Mount Adapter

May 31, 2008

Leica M8 距離計連動アダプタの連動っぷり

Leica M8を買ってから、ずっと気になっているアイテムがある。ハンザがかつて販売していた距離計連動アダプタ。いまや生産中止の幻のアダプタである(ちと大袈裟)。アダプタファンのぼくにとってぜひとも試してみたいアイテムだが、生産中止では致し方ない。と思っていたら、レモン社にフツーに売ってました……。そんなわけで、ライカR用の距離計連動アダプタのレポートです。

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【距離計連動とは何を意味するのか】
このブログのお客さんは非ライカユーザーの方が多いので、距離計連動のどのへんが熱いのか、まずはそこからざっくり解説してみよう。レンジファインダーカメラというのは距離計をカメラ内に内蔵している。レンズのヘリコイドを回転させると、その動きに合わせてカメラ内の距離計が動作。ファインダー内で二重像が合致したところで回転を止めれば、ジャスピンの写真が撮れる。要は、レンズのヘリコイドが距離計の操作デバイスになっているわけだ。

で、マウントアダプタの話。カメラを問わずマウントアダプタとは、フランジバック差を埋めるスペーサーにすぎない。電子的にも機械的も、カメラとレンズの連携は一切断たれてしまう。そもそも規格ちがいのボディとレンズなのだから、当然といえば当然の話だ。まあこのあたりは、一眼レフでオールドレンズ三昧の人たちには釈迦に説法だろう。ただし、M型ライカの場合はちと事情が異なるのだ。

M型ライカは距離計を内蔵しているが、その距離計を操作するデバイスはレンズのヘリコイドが兼ねている。しかし、非Mマウントレンズをアダプタ経由で装着した場合、レンズのヘリコイドを動かしても距離計は連動しない。マウントアダプタが単なる中間リングだと、ピント合わせができないわけだ。いよいよ核心に近づいてきた。そう、距離計連動マウントアダプタとは、非Mマウントレンズでも距離計操作が行えるのだ。

【単体距離計で十分かも!?】
とまあ、期待に胸膨らませてハンザ製ライカM-ライカR距離計連動マウントアダプタを購入したわけだが、待ちかまえていたのは理想と現実のギャップというか、無知のみがなせる思い込みというか、切ない現実だった。とりあえずは下の写真を見てほしい。

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ボディの上にあるのが距離計連動アダプタ。その上がライカRマウントレンズだ。アダプタにはヘリコイドがあり、ここを回転させるとカメラ内の距離計を操作できる。うむ、操作できるのだが、別にレンズのヘリコイドと連動しているわけではない。アダプタのヘリコイドでピントを合わせ、レンズのヘリコイドをアダプタと同じ数値(距離)にセット。別にレンズとボディが連携するわけではなく、アダプタがボディ内距離計の操作デバイスとして機能するというだけの話だ。つまりそれは、単体距離計の数値をレンズ側に写し取ればOKなのでは!? 距離計連動の連動とは、あくまでもボディ内距離計が使えますよ、という意味だ。

正直不満はあるが、ミニマムスタイルで非Mマウントレンズを使えるのがメリットか。また、M型ライカの高精度な距離計を使えるというのもアドバンテージだろう。ただし、実際のピント合わせ(レンズのヘリコイド調節)はアバウトにならざるを得ないので、開放撮影や近距離は厳しいものがある。

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Leica M8 + Elmarit-R 35mm/f2.8 type I

実際に撮影してみると、やはり絞り込んでしまう。接写は距離計が使えず完全目測になるため、寄り切れないストレスも小さくない。画質については、M8ならではというテイストは感じられなかった。どうしてもM8でアダプタ遊びをしたいなら、距離計非連動アダプタと単体距離計の組み合わせで十分かも。個人的な感触としては、わざわざ距離計連動のデッドストックを探すまでもないなあ、と。これまで生産中止になった理由は「高くて売れないから」と思っていたのだが、操作性の絶対的アドバンテージが見いだしづらいというのが実状かもしれない。どうもアダプタ遊びは、デジタル一眼レフに歩があるようだ。

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January 20, 2008

G Biogon T* 2.8/28 改造の果てに

少し前から写真家飯塚達央さんのブログを拝見している。チェックしはじめて当初は「やっぱ北海道の写真はいいなあ」と冷静に見ていられたのだが、ここ最近トンでもないことになってきた。R-D1sとG Biogon 2.8/28で撮った写真が連日のようにアップされ、濃厚さといい周辺光量の落ち具合といい、たまらなくステキなのだ。そんなわけでつい、見境もなくポチってしまった。

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このG Biogon T* 2.8/28は、CONTAX Gシリーズというレンジファインダーカメラ用のレンズだ。先の飯塚達央さんはこれをMマウントに改造してR-D1sで撮っている。実はコシナからBiogon T* 2.8/28 ZMというMマウントのBiogonが現行発売されているのだが、それはそれ、必ずしも同じ写りではないだろう。飯塚達央さんの写真に感化されたのであれば、やはりG用Biogonを手に入れ、それで撮るしかない。もちろん向こうはプロの写真家さん、ぼくが同じ機材を揃えたからといって、同じように撮れるわけじゃあない。そんなことは百も承知ですが、ガマンできないモンは我慢できんのですよ。

Mマウント改造はMSオプティカルR&Dというライカ関係では有名なショップにお願いした。正確にはLマウント改造してL-M変換リングをかますのだが、その改造費たるやG Biogon本体の価格も含めると、コシナBiogonが新品購入できるほど……。正直、悩む。でも、手元にはすでにG Biogon T* 2.8/28があるわけで、後にも引けない。改造依頼してから数日、こんな姿になって戻ってきた。

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く、くびれがたまらん(鼻血)。このフォルムはどう考えたって反則だろぉ。

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かつてGR DIGITALのカスタマイズで購入したM46システムスリットフードを付けてみた。改造レンズという雰囲気はなく、これがこのまま売られていてもぜんぜんおかしくない。いやあ、レンジファインダーの世界ってホント、奥深いんだなあ。

で、ボディ。ボディはええと、まだ買ってません……。

R-D1sをショッピングカートまで入れたものの、どうしてもポチれなかった。R-D1sはステキなカメラだと思う。でも、写真機というよりはデジタル機器だな、と。発売からの経年を考えたとき、これから20万近いお金を払ってそれに見合う満足が得られるのかどうか。無理をしてでもLEICA M8を買った方がいいのではないか、と。

むろん、M8の評判は微妙なところだ。赤外線フィルターの問題で黒がマゼンタかぶりする。それを抑えるためにUV/IRフィルターを付けると、今度は広角レンズでシアンドリフトが発生。6ビットコードで制御できるようだが、純正レンズでさえ6ビットコード化は有償。フェイク6ビットコードという手もあるが、それはそれでけっこう大変……という具合。まあ国内製品ならまちがいなく、回収騒ぎになるプロダクトクオリティだ。こうしたもろもろのトラブルを抱えつつ、60万円前後というプレミアムプライス。正常な判断のできる人なら、買わない。しかしM8が悩ましいのは、ちゃんと写真機の匂いがする。この写真機っぽさが正常な判断を狂わせる。

M8の画質については賛否両論あるだろう。ネット上のフルサイズ画像を見ると、斜め線で悉くジャギーが走り、細部はベタッとつぶれ、お世辞にも良好なコンディションとはいえない。それでも何か独特の存在感を醸すのは、デジタル一眼レフ的な画像解釈で物足りない写真だとしても、レンジファインダー的画像解釈においてきわめてすぐれているからではないか。そんな予感がするのだ。つまり、レンジファインダー派の人々は、一眼レフ派と異なる視点で写真を見ているのではないか、と。ここ最近特に思うのは、彼らが見ているものをぼくも感じてみたいということ。そのためには、自分の手で触れその目で撮って見るのが一番の近道だろう。

R-D1sかM8か、それともフィルムのレンジファインダー機か。どこにどう転ぶかわからないけど、今年はレンジファインダーで遊びますよ。なにしろGR DIGITALカスタム用に買ったファインダーとフードがたっぷりあるから、ドレスアップはやりたい放題(笑)。とりあえず、走れるところまで走ってみます。

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January 06, 2008

MC FLEKTOGON 35mm/f2.4 はアッシュカラー

M42はマウントアダプタ遊びの登竜門であり、なかでもMC FLEKTOGON 35mm/f2.4はとても人気のあるレンズだ。ぼくもこのレンズはお気に入りで、使用頻度はきわめて高い。にも関わらず、「これだ!」というカットに恵まれない。なにをとってもよく写る。色ノリはいいし、シャープネスも上々。でも、突き抜けたものがない。ナンていうか、レンズの持ち味を引き出せないような感じ。そこで、この定番レンズの相対的画質を、改めて考えてみたいと思う。

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以前、身の程知らずにも「FLEKTOGON 画質の研究」という記事をアップした。タイトルこそ大上段にかまえたものの、「オールドレンズはちゃんとハレ切りしましょうね」という稚拙な記事。でも今回は、ストレートに画質考察に挑んでみたい。古今東西のオールドレンズのなかで、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4の位置づけみたいなものを探ってみようかな、と。レンズの善し悪しをウンヌンするのではなくて、傾向をつかみ、どんな被写体に適したレンズなのかを考えてみたい。なんて書くとずいぶんと大仰だけど、いろいろなオールドレンズの写真を見比べて、その味わいを楽しんでみようというのが狙い。まずはイエナつながりでFLEKTOGON 20mm/f4から見ていこう。

【FLEKTOGON 20mm/f4 の作例】
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EOS 20D + FLEKTOGON 20mm/f4

FLEKTOGON 20mm/f4はゼブラ柄のゴツいレンズだ。見た目に惹かれて買ってみたものの、シングルコーティングゆえに逆光にめっぽう弱い。半逆光でもフレアっぽくなり、コントラストが低く、発色も淡い。そんな淡泊な写りもオールドレンズっぽくていいかと自分をナットクさせていたのだけれど、順光だと想像以上にしっかりと写る。それでもかすかに色褪せた印象が残るのは、やはり年代モノなのでやむなしといったところか。

【Planar T* 50mm/f1.4 の作例】
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EOS-1D Mark III + Planar 50mm/f1.4 T*

CONTAX用のPlanar 50mm/f1.4 T*は、標準レンズの王様と呼ばれる銘玉だ。シャープネス、コントラスト、発色。すべてにおいて非の打ち所がない。むろん、好みの問題はあるだろうけど、ぼくの師匠は「レンズ描写を測る際の指標になるレンズ」と言っていた。サムネイルを見ただけで、FLEKTOGON 20mm/f4の発色と鮮やかさのちがいがわかる。繊細で立体感に富み、どんな被写体を撮っても美しい。個人的には透明感を感じさせるレンズだと思う。

【Summicron-R 50mm/f2 type I の作例】
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EOS 20D + Summicron-R 50mm/f2 type I

Summicron-R 50mm/f2 type I はライカRの標準レンズ。地味な発色だけど色濃く写り、正統派の画を見せてくれる。曇天下の写真なので前出の2本とくらべづらいかもしれないが、ツァイスレンズの鮮やかさに対し、ライカRのレンズは重厚さが持ち味。それでいてボケアシに品があり、端正な写りだ。この風合い、最近とても気に入っている。

【MC FLEKTOGON 35mm/f2.4 の作例】
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EOS 20D + MC FLEKTOGON 35mm/f2.4

お待たせしました、MCフレクトゴンの作例です。シャープネス、発色、コントラスト。すべて良好。ただ、プラナーのような目に飛び込んでくる鮮やかさはなく、どこか地味な印象だ。かといって、ズミクロンのような重厚さは伝わってこない。いつもここで、ぼくは頭を抱えてしまう。

よく写っている。画質的にすぐれたレンズだ。日を浴びた紅葉の写真なんてかなり気持ちいい。でも……と思ってしまう。前出のレンズたちと見比べてみると、単に色が濃いのではなく、くすみのようなものが感じられる。レタッチ的にいうと、明度が低く、彩度もかすかに低い。絵の具に灰を混ぜたような渋みがある。あえていえば、アッシュカラー

これまでMC FLEKTOGON 35mm/f2.4でいろいろな場所を撮ってきた。人、花、都会、ネイチャー。どれも惨敗だった。このレンズは使い勝手がいい。EOS 20Dの小さなファインダーでもピントが合わせやすく、レンズの先端数センチというマクロ撮影だってこなす。マウントアダプタ遊びのファーストレンズに勧めやすい一本だ。ただ、このレンズ本来の持ち味を引き出すのは、けっこう難しいのではないか。ぼくはアッシュカラーという言い方をしたけれど、あの色合いは「単純にキレイに撮りたい」というニーズと相容れない。ちゃんと写る。でもキレイに写るわけじゃない。どこか憂いと翳りがある。

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EOS 20D + MC FLEKTOGON 35mm/f2.4

この写真は、現時点でのぼくの結論。荒涼とか荒廃とか、殺伐とした光景こそ、このレンズの味が活かせそうな気がする。たとえば産業遺跡とか、廃墟、廃屋とか。ノンレタッチでこの荒涼感。それでいて濃厚な発色だから妙な熱っぽさがある。他のレンズではちょっと出せない味だ。

アッシュがかったブルー、すごく気に入ってます。

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January 01, 2008

HASSEL-EOSマウントアダプタ 無限遠は出てますか?

プロの愛された中判カメラ、といえばHasselbladだ。高画質中判カメラであると同時に、高級カメラでもある。いまでこそずいぶんと値下がりしたが、500Cもしくは500CMと標準レンズのPlanar 80mm/f2.8 T*の組み合わせで10万円前後。けっして安いカメラではない。そんなハッセルブラッドのレンズを、デジタルで味わう。これはかなりの贅沢だ。身の程知らずを承知の上で、そんな贅沢を試してみた。

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【安物買いの銭失い……】
ハッセルブラッドはボディ、レンズともに高いけど、マウントアダプタも負けじと高い。そんなお高いHASSEL-EOSマウントアダプタが、ウチにはふたつある。M42じゃあるまいし、レンズの数だけ揃えるタイプのアダプタではない。ぼくだって好きこのんでふたつも買ったわけじゃない。これにはやむを得ない理由があるのだ。

現在、新品購入可能なHASSEL-EOSアダプタは3種類ある。まずはそのラインナップを列挙してみよう。

普及価格帯モデル
ディスカバーフォトなどでアンダー1万円で購入できる。

三脚座付きモデル
大判ドットコムなどで1.8万円で購入可能。三脚座付きで高精度との評判。

メーカー製モデル
近代インターナショナル製で定価は3万円超だが、実売2.7万円ほど。

当然ながら、まずは一番安いアダプタを入手した。安いといっても約1万円。マウントアダプタとしてはずいぶんとお高い。試写してしばらくは「ほおぉ、さすがはハッセルレンズ」などと悦に入っていたのだが、下の写真を見てのけぞった。無限遠、出てませんがな……。サムネイルだけだととわかりづらいので、等倍の切り出し画像も合わせてどうぞ。

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EOS-1D Mark III + Distagon C 50mm/f4

アダプタ経由で撮影する際、Cタイプのハッセルレンズはプレビューボタンを押さないと絞りが効かない。最初はプレビューボタンの押し忘れでモワモワなのかと思ったが、Exifでシャッタースピードを調べると1/100秒以下。ちゃんと絞り込んでの撮影だ。記憶が正しければ、f8あたりでの無限遠撮影だと思う。

このお安いタイプのハッセルアダプタ、ショップの紹介文によると無限遠対応となっている。レンズの個体差による問題か、ボディとの相性か。ネットで調べると、このアダプタだと無限遠が甘いという記述を見つけた。デジタル一眼レフの場合、F11以上に絞ると回折現象が発生する。このアダプタだと無限遠撮影は厳しいと言わざるを得ない。

【メーカー製なら安心なのか!?】
そんなわけでセカンドチョイス、普通なら三脚座付きのアダプタを買うところだが、あえて一足飛びに近代インターナショナル製にした。噂レベルだが、ハッセルアダプタは近代製じゃないと無限遠が出ない、という話を耳にしたのが一点。手元にハッセルアダプタが3つ揃ってしまうという、最悪の事態を回避したかったのがもう一点。レンズコレクションならいざしらず、ハッセルアダプタコレクションなんて、ヤダ……。

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EOS-1D Mark III + Distagon C 50mm/f4

作例は近代インターナショナル製アダプタを使い、f5.6で撮影したもの。お安いアダプタよりはシャープだが、それでも少々甘いか。f11まで絞り込んでもシャープネスはそれほど変わらない。中判カメラはボケアシが大きいので、パンフォーカスを得るにはかなり絞り込まないといけないはず。デジタル一眼レフだと無限遠はこれくらいが限界か。うむぅ、HASSEL-EOSアダプタ、使いこなしがけっこう難しいかも。ただ、これはあくまでもピクセル等倍での話。サムネイル上は十分シャープだし、A4程度のプリントなら甘さに気づくこともないだろう。

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EOS-1D Mark III + Distagon C 50mm/f4

こんな画がフツーに撮れてしまうあたり、「さすがはハッセルレンズ」と深くうなずいてしまう。Distagon C 50mm/f4は広角レンズだけあって、結像部の鋭いシャープネスとコントラストが秀逸。色ノリも芯が感じられる。色温度の関係かもしれないが、透明感のあるブルーの出方が個人的に気に入った。そういえばGR DIGITALのブルーも印象的。写真表現において、改めて青って大切なんだ痛感した。

Lm_0010895_2 世の中には安くていいレンズと呼ばれるものが数多ある。ただその“いい写り”とは、あくまでもコストパフォーマンスを念頭においた相対的なもの。それに対しハッセルレンズは、別世界を見せてくれる。軽々と一線を突き抜け、「結局レンズは値段かあ」と少々微妙な気分になってしまった。ナンていうか、クオリティの絶対値って存在するんだなあ、と。いま手元にもう一本、ハッセル用のPlanar C 80mmf2.8 T*もあるのだけれど、こちらはディスタゴンと打って変わってやさしい写りをする。柔らかいのではなく、やさしいというのがポイント。硬派なディスタゴンと繊細なプラナー。性格は両極端だけど、どちらもその画は神秘的だ。こころ洗われる気持ちがします。

●追記
ハッセルレンズの作例はこちらにもアップしてあります。
Distagon C 50mm/f4
Planar C 80mm/f2.8 T*

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December 25, 2007

Vario-Elmar-R 75-200mm/f4.5 はじめてのMFズーム

マウントアダプタ遊びといえば単焦点がお約束。しかし世の中には、MFズームレンズが数多ある。単焦点の銘玉とくらべ、MFズームは安い。でも食指が動かない。絞りとピント合わせだけでも大変なのに、それにズーム(焦点距離移動)まで加わるなんて、全自動カメラに慣れた身にはあまりに酷。そんなわけで自然と避けていたMFズームだが、知り合いの写真家さん、ていうか師匠から強く進められ、ついに手を出すことにした。ライカRマウントのVario-Elmar-R 75-200mm/f4.5である。

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【日本製だから安心という逆転の発想】
実はこのレンズ、ライカRマウントのなかでもひときわ安い。相場は5万円程度らしいのだが、ヤフオクで並品を3万円で落札してしまった。安い理由は明白、MADE IN JAPAN、そうミノルタ製だからだ。ライカの一眼レフカメラは初期のLeicaflexこそ西ドイツ製だが、R3以降はミノルタとの協業となる。コシナ製Carl Zeissに微妙な印象を抱いてしまうように、ミノルタ製のライカRボディとレンズもブランド欲をなみなみとは満たしてくれない。しかし、そんな先入観を払拭してくれたのが、師匠のひと言。「日本製だからダメなんじゃなくて、日本製だから安心なんだ」と。言われてみればその通り。しかも写りだってそれとなくライカっぽい。そんなわけで、まずは作例からどうぞ。

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EOS 20D + Vario-Elmar-R 75-200mm/f4.5

掲載したのは開放f4.5からf5.6あたりでの作例だ。ズームという点を差し引いても、十分に開放から使えるレンズといえる。そもそもライカRレンズの開放F値は、明るさを誇示するためのF値ではなく、実用可能な開放F値というのがポリシー。このVario-Elmar-R 75-200mm/f4.5もその例外ではなく、開放から気持ちいいシャープネスを見せてくれた。曇天下の作例はやや眠い印象だが、地味な発色が気持ちいい。これで重厚さを備えると単焦点ライカRレンズと対等なのだが、さすがにそこまでは到達していない。ただし、濃厚さは十分に感じられるだろう。シャドウにもしっかりと粘りがあり、ElmaritやSummicronといったライカRレンズと共通項が見いだせそうだ。ミノルタ製だからこそ、ライカらしさを受け継ぐズームレンズが開発できた。そんなところだろうか。ただそうはいっても、単焦点クオリティのズームレンズというわけではない。やはり安いには安いなりの理由もある。

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EOS 20D + Vario-Elmar-R 75-200mm/f4.5

熱っぽい西日とフューエルタンクの硬質な感じがステキ、というサンプルではなくて、KAWASAKIのエンブレムとエンジンのフィンに注目してほしい。しっかり出ております、パープルフリンジ。そうはいっても、当然のごとく非デジタル設計のレンズなわけで、色収差をあまりあげつらうのはアンフェア。このあたりは運用でカバーするのがオトナというものだろう。手頃な価格でライカっぽさが味わえるのだから、コストパフォーマンスは上々だ。

【ピント再調整不要で使いやすい】
Lm_00108652 もうひとつ、このレンズは大きな利点がある。一般的なMFズームは、焦点距離を移動するたびにピントを再度調整しなくてはならない。ところがこいつは直進ズームだから、レンズ筒の前後動作で焦点距離を調整できる。筒を回さなくていい。つまり、ピント再調整が不要なのだ。最望遠の200mm側でピントを合わせ、あとはツツツゥと筒を前後させて画角を決める。これならMF単焦点レンズの撮影ステップとさほど変わらない。ちなみにフードは組み込み式。この点も扱いやすくていい。細身のボディで中級デジタル一眼レフとの装着バランスもよく、ストリートスナップに持ち出してもそれほど大げさにならない。f4.5というF値は暗めという印象を受けるかもしれないが、開放から十分にシャープだから実用上の支障はない。望遠寄りでも開放F値が変わらず、何かとハンドリングしやすい一本だ。

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EOS 20D + Vario-Elmar-R 75-200mm/f4.5

最近、地味だけど濃い、そんな画が好きです。

●追記
バリオエルマーの作例は随時こちらにアップしています。

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July 11, 2007

Angenieux 35/2.5 悩ましいレンズ径

P.Angenieux Paris 35mm/f2.5というレンズは厄介だ。こいつのレンズ径は51.5mm。この口径は市販のフィルターやレンズフードが使えない。かといってオリジナルのアクセサリーは、ヤフオクを気長に漁ってもお目にかかれない。やむなし、クラシックカメラを得意とするMS OPTICAL R&DでM51.5システムフードを買ってみた。

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実はぼくが手に入れたアンジェニューには、52mm径のHama製レンズキャップがついていた。そのためてっきり52mm径なのだと思い、そのサイズに合わせてフィルターやレンズフードを購入。ナンだか微妙にちがうなあと感じつつも、しばらくはこんな姿で撮っていた。

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アンジェニューったら銀縁のフィルターがよく似合う。Hamaの角型フードはちょっとミスマッチだけど、ちゃんと撮れるんだからいいじゃない、なんて開き直ってみたり。ただ、51.5mm径のレンズに52mm径のフィルターを付けるってコトは、小さいところに大きなものをブチこんでるわけです。本来ならば入らない。付くはずがない。どうも前オーナーがむりむり付けて使っていた様子。途中までいけるんですね、途中まで。ただそこから先はビビってねじ込めない。ナンていうか、痛がる生娘に気後れして先っぽまで、という感じ。下品ですみません……。

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そんなわけで、M51.5システムフードの出番です。こいつのいいところは、特殊口径のAngenieux 35/2.5に市販のレンズキャップやフィルターが使えるという点。ただ単に51.5mmのレンズフードというわけじゃない。外径は62mmで、これは一般的な市販レンズキャップが装着可能なサイズ。フードは分割式になっていて、フード部分をはずすと内側にもネジ切りがある。ここは58mm径でこれまた市販サイズのフィルターが装着可能。しかもブランド志向の強い人に朗報、お安いフィルターを使っても、フードがフィルタメーカー名を隠してくれる。さらにフードに「ANGENIEUX 35/2.5」とプリントしてあって、まるで純正品っぽい雰囲気まで醸してくれるのだ。

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例によってかわいくない値段だけど、レンズとの一体感が気持ちいい。先端に62mm径の銀縁フィルターを付けたらかっこいいだろうな。GR DIGITALのときもそうだったけど、カメラアクセサリーは凝り出すとキリがない。奥、深すぎです。

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May 14, 2007

Exakta-EOS マウントアダプタの不人気ぶり

Exaktaマウントのレンズは安い。FLEKTOGONやAngenieuxといった高級クラシックレンズが、M42マウントよりも5000円から10000円ほど安く手に入る。Exaktaというカメラはレリーズが左側にあるため不人気機種だ。安いには安いなりの理由がある。しかし、マウントアダプタ経由でデジタル一眼レフに装着するなら関係ないよね、なんて思いつつ、Exakta-EOSマウントアダプタを買ってみた。

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Exakta VX1000の購入にともない、Tessar 50mm/f2.8P.Angenieux Paris 35mm/f2.5が手元にある。せっかくだからデジタル環境でもこれらのレンズを楽しみたい。そんな思いから買ってみたわけだが、このマウントアダプタ、実に微妙なスタンスなのだ。購入したのは近代インターナショナル製。15000円程度とかなり高額なアイテムだ。もうちょっとお金を足せばExaktaのボディが買えてしまう。デジタル全盛のいまでもExakta用レンズが安いのは、マウントアダプタが高いという理由もありそうだ。ただまあものは考えようで、Exaktaマウントのレンズを増やしていけば一本あたりのコストが下がっていく。なんて皮算用を自らに言い聞かせないと、やはり手を出しづらいアイテムだ。

【絞りボタンの凸部がジャマです】
Exak02 Exak03

左の写真はAngenieuxにマウントアダプタを取り付けたところだ。M42マウントアダプタと異なり、ずいぶんと凝った造りになっている。レンズから取り外すときは板バネを内側に押して回転。いわゆるバヨネットタイプのマウントなので、レンズとアダプタをしっかりとロックできる仕組みだ。

右の写真はTessar 50mm/f2.8の裏面だ。絞りボタン(レリーズボタン)に凸部がある。実はこいつが干渉するためマウントアダプタが取り付けられない。絞りボタン付きレンズはExaktaの特徴なのだが、この手のレンズをマウントアダプタ経由で使いたいときは要注意。前もって凸部の有無を確認しておこう。ていうか、確認しないで凹んだのはぼくです……。

【無限遠は出るの出ないの!?】
取扱説明書をよく読むと、100メートル以上の撮影はF8以上に絞りなさない、と書いてある。これはつまり、「厳密には無限遠が出ないのだが、絞ればそこそこ見られるようになるよ」ということなのだろうか。早速テストしてみた。

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脱力しきったサンプルで恐縮だが、左から開放、中間絞り、f8で撮影している。シャープネスがわかりやすいように、撮影した一部を切り出して掲載した。取説にあるとおり、絞り込まないとフワフワもやもやだ。なんでもミラーとの干渉を防ぐためにフランジバックを厚めにとっているとかで、そのせいで厳密には無限遠が出ない設計になっている。しかし、f8以上に絞り込めばそこそこシャープに写るので許容範囲内、ということのようだ。

そんなこんなでExakta-EOSマウントアダプタは、いろいろと制約の多いアイテムだ。Exaktaマウントのレンズが安いからといって、わざわざ買うほどのものではないだろう。あくまでも手元にExaktaマウントのレンズがあり、それをデジタルで使いたい人向けと考えた方がいい。とはいえ個人的な損得勘定でいうと、Angenieuxをデジタルで使えるというだけで大満足なのだが。

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EOS 20D + P. Angenieux Paris 35mm/f2.5

Angenieuxのやわらかさって、ハードにイジっても破綻しないんだもの(笑)。きっと階調性豊かなレンズなんだろうな。

※Exaktaのレビューはこちらをご覧ください。

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May 13, 2007

M42-EOS 電子マウントアダプタ の微妙な快適さ

前々から気になるアイテムがあった。ヤフオクでよく見かけるアレ、電子マウントアダプタ。マウントアダプタ経由のレンズ装着はMFが基本だが、電子マウントアダプタはフォーカスエイドが使えるという。ホントにそうなのか? バッタモンじゃねえの!? いろいろな思いが脳裏をよぎるが、ものは試しで買ってみた。

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【半押ししながらピント合わせ】
今回手に入れたのは、ヤフオクに出品されていた8800円のもの。この出品者は複数種類のM42-EOS電子マウントアダプタを出品していたが、対応機種が異なるだけで機能的には大差がないらしい。手持ちのボディがEOS 20Dという枯れたカメラということもあり、一番安いやつをチョイスした。

Elec02マウントアダプタの裏面を見ると、なにやらチップが貼り付けてある。詳しいことはわからないが、この電子接点によってボディと連係するようだ。このマウントアダプタを使ってM42レンズを取り付けると、ボディ側の絞り値は「1.8」と表示される。一般的なマウントアダプタだと「0.0」になるので、やはりボディを電子的にだまくらかしているという印象。どうにも胡散臭さが漂うが、肝心のフォーカスエイドはちゃんと動作した。シャッターボタンを半押ししながらヘリコイドをまわしていくと、目視で合焦と感じたところでAFフレームが赤く点灯する。任意のAFフレームを選択固定した状態でもフォーカスエイドが使えた。半押ししながらピント合わせ、という独自のお作法があるものの、ピントの山がつかみづらいレンズでは効果的なアイテムだ。

【嗚呼、ピン押ししないタイプなのね】
今回怪しげなアイテムを購入した理由は、なにも人柱になろうなどと殊勝なことを思ったわけじゃない。年明けに購入したFLEKTOGON 20mm/f4がどうにもピント合わせがやりづらく、電子の目で合焦させようという目論みだ。ところがですね、肝心のFLEKTOGON 20mm/f4で電子マウントアダプタが使えないんですよコレが!

Elec03 Elec04

左の写真は近代インターナショナル製のM42マウントアダプタを付けたところ。右は電子マウントアダプタを装着した様子だ。レンズ背面のピンの状態に注目してほしい。近代インターナショナル製はピンを押し込み、電子マウントアダプタはピンがそのまま立っている。もちろん、ピンが立った状態でもEOS 20Dに取り付けられるのだが、絞りが常時フル開放で使いモノにならない。これまで運良く自動/手動絞りの問題を回避してきたけど、ついに直面しちゃいました……。

【クラシックレンズは手動絞りアリがいい】
Elec05いまどきのAFレンズには無縁の話だが、MFレンズには自動絞りと手動絞りの2種類がある。たとえばMC FLEKTOGON 35mm/f2.4には「M/A」というスイッチがあり、Aの状態だと自動絞り、Mにすると手動絞りに切り替わる。自動絞りとはシャッター半押し、およびプレビューボタンを押したときに絞りが絞り込まれ、通常時は絞り開放の明るいファインダでピント合わせできるという機能。一眼レフではずいぶんと古くからこの機能が採用されている。一方手動絞りとは、レンズ側の絞り値に応じて絞りが絞り込まれる。いわゆる実絞りの状態だ。マウントアダプタを使ってレンズを装着した場合は、好むと好まざると、この手動絞りで使うことになる。なにしろレンズに純正対応したボディではないから、ピンを押し込む機構がない。ピンを押し込めないと常時フル開放……。これではボケボケふわふわな写真しか撮れない。

この自動/手動絞りの切り替えは、レンズ背面のピンが担っている。自動絞りの状態だとボディ側からこのピンを押し込み、レンズ側で設定した絞りまで絞り込む。手動絞りの場合はピンがレンズ側に引っ込み、絞りを動かすとリニアに絞り込まれる。こう書くとわかりづらいかもしれないが、試しにA(自動絞り)に設定して背面のピンを指で押してみよう。絞りが動くのがわかるはずだ。そしてM(手動絞り)するとピンがレンズ側に引っ込み、レンズ側の絞りを動かすと絞り羽根が動く。目で見て確かめるのがわかりやすい。

【ピン押しタイプならどんなレンズでも安心】
問題を整理すると、「自動絞りのみのレンズは、ピン押しタイプのマウントアダプタが快適」ということになる。裏を返せば、手動絞りのあるレンズはピン押しタイプでもピン押ししないタイプでもOK。ピン押ししないタイプのマウントアダプタを使うときは、切り替えスイッチをM(手動)にしておけばいい。んでもって、FLEKTOGON 2mm/f4は手動絞りがない。よってピンをマウントアダプタの縁で強制的に押し込まないと、実絞りで撮影することができないわけだ。近代インターナショナル製のマウントアダプタはピン押しするタイプだったので問題なかったが、ヤフオクで買った電子マウントアダプタはピン押ししないタイプ。よって実絞りでは撮れない。一応、レンズ側の絞り込みレバーを押しながらシャッターを切ることで、疑似実絞り的な撮影もできなくはない。ただ、半押し+ヘリコイドまわし→絞り込みレバー+シャッターという行程はかなり面倒だ。ああもう、ナンのために電子マウントアダプタを買ったんだか……。

まあ所詮はヤフオク購入の怪しげアイテム、こんなオチが相応しいかと。ちなみに、近代インターナショナル製のM42マウントアダプタはピン押しかつ高精度な製品で、それでも5000円程度で購入可能。こうした相場を思うと、8800円もするヤフオクの電子マウントアダプタは割高だ。ピン押ししないし、しかもアダプタ自体の精度が低いから金属クズがボロボロと出る。さらに半押ししながらヘリコイドをまわすという習慣がないものだから、せっかく電子マウントアダプタを付けていてもフツーにMFでピント合わせしている自分がいた。率直な感想としては、ピントは金で買えない、と痛感。カメラに王道なし、です。

ちなみに、ディスカバーフォトというネットショップでピン押しタイプの電子マウントアダプタが売っています。ヤフオクのものよりさらに値が張りますが、どなたかレポートしてくださいませ。ぼくはおこづかいが尽きました。眼力アップのトレーニングに励むことにします。

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April 07, 2007

Angenieux 35/2.5 やわらかさの正体

「ジョン・レノンって、Exaktaにアンジェニューつけて撮ってたんだって」そんな話を聞いた。ぼくのギターの腕前は、かろうじてが押さえられる程度。それでも「Imagine」だけは弾ける。ジョン・レノンはかなり好きだ。ならば買うしかないだろ、アンジェニュー! そんなわけで、P. Angenieux Paris 35mm/f2.5を手に入れた。

Ange01 Ange02 Ange03

Angenieuxは映画用カメラに端を発するフランス製レンズだ。ぼくが手に入れたAngenieux 35mm/f2.5はR1と呼ばれるタイプで、1950年代に作られたらしい。詳細はここを参照するといいだろう。物欲をほどよく刺激してくれます(笑)。レンズの口径は51.5mmとイレギュラーなサイズ。ムリだろうと思いながらためしに52mm径のフィルターを付けてみたら、なぜか付く。でも途中で止まって動かなくなった……。どうやら前のオーナーは無理矢理52mm径フィルターを付けていたらしい。ちなみに、MS OPTICAL R&DからM51.5システムフードというものが発売されていて、これはジャストサイズで付くようだ。ただ、例によってここのフードは高い。まだ購入のフンギリがつきません。

一般にこのレンズはやわらかい描写をするといわれている。やわらかいといえば軟調、軟調といえば低コントラスト。低コントラストといえば、クラシックレンズにありがちなフレアっぽい写り……。う~む、どうなんだろう。現にAngenieuxの描写は好き嫌いがわかれるらしい。やわらかさとは単に低コントラストなのか、それとも別の要因があるのか!? Angenieuxのやわらかさの正体を考察してみたい。

【見ればわかるこの柔らかさ】
まずは論より証拠、Exakta VX1000につけて撮ったサンプルを見てもらおう。フィルムはFUJICOLOR Super400FTを使い、GT-X900でスキャンしている。スキャナは白飛びと黒つぶれを回避するためにダイナミックレンジを狭める傾向があるので、Lightroomに読み込んで「トーンカーブ-Lightroom初期設定」でシャドウを若干落としている。上段がスキャン直後の画像、下段がLightroomで補正した画像だ

001_1 001_3 001
002 002_1 002_2

もう見るからにフワフワだ。コントラストはあきらかに低い。しかし、フレアのような浮き足だった描写ではなく、気持ちいい軽さがある。Lightroomでシャドウを引き締めたところで、その軽さは揺らがない。単に低コントラストだからやわらかい、ということではなさそうだ。別の要因としてまっさきに思い浮かぶのは、彩度が低いこと。時代的にシングルコーティングなので、発色がくすむのはやむなし。では、レタッチで高彩度に加工したらどうなるだろう。

Pho10_3

SILKYPIX3.0でトイカメラ風に加工してみた。たしかに被写体は際立つが、柔らかさの対極にあるシャープさや過激さはない。ここまで手を加えてもどこか軽い。ピントが甘い? たしかにその通り。これらの写真はジャスピンではない。Angenieuxはピントの山がつかみづらく、実際にファインダーをのぞいた印象としては、どこにでもピントが合っているような錯覚に陥る。ただ、Angenieuxのピント合わせに関しては、どうもこういうものらしい。知り合いの写真家さんとデジカメライターさんに聞いてみたところ、厳密にピントを合わせてシャープに撮るのではなく、感覚的に撮るのがAngenieuxの気分なのだとか。

しかし、どうなんだろう。低コントラスト+低彩度+ピン甘=やわらかさ。これがAngenieuxの味といわれても、どうもナットクできない。こうなれば奥の手、デジタルドメインで検証してみよう。

【ヒストグラムから柔らかさは見えるか!?】
マウントアダプタを介してAngenieuxをEOS 20Dに装着し、屋内テスト撮影を行ってみた。対抗馬として用意したのはCarl Zeiss Jena MC FLEKTOGON 35mm/f2.4だ。絞りはF3.5近辺、シャッタースピードは1/8秒。Digital Photo Professional 3.0で現像している。

Ange_1 Ange_histogram_1
EOS 20D + P. Angenieux Paris 35mm/f2.5

Flek Flek_histogram
EOS 20D + MC FLEKTOGON 35mm/f2.4

Angenieuxの方がやや暗めに写っているが、これは数カット撮っても同じ傾向だった。その理由はヒストグラムを見るとわかる。露出がアンダーなのではなくて、FLEKTOGONがハイコントラストなのだ。ヒストグラムを見ると、FLEKTOGONの方が高輝度方向に伸張しているのがわかる。Angenieuxはグラフの右端にほとんどデータがなく、ダイナミックレンジが狭い。しかし、シャドウ部にしっかりとデータが存在するため、フレアのような浮き足だった写真にならず、低コントラストでありながら気持ちのよい絵を描いている。コントラストが低くても眠くならない。これはAngenieuxの特徴だ。

色調に関しても興味深いことが見えてくる。FLEKTOGONと比較した場合、Angenieuxは緑が強めに出て、青は沈む(明度が落ちる)傾向にある。RGB各色のデータ量を比べると、Angenieuxはけっして彩度が低いわけでも色褪せているわけでもない。アンバーっぽくかぶるものの、色情報は豊かだ。これは先に挙げた補正例からも見て取れる。Lightroomでシャドウを引き締めたとき、コントラスト向上に合わせて色が強くなった。SILKYPIX3.0で彩度を高めることができたのも、写真に十分な色情報があればこそ。シングルコーティングだから色が褪せる!? これは早計だった。

【フラットなボケ味に最大のヒミツが!】
先のテスト画像でカメラのロゴに注目してほしい。「EXA 1b」と書かれているのだが、FLEKTOGONの画像では読み取れない。片やAngenieuxはかろうじて読み取れる。どちらも同じF3.5での撮影。レンズが異なればボケ味は異なって当然だが、このボケ味にこそAngenieuxのテイストが隠されているとぼくはにらんでいる。

Lmpho043 Lmpho14_1
Lmpho36_2 Lmpho27_2

それぞれ加工してしまった画像だが、F3.5~5.6ぐらいで撮影している。注目してほしいのはボケ方だ。一般に手前にあるものはボケが小さく、遠く離れていくに従って大きくボケていく。これが遠近感の演出となるわけだ。上の作例はたっぷりとボケているし立体感もある。しかし、どこかフラットな印象を受けないだろうか。立体的なのに、遠近感が圧縮されたような世界。適切な言葉が見つからずに悩んでいたところ、知り合いの写真家さんにいい表現を教えてもらった。こういう空間をボケが浅いというらしい。なるほど、そういうことか。やっとやわらかさの正体をつかんだような気がする。

【反語としての濃密な写り】
Angenieuxはたしかにやわらかい写りをするレンズだ。でも今回こうやって考察してみて、いまはちょっとちがった印象を抱いている。やわらかい写りは軽さに通じるが、実はAngenieuxというレンズ、やわらかくも濃密なのではないか。低コントラストというよりも、ダイナミックレンジの圧縮。褪せた色合いではなく、アンバーよりの豊かな色彩。そして遠近感を封じ込めたような浅いボケ味。何ひとつ削がれていない。むしろ密度を高めることで独自の世界を描いているのではないか。そんな気がしてならない。

Angenieuxの写真をデジタルドメインに持ち込んだとき、その秘められたポテンシャルを解き放つことができる。たとえば、こんな風に。

Lm_mg_6525_1
Lm_mg_6564_2 Lmpho34_3
EOS 20D / Exakta VX1000 + P. Angenieux Paris 35mm/f2.5

封じ込めた光を解き放つことで、Angenieuxの絵はハードにもライトにも変貌する。邪道な遊び方かもしれない。でもぼくはこんな風に、このレンズと付き合っていきたいと思う。

●そのほかの作例は随時こちらに掲載しています。

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January 10, 2007

MC Sonnar 135mm/f3.5 試写&画質考察

EF 70-200mm F4L IS USMが発売になってからというもの、F4L ISにするかF2.8Lにするかでずっと悩んでいた。なにしろ価格差は新品同士で1万円程度。F2.8Lの中古はF4L ISの新品よりも安い。機動力ならF4L IS、表現力ならF2.8L。それはわかっている。ただ、どうにも踏ん切りがつかない。自分が望遠レンズをどういうスタイルで使うのか、それが見えてこない。結論を出すまでの場つなぎというわけではないが、Carl Zeiss Jena DDR MC Sonnar 135mm/f3.5を買った。

Dpp_0285

ひとつハッキリしているのは、最近の自分はスナップしか撮っていない。スナップ用の望遠レンズということであれば、機動性重視で軽い単焦点がいい。どうせ屋外撮影だからf4程度の明るさで十分。ボディはAPS-CのEOS 20D。ならば135mmでも200mm相当になる。135mm/f3.5、もしくは135mm/f4が候補だ。このクラスは安いクラシックレンズがゴロゴロしている。そうしたなかMC Sonnar 135mm/f3.5に決めたのは、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4とCarl Zeissつながりだからだ。ブランド志向といわれてしまえばそれまでかもしれない。MC FLEKTOGON 20mm/f2.8購入の伏線、そういう指摘もあえて否定はしない。きっとJena三兄弟、コレクションコンプリートするんだろうな……。

【スナップ向けの小型軽量望遠レンズ】
Dpp_0286_2そんなヨタ話はさておき、コイツのコンパクトぶりは本当にスナップ向けだ。右の写真はMC FLEKTOGON 35mm/f2.4と並べてみたところ。レンズ径はどちらも49mm。レンズ全長は1.5倍程度。これなら2本持っても軽装備で撮りに出かけられる。EOS 20Dに装着した際のバランスも良好。標準ズームレンズを着けている程度の重量感だ。そもそも重量感などというほどの重さも感じない。最短1メートルまで寄れるので、マクロ的な使い方もできる。今回の個体はカメラの極楽堂で購入したのだが、ややヘリコイドが重い印象。近距離から無限遠に向かってグリグリ回すと、ちょっと腕が疲れてくる。ランクABで21,000円。まあ、価格相応といったところか。

Dpp_0258MC Sonnar 135mm/f3.5は組み込み式レンズフードが備わっている。筒をスッと伸ばせばフードになり、これは思いのほか重宝する。クラシックレンズである以上、やはりハレ切りは欠かせない。MC FLEKTOGON 35mm/f2.4でははじめにラバーフードを買い、でもデザイン的にいまひとつ満足できずに結局はドーム型フードを買い直した(この顛末はこちら)。MC Sonnar 135mm/f3.5の場合はそうした手間をかける必要はない。ただ、じゃあこれがデザイン的に美しいかというと、それはまた別の話。Sonnarもフード探しの旅ですか……。いや、どうやらその必要はなさそうだ。手持ちのSuper-Takumar 135mm/f3.5の純正メタルフードがそのまま流用可能。しかも付けた姿がなかなか美しい。当面は日独合作で使ってみようと思う。

【さすがはMC、解像力は案外フツー!?】
肝心の画質はどうだろう。価格といい、在庫のあぶれ具合といい、MC Sonnar 135mm/f3.5はそれほど期待できるレンズではない。実際ウェブで情報をかき集めても、このレンズをベタ褒めするような記事はあまり見かけなかった。そんな事情を踏まえつつ、サンプルを見ていこう。撮影はRAWで行い、Digital Photo Professional 2.2で現像している。コントラストと色の濃さをそれぞれ+1に、リサイズにともなう解像感減退を加味してシャープネスを+3~5に調整している。EOS 20DでJEPG保存したデフォルトに近い状態と考えてもらうといいだろう。

Dpp_0275 Dpp_0276
まずは左の写真から。開放近辺で撮影。やはりMC(マルチコーティング)を冠するだけあって発色がいい。前ボケ、後ボケともに嫌味がなく、美しいボケ味といえるだろう。ピクセル等倍で見るとちゃんと花粉まで認識でき、シャープネスも及第点だ。ただし、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4のようなハッする描写力ではない。右の写真はアンダーになってしまったが、それでもバイク本来のカラーリングを再現できている。f5.6あたりまで絞っての撮影で、ジャスピンの部分は輪郭がスッと際立つ。しかし、前述のように驚くほどシャープというレベルには達していない。

Dpp_0279 Dpp_0280 Dpp_0281
どうもシャープネスがいまひとつな気がするので、ほぼジャスピンのサンプルを三枚並べてみた。リサイズの関係でわかりづらいかもしれないが、どれもほどよくシャープだ。けっして線が太いわけではない。ただ、繊細な描写かといえば、やはり疑問を感じる。今回は手持ちでの撮影だったので、三脚を立ててf7~11あたりまで絞り込めばまたちがった描写力が見られるかもしれない。見方を変えると、単に圧縮効果で立体感がないだけ……かも。

Dpp_0284 Dpp_0283
無限遠の写りはどうだろう。上の二枚は無限遠からわずかに戻した状態で撮影したサンプルだ。絞りは開放から一段絞った程度。ほぼ無限遠でこれだけシャープなら文句はあるまい。

Dpp_0278_1 Dpp_0277
ボケがうるさくなった例も紹介しておこう。左は開放f3.5での撮影。二線ボケというほどではないが、ややうるさいか。もともと込み入った被写体なので、やむなしという気もするが。1~2段絞った状態が右の写真。ちょっと絞るだけでごちゃごちゃした被写体も見通しがよくなった。

【優等生にケチをつけるのはナンですが……】
Dpp_0256_1買って日が浅いので試写の域を脱していないが、ざっと触った感想としては素性の良さが気に入った。たしかにMC FLEKTOGON 35mm/f2.4のような感嘆する写りではない。しかし、発色は現代的で、解像力もまずまず。欲をいえば開放からもう一段キリッとしてほしい気もするが、それは価格を考えれば望みすぎというものだろう。むしろこの軽さと扱いやすさで、これだけの描写力が得られるというメリットの方が大きい。手頃な価格で素直に写る。おもしろみには欠けるが、実用的かつハンドリングしやすい望遠レンズだ。

●追記
その他の作例はこちらをご覧ください。

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December 11, 2006

FLEKTOGON ドーム型フードを試す

R0011103MC FLEKTOGON 35mm/f2.4を買ってからというもの、デジイチでスナップを撮るときはこいつに頼りっぱなしだ。はじめてのクラシックレンズということもあってはじめは探り探り撮っていたが、寄ってよし引いてよしの万能レンズだけに本当に使い勝手がいい。以前「FLEKTOGON 画質の研究」で書いたように、クラシックレンズはレンズフードが欠かせないという発見もおもしろかった(古参ユーザーには常識なんだろうけど)。

そんなこんなのFLEKTOGONだが、ちょっくらレンズフードを新調してみた。これまでハクバのラバーフードを使っていたのだが、こいつがどうにもイケてない(笑)。どうにかならんものか、と思っていたところ、hirobotさんから「ドーム型フードはどうですか」とアドバイスをいただき、ようやく手に入れた