02.写真とカメラ

June 20, 2008

Leica M8 で赤外線写真

ライカジャパンがウェブ上で公開しているデータによると、Leica M8の赤外線カットフィルターは極薄だという。これは高画質化に貢献する一方、長波長赤外線に敏感に反応してしまうんだそうな。そう、例のマゼンタかぶりである。これは見方を変えると、CCDにたっぷりと赤外線が届いているということ。つまり、赤外線写真が撮れるのではないか!? というわけで、赤外線フィルターを買ってみた。

Lm_001351903

【デジカメと赤外線写真の関係】
現在市販されているデジタルカメラは、その多くが赤外線カットフィルターを搭載している。赤外線が画質低下をまねくという理由から赤外線カットフィルターを搭載しているのだが、ぶっちゃけ盗撮防止という側面も無視できない。結論からいうと、現在のデジタルカメラでは、赤外線フィルターを付けても赤外線写真は撮れない。なぜなら、内蔵する赤外線カットフィルターが肝心カナメの赤外線を遮断してしまうからだ。

というわけで、Leica M8の出番だ。M8も赤外線カットフィルターを搭載しているが、黒がマゼンタかぶりするほどに極薄である。つまりこれは、CCDに赤外線が届いている証拠だ。そこで赤外線フィルターを装着して、赤外線以外の光線をシャットアウト。赤外線だけがCCDに届き、赤外線写真が撮れるようになる。赤外線写真といえば、真っ白な木々、真っ黒な空。非可視光線だけに満ちた幻想の空間。肉眼では見ることのできない世界を写し出してくれる。論より証拠、とりあえずは拙作をどうぞ。

Lml1002378 Lml10023592
Lml10025072 Lml1002467
Leica M8 + GR Lens 21mmF3.5 with R72 filter

真っ黒な空とまではいかないが、木々の白さはなかなか異様で見応えがある。漆黒の水面も不気味さ満点でおもしろい。上の作例はすべてHOYA R72フィルターを使用。国内では入手できないため、eBayのBuy it nowで購入した。価格は送料込みで42ドル。円高のおかげで4000円強で手に入った。

【Mマウントレンズにも赤外線指標がほしい】
実際の撮影だが、まずシャッタースピード低下に悩まされる。なにしろ赤外線フィルターで赤外線以外の光線をカットしてしまうわけだから、当然ながら光量が落ちる。前掲の写真は晴天下で撮っているが、絞りF3.5~F5.6でシャッタースピードは1/20~1/50程度。状況によってはピーカンなのにISO320まで上げて撮影した。ぼくは手持ち撮影が基本形なので、手ブレ防止策としてGR Lens 21mmF3.5や改造G Biogon T* 28mmF2.8など、広角レンズで撮るようにしている。

次に悩まされたのはピント合わせ。当初「なんだか後ピンになるなあ」と思っていたのだが、赤外線撮影は前ピンで撮るのがお約束らしい(知らなんだぁ)。赤外線は波長が長いため、可視光線下の合焦位置からズレるものなのだと。詳しいことは……理系なお友達に訊いてみてください(汗)。

Lm_0013526 Lm_0013527
Lm_0013529

というわけで、昔のレンズには赤外線指標というものが刻まれていたらしい。手持ちのオールドレンズを引っ張り出してみると、ありました、赤外線指標! 左上はMC FLEKTOGON 35mm/f2.4、その隣はMC Zenitar-M 16mm/f2.8、下段はPlanar T* 85mm/f1.4。どれも指標の右側に赤い線とかポッチとか、赤外線撮影用の指標が見える。かねてから「このマークはナンなんだろう」と疑問に思っていたのだが、赤外線撮影用だったんですねえ。嗚呼、知らないことが多すぎる。深いぞレンズって。

で、肝心のMマウントレンズはというと、ない、ないんですよ赤外線指標が。仕方ないので、ピントを合わせてからちょい前ピンに手動補正。たいてい広角レンズで撮っているので、パンフォーカス効果のおかげで大きくハズすことはない。ただ、ジャストで撮れることもないんだけど。

ちと愚痴っぽくなってしまったが、そうはいってもM8の赤外線撮影は圧倒的に快適だ。一眼レフと異なりファインダーの採光が独立しているから、赤外線フィルターを付けても明るいファインダーでピント合わせができる。これが一眼レフだとファインダーは真っ暗けだ。デジタルカメラ黎明期は一部の機種で赤外線カットフィルターが未搭載だったようだが、現状ではM8がほぼ唯一の赤外線撮影対応デジタルカメラとなる。なにしろ高いカメラだし、このくらいのお楽しみがあってもバチは当たらないか。

【赤外線写真のレタッチスタイルは?】
目下赤外線写真で思案しているのは、後処理のパターン作りだ。赤外線写真というとモノクロの印象が強いけど、撮って出しの状態はカラーである。このカラーデータを印象深くグレースケール化していくわけだが、これがけっこう難しい。

Lml10024005 Lml10024006

左が撮って出し。右はLightroomでストレートにグレースケール化したものだ。撮影状況にもよるが、そのままグレースケール化すると少々物足りない。通常のカラーデータなら、グレースケールミキサーでごりごりとイジれる。ところが赤外線写真のカラーデータは、赤からマゼンタという近接した色で構成されているため、特定色だけ明度を調整してもコントラストがつけづらいのだ。

Lml10024003 Lml10024002

左は全体の彩度を落とした例。右はその状態からマゼンタの彩度をゼロにして、ハイライト部分にアオをうっすら載せてみた。なんていうか、迷走してますね。

Lml10024004
Leica M8 + GR Lens 21mmF3.5 with R72 filter

最終的に落ち着いたのはこんな感じ。アカとオレンジの彩度をゼロにして、マゼンタだけかすかに残す。一方、コントラストやトーンカーブはイジらない。画作りが硬くなると、赤外線写真特有の幻想的な空気感が損なわれてしまうからだ。被写体によりけりだけど、どうも赤外線写真は通常のレタッチセオリーが通用しない。赤外線写真の傑作をたくさん見て、どんなスタイルがかっこよくて美しいのか、これからたっぷり勉強しないと。まだまだ落とし所が見えてきません。

最後に、赤外線撮影といえばスケスケ写真だ(笑)。以下にマイファミリーのサービスカットを載せておきます。

Lml1002421

スケてますか?

| | Comments (0)

May 31, 2008

Leica M8 距離計連動アダプタの連動っぷり

Leica M8を買ってから、ずっと気になっているアイテムがある。ハンザがかつて販売していた距離計連動アダプタ。いまや生産中止の幻のアダプタである(ちと大袈裟)。アダプタファンのぼくにとってぜひとも試してみたいアイテムだが、生産中止では致し方ない。と思っていたら、レモン社にフツーに売ってました……。そんなわけで、ライカR用の距離計連動アダプタのレポートです。

Lmimg_0088

【距離計連動とは何を意味するのか】
このブログのお客さんは非ライカユーザーの方が多いので、距離計連動のどのへんが熱いのか、まずはそこからざっくり解説してみよう。レンジファインダーカメラというのは距離計をカメラ内に内蔵している。レンズのヘリコイドを回転させると、その動きに合わせてカメラ内の距離計が動作。ファインダー内で二重像が合致したところで回転を止めれば、ジャスピンの写真が撮れる。要は、レンズのヘリコイドが距離計の操作デバイスになっているわけだ。

で、マウントアダプタの話。カメラを問わずマウントアダプタとは、フランジバック差を埋めるスペーサーにすぎない。電子的にも機械的も、カメラとレンズの連携は一切断たれてしまう。そもそも規格ちがいのボディとレンズなのだから、当然といえば当然の話だ。まあこのあたりは、一眼レフでオールドレンズ三昧の人たちには釈迦に説法だろう。ただし、M型ライカの場合はちと事情が異なるのだ。

M型ライカは距離計を内蔵しているが、その距離計を操作するデバイスはレンズのヘリコイドが兼ねている。しかし、非Mマウントレンズをアダプタ経由で装着した場合、レンズのヘリコイドを動かしても距離計は連動しない。マウントアダプタが単なる中間リングだと、ピント合わせができないわけだ。いよいよ核心に近づいてきた。そう、距離計連動マウントアダプタとは、非Mマウントレンズでも距離計操作が行えるのだ。

【単体距離計で十分かも!?】
とまあ、期待に胸膨らませてハンザ製ライカM-ライカR距離計連動マウントアダプタを購入したわけだが、待ちかまえていたのは理想と現実のギャップというか、無知のみがなせる思い込みというか、切ない現実だった。とりあえずは下の写真を見てほしい。

Lmimg_0077_2

ボディの上にあるのが距離計連動アダプタ。その上がライカRマウントレンズだ。アダプタにはヘリコイドがあり、ここを回転させるとカメラ内の距離計を操作できる。うむ、操作できるのだが、別にレンズのヘリコイドと連動しているわけではない。アダプタのヘリコイドでピントを合わせ、レンズのヘリコイドをアダプタと同じ数値(距離)にセット。別にレンズとボディが連携するわけではなく、アダプタがボディ内距離計の操作デバイスとして機能するというだけの話だ。つまりそれは、単体距離計の数値をレンズ側に写し取ればOKなのでは!? 距離計連動の連動とは、あくまでもボディ内距離計が使えますよ、という意味だ。

正直不満はあるが、ミニマムスタイルで非Mマウントレンズを使えるのがメリットか。また、M型ライカの高精度な距離計を使えるというのもアドバンテージだろう。ただし、実際のピント合わせ(レンズのヘリコイド調節)はアバウトにならざるを得ないので、開放撮影や近距離は厳しいものがある。

Lml1001417 Lml1001409
Lml1001501
Leica M8 + Elmarit-R 35mm/f2.8 type I

実際に撮影してみると、やはり絞り込んでしまう。接写は距離計が使えず完全目測になるため、寄り切れないストレスも小さくない。画質については、M8ならではというテイストは感じられなかった。どうしてもM8でアダプタ遊びをしたいなら、距離計非連動アダプタと単体距離計の組み合わせで十分かも。個人的な感触としては、わざわざ距離計連動のデッドストックを探すまでもないなあ、と。これまで生産中止になった理由は「高くて売れないから」と思っていたのだが、操作性の絶対的アドバンテージが見いだしづらいというのが実状かもしれない。どうもアダプタ遊びは、デジタル一眼レフに歩があるようだ。

| | Comments (0)

May 30, 2008

GR DIGITAL のストラップはどうしてます?

GR DIGITAL IIとDP1、どちらもストラップはひも式だ。そのせいでお気に入りのストラップが使えない。ものすごく選択肢が狭くなる。クラカメ向けのレザーストラップはおろか、手持ちの一眼レフ用ストラップすら流用できない……と思い込んでませんか? 実はいい合わせワザがあるんです。

Lmimg_0094

【GS-1流用でストラップの自由を!】
このカスタムテクニックはPCfan連載「吾輩は寫眞機である」で取り上げたものだが、まずはリコーの純正ナイロンストラップ「GS-1」を用意してほしい。実用本位のどうということのないストラップだが、GR DIGITALのストラップカスタマイズでは多いに役立ってくれる。

Lmimg_0100

使うのは取り付けパーツのみ。この取り付けパーツ先端は口の字型の金具になっていて、ここに手持ちのストラップを通せばいい。取り付け部がナイロンのストラップなら、ナイロン to ナイロンで見た目も統一感がある。細めの一眼レフ用ストラップあたりがベストマッチだ。

【レザーストラップは付くのか!?】
GR DIGITALをクラカメ風にカスタムしているなら、やはりレザーストラップでドレスアップしたいはず。GS-1の取り付けパーツでレザーストラップはイケるのか? 取り付けパーツの金具の内径は約8mm。それに対し、一般的なレザーストラップの幅は10~11mm。数値的には付かない。しかし、ときに感情が理論を上回ることもあるのだ。

Lmimg_0103

通った! かなり苦しそうな姿だが、革の柔軟性のおかげでナンとか装着達成。ちなみに、写真のストラップは平井製作所の一眼レフ用。取り付け部分は二枚革でがっちり補強してある。これだけゴツいストラップが通るのだから、一般的なレザーストラップなら問題なく装着できるだろう。

なお、めざとい人は気付いているだろうが、上の写真はGR DIGITAL IIではなく、SIGMA DP1だ。DP1の純正ナイロンストラップもGR DIGITAL同様ひも式で、取り付けパーツの金具はほぼ同サイズ。つまり、GR DIGITALもDP1も、同じカスタムテクニックが使えるというわけだ。

Lmimg_0107

純正ナイロンストラップの取り付けパーツを使えば、ストラップの選択肢は一気に広がる。もう「ひも式だから……」とあきらめることはない。最近はハンドストラップの取り付けを攻略中。ケータイストラップ流用が王道だが、どうも突き抜けたアイテムが見つからない。何かこう、心にグッと迫るようなハンドストラップを付けたいものです。いいアイディアが浮かんだら、またご報告します。

| | Comments (3)

May 11, 2008

Leica M8 は開放撮りが楽しい

ふと我にかえると、手元にライカ用レンズが5本もある……。年末に書いたムックのギャラがすべてレンズに化けた。春先の特集のギャラも消えた。これもみな、M8が楽しすぎるせいだ。写りがいいとか撮りやすいとかそういう次元を超え、明らかに一眼レフと異なるカルチャー、これにやられてしまった。ちょっと大げさにいうと、撮影スタイルが変わってしまった。何がどう変わったのか、そのあたりを自己分析してみたい。

Lmimg_00712

【いまごろ目覚める開放撮り】
これまでのぼくの撮り方は、街角スナップはF5.6あたりまで絞り、ランドスケープはF7.1~F11で撮影するというもの。基本的に絞ってナンボのスタイルだ。というのも、メイン機はファインダーの見づらいEOS 20D。これとオールドレンズを組み合わせるものだから、ジャスピンを狙おうと思うとどうしても絞り込んでしまう。しかしそんなぼくが、M8で撮った一枚の写真で開放撮りに目覚めてしまった。

Lml1000234
Leica M8 + Summicron-M 35mm/f2 RF

これはメガネ付き8枚玉購入直後の試写。開放のにじみ具合を見ようと、テスト的に開放F2で撮影したものだ。中近距離でベンチにピントを合わせたところ、その後ろの樹がとても立体的にボケた。普段ならF5.6まで絞るシチュエーションなので、この浅い被写界深度は衝撃的だった。

Lml1000832
Leica M8 + Opton Sonnar 50mm/f1.5

これはマウントアダプタを使ってオプトンゾナーで撮ったもの。M8に装着すると中望遠相当になるレンズだ。被写体との距離はけっこう離れていて、普段ならF5.6どころかF8あたりまで絞るシーン。それをあえて開放F1.5で撮ったところ、手前の桜だけが見事に浮き上がった。ボケ味ウンヌンというよりも、まるで3D立体視しているような見え方だ。この時点で完全に開放撮りの虜になってしまった。

これまで開放撮りといえば、ピンのきた一点だけが結像し、それ以外が濃霧に沈んでいくような写真だと思っていた。しかしM8が見せる開放撮りは、全面アウトフォーカスの世界に、厚紙に印刷した主役を貼り付けたような感じ。二次元と三次元の中間、2.5Dとでもいえばいいのだろうか。切り立つような立体感がおもしろい。

【中近距離の開放にM8の醍醐味を見た】
これに味をしめ、EOS 20Dとオールドレンズの組み合わせでもマネしてみた。ええ、惨敗です(笑)。ぜんぜんピンがこない。そこで改めて思ったのは、M8というカメラ、しいてはレンジファインダーカメラというものが、あの開放撮りを可能にしているのだな、と。なぜM8だと開放で撮れて、なぜEOS 20Dだとダメなのか。このあたりを箇条書きにしてみよう。

●ファインダーのクオリティ
M8のファインダーは二重像合致式。これは想像以上にピント合わせがやりやすく、眼鏡使用のぼくでも気負わずにジャスピンが狙える。

●最短撮影距離が長い
ライカ用レンズの最短撮影距離は75~100cm程度。一眼レフの場合は寄れないレンズでも30~50cmまで寄れるので、M8は接写の苦手なカメラということになる。しかし、開放撮りではこれが功を奏す。最短撮影距離が長いということは、開放時でもそれなりに被写界深度が稼げる。このマージンはありがたい。

●M8のシャープネス
M8はローパスフィルターを省略してまでシャープネスにこだわったカメラだ。このシャープさ、3D立体視的な写り方と無縁ではないはず。

●ライカレンズの開放性能
一般にライカレンズは、開放から“使える”ものが多い。ボケ足は暴れるものの、結像部のシャーネスは良好。これも開放撮りしたくなる大きな魅力だ。

あとこれは個人的なことだが、M8だとなぜか両目を開けて撮れる。ハイ、これまでは左目閉じて撮ってました(笑)。両目を開けて撮ると、ピントが合ったとき、その一点がスッと立体的に浮き上がる。M8で撮るようになってから俄然持ち帰り率が高いのは、この両目を開けて撮っているせいかもしれない。EOS 20Dでも試してみたが、目の負担が大きくて断念。勉強不足でナンですが、きっとファインダー性能と関係があるような……。

Lml1001832
Lml1001591 Lml1001846
Lml1001629
Leica M8 + Summilux-M 35mm/f1.4

中近距離の開放撮りは、別に一眼レフでもできる。ただ、M8だとよりやりやすいということか。少なくともぼくはこうした撮り方と無縁だったので、M8に教えられた気分。まだまだ勉強することがたくさんあるようだ。

| | Comments (6)

April 29, 2008

SIGMA DP1 カスタマイズ

SIGMA DP1がやってきた。画質最高、操作性最悪。そしてボディはチープの極み。“画質を買うカメラ”という、ある意味デジタルの申し子のようなカメラだ。ただ肝心の画質も、カッチリRAW現像してナンボのモン。完全にわかってる人向けのハードルの高いカメラだ。というまあ書きたいことは山ほどあるが、ぼくに課せられて使命はひとつ。ご託はいいからトットとカスタムしやがれって? ハイ、わかっております。

Lmimg_00962

【GRDカスタマイズのセオリーが通用しない!?】
SIGMA DP1は、GR DIGITALカスタマイズで使ったパーツがまるっと流用できる。ファインダーはもちろん、フードアダプタに46mm径のねじ切りがあるから、ステップアップリングを使わずに市販フードが装着可能。ブラックのコンパクトボディという点もGR DIGITALと共通項だ。そもそもDP1のコンセプトはGR DIGITALと方向性が異なるのだが、カスタム志向の強い人、改造好きの人には気になるカメラにちがいない。というわけで、まずは定番スタイルから。

Lmimg_01062

コシナの28mm View Finder MとMSオプティカルのM46システムスリットフードの組み合わせだ。いまやGR DIGITALカスタマイズのお手本のようなこのスタイル、DP1とのマッチングはどうだろう。DP1はGR DIGITALよりもカチッと四角いボディだが、丸型ファインダーもよく似合う。スリットフードの方は、うむ、ちと華奢か。GR DIGITALでは鉄板のスタイルだが、DP1の場合はベストに達していない印象だ。

Lmimg_0115

そもそもDP1のデザインは、けっしてクラシカルではない。むしろアグレッシブな印象すら受ける。そのイメージを強調したのが上のカスタマイズだ。コシナの28/35mm mini Finderとパンチングメタルフードの組み合わせ。パンチングメタルフードはヤフオクで手に入れてモノで、口径は46mmだからフードアダプタに直接ねじ込める。小振りのパーツでドレスアップすると、ベビータンクを付けたハーレーみたいでちょっとかっこいいかも。フードのみマットブラックというのが惜しい。

Lmimg_0122

今度は逆アプローチで、大型フードを付けてみた。これはマップカメラオリジナルのメタルフード。口径は49mmなので46-49mmステップアップリングを介して装着してある。ごく普通の丸型フードなのでインパクトに欠けるものの、ボリューム感はかなりイケてる感じだ。考えてみれば、DP1はGR DIGITALよりもひとまわり大きい。これはカスタムパーツを選ぶ際の重要なヒントになりそうだ。

【DP1はちょい大きめがいい感じ】
GR DIGITALの発表会や取材時に必ず出てくるのが、「コンパクトであることにこだわりました」という発言だ。デジタル全盛の現在、GR DIGITALよりコンパクトなカメラはいくらでもある。しかし、フィルム時代からつづくGRの系譜は、高画質コンパクトに徹してきた。GR DIGITALにしても、ハイエンドデジタルカメラとしては圧倒的にコンパクトだ。DP1もAPS-C搭載機としては驚愕のコンパクトボディだが、GR DIGITALよりは大きい。よってDP1カスタマイズは、DP1のサイズ感に相応しいパーツチョイスが欠かせないはずだ。

Lmimg_01322

ライカの28mm角型ビューファインダーとペンタックスの角型メタルフードを組み合わせてみた。コンセプトはノーマルスタイルの強調。純正のファインダーとフードはこじんまりとまとまっているが、それを大振りパーツで強調してみた。このぐらい押し出しが強い方が、DP1の場合は様になると思う。これでグリップが肉厚だと個人的にパーフェクトなのだが、どこかアドオングリップを作ってくれないかしら!?

とまあ手持ちのパーツで遊んでみたのだが、どうだろう、参考になったでしょうか。パーツを取っ替え引っ替えしてみた感想としては、純正アクセサリーが思いのほかデザイン的に完成しているなあ、と。バイクに例えると、GR DIGITALはSR400、DP1はGB400といった感じ。まあ、外装に関してはコストダウンのせいで高級感の欠片もないが、シルエットはキレイだと思う。これを崩してカスタムするわけだから、DP1カスタマイズはそれなりに覚悟が必要だ。なお、DP1のホットシューは若干作りが大きめで、社外品のファインダーは取り付けがゆるかった。特にコシナの28mm View Finder Mが一番ゆるく、いつの間にか5mmほど後退していた。製品による個体差もあるかもしれないが、アクティブに撮影する人はファインダーが脱落しないように注意した方がいいだろう。

| | Comments (0)

April 23, 2008

Leicatime M8ハーフケースの質感

M8を買う半年ほど前、まだデジタルレンジファインダーを手にするなんて夢想だにしなかった頃の話だ。ウェブを徘徊していたら、かな~りステキなライカ用ハーフケースを見つけた。もしライカを手にすることがあったら、こんなハーフケースがいいかも。なんてはボンヤリと考えていたのだが、それが現実のものとなってしまった。知る人ぞ知るLeicatimeのハーフケースが届いた。

Lmimg_0075

【海外通販は大変です!】
Leicatimeというのはイタリアのカメラショップの名前だ。ここの店主Luigiおじさんは、カメラショップの傍らハンドメイドのカメラケースやストラップも扱っている。ライカ通の間ではけっこう有名なお店らしい。ただ、このLuigiおじさんというのが自己顕示欲旺盛で、Leicatimeのホームページはかなり濃い目のテイストになっている。いやまあ、そんなことはどうでもいいんだけど。

このLeicatimeのカメラケース、困ったことに日本国内ではほぼ入手不可能。なにしろLuigiおじさんお手製のケースだ、輸入代理店なんてシャレたもんはない。ごくマレにヤフオクで出物を見かけるが、ほとんどはフィルムライカ用。M8用はお目にかかったことがない。ホームページにショッピングカートはなく、メールで直接やり取りするというのがメインルートのようだ。

ぼくは英語がからっきしダメなので、これはもう絶望的。せっかくM8を買ったのに、前々から目を付けていたケースは手に入らず……と諦めかけたとき、eBayに出品されていることを知った。しかも中古品ではなく、Luigiおじさん本人によるBuy it now(即決)での出品だ。英語が苦手でも、これなら買える! いや、そんな威勢のいいものではなくて、無事買えるといいなあ、くらいの感じ。なにしろ、eBayの買い物ははじめてなのだ。

eBayはPaypalが使える。Paypalは事前にクレジットカードを登録しておくことで、銀行口座やカード番号などを相手に知られることなく、ぼちぼち安全に買い物ができるというシステムだ。登録自体は無料なのだが、そこには当然信用度の問題が発生する。カードを登録しただけでは、そのカードが本人のものか、Paypalは確認できない。そのため、無料登録直後は利用限度額が設定されている。これがちと厄介だ。

利用限度額がいくらなのか、それがよくわからない。上限がわからないことには怖くて買い物ができない。海外通販で不足金を追銭するなんてぼくのキャパを超えた作業だ。利用限度額を解除するにはアカウントのアップグレードが必要となる。アップグレード費用はわずか200円だが、それさえもアップグレード後にキャッシュバックされるという。どういうことかというと、アップグレードを実行すると、登録したカードから200円引き落とされる。そして後日、カードの明細書が届くと、引き落とされた項目にシリアルナンバーが記載されていて、このシリアルをPaypalのホームページに入力。これで晴れてアップグレード完了という仕組みだ。つまりアップグレードとは、請求がちゃんと通るか確認するための行程というわけだ。

【しなやかレザーに惚れました】
そんなこんなでPaypalのアップグレード待ちで一ヶ月半ほど時間を費やし、しかも注文してからプチトラブルに巻き込まれ、到着までにたっぷり一ヶ月。やっとこさ手元にハーフケースとストラップが届いた。今回ぼくが注文したのは、Leicatime LUIGI CUSTOM CASE for LEICA M8 と Leicatime SPECIAL LUIGI DELUXE STRAP x LEICA,2 LENGHT ADJUSTMENTSだ。

Lmimg_0078

まずレンズまわりの流れるような曲線美、このフォルムにすっかり魅せられてしまった。小さめのグリップは思いのほか実用的で、このおかげでずいぶんとホールド感が増す。革質はマット。光の加減でかすかにブルーグレーを帯びるところがいい。国産レザーケースの多くは“硬い”けど、このケースは“しなやか”だ。触れると適度な弾力があり、上質なイタリアンレザーであることを実感できる。

Lmimg_0080

裏面はフラップ式になっている。HangingとRemovableの2タイプがあり、ぼくが注文したのはHangingだ。Custom caseはその名の通り、注文者のオーダーに応じてくれる。フラップなしという指定も可能だ。また、同型ケースのエコノミーラインもある。エコケースはハンドメイドではなくマシンメイド。革質も異なるらしい。個人的には安いエコケースで十分だと思ったのだが、エコケースは裏面がベージュになってしまう。黒ボディとベージュは微妙な感じなので、あえてプチお高いカスタムケースをチョイスした。

Lmimg_0086

ストラップもケースと同質の革で作られている。はじめからソフト。でも強い。柔らかいのではなく、やはり“しなやか”なのだと思う。このデラックスストラップはアジャスターが2つあり、通常のストラップよりもやや長めにできている。最長でたすき掛けができる状態。ホームページ上では120cm程度と記されているが、手元に届いたものは110cmくらい。想定していたものよりも短いが、たすき掛けしてボディがベルトより上にくる。バックルに当たったりしないので、まあ結果オーライか。

Leicatimeのケースとストラップを使って思うに、レザーに対するカルチャーのちがいを痛感した。保護材としてのレザーは、日本国内だと“頑丈さ”に力点が置かれる。しかし、今回手にしたケースとストラップは、あくまでもソフトな感触だ。むろん、ウォッシュドレザーのように繊維を傷めてまで柔らかくするのではなく、革そのものが強靱かつ柔軟なのだ。革好きの人はかなり気に入る逸品だと思う。以前、Carpediemのレザーに出会ったときも衝撃的だったが、Leicatimeのしなやかさもそれに近いものがある。気になった人は円高のうちに、是非。

| | Comments (0)

April 15, 2008

Leica M8 ファーストライカレンズの悩み方

M8を手に入れて早一ヶ月半。いろいろと発見があったり失敗したり、日々楽しく撮影しているわけだが、撮れば撮るほどライカレンズがほしくなる。もちろん、G Biogon T* 28mm/f2.8はすばらしいレンズだ。そうはいっても、せっかくのライカボディなんだから、レンズもライカで揃えたい。そんなわけで、ライカレンズはじめての一本、これを一緒に悩んでみませんか。

Lmimg_00563

【ライカは35mmがディフェクトスタンダード】
選び方ではなくて、あえて悩み方。いうまでもなく、ぼくはライカ新入生だ。ナニをどう選んでいいのかさっぱりわからない。ただ、わからないなりに参考書やウェブで情報を漁り、「買うならこの辺かなあ」なんてアタリを付けてみたりする。アタリを付けたところで所詮新参者だから、すぐに別の情報に心揺さぶられ、「やっぱこっちかなあ」といつまでたっても決まらない。そんな煮え切らないレンズ選び、きっとあなたも経験があるはず! そんな心の揺れ動きを整理して、清く正しいライカレンズの悩み方を紹介しようかな、と。まずは、予算度外視でほしい一本挙げてみよう。

Noctilux 50mmF1(2nd)

大口径標準レンズの金字塔。ボケ足がドシャブリの雨みたいですごい写りをする。ライカを手にしたからには、一度は付けて撮ってみたい。でも、中古相場は50万後半から60万半ばぐらい。M8ボディより高い。まあ、買えんですよ。冷静にならなくても買えないとわかります。

ではセオリー通り、「はじめは標準レンズから」というアプローチで考えてみる。候補はSummicron 50mmF2だ。世の標準レンズに習い、このライカレンズもコストパフォーマンスがいい。現行新品で15万くらい。新古品ならアンダー10万で買えることもある。いやあホント、安い。こづかいで買えねえ、ズミクロン貯金しないと(泣)。

ただ、ここでひとつ問題がある。一般に標準レンズといえば50mmだが、ことライカに関しては35mmを事実上の標準レンズと考える傾向が強い。ファーストライカレンズはできるだけスタンダードなものを買いたいので、急遽方向転換、35mmレンズで物色してみよう。候補はこんなところだ。

Summilux 35mmF1.4
Summicron 35mmF2
Summaron 35mmF2.8(F3.5)

値段が高い順に並んでおります。ズミルックス35mmF1.4ってのはいわゆる大口径準標準レンズ。どのマウントでもこのクラスはクレイジープライスだ。よって却下。現実路線でズミクロン35mmF2に的を絞っていく。ズミクロンに決めたからといって、即買うレンズが決まるわけではない。ライカレンズにおいては、ことのほか世代が重要なのだ。

ズミクロン35mmF2は、第1世代から第4世代に分かれている。第1世代は伝説の8枚玉と呼ばれ、ありえないくらいに高価。第2世代は6枚玉となり、コストダウンレンズなどと呼ばれることも。第3世代はもっともユーザー数が多く、入手もしやすい。第4世代は現行モデルで現代的な写りをする。予算的に手が届くのは、第2世代か第3世代。ただ、ライカの標準的な写りを堪能するということであれば、現行モデルの第4世代か。M8とは長い付き合いになりそうなので、早い段階で基準となる写りを体験した方がいい。しかし、現行ズミクロン35mmF2は予算と折り合いがつかず、ならばお手頃価格の現行ズミクロン50mmF2で手を打つか、といきなり後ろ向きな発想に……。いかん、こういう妥協はよくない。一度クールダウンだ。

【ライカレンズに何を求めるのか?】
ライカレンズ選びの難しいところは、レンズごとに性格が異なるのはもちろん、同じレンズ名でも世代で描写傾向が異なる(そうですよ)。クセ玉ありぃの現代的な写りもありぃの、バリエーション豊かで個性的な選択肢から選ばなくてはならない。「リーズナブルな標準レンズ(単焦点50mm)でスタンダードを知る」という杓子定規では、高い買い物だけに後悔する危険が……。結局、自分自身がライカレンズに何を求めているのか、それを明確にしないとはじまらないようだ。

ぼくはライカレンズに何を求めるのか。よくよく考えてみると、ふたつの答えにたどり着いた。ひとつは趣味のカメラというスタンス。そもそもライカRのエルマリートR 35mm/f2.8 type IやズミクロンR 50mm/f2 type Iで洗礼を受け、地味な発色とシャドウの粘りに魅せられた。わかりやすくいうとレトロ。よりオールドレンズらしい描写をM8でも楽しみたい。もうひとつはテスターというスタンス。いまライカ社が提唱するスタンダードな画質を、早い段階で体験しておきたいというもの。スタンダードを知っておくことは、原稿を書くときに(まあライカについてお金になる原稿を書くことはそうそうないだろうけど)欠かせない価値基準になる。

オールドレンズか、現行レンズか……。

やっぱオールドレンズでしょ(笑)。というわけで、オールドレンズメインで改めて35mmを物色。するとSummaron 35mmF3.5がよさげに思えてくる。世間の評判は「中間階調が豊かでモノクロ向き」というもの。こりゃアンジェニューみたいなプチ眠い写りか!? けっこう好みかもしれない、と購買欲が高まってくる。さらに調べていくと、同じズマロンでもメガネ付きが安い。メガネというのはフレームの画角を変更するためのアタッチメント。M8で使う分には無用の長物なのだが、そのせいもあってメガネ付きは不人気レンズだ。グレードにもよるが、ざっくり5万円くらい。これなら買える、迷わず買える! 買うぜズマロン、行くぜレモン社!

Lmimg_00684

そんなわけで、Summicron 35mmF2 RFを手に入れました。ええ、ズマロンじゃなくてズミクロン。ズミクロン35mmのメガネ付きは第1世代しかなくて、つまりこいつは、冒頭にふれた伝説の8枚玉。ぜんぜん安くないです。でも、メガネなしの8枚玉は20万コース。メガネ付きはアンダー10万円。ちがいはメガネの有無だけで、レンズ構成はいっしょ。伝説の8枚玉がアンダー10万! こりゃお買い得だ(錯覚です)。記念すべきファーストライカレンズだし、フンパツしてみた。

【伝説の8枚玉の描写力】
ズミクロン35mmF2の第1世代、通称伝説の8枚玉は、数あるライカレンズのなかでも別格扱いになっているようだ。ただ、評判が一人歩きしている感は否めず、ライカユーザーのブログを拝見すると「言うほどでもないよ」という意見もチラホラ。とりあえずは試写したものをズラリを並べてみよう。なお撮影条件だが、6ビットコードはオフ、UV/IRカットフィルターは付けたり付けなかったり(笑)。RAW撮影したものをLightroomに読み込み、露出補正とトリミングのみ行っている。

Lml1000149 Lml1000234 Lml1000140
Lml1000210_2
Lml1000223 Lml1000247 Lml1000293
Lml1000333_2
Lml1000373 Lml1000533 Lml1000594
Lml1000494_3
Leica M8 + Summicron 35mmF2 RF

画像を見た瞬間、ハッセルプラナーみたいだと思った。ハッセルプラナーといっても、Planar C 80mm/f2.8 T*のこと。Cレンズ特有の眠さと繊細さが、メガネ付きズミクロン35mmF2にも感じられる。あまりにシャープネスが繊細で、引いてみたときに眠く感じてしまう。端的にいうと、やさしく写る。やわらかい描写というよりは、やさしい描写といいたい。発色はさすがにカラー向けとは言い難く、ひらすた地味。ライカRのType I世代のような濃厚さはなく、純粋に地味な色合いだ。ワビサビの世界というか枯れた風景というか、エイジングフォト(ってなんだよそりゃ)向けかなあ。わずかにフレアっぽい写りで、それがシャドウの持ち上げ方に影響している感じ。標準露出で撮って、RAW現像時に0.5~1.0EVほどアンダーに落とすと気持ちいい。

【正直、メガネ付きってどうなの!?】
さて、メガネ付きレンズはどうしてこうも不人気なのだろうか。そもそもメガネ付きレンズはライカM3用だ。ライカM3のファインダーは、一番広角寄りのフレームが50mm。つまり35mmのフレーム枠がない。そこでファインダーの前にメガネをかけ、50mmフレームに35mmフレーム相当の視野を収める仕組みだ。

で、このメガネ付きレンズをM8に装着するとどうなるのか。まずフレームは50mmが選択される。そして視野は本来よりも広角寄りになる。広角寄りということは、被写体が小さく見えるため、ピント合わせはメガネなしのファインダーよりも操作しづらい。実際の撮影画角とフレーム枠の関係は、フレーム枠よりもひとまわり広いエリアが写っている。雰囲気的には、トリミング用のマージンもいっしょに撮れるといった感じ。

そんなわけで、M3以外でメガネ付きズミクロン35mmF2を使う場合、メリットは何もない。ピント合わせがやりづらくなるのだから、安いという以外、積極的に選ぶ理由は見当たらない。ただし、デジタル一眼レフユーザーの場合は別だ。特に小型デジタル一眼レフの快適さと無縁のファインダーに慣れていると、M8のメガネ付きファインダーでさえ至極快適に感じるだろう。ぼくは日頃、EOS 20Dにオールドレンズを付けてMFでピント合わせしている。まあ、フツーにシンドイですよ。なもんだから、メガネ付きレンズでさえ十分に快適だった。それどころかぼくは、このメガネ付きレンズを前々から狙っていた。その物々しい出で立ち、かっちょええよぉheart

Lmimg_0071

メガネ付きのデメリットよりも、ブラックボディにシルバーレンズというミスマッチの方が気になっていた。それもレンズフードを付けるだけで解消。黒の面積が増え、シルバーの鏡胴がむしろいいアクセントになってくれた。メガネ付きレンズを装着すると正直重いけど、このアグレッシブな面持ち、ぜんぜん許せます。

●追記
ズミクロン35mmF2 RFで撮った写真はこちらにも掲載しています。
metalmickey's montage - Summicron-M 35mm/f2 RF

| | Comments (0)

March 28, 2008

i1 Display 2 でカラーマッチング

一線を越えることにした。これまでhueyを使ったナンチャッテカラーマッチングでごまかしてきたけど、もうムリ! 1枚の色見本を出力するのに十数枚もプリントして、挙げ句の果てには何が正しい色なのかわからなくなり、こりゃもうカオス以外のナニモノでもない。そんなわけで、カラーキャリブレーションセンサーの国内業界標準、i1 Display 2を導入することにした。

Picture0002

【カラマネスペシャリストがやってきた!】
そうはいっても、ぼくはカラーマッチングの専門知識がない。それどころか過去の記事を見てもわかるとおり、相性のあまりよくないジャンル。困っていると、知り合いの写真家さんがカラーマッチングのスペシャリストを紹介してくれた。アドバイスをもらえるだけでもありがたいのに、自宅まで足を運んでセッティングしてくれるというじゃないか。こりゃもう業界人特権(笑)、ありがたくお言葉に甘えて、セッティングしてもらった。

その際、彼がこんなことを言った。「モニターとプリンタの環境が整うと、RAW現像が3倍楽しいですよ」と。このひと言は衝撃的だ。これまでぼくは、カラーマッチングにネガティブな印象しか持ていなかった。表示と出力の色を合わせるだけ。たったこれだけのために数万円も払うなんてありえない。i1 Display 2を買うのだって渋々だ。しかし彼は、とてもポジティブにカラーマッチングをとらえている。そう、写真をより楽しむためのカラーマッチング。そんなカラーマッチングスペシャリストの名言を交えつつ、なぜカラーマッチングやモニターキャリブレーションが必要なのか、最終的な落とし所はどこにあるのか、なんてことを探ってみたい。

【キャリブレーションの目標値を読み解く】
はじめにカラーマッチングスペシャリストはこう切り出した。「そもそも100点満点のカラーマッチングは原理のちがいから難しいのですが、85点レベルでかなり満足のいく写真の画像処理が楽しめます」と。ディスプレイはRGBの世界であり、印刷はCMYKの世界。液晶ディスプレイは自ら“発光”して発色するが、印刷物は外光を“反射”して発色する。ひと口にカラーマッチングといっても色の原理が異なるのだから、パーフェクトなマッチングは困難を極めるという。残り15点というのは、発色原理そのものの差異を吸収する必要があり、きわめて専門的な世界だ。写真に造詣の深い人であっても、85点のカラーマッチングでおおむね満足が得られるという。そこから先は必要に応じて詰めていくということになるだろう。まずはぼくの作業環境を列挙しておく。使用機材は以下の通りだ。

モニター:RDT261WH
プリンタ:PX-G930
キャリブレーションセンサー:i1 Display 2

i1 Display 2を用いたRDT261WHのキャリブレーション方法は、実は三菱電機のホームページに掲載されている。単純にキャリブレーション手順だけを知りたい人は、この上記URLのホームページで問題解決するはずだ。RDT261WHに特化した手順解説だけあって、同ディスプレイを確実に、しかも適切にキャリブレーションできる。ちなみに、上記ホームページの手順は、「モニターの写真とプリントした写真をほぼイコールにするためのキャリブレーション手順」だ。あくまでもプリント向けのキャリブレーションであり、ウェブ素材向けではない。再度強調しておこう。これはモニターとプリントをマッチングするための手順だ。こうしたことを踏まえた上で、この記事ではキャリブレーション手順の肝となる部分を掘り下げてみたい。

Picture000201_2

キャリブレーションの序盤、上のような画面が出てくる。これはキャリブレーションの目標値を設定する画面だ。ここの値を目標にモニター表示を調整していくことになる。基本的に前述の三菱電機ホームページの手順通りに設定すれば問題ないのだが、各値の意味を知りたいと思いませんか? がんばって解説してみます、ってできるんだろうか(汗)。

白色点
要は色温度を設定するのだが、問題となるのは何の色温度を設定すればよいのか、ということ。世間ではよく、ウェブは6500K、商用印刷は5000Kなどという。しかし、ここで設定する色温度とは、あくまでも屋内の色温度だ。屋内の色温度をキャリブレーションの目標値にすると、屋内照明下(自然光も含む)で画面の白とプリント用紙の白がほぼイコールになる。これが大切。もう一度くり返しておこう。画面の白と用紙の白をマッチングするのだ。より具体的にいうと、Photoshopで白い新規画像を作成し、その横に普段使っているプリント用紙を並べる。両者の白が近いものであれば、自ずと画面と印刷の調子が近づいてくるというわけだ。

ちなみに、この画面の後にアンビエントライト(環境光すなわち屋内照明)を測定する。白色点の目標値はそれに合わせて再設定可能だ。ぼくの環境を紹介しておくと、日中(窓からの自然光と屋内蛍光灯)で5200K、夜間(屋内蛍光灯のみ)は5500Kだった。よって目標値は5500Kに設定している。少々アバウトな設定だが、実はこの程度でいいらしい。先のカラーマッチングスペシャリスト曰く、プリントを前提とした場合、遮光カーテンと評価用蛍光灯で光の無菌室状態を作っても、必ずしもベストとはいえないそうだ。なぜか? 結局プリントした紙は様々なアンビエントライト下で観賞することになるので、光の無菌室状態で見た雰囲気と変わってしまうというのだ。プリントしたものをいろいろなアンビエントライト下で見て、おおむねOKが出せればそれでよし。この程度のとらえ方が現実的なのだろう。

ガンマ
写真を目的とした場合、Windows、Macともにガンマ値2.2が推奨値だ。AdobeRGB、sRGBともに、策定前提でガンマ値2.2になっており、実際にキャリブレーション後の画面とプリントを見比べた際、ほぼ同テイストに見える。Windowsはデフォルトが2.2なのでなんら問題ないが、Macのデフォルトはたしか1.8。Macユーザーがキャリブレーション後の画面を見ると、少なからず違和感をおぼえるかもしれない。しかし、画面とプリントのマッチングという観点からすると、これがベターな目標値となる。

輝度
これはディスプレイの明るさで、数字が大きいほどディスプレイの画面が明るくなる。写真プリントを前提とした場合は80~120cd/m2あたりが順当だという。写真プリントの明るさと画面の明るさが、80~120cd/m2を目標値にすると大体同じになるわけだ。ぼくの環境を例にとると、はじめ120cd/m2でキャリブレーションしたところ、プリントした写真が心持ち沈んで見えた。つまり、画面の方が明るかったわけだ。そこでカラーマッチングスペシャリストのアドバイスに従って80cd/m2に目標値を設定。これでキャリブレーションを行うとプリントと画面の印象がほぼイコールになった。こうしたオペレーションから見えてくるのは、画面コンディションをプリントに合わせていくというアプローチ。もちろんこの際のプリントとは、ICCプロファイルを読み込んでドライバ補正を無効化して行う。このあたりの手順も三菱電機のホームページに詳しく載っている。

Picture0001

一通りキャリブレーションした結果が上の画面だ。色温度とガンマは目標値とジャスト。輝度はごくわずかに誤差が出ている程度で、RDT261WHの優秀さが際立つ結果となった。階調を示すグラフは、各色ともきれいな直線を描いているのが理想的。昨今の液晶パネルはおおむねきれいな直線を描くが、もし何度測定し直してもグラフが乖離したり極端に歪むような場合は、グラフィックボードの性能を疑った方がよいそうだ。ちなみにぼくの環境はNVIDIA GeForce 7600 GTを搭載。すでに旧式のグラフィックボードだが、これだけのグラフが描けていれば問題ないとカラーマッチングスペシャリストはいっていた。

このあとPX-G930のプリンタキャリブレーションも行った。ちなみに、エプソンの純正ICCプロファイルは素性がよく、カスタムプロファイルを作らなくてもおおむねOKだという。純正プロファイルとカスタムプロファイルでプリント結果を見比べてみると、シャドウ部の階調に若干のちがいが見てとれた。カスタムプロファイルは画面とほぼイコールであるのに対し、純正プロファイルはやや持ち上げている印象。おそらく暗部が見やすいように調整してあるのだろう。そうはいっても純正プロファイルで十分に画面の印象に近い。この状態になってはじめて、冒頭のスペシャリストの言葉――RAW現像が3倍楽しい――が理解できた。たとえば、RAW現像ソフトでこだわり抜いたトーンカーブを描くと、それがそのままプリントされる。シャドウがつぶれたりハイライトが飛んだりしない。そのまま出てくる。色味だってしかり。グレースケール化した画像にのせたわずかなブルー、その微細なトーンがしっかり出る。ちゃんとプリントしてくれるから、トコトン補正にこだわれる。そりゃRAW現像が3倍楽しいのも当然だ。

なお、スペシャリストはプリンタキャリブレーションについてこんなことを言っていた。「紙で遊べるようになるんですよ」と。一般に、“いい紙”を使わないとちゃんとした色が出ない、専用紙じゃないと正しく色が出ない、と言われている。しかし、プリンタキャリブレーションで各用紙に合わせてカスタムプロファイルを作っておけば、用紙の発色特性に煩わされることなく、おおむねOKなプリント結果が得られるわけだ。発色が一定ならば、光沢感、マット感、テクスチャなど、用紙の味を積極的に選べるようになる。純正用紙以外はグレーが確実に出力できるという保障がなく、人によって邪道に思えるかもしれない。そうはいっても、紙で遊ぶ――そっちの世界もずいぶんと楽しそうだ。

【色に覚醒したとき必要性が生まれる】
これまでぼくは、キャリブレーションとは守りの世界だと思っていた。色がちがうから合わせる。合わせて、終わり……。しかし、カラーマッチングスペシャリストからのアドバイスは、色が合うことで開かれる世界――RAW現像が楽しく、紙で遊べる――を教えてくれた。ぼくの自宅環境で彼が作業をはじめる前、こんなことを言っていた。「カラーマネージメントは一手段です。カラーマッチングが目的なんです」と。モニターとプリンタの色を合わせるために(カラーマッチング)、キャリブレーションセンサーで各機器の色空間のバラつきを調整する(カラーマネージメント)。この“手段”と“目的”の関係をしっかり理解しておけば、何をすべきかが自ずと見えてくるだろう。

たとえば、プリンタドライバの調整画面でディスプレイ表示にプリントを近づける――これだって立派なカラーマッチングだ。画面とプリントの色のちがいを見越して、RAW現像の段階で色味に手を加えておく。これも実践的なカラーマッチングといえる。しかし、こうした手探りのカラーマッチングは、画像ごとに調整が異なるし、それなりにノウハウの蓄積も必要だ。効率性を考えたとき、カラーマネージメントという手法がもっともスマートであり、なおかつ汎用性がある。キャリブレーションは必ずしも、色合わせの必須作業ではない。効率を求めたとき、忽然とその必要性に気付くものだ。

かつてhueyを導入したとき、その見やすい画面に感動した。プリンタとのマッチングもそれなりにとれているように感じた。しかしいま思うと、hueyはキャリブレーションツールではない。モニター自動最適化ツールだ。正しい表示ではない。あくまでも“見やすい”表示にすぎない。するとあの感動は、単なる錯覚だったのか……。

いや、そうとは思わない。あの当時ぼくは、色に対してhueyで事足りる程度の認識だったのだろう。プリントはプライベートに限られていたし、RAW現像もさほどシビアな調整ではなかった。ただその後、雑誌に写真を載せる機会が増え、モニター上の写真とプリント(この場合は雑誌の誌面だけど)のちがいが気になりだし、作例の色見本を付けるにあたってhueyでは完全に役不足になってしまった。結局、仕事で写真を扱うようになり、ぼく自身の色のとらえ方が変わってきたということなのだろう。

キャリブレーションされたモニターとプリンタは、たしかに理想的な環境だ。しかし、必須ではない。色は数値化できるが、それを感受する人間自身があいまいだ。青信号は青なのか緑なのか。キャリブレーションは、色への興味が必要性を喚起する。

| | Comments (2)

March 16, 2008

Leica M8 はデジイチユーザーにどう映る!?

改造ビオゴンを手に入れてから二ヶ月、意を決してライカM8を購入した。R-D1sか、M8か。この選択にずいぶんと悩んだが、最終的な決め手はコストパフォーマンスだ。むろん、M8のコストパフォーマンスがよいという話ではなくて、R-D1sを手に入れるとますますM8がほしくなり、きっと二台とも買うハメになるだろう。ならばいっそ、最初からM8を買った方が、最終的には安く上がる。まあ、高い買い物にありがちな、自分をナットクさせるための屁理屈ですが(笑)。

Lmimg_0108

そんなわけでM8のレビューでも書いてみようと思うのだが、ことライカに関しては先達のすぐれたブログ記事がある。いまさらぼくがM8のよしあしを語るまでもないだろう。ただ、彼らは筋金入りのカメラファンということもあり、意外と初歩的な部分が省かれていたりする。その初歩的な部分とは、レンジファインダーと一眼レフのちがいだ。現在は一眼レフ全盛。片やライカM8はレンジファインダーカメラだ。フィルム時代からカメラに精通していていても、レンジファインダーは未体験という人だって少なくない。なにしろ、かくいうぼくがそうなのだ。そこで本記事は、デジイチユーザーにとってのデジタルレンジファインダーカメラという視点で、ライカM8を見ていきたいと思う。

【快適なマニュアル操作がM8の魅力】
はじめにぼくのスタンスを明記しておこう。普段はEOS DIGITALとオールドレンズの組み合わせで撮影。よってMFには抵抗感がない。ライカ歴はライカフレックスSLを所有し、ライカRレンズはElmarit-R 28mm/f2.8 type I、 Elmarit-R 35mm/f2.8 type I、Summicron-R 50mm/f2 type Iなど、主にオールドテイストのものを好んで使っている。レンジファインダー機はこのM8がお初。もちろんM型ライカに触れるのもM8がはじめてだ。

試写して早々に実感したのは、ピント合わせのやりやすさだ。マウントアダプタ経由のオールドレンズは実絞りでの撮影となり、いちいち絞り開放に戻さないとファインダーが暗くなってしまう。それに対し、レンジファインダー機は絞りの状態に依存することなく、いつでもファインダーが明るい。二重像でのピント合わせもピントの山がつかみやすくてよい。当然といえば当然だが、MFカメラはMFがやりやすい。AF機のMFとはわけがちがう。

Lmimg_0113

ボディの向かって右側にレバーがある。恥ずかしながら、こいつはセルフタイマーなのだと買ってしばらく勘違いしていた。正しくはフレームセレクター。これを動かすと、画角の異なるフレームを選択できる。フレームは、24/35mm、50/75mm、28/90mmの3種類があり、レンズを装着するとレンズに適したフレームが自動表示される仕組みになっている。さらにこのフレームセレクターを操作すると、別のフレームに切り替えられるのだ。たとえば50mmレンズを装着してファインダーを覗き、フレームセレクターを操作。「この風景は28mmの方がハマるな。よし、レンズ交換だ!」という具合になる。ホント、カメラってミニマムボディにいろいろな機能が詰まっているからおもしろい。

Lmimg_0122

ライカM8は露出計を内蔵し、絞り優先AEで撮影できる。シャッタースピードダイヤルを「A」に合わせると絞り優先AEだ。ただ困ったことに、露出補正のボタンがない。露出補正は液晶メニューで操作しなければならないのだ。この点に不満を抱くM8ユーザーは少なくないし、デジイチユーザーにとってもネックになりがち。個人的にライカレンズはアンダー目にして撮るのが好きなので、購入前にこの点はずいぶんと頭を悩ませた。

しかし、いざ実機を触ってみると、それが杞憂なのだと知る。ナンのことはない、マニュアルモードが使いやすいのだ。マニュアルモードでも露出計が動作し、ファインダー下部に適正露出、アンダー目、オーバー目を赤ランプで表示してくれる。たとえばアンダー目に撮りたいのであれば、いったん適正露出にシャッタースピードを合わせ、そこから1~2段、スピードを速めてやればいい。液晶メニューで露出補正するよりも、こちらの方が格段にスピーディ。なにしろカメラから顔を離さずに操作できるのがいい。

M型ライカはスナップカメラだ。先入観でいわせてもらうと、速写性とは無縁のカメラだと思う。ところが、M8にかぎっていえば思いのほか速写性能がいい。モードダイヤルを「C」にセットしておくと、最大10枚の連続撮影が可能。さすがに“連写”というほどではないが、動く被写体だって追いかけられる。通常撮影のレスポンスに関しては、データ書き込みに時間を要する印象を受けた。ぼくはRAW撮りオンリーなのだが、一度シャッターを切ると赤い書き込みランプがけっこう長い時間点滅している。はじめトランセンドの2GBを使っていて、あまりの遅さに辟易。サンディスクのExtreme III 2GBに交換して、ずいぶんとレスポンスがよくなった。むろん、バッファメモリの容量内であれば、書き込みランプが点滅していても連続してシャッターが切れる。デジイチと同フィーリングのレスポンスとまではいかないが、コンデジのようにモタついてじりじりすることはないはずだ。

【ジャギーはいかんだろジャギーは!】
M8の画質はどうだろう。実はこの点について、購入前に頭を抱えてしまった。というのも、某ウェブ媒体で見たフルサイズの作例があまりにひどい画質だったからだ。階調はべったりとつぶれ、斜め線ではジャギーが発生。M8ユーザーのブログを拝見しても、ときどきジャギーや過度のJPEG圧縮にともなうブロックノイズが見受けられる。M8はローパスフィルターを省いてまでシャープネスにこだわったカメラ。シャープすぎてジャギーが出るのか!? でも、いまどきジャギるデジタルカメラなんて早々お目にかかれない。そのわりに大半のM8ユーザーは、とても満足げに写真を楽しんでいる様子。このギャップ、どう考えればよいのか!?

M8はきわめて高価なカメラだ。新品で実売60万弱。中古で40万半ばから50万弱。いずれにしても、デジタル一眼レフのプロ向け機を買ってお釣りがくる値段だ。これだけ高い買い物をして、それをけなすのは“気持ちの上で”難しい。デジタル版M型ライカという点に満足を見いだし、画質に目をつむってしまっているのではないか、という懸念がよぎる。その一方で、RAWならいけるという予感もあった。あの荒れた画質はJPEG圧縮の問題であって、RAWから現像すれば良好な画像が得られるのではないか。根本的に低画質なのか、それともJPEG圧縮の問題か。答えは作例を見ていただければ自ずとわかるだろう。以下の作例はRAWデータをLightroomに読み込み、そのまま現像したものだ。レンズはG Biogon T* 28mm/f2.8を使用。UV/IRフィルターを装着し、6ビットコード検出はオフにしている。

Lml1000405 Lml1000429
Lml1000488
Lml1000453 Lml10004612
Lml1000053
Lml1000023 Lml9990049

一見してわかるのは、きわめてシャープな画像だということ。シャープネスを優先するためにローパスフィルターを搭載していないというが、その効果を実感できる。ただし、ローパスフィルターがないとモアレが発生しやすい。M8はソフトウェア処理でモアレ除去を行っているものの、やはり条件によって“それなりの高確率”で発生する。一方、雲の表情に注目すると、すぐれた立体感が目を見張る。日頃からEOS-1D Mark IIIを使っているが、ここまでの階調性はお目にかかったことがない。特にシャドウ部の粘りは特筆モノであり、“ライカらしさ”といっていいだろう。なお、周辺部がシアンドリフトを起こしているが、これは6ビットコード検出がオフになっているためだ。個人的には、屋外撮影だとほどよい青かぶりに感じられるため、しばらくはこのまま使ってみようと思っている。

このように、RAW現像したM8の画質は申し分ない。ただ、JPEG撮って出しはお世辞にも高画質といえず、圧縮がかなりキツイのではないかと推測できる。事実、試写したJPEG撮って出しはウェブで見た画像とそっくりの傾向で、圧縮荒れとジャギーがひどかった。

Lml10003492 Lmlml1000349

左がJPEG Fine(最高画質)の撮って出し、右はRAWデータをLightroomに読み込み、無補正で現像したものだ。それぞれ等倍表示している。ジャギーの有無が明確にわかるだろう。というわけで、M8はRAW専用で使うことにした。ただし、ここでひとつ問題が……。M8はSDHC未対応。一応4GBメディアには対応しているようだが、安全性と高速性のバランスを重視するなら、高速タイプの2GBが現実的なチョイスとなる。2GBだとRAW撮りは190枚弱。メディア1枚では半日もたないのだ。いくらライカといえどもデジタルカメラである以上、目の前の技術が使えないのはツライ。アップグレードでサファイアガラスの液晶モニタを提供するくらいなら、SDHC対応を先行してほしい。

【ドレスアップの楽園】
M型ライカといえば、やはりドレスアップについて触れなくては。ぼくはGR DIGITALのドレスアップが大好きなのだが、そのお手本にしているのがM型ライカのスタイルだ。で、本家M型ライカを手に入れたわけだから、ノーマルのまま使うはずがない。そうはいってもボディ購入ですっかり散財してしまったので、ちょろっと小物アクセサリーを付けてみた。

Lmimg_0128

ONE-OFFのソフトレリーズボタンと関東カメラサービスのアクセサリーシューカバーだ。ふたつ合わせても三千円ちょっと。安いわりにスタイルが引き締まり、とてもお得感のあるドレスアップだと思う。

Lmimg_0133

レンズフードはMSオプティカルR&DのM46システムスリットフードを付けてみた。これはGR DIGITALカスタム用に購入したものだが、そもそもは改造ビオゴンなど、L/Mマウントの広角レンズ向けのフードだ。よってこれが本来のあるべき姿となる。レンズのくびれから四方に広がる曲線、そして繊細な印象がステキ(笑)。ライカは純正アクセサリーだけでもたくさんあって、いろいろ遊べそうな予感。とりあえずは純正ライカレンズを買わないと。メガネ付きSummaron 35mm/f3.5か、初期型Summilux 35mm/f1.4か、はたまた固定鏡胴のSummicron 50mm/f2か。夜な夜なヤフオク巡回が止まりません。

●M8の写真は以下に順次アップしていきます。
metalmickey's montage : Leica M8

| | Comments (2)

January 20, 2008

G Biogon T* 2.8/28 改造の果てに

少し前から写真家飯塚達央さんのブログを拝見している。チェックしはじめて当初は「やっぱ北海道の写真はいいなあ」と冷静に見ていられたのだが、ここ最近トンでもないことになってきた。R-D1sとG Biogon 2.8/28で撮った写真が連日のようにアップされ、濃厚さといい周辺光量の落ち具合といい、たまらなくステキなのだ。そんなわけでつい、見境もなくポチってしまった。

Lm_00116862

このG Biogon T* 2.8/28は、CONTAX Gシリーズというレンジファインダーカメラ用のレンズだ。先の飯塚達央さんはこれをMマウントに改造してR-D1sで撮っている。実はコシナからBiogon T* 2.8/28 ZMというMマウントのBiogonが現行発売されているのだが、それはそれ、必ずしも同じ写りではないだろう。飯塚達央さんの写真に感化されたのであれば、やはりG用Biogonを手に入れ、それで撮るしかない。もちろん向こうはプロの写真家さん、ぼくが同じ機材を揃えたからといって、同じように撮れるわけじゃあない。そんなことは百も承知ですが、ガマンできないモンは我慢できんのですよ。

Mマウント改造はMSオプティカルR&Dというライカ関係では有名なショップにお願いした。正確にはLマウント改造してL-M変換リングをかますのだが、その改造費たるやG Biogon本体の価格も含めると、コシナBiogonが新品購入できるほど……。正直、悩む。でも、手元にはすでにG Biogon T* 2.8/28があるわけで、後にも引けない。改造依頼してから数日、こんな姿になって戻ってきた。

Lm_0011738

く、くびれがたまらん(鼻血)。このフォルムはどう考えたって反則だろぉ。

Lm_0011761

かつてGR DIGITALのカスタマイズで購入したM46システムスリットフードを付けてみた。改造レンズという雰囲気はなく、これがこのまま売られていてもぜんぜんおかしくない。いやあ、レンジファインダーの世界ってホント、奥深いんだなあ。

で、ボディ。ボディはええと、まだ買ってません……。

R-D1sをショッピングカートまで入れたものの、どうしてもポチれなかった。R-D1sはステキなカメラだと思う。でも、写真機というよりはデジタル機器だな、と。発売からの経年を考えたとき、これから20万近いお金を払ってそれに見合う満足が得られるのかどうか。無理をしてでもLEICA M8を買った方がいいのではないか、と。

むろん、M8の評判は微妙なところだ。赤外線フィルターの問題で黒がマゼンタかぶりする。それを抑えるためにUV/IRフィルターを付けると、今度は広角レンズでシアンドリフトが発生。6ビットコードで制御できるようだが、純正レンズでさえ6ビットコード化は有償。フェイク6ビットコードという手もあるが、それはそれでけっこう大変……という具合。まあ国内製品ならまちがいなく、回収騒ぎになるプロダクトクオリティだ。こうしたもろもろのトラブルを抱えつつ、60万円前後というプレミアムプライス。正常な判断のできる人なら、買わない。しかしM8が悩ましいのは、ちゃんと写真機の匂いがする。この写真機っぽさが正常な判断を狂わせる。

M8の画質については賛否両論あるだろう。ネット上のフルサイズ画像を見ると、斜め線で悉くジャギーが走り、細部はベタッとつぶれ、お世辞にも良好なコンディションとはいえない。それでも何か独特の存在感を醸すのは、デジタル一眼レフ的な画像解釈で物足りない写真だとしても、レンジファインダー的画像解釈においてきわめてすぐれているからではないか。そんな予感がするのだ。つまり、レンジファインダー派の人々は、一眼レフ派と異なる視点で写真を見ているのではないか、と。ここ最近特に思うのは、彼らが見ているものをぼくも感じてみたいということ。そのためには、自分の手で触れその目で撮って見るのが一番の近道だろう。

R-D1sかM8か、それともフィルムのレンジファインダー機か。どこにどう転ぶかわからないけど、今年はレンジファインダーで遊びますよ。なにしろGR DIGITALカスタム用に買ったファインダーとフードがたっぷりあるから、ドレスアップはやりたい放題(笑)。とりあえず、走れるところまで走ってみます。

| | Comments (0)

January 06, 2008

MC FLEKTOGON 35mm/f2.4 はアッシュカラー

M42はマウントアダプタ遊びの登竜門であり、なかでもMC FLEKTOGON 35mm/f2.4はとても人気のあるレンズだ。ぼくもこのレンズはお気に入りで、使用頻度はきわめて高い。にも関わらず、「これだ!」というカットに恵まれない。なにをとってもよく写る。色ノリはいいし、シャープネスも上々。でも、突き抜けたものがない。ナンていうか、レンズの持ち味を引き出せないような感じ。そこで、この定番レンズの相対的画質を、改めて考えてみたいと思う。

Lm_00116193

以前、身の程知らずにも「FLEKTOGON 画質の研究」という記事をアップした。タイトルこそ大上段にかまえたものの、「オールドレンズはちゃんとハレ切りしましょうね」という稚拙な記事。でも今回は、ストレートに画質考察に挑んでみたい。古今東西のオールドレンズのなかで、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4の位置づけみたいなものを探ってみようかな、と。レンズの善し悪しをウンヌンするのではなくて、傾向をつかみ、どんな被写体に適したレンズなのかを考えてみたい。なんて書くとずいぶんと大仰だけど、いろいろなオールドレンズの写真を見比べて、その味わいを楽しんでみようというのが狙い。まずはイエナつながりでFLEKTOGON 20mm/f4から見ていこう。

【FLEKTOGON 20mm/f4 の作例】