまでさえ、その特殊性は健在だ。

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インスタントカメラという言葉は「誰でも手軽に撮れる」という撮影スタイルを想起させる。しかしそれは大きな誤解だった。特にこの初代SX-70は、きわめて写真機然としたカメラだ。赤いシャッターボタンの上にはフォーカスダイヤルがあり、マニュアルフォーカスでピントを合わせる。その反対側にあるダイヤルは露出補正用。約2絞り分の露出補正が行える。背面にまわるとファインダーがあり、上下二重合致式のスプリットサークルイメージが見える。シャッターを押すだけのカメラではない。ピントをMFで合わせ、露出を調整し……撮るための儀式は数多く、このカメラにはメカを操る楽しみが宿る。そしてシャッターを切った瞬間、目の前から像が消えた。そう、SX-70は一眼レフ。これがまたカメラ好きの心をくすぐる。

【フィルム生産中止でさらなる楽しみが!】
SX-70は専用フィルム「SX-70 Time-Zero」で撮影する。しかし、このSX-70TZは2006年3月で生産中止……。600高感度フィルムが代用品として使えるのだが、SX-70TZがISO150相当であるのに対し、600高感度フィルムはその名の通りISO600相当。そのままではハイキーな写真しか撮れない。そのためポラロイド社はNDフィルターを発売しているが、プラスチック製で透明度がわるいせいか、これを装着するとファインダーが暗くなって撮影しづらい。どうやって600高感度フィルムで快適に撮るか――ここに創意工夫の楽しみがある。ざっと調べてみたところ、以下のようなアプローチがあるようだ。

★透明度の高いNDフィルターを使う
SX70FOREVER(スイートロード)が透明度の高いガラス製NDフィルターを製作。マグネット式でレンズ部分に着脱できる。ただし、装着した状態でカメラ本体を閉じられないのが難点。

★フィルムにNDフィルターを貼り付ける
600高感度フィルムのカートリッジに自作NDフィルターを貼り付ける。ブラウン系のクリアファイルをカットしたり、OHPシートに任意の色を印刷して使用。手間はかかるが、ファインダーが暗くならない。SX-70 BLENDというNDフィルター付きの600高感度フィルムも登場。ただし、高い。

★600高感度フィルム対応に本体を改造
高感度フィルムでハイキーになってしまうのは、SX-70が高速シャッターに対応していないためだ。そこで本体を改造し、高感度フィルムでも適正露出を得られるようにする。ヤフオクではこうした改造済みSX-70がよく出品されている。また、日本ポラロイドで修理のついてで改造してもらったという事例も。

Dpp_0421_2GR DIGITALの例を持ち出すまでもなく、カスタマイズの余地があるということは、趣味のカメラとしてとても楽しい。そもそも即時性が売りのポラロイドカメラだが、オートフォーカス全盛のいまとなってはずいぶんと手間がかかるカメラだ。そこに専用フィルム生産中止というフィルム式カメラの憂き目が……。細かいことを言えば、600高感度フィルム+NDフィルターで撮影しても、SX-70TZのような青みがかった写真は撮れない。スキャンしてホワイトバランスを調整するか、はたまた色補正用フィルターを自作するか。いろいろと想像は膨らんでいく。むろんこうした手間はSX-70本来のそれではない。面倒を楽しむなんてカメラオタクの倒錯といってしまえばそれまでだろう。ただ、撮る前から遊べるなんてステキじゃないか。フィルム、カメラ、撮影。1台で3つも楽しめるSX-70は、現在のデジタルカメラが失った写真機の匂いがする。

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SX-70 first + 600 instant film(retouch)

●SX-70で撮った拙作はこちら

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