04.Web2.0

December 12, 2006

Google Earth 待望のWikipedia対応

年甲斐もなく、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!? と叫びたくなるほど興奮している。以前、Google Earthの記事で「基礎データベースとしての衛星写真に情報をマッピングすることがGoogle Earthの本質だ」と解説した。そのときは具体例としてWikimapiaを紹介したが、その際、Wikipediaの情報をGoogle Earth/Mapsに引っぱってこれればいいのに……とボヤいたことをおぼえているだろうか。どうやら皆考えることは同じらしい。ついにGoogle EarthでWikipediaの情報を表示できるようになった。

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【新レイヤーGeographic Webが登場】
Ge02_112月10日、GoogleはGoogle EarthにGeographic Webという新しいレイヤーを追加した。英語のみの提供だが、Google Earth 4.0 日本語版でもそのまま表示できる。Geographic Webは3つのレイヤーが含まれていて、そのひとつにWikipediaがあるというわけだ。表示した情報はすべて英語となるが、インターネット百科事典の情報をGoogle Earthからワンクリックで呼び出せるのは画期的。この他には、Google Earthコミュニティのプレイスマーク、PanoramiaというGoogle Mapsとマッシュアップした写真投稿サイトの情報を表示できる。早速、Geographic Webのすばらしさを体感してみよう。

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ためしにサクラダファミリア(41.403553,2.174469)を表示してみた。Geographic Webをチェックオンするとたくさんのプレイスマークがあらわれる(写真左)。左から2枚目がWikipediaのプレイスマークをクリックしたところだ。ウェブ検索しなくても詳細情報が手に入り、これはまちがいなく重宝する。3枚目と4枚目はPanoramiaのプレイスマークをクリックしたものだ。精細な写真を閲覧することで、ビジュアル的に情報を補完できる。テキストと写真、この双方から情報収集することで、その場所をより深く知ることができるだろう。

【Wikimapiaはもういらない!?】
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Google EarthがWikipediaに対応したことで、Wikipamiaはお役ご免なのか!? 実はそうとも言い切れない。いろいろなポイントで両者の情報を比較してみると、興味深い相違点が見えてきた。ケネディ宇宙センター(28.608303,-80.604219)でそれを解説していこう。ここには数多くのプレイスマークがあり、特にGoogle Earthコミュニティのプレイスマークがたくさん見受けられる。メジャーな場所なので、ビデオ、3Dモデル、フォトギャラリーと表示情報も多彩だ。では、同じ場所をWikimapiaで表示するとどうなるだろう。

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テキストと写真という情報量はGeographic Webレイヤーにかなわないが、プレイスマークの多さが目立つ。Wikimapiaは有志によって書き込まれた情報なので、メジャースポットはどうしてもプレイスマークが多くなる。しかし、情報の質を加味して考えると、トータルな情報量はWikipediaの足もとに及ばないというが現状だろう。ただここで、Wikimapiaのプレイスマークの場所に注目してほしい。建物をピンポイントで指している。実はこれが重要なのだ。

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ではもう一例。「Google Earth 風景が事実に変わる瞬間」でも紹介した寧辺の核関連施設上空(39.927760,125.569255)だ。さすがはWikipedia(写真中央)、実に詳細な情報が閲覧できる。建物内部のモノクロ写真まで掲載され、ビジュアル面でも抜かりない。しかし、Wikimapia(写真右)を表示すると愕然とする。圧倒的なプレイスマークの数。いや、数だけではない。建物の名前、役割が見て取れる。これこそがWikimapiaの真骨頂だ。

つまりこういうことだ。Wikipediaで東京大学を調べたとしよう。日本でもっとも学力が高い最高学府。名だたる知的エリートを輩出してきた大学、ということがわかるだろう。片やWikimapiaを使うと、ここが赤門、こっちが安田講堂といった情報が得られる。Wikipediaは場所にまつわる事象を解説する。Wikimapiaは衛星写真に写っているものが何であるのか、建物レベルで名前と役割を教えてくれる。この指向性のちがいは、情報収集する際におぼえていくと便利だろう。

【教養ソフトから情報収集ツールへ】
今回加わった新レイヤーGeographic Webは、Google Earthにとってかつてない大きな一歩となる。初期からレイヤーパネルではさまざまな情報が提供されてきたが、にも関わらず人々の注目度はさほど高くなかった。なぜか? 答えは簡単だ。従来のレイヤーは、多彩でこそあるが、教養を深めるための情報が主だった。特集コンテンツなどはその冴えたる例だ。「Google Earthはこんなにおもしろいことができるんですよ」という可能性を見せてくれるものの、実践的情報収集ツールとしては使えない。たしかに飲食店や宿泊施設のプレイスマークも表示できるが、きっと大半の人がウェブで検索を済ませてしまうにちがいない。

しかし、Geographic WebレイヤーでWikipediaと連携したことで、Google Earthは真の情報収集ツールに昇華した。ウェブで調べてGoogle Earthで確かめる。もしくはGoogle Earthで面白いポイントを見つけてウェブで検索する。これまではそうした手順を踏んできたが、これからはストレートにGoogle Earthで調べればいい。場所とリンクした情報を、Google Earthひとつで手に入れることができるのだ。ただし、課題がないわけではない。Google Earthの検索性はあまりにおそまつだ。ジーコで淡路島にジャンプしたり、エリア51で石川県に飛んだり、これではお話にならない。ジーコと入力したら出生地のリオデジャネイロに飛ぶ。それくらいの柔軟性はほしいところだ。

サーチエンジの覇者Googleなら、近い将来やってくれるにちがいない。

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November 24, 2006

Google Earth 古地図タイムトリップ

Google Earthフリー版がバージョン4.0.2416にマイナーバージョンアップした。パスとポリゴンの作成対応が大きなトピックスだが、実はひっそりと興味深い特集コンテンツが追加されている。それがRumsey Historical Mapsだ。

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これはDavid Rumsey Historical Map Correctionから17~19世紀の古地図16点をイメージオーバーレイで表示してくれるものだ。だたし、Google Earth日本語版には対応していないため、オプション画面の言語設定を「English」に設定しておく必要がある。具体的に手順を解説しておこう。

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まずメニューバーの〈ツール〉→〈オプション〉をクリックして、オプション画面の「全般」タブを開く。この画面で設定言語を「English」に変更。〈OK〉ボタンをクリックした後、Google Earthを再起動する。これでGoogle Earthが英語版で起動し、Featured Content(特集コンテンツ)にRumsey Historical Mapsが登場。あとは表示したい古地図のラジオボタンをONにすればよい。

【古地図でタイムトリップ】
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17~19世紀の古地図という希少な資料がタダで閲覧できる。これだけでもありがたい話だが、右写真のようにとても高解像度でストリート名まではっきりと読めた。これなら戦争や植民地化にともなう国境、地名の変遷まで見て取る。

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Google Earthらしい活用法としては現在の地勢(衛星写真)との対比だろう。ためしに任意のポイントで現在と過去を比較してみた。左が現在の衛星写真、中央が古地図、右はイメージオーバーレイを透過表示したものだ。河川が道路になっていたり、埋め立てによって陸地が広がった様子がわかる。こうした過去と現在の対比はイメージオーバーレイの得意とするところだ。

似たような活用例としては、Google Earth Wiki@Noblesse - Obligeのオルソ化写真用簡易スクリプトが有名だ。これは国土交通省オルソ化空中写真ダウンロードシステム(試作版)の航空写真を、Google Earthで表示しているエリア(日本国内にかぎる)にイメージオーバーレイするもの。オルソ化空中写真ダウンロードシステムの写真は昭和49年度から平成2年度にかけて撮影されたもので、Google Earthの衛星写真よりも確実に古い。つまり、このスクリプトを使えば手軽にタイムトリップできるわけだ。

【四次元――という概念のとらえ方】
Rumsey Historical Mapsはすでにいろいろなウェブサイトやブログで紹介されている。そのうちのひとつ、MYCOMジャーナルの記事が気になった。この記事では「Google Earthの四次元的な展開」としてRumsey Historical Mapsを取り上げている。この四次元という言葉の使い方がどうにも気になるのだ。

Google Earthで四次元と称したとき、まっ先に思い浮かぶのはタイムスケース機能だ。イメージオーバーレイやプレイスマークを時間軸にそってアニメーション。バージョン4.0でこの機能を備えたことで、Google Earthははじめて四次元空間を表現できるようになった。Google Earthがすぐれている点は、過去と現在を静的に対比するだけでなく、連綿とした時間の流れを動的に表現できるところだ。

たとえば、Rumsey Historical Mapsが特定都市の古地図を複数収録し、タイムスケース機能で時間軸にそって画像を入れ替えられるなら、それは四次元的展開という表現に相応しいものだろう。そしておそらくは、そうしたkml/kmzファイルがいずれ公開されることも想像に難くない。しかし、イメージオーバーレイを使った過去と現在の対比は、詰まるところBefore and Afterだ。Rumsey Historical Mapsは有益な特集コンテンツだが、けっして四次元的ではない。このコンテンツが時代ごとに画像を積み重ね、時間を蓄積してはじめて四次元的展開にいたる。そしてGoogle Earthなら、そうした世界を案外近い将来に見せてくれそうな気がする。

●追補
古地図を複数収録して……なんて書いていたら、本当にそんなイメージオーバーレイ集が登場しました。Historical Maps for Denmarkは1570年から1873年にかけて、デンマークの古地図が収録されています。アニメーションこそしないけれど、国境の境界線を表示させながら閲覧するとおもしろいです。

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October 09, 2006

Google Toolbar という個人ポータル

いま、Google Toolbarが熱い! と書いたら失笑する人がいるかもしれない。なにしろウェブブラウザ用のツールバーといえば、巨大ポータルブーム末期の名残。いまさらツールバーもないだろう!? 仰せのとおり。しかし、昨今のウェブ全般のトレンドを見ていると、いまこそツールバーと思えてならないのだ。

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【ブックマークを同期する!?】
Google Toolbarの気に入っている点は、まずソーシャルブックマーク「Googleブックマーク」にアクセスできるところ。ソーシャルブックマーク(SBM)とはウェブスペースにブックマーク(IEでいうところのお気に入り)を登録し、みんなで共有しようというWeb2.0的サービスの代表格だ。発想はたしかにおもしろい。他人にブックマークはちょっと覗いてみたくなる。人の家に遊びに行って本棚を眺めるような気持ちとでもいおうか。しかし、実用面ではさほど興味をそそるものではない。自分のブックマークを呼び出すためにわざわざ特定URLにアクセスする必要がある。だったらIEのお気に入りでいいじゃん。単純にそう思えてしまう。

そこでGoogle Toolbarだが、こいつはGoogleブックマークを直接呼び出せる。上の画像を見てもらえばわかる通り、IEのお気に入りと同じようなルック&フィールだ。フォルダ管理(というよりはタグ付け)もできるし、IEのお気に入りのインポートすることも可能。そして何よりも、Google Toolbarをインストールしておけばどのパソコンからも呼び出せる。これが重要だ。

会社と自宅、さらにモバイル用のノートパソコン。ひとりで複数台のパソコンを使い分けている人も少なくないだろう。IEのお気に入りはエクスポート/インポートこそ対応しているが、シンクロ(同期)は行えない。その不可能をGoogle Toolbarが実現する。いつどこからでも自分の最新ブックマークにアクセス――これは気持ちがいい。

【メーラー要らずでマシンリソースを節約】
ふたつ目はGmailを扱える点だ。Gmailについてはもはや説明不要と思われるが、大容量2.5GB超のメールボックスがもらえるフリーのウェブメールだ。Google ToolbarはこのGmailのウェブメール画面に移動するだけでなく、プルダウンメニューで件名リストが確認可能。さらに新着メールがあればアイコンのデザインが微妙に変化する(ホントに微妙でわかりづらいけど)。メインのメールアドレスをすべてGmailに転送しておけば、ブラウザのツールバーでメールチェックできるわけだ。

もちろんメールソフトを撤廃してGoogle Toolbarに移行するのは勇気がいるだろう。ただ、ちょっとした緊急時にこいつはすごく便利なのだ。先日、仕事の関係でGoogle Earthを四六時中使っていたのだが、このソフトがとにかく重い。重いだけならまだしも、いまどきのソフトにしてはめずらしく、フリーズしたりクラッシュしてくれるのだ。やむなくメールソフト、BGM用のiTunes、その他常用ソフトを尽く終了し、Google Earthと下調べ用のウェブブラウザ1画面だけで作業を続行。その際、Google Toolbarのおかげでメーラーなしでもリアルタイムにメールチェックが行えた。それ以来、重いソフトを使うときはいつもGoogle Toolbarに頼りっぱなしだ。RAW現像ソフトを使うときなどは、メールソフトを終了するだけでずいぶんと体感速度が向上する。むろん、ローカルのメールボックスにデータを貯めすぎているのもメーラーが重い原因と思われるが。

【カスタマイズしてGoogle漬けだ!】
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この他にはGoogleカレンダーならスケジュールが、Google Reader(RSSリーダ)なら新着エントリーがプルダウンメニューで確認できる。実はツールバー左端の「Google」マークでGoogleが提供する個人ポータル「パーソナライズドホーム」にアクセスできるのだが、もはやその必要すら感じられない。とにもかくにもツールバーのアイコンやプルダウンメニューだけで事足りてしまうのだ。なお、Gmail、Googleカレンダー、Google Readerに関しては、「ツールバーにボタンを追加」アイコンをクリックして設定ページからボタンを追加する必要がある。このカスタマイズ自体は大した手間ではないので、自分の利用しているサービスをどんどん追加していくといいだろう。

【ツールバーが個人ポータルを駆逐する】
さて、昨今のインターネットは個人ポータルが一大ブームだ。古くはMy Yahoo!、新しくはWindows Live、そしてGoogleのパーソナライズドホームも個人ポータルである。個人ポータルとは、手っ取り早くいえばWeb2.0的サービスの寄せ木細工だ。いまや星の数ほどWeb2.0的サービスが登場しているが、使用頻度の高いものをひとつのページにまとめ、個人が必要とする情報を1ページで閲覧できるようにした仕組みである。筆者も前出の個人ポータルはすべて登録してそれぞれカスタマイズしているが、Google Toolbarを使いはじめてからというもの、すっかりアクセスする回数が減ってしまった。ツールバーのアイコンからほしい情報がすべてとれるのに、どうしてわざわざ特定ページを開く必要があろうか。

Web2.0は草の根的なムーブメントだ。いわゆるベンチャーである。片や個人ポータルは、巨大資本主導による次世代指向のビジネスモデルだ。また広告収入ですか? と皮肉のひとつも言いたくなるが、ユーザーはそうした企業サイドの思惑とは別にもっとシンプルな行動原理で動いている。より便利なものを使う――それだけ。筆者個人にとっては、新着メールを確認でき、ブログの新着エントリーが読め、ブックマークがいつでも呼び出せるGoogle Toolbarこそがポータル。いわゆる個人ポータルにアクセスする必要性を、いま感じていない。

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October 06, 2006

Google Earth 風景が事実に変わる瞬間

Google Earthをご存じだろうか。より正確に問うならば、おぼえているだろうか。バージョン4.0の日本語版がリリースされ、「日本語版なら試してみようかな」と、重い腰をあげてみたというのが正直なところではないか。はじめて登場したときは革新的ソフトウェアと騒がれたものだが、大半の一般ユーザーにとってGoogle Earthは、その程度のものだと思う。

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【見るだけ……はつまらない】
全世界の衛星写真を見られるというのは刺激的だが、閲覧するだけでは案外すぐに飽きてしまう。ちなみに上の画像は、3D Warehouse ネットワークリンクでビルを3D表示したものだ。「へえ、Google Earthってこんなこともできるんだ」と興味を示す人がいるかもしれない。そして実際に、ダウンロードして3D表示を楽しむ人もいるだろう。一二時間は熱中できる。なにしろ世界中の建物をリアルに3D表示できるのだから。でも果たして、その人は明日も明後日も世界中の3Dビルディング巡りに熱くなれるだろうか。かけてもいい、閲覧ソフトとしてのGoogle Earthは、そんなにおもしろいものじゃない。

【衛星写真は基礎データに過ぎない】
衛星写真の閲覧ソフト――そうとらえている人にGoogle Earthの本質は見抜けない。Google Earthとは、場所というデータベースに各種情報をマッピングしてこそ真価を発揮する。衛星写真そのものが目的ではない。衛星写真は基礎データベースに過ぎず、そこにどんな付加価値を載せられるかが重要なのだ。たとえばWikipediaで調べものをしていると、その場所の情報がほしくなる。エジプトのピラミッドについて調べていたとしよう。Wikipediaを使えばすぐに詳細な情報が手に入る。ピラミッドの写真も見ることができる。しかし、エジプトのどこにあるのか、という肝心な点は思いのほか曖昧だ。申し訳程度の地図はある。でも、詳細な地理情報は得られない……。

早い話、Wikipediaの各項目に緯度経度が明記してあれば、即座にGoogle Earthで現地の写真を見ることができる。Wikipediaは膨大な情報を蓄積しているが、場所という概念とのリンクはあまりに気迫だ。せめてGoogle Mapsにリンクでも張ってくれ、とボヤきたくなる。誤解を恐れずにいうならば、いま我々を取り巻くさまざまな情報は、リアルな場所から浮遊している。最近でこそマップサービスに各種情報を付記できるようになってきたが、所詮ベースになっているのは地図という間接的な情報だ。せっかく、Google Earthという全世界を写真で閲覧できるツールがあるのに――。

【写真に意味を添えるWikimapia】
と、嘆いていたら、Google Earthと情報をダイレクトに結ぶツールがあらわれた。それがWikimapia data feederだ。Wikimapiaとはそもそも、Google Mapsを使って場所に関する情報をユーザーが書き加えていくサービスだ。その情報部分をGoogle Earthで表示できるようにしたのが前述のWikimapia data feederである。と、言葉で説明してもわかりづらいので、具体例を見てもらおう。

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この写真はドバイの海岸線で見つけたものだ。一見するとエイリアンの子供のように見えなくもない。Google Earthだけだと、「へえ、世の中にはおもしろいものがあるねえ」で終わってしまう。そこでWikimapiaの出番だ。

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WikimapiaをONにすると、プレイスマークのアイコンがあらわれる。これがユーザーによって書き込まれた情報だ。プレイスマークの名前から察するに、このエイリアン風の土地はパームアイランドというらしい。さらにプレイスマークをクリックすると、ブラウザで詳細情報が確認できる。2002年に着工し、2007年後半に完成予定。そんな情報が読み取れる。肝心の「パームアイランドって何さ!?」という疑問は残るが、それはウェブで検索すればいいだけのこと。「ドバイ パームアイランド」で検索すると、リゾート向けの人工島だと判明した。さらに公式ホームページにも簡単にたどり着けた。

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さらにもう一例。左の画像はGoogle Earthで北朝鮮上空を表示したものだ。なにやら物々しい建物が点在し、かなり怪しげな土地である。Google Earthだけだと、「やっぱ北朝鮮は怪しい」で終わってしまう。Wikimapiaで情報表示してみると、nuclear、plutonium、Yongbyonの文字が見て取れる。日頃ニュースを見ている人ならピンとくる。寧辺の核関連施設プルトニウム再処理施設にちがいない、と。

衛星写真がつまらない理由は簡単だ。写真は風景にすぎない。たしかにGoogle Earthの衛星写真には、山火事、交通事故の瞬間、沈没船、未確認飛行物体(!?)など、いろいろとドラマチックな場面が写っている。しかしそうしたドラマは結局、写真を見ている人の憶測であり創作だ。いま一度冷静に考えてみよう。写真に写っているものは、虚構でも推測でもない。まぎれもない現実だ。にもかかわらず我々は、写真から現実を読み取れない。現実の影絵から物語りを組み立てることしかできない。

Wikimapiaの情報は、実のところ密度に欠ける。せいぜい名前がわかる程度だ。詳細情報を得られるポイントは限られているし、基本的に現地語なので情報収集にも言語的な限界が見え隠れする。ただ幸いなことに、いまのインターネットは名前さえわかれば大量の情報収集が可能だ。Google Earthで俯瞰したビル群は、そのままでは「ビルが密集する場所」に過ぎない。しかし、そのビルひとつひとつの名前がわかれば、そのエリアの意味が見えてくる。ただの風景が、意味をともない事実に変わる瞬間だ。

写真に情報が加わったとき、風景は事実に変わる。生の世界(リアルワールド)をのぞく窓――それがGoogle Earthの本質だ。

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September 02, 2006

SEOの秘訣とは?

SEOって知ってます? Web2.0の解説本を読んだことにある人なら一度は目にした記憶があるはず。Search Engine Optimizationの略で、日本語では検索エンジン最適化と訳すらしい。自分のホームページを検索結果の上位に表示させ、アクセスを誘導する手法のことだ。そもそもはアダルトサイトのようなアンダーグラウンド系サイトの検索スパムに端を発し、あまり上品な手段とはいえない。しかし、ウェブサイトを営業・広告ツールとして使う上で、いまやSEOは避けて通れないというのが現実だ。

実際にどんなことをするのかというと、検索エンジンのアルゴリズムや巡回ロボットの癖を解析し、自身のホームページがピックアップされやすいように工夫をこらす。コンテンツに流行りのキーワードを散りばめたり、相互リンクを張って信頼性を高めたり、はたまた検索エンジンがすくいやすいようにXHTMLタグをつけたりと、あの手この手で検索上位を狙うわけだ。最近ではSEOコンサルティングなる商売まで存在するらしい。「お客さん、ウチにまかせてくれればアクセス数100倍ですよ100倍!」とでも営業トークするのだろうか。他人様の商売を邪魔する気はないが、このSEOというやり口はどうにも胡散臭さが漂う。個人的には要はコンテンツ次第だと思えてならないからだ。手法で検索上位は狙えるのか。コンテンツ充実こそが最大のSEOではないのか。前置きがすっかり長くなった。当ブログのアクセス数から、SEOを有効性を検証してみたい。

【まじめに書いたらアクセスが伸びた!】
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まずは上のグラフを見てほしい。これは当ブログの過去4ヶ月のアクセス履歴だ。緑が訪問者数で、黄色がアクセス数、いわゆるPV(ページビュー)となる。当ブログはそもそもスロ日記と仕事の愚痴を綴った単なる雑記だった。そのためアクセス数と呼べるようなアクセスはない。六月中旬以降、キヤノンの標準ズームレンズポータブルフォトストレージのレビューを皮切りに、本格的にデジタル系記事を掲載していく。それと呼応するようにアクセス数が伸びているのがわかるだろう。現在では当初の約10倍以上のアクセスがあり、雑記と記事でこうもアクセス数がちがうのかと実感している。なお、五月中旬にココログのアクセス解析ツールが更新されたため、それ以前の情報はこのグラフに反映されていない。

【検索上位に食い込めるか?】
このように、当ブログはここ二ヶ月ぐらいで急速にアクセス数が伸びてきた。むろん、いわゆる人気ブログと比較したら申し訳程度のPVだが、少ないなりにアクセス向上しているのは事実。ではアクセス向上の結果として、検索エンジンでどの程度にランクインするのか、それを確かめてみよう。比較的アクセス数の多い記事に的を絞り、該当キーワードをGoogle(www.google.co.jp)で検索してみた。

Adobe Lightroom Beta 3
アドビがパブリップベータ版として公開しているRAW現像ソフトに関するレビュー。
lightroom」:31位/5,820,000件中
lightroom beta」:3位/1,050,000件中
(日本語ページのみだと1位……ヾ(^v^)k)

SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta
市川ソフトラボラトリーのRAW現像ソフト最新ベータ版のレビュー。
silkypix」:103位/288,000件中
silkypix 3.0」:5位/49,500件中

EOS 20Dでロシアレンズ
EOS 20D(デジタル一眼レフ)でロシアレンズを使うためのレポート記事。ロシアレンズ購入から装着、操作方法に至るまでを解説している。
ロシアレンズ」:16位/19,200件中
ロシアレンズ EOS」:1位/665件中
ロシアレンズ デジタル一眼レフ」:3位/709件中

Web2.0は村上春樹だ
Web2.0にまつわるキーワードを解説したコラム。Web2.0というキーワードはビジネス用語としては眉唾だが、インターネットを学術に昇華させた点は評価すべき、というのが主旨。
web2.0」:802位/55,400,000件中
web2.0 キーワード」:351位/6,480,000件中
web2.0 村上春樹」:1位/236,000件中

(2006年9月2日現在調べ)

ニッチ分野の記事ばかりだが、おおむね上位に食い込めている。Googleはデフォルトで1ページに10件の検索結果を表示するので、複数キーワードの組み合わせ検索でははじめのページに当ブログが表示されるわけだ。現在のGoogleはブログ記事を上位に表示しやすい傾向があり、オーソドックスなホームページで記事を掲載していたらまたちがった結果になっただろう。注目すべきは、そのものズバリの単一キーワードで検索した場合に大きくランクダウンしている点だ。単一キーワードだと検索上位はメーカーやショップが占めてしまう。ここに個人ブログが食い込むのはやはり難しいようだ。なお、「Web2.0は村上春樹だ」の順位が奮わないが、これについては後述する。

【SEO的アクセス稼ぎの効果は!?】
まじめに書くだけでアクセスが伸び、検索上位を狙えるのか? これに対する答えは「Yes and No」だ。実は7月の下旬以降、それとなくSEO的手段を試みている。問題はそれがアクセス数や検索上位表示に貢献しているか否か。試した手法ごとにその効果のほどを検証してみよう。

トラックバック-効果アリ
トラックバックとは言い換えれば相互リンクのこと。これはインターネット黎明期からアクセス数向上の常套手段であり、その効果はいうまでもない。しかし、ただトラックバックを送ればいいというものではない。それでは単なるトラバスパムになってしまう。ここがトラックバックの難しいところだ。当初、検索上位にランクインしているブログにトラックバックを送っていたが、自分のアクセス数稼ぎのためだけにトラックバックを送るのは後ろめたい気持ちがあった。そこで最近は、いわゆるトラックバックピープルを活用している。当ブログが使っているのは「BlogPeople」というサービスだ。カテゴリーごとにメジャーからニッチまで様々な話題のエントリーがある。ここにユーザーがトラックバックを送ることで長大なリンクができあがり、関連記事を芋づる式に読めるというシステムだ。ブログ記事連鎖によるコミュニティと思えばわかりやすいか。実際に関連項目にトラックバックを送ってみると、一日数件程度ではあるが確実にアクセスが増えた。筆者自身もトラックバックピープルで興味のある記事を探すことが多々あり、送る者も読む者も互いにメリット大のシステムといえる。

ブログランキング-効果薄
閲覧者のクリックを投票として数え、クリック数に応じてブログの人気ランキングをつけるサービス。当ブログも記事の末尾に「お願いクリックしてね」とおねだりしているので、すでにお気づきの人もいるだろう。ランキング上位ほど人気のあるブログとなり、上位ブログはランキング表の目立つところに掲載されるから、雪だるま式にアクセス数は増えていく。以下は筆者が開設しているブログのランキングだ。

metalmickey,s blog:ネット・PC(全般)69位
光学仕掛けのモノローグ:写真(全般)265位
(2006年9月2日現在)

この順位結果の根拠はいたって簡単だ。一日一回、自分で毎日クリックすると大抵このくらいの順位になる。つまり、当ブログの閲覧者はほとんどクリック(投票)していない。しかしそれは当然のこと。筆者自身もこれまで、他のホームページやブログでランキング用のリンクをクリックしたことはない。ブログランキングの難しいところは、自己顕示欲というドロドロした感情にある。要は「ランキングで上位になりたい、目立ちたい、だからみんなオレに協力してくれ!」というわけだ。閲覧者にしてみれば、「記事はおもしろかったけどさ、だからといってアンタの自己顕示欲に付き合うつもりはないよ」となるだろう。クリック誘導はアクセス誘導以上に難しい。もしあなたが二十歳前後の女の子なら、ブログのプロフィール欄にブラちらした写真を載せておけばクリック誘導も簡単だろうけど。いや、これは失言です……。

ランキング上位を狙うには、検索上位狙いと同等以上の努力と工夫が必要になる。つまり、ブログランキング自体が目的になってしまうわけだ。これではSEOのためにSEOという矛盾した状態に陥ってしまう。SEOとブログランキングは別物として考えた方がいい。

タイトルの付け方-効果大
ココログのパーマリンク(固定リンク)のURLは、記事タイトルを簡略して自動的に生成する仕組みになっている。たとえば「SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta」はsilkypix_develo.htmlとなり、「EOS 20Dでロシアレンズ」ならeos_20d_96d0.htmlという具合。検索エンジンはURLのHTMLファイル名も検索対象としているので、タイトルにメインのキーワードは必ず盛り込んでおきたい。ただし、「ハイビジョン狂想曲」のようにすべて日本語にしてしまうと、post_b8af.htmlという素っ気ないファイル名になってしまう。アルファベットベースの検索エンジンが理解しやすいタイトルにすることが大切だ。

こうしたシステム的なこと以外にもタイトルは重要な意味を持つ。前述した「Web2.0は村上春樹だ」の検索順位を見てほしい。どうにも冴えない順位だ。802位ということは、Googleの「次へ」を80回クリックしたことになる。こんなにもクリックする人がいるとは思えないので、これは検索に引っかからなかったのと同意だ。記事内容がつまらないという指摘は真摯に受け止めるとして、それ以外の要因としてキーワードが広すぎるという点に留意したい。Web2.0はいま流行りのトレンドキーワード。いまや一般用語といっても過言ではない。これに関する記事はあまりに膨大だ。一般用語やそれに準ずるキーワードでは、よほど引きのある記事を書かないかぎり検索上位を目指すのは難しい。たしかにWeb2.0と村上春樹を組み合わせて複数キーワード検索すれば1位になるものの、これはまったく意味がない。なにしろWeb2.0を調べている人は村上春樹という言葉を組み合わせないだろうし、村上春樹について知りたい人がWeb2.0というキーワードを追加するとも思えない。「Web2.0は村上春樹だ」というタイトルは人の目こそ惹くかもしれないが、巡回ロボットの目は惹かない。検索上位を目指すのであれば、人よりも巡回ロボットの好みそうなタイトルを付けるべきだ。

キーワードを散りばめる-効果アリ
検索エンジンとは、言葉を言葉で調べる機能だ。仮にWeb2.0のコラムを書いたとしても、記事中に一度もWeb2.0という言葉を使わなければ検索に引っかからない。検索エンジンはあくまでも言葉と言葉のデータ的同一性を見るのであって、言葉の意味はけっして解釈しない。つまり、キーワードなくして検索上位はありえないのだ。このことを顕著にあらわしているのが「光学仕掛けのモノローグ」のアクセス数である。このブログは1日1枚ずつ写真を公開するいわゆるフォトログだ。テキストはほとんどない。写真のみのブログである。当然検索エンジンに引っかかりようがないし、事実一日のアクセス数はごくわずか。グラフを公開してもいいのだが、ある意味自虐行為(泣)になるのでやめておく。なお、ココログの記事投稿ページには「キーワード」という欄があり、ここにキーワードを入力しておくとタグとして機能する。本文中にそのものズバリのキーワードが出てこない場合は、ここに関連キーワードを入力しておくとよい。

プロフィールの公開-効果アリ
当ブログはプロフィールを公開していない。フリーライターという肩書きこそ表明しているが、どんな雑誌でどんな記事を書いているかは明かしていない。一般的な人気ブログを見てみると、必ずといっていいほどにプロフィールを公開している。やはり人となりがわかっていると、読む側も安心感があり、また技術系情報系の記事の場合は信憑性にも関わってくるのだろう。インターネットの情報発信がホームページ掲示板型からブログWiki型にシフトするにともない、ユーザーは匿名から特定個人に変貌した。そういう観点からすると、プロフィール未公開(匿名)の当ブログは失格だ。SEO対策するのであれば、情報発信者として身元を明らかにしなくてはいけない。それが時代の流れである。ただ、エクスキューズさせてもらうのであれば、記事内容だけで勝負してみたい、なんて青臭い気持ちもあったりして(笑)。

【コンテンツが最強のSEO】
手軽に試せるSEO的手法について考察してきたが、当ブログのアクセス解析を踏まえ、なおかつ個人的な感触を盛り込んだ上でいうならば、SEOは地道な広報活動といった印象だ。たしかにトラックバック送信やタイトルの工夫でアクセス数は伸びた。しかしそれ以前の大前提として、雑記レベルの投稿をやめ、レビューやレポート、コラムといった記事的投稿に切り替えたという事実がある。その上でSEO的手法をとった結果が現在のアクセス数であり、検索エンジンの上位ランクインである。けっしてSEO的手法だけでアクセス数は稼げないし、検索上位表示されるわけでもない。まして飛躍的にアクセス数が伸びることはなく、じりじりとアクセス数が伸び、結果として検索上位に表示されていた、程度のものだ。SEO対策は広報宣伝にすぎない。コンテンツの実体がないのに宣伝に精を出してどうするのか。SEOを声高に叫ぶ輩がいたら、まずはコンテンツありきと微笑み返してあげよう。

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August 18, 2006

Web2.0の暗黒面

スターウォーズと水戸黄門は、どちらも善と悪が戦う物語だ。しかし、ひとつ決定的なちがいがある。水戸黄門が勧善懲悪をベースとしているのに対し、スターウォーズは善と悪が表裏一体である事実を、宇宙戦争という壮大なスケールで描いている。アナキン・スカイウォーカーは愛する者を救いたいがために暗黒面に堕ち、そしてダースベーダに変貌した。暗黒面の化身ダースベーダは、本来善とされるべき愛が生み出した産物なのだ。善と悪は常に混濁している。それはWeb2.0という、一見すると善悪と無関係な世界にも通ずる不文律だ。

【サービスで食えないWeb2.0】
先般、Web2.0に関するコラムを掲載したが、執筆のきっかけは某パソコン誌からのオファーだ。急遽Web2.0の関連本を読み漁り、膨大な数のWeb2.0的サイトに会員登録して実際にサービスを使用。どのサイトも動的で、コミュニケーションにすぐれ、現代のウェブを象徴するものばかりだった。しかし、そうした満足感と裏腹に、このところ実に不愉快な出来事に悩まされている。Web2.0などと騒いだところで所詮はビジネスのための方便……。そんな萎えた気持ちでいまこれを書いている。

ウェブは広告収入で成り立つビジネスだ。テレビほどではないが、ウェブもメディアとしてご多分にもれず、広告に毒されている。広告手法はバナークリック型からアフィリエイト型に移行し、これがまたWeb2.0的現象としてひんぱんに取り上げられるのだが、ウェブが広告でしか儲けられないという事実が確定してしまった。

本来ならばウェブサービスは、サービスの対価として使用料を徴収できるはずだ。SNSやブログには月額数百円程度の有料コースが設けられているが、これを使っている人はごくわずか。たいていのユーザーは無料コースでWeb2.0的サービスを楽しんでいる。これは日本人のソフトウェアに対するとらえ方と似ていて、無形商品にほとんど敬意を払わない悪しき習慣だ。そのためサービス提供者は広告収入で利益を得るわけだが、この現実にサイト開発者やプログラマは屈辱を感じないのだろうか。サービスでは金を取れない。だから広告収入で賄う。つまりそれは、開発したサービスが金を払うに値しないということになる。ウェブサービスという商品を作り出しておきながら、誰も金を払ってくれない現実。開発者陣はきっと、自尊心などという俗なものを消し去った人たちにちがいない。

【Web2.0は所詮ポストポータル】
青臭い話はこれくらいにしておこう。Web2.0的サービスを開発する人たちは、はっきりと割り切っているはずだ。どんなに優れたサービスも、所詮は集客ツール。のっけから広告収入を目当てにして、できるだけ人を集められるサービス開発を目指しているはずだ。サービスへの対価? そんな青臭いものはハナっから考えているはずもない。大手資本にとって、Web2.0的サービスとはポストポータルにすぎない。ポータルを情報取得の窓口とするならば、Web2.0的サービスはコミュニケーションの窓口。そうしたちがいこそあれ、人を集め、広告を見せ、そして広告収入を得るというビジネスモデルは共通だ。ユーザーのウェブに対するニーズが、情報取得からコミュニケーションに移行した事実を踏まえ、集客形態を変えたにすぎない。

なにもすべてのWeb2.0的サービスはあざといというつもりはない。しかし、明らかな二番煎じや非実用的なサービスが少なからずあり、そうしたサービスを使ってみると、なぜこのサイトを立ち上げたのか疑問を覚える。そうした疑問解消にひと役買ったのが、冒頭にふれた不愉快な出来事だ。

【Web2.0に群がる腹黒い輩たち】
いくつものWeb2.0的サービスに登録した結果、登録時に使用したメールアドレスにスパムメールが届くようになった。同時にウイルスメールも大量にやってくる。これが意味するところはひとつ、Web2.0的サービスを装った個人情報収集サイトが存在するかもしれないという事実だ。大半のWeb2.0的サービスはメールアドレスだけで登録できるが、なかには住所や氏名まで入力させるサイトがあった。むろん、SNSのような個人の特定を前提にしたサイトは多少の個人情報が必要になるだろう。しかし、SaaSを提供するサイトで住所まで入力させるのは行き過ぎというもの。残念なことに数々のWeb2.0的サービスを見てまわったところ、登録に二の足を踏むようなサイトが少なからず存在した。そして現にスパムメールやウイルスメールが届き、案の定、どこかのサイトがメールアドレスを売ったのだなと妙に納得してしまった。

いつの世も、流行りものには負の側面が見え隠れする。それはWeb2.0とて例外ではない。そもそもWeb2.0がブームになった背景には、このトレンドキーワードでひと山当てようという腹黒い目論みがある。Web2.0的サービスを装った個人情報収集も、そうしたダークな一側面なのかもしれない。

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August 07, 2006

Web2.0は村上春樹だ

Web2.0は村上春樹の小説によく似ている。どこか隙がある。隙という表現が相応しくないなら、自由な解釈を許す幅といおう。そのため村上春樹の作品を読んだ人は、「ボクはわたしはこの小説をこう理解した!」と、ついつい多弁になってしまう。ひと頃一世を風靡したアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」もそうした類の作品だ。これらに共通しているのは、口を挟む余地が残されている点。そしてその世界に精通していない人の発言も許してしまう度量の深さ。Web2.0とは何か、が重要なのではない。Web2.0について語り合うことが楽しいのだ。

【いまを総称する便宜的キーワード】
そもそもWeb2.0とは、ティム・オライリーがウェブ上で発表した「What is Web2.0」という論文に端を発する。しかし、現在Web2.0といったとき、ティム・オライリーが語っていない内容も含まれている点に留意したい。「What is Web2.0」で論じられている内容は、2005年前半程度までのウェブを中心としたものだ。それに対し、一般にWeb2.0といったとき、人々は現在(まさに今!)までのウェブ事情を含めて語る。いまは2006年8月。わずか一年というなかれ。ウェブにとって一年の差はとても大きい。Web2.0的でありながら、「What is Web2.0」で論じられていないサービスも多々あるはずだ。

つまりこういうことだ。人々は現在のウェブ事情を総称して、Web2.0という。明確な定義があるわけではない。特定のテクノロジーやサービスを指すわけでもない。前近代的なウェブに対し、現在のウェブを指し示す言葉として、Web2.0というキーワードはとても便利なのだ。こうしたことを踏まえ、いま改めてWeb2.0という事象を考えてみたい。

【横文字キーワードに惑わされるな】
Web2.0を象徴するキーワードは多岐にわたる。ざっと書き上げてみるとこんな感じだろう。

●ブログ、SNS、SBMなどによるコミュニケーション
ブログはトラックバックによって他の記事にリンクを貼り、コメントによってユーザーコミュニケーションが可能。SNS(ソーシャルネットワークサービス)は招待制を導入したクローズドコミュニティ。SBM(ソーシャルブックマーク)はブックマークを公開共有。流行りのホームページや人気ページを簡単に調べられる。ウェブ上でのコミュニケーション、ユーザー参加型サイトであることが重要だ。

●構造的なデータベース
リンクはウェブのデータベース化に大きく貢献するが、従来型のリンクはリンク切れというデータベースにとって致命的な欠点があった。こうした点を改善したのがブログの固定リンク(パーマネントリンク)だ。記事を更新しても固定リンクのURLは不変なので、リンク切れが発生しない。この固定リンクの導入により、ウェブがより有機的に結合するようになった。また、タギング(キーワードによる分類)によって検索性を高めている点もデータベース化に貢献する。極論すると、ウェブ全体を巨大なデータベースとしてとらえていこうという動き。

ロングテール現象
コンビニの棚は売れ筋商品で占められている。売れ筋商品が売り上げ全体の大きな割合を占めるわけだ。しかしアマゾンiTunes Music Storeでは、売れ筋ランキングで末端順位の商品が売れ筋商品の売り上げを超えるという逆転現象が起きている。オンラインショップが商品をデータベース化することで利用者がニッチな商品も見つけやすくなり、結果として細分化したニーズに応えたというわけだ。

ブラウザ以外からのネットアクセス
Google Desktop Searchの衝撃は、ウェブブラウザを使わずに検索できるという点に尽きる。iTMSもブラウザを使わずに音楽配信を実現。かつてインターネットといえばブラウザの向こう側にある世界だったが、現在では脱ブラウザといった動きが顕著になってきた。日本国内ではウェブブラウズ可能な携帯電話も普及し、ブラウザといった枠組みはますます無意味になる。

●AjaxによるSaaS
SaaS(Software as a Service)とは、ウェブ上でサービスとして展開するソフトウェアのこと。具体的にはブラウザ上で動く表計算ソフト、メーラー、ワープロなどがある。かつてソフトウェアといえばパソコンのHDDにインストールするものだったが、いまやウェブサーバー上にソフトウェアをインストールし、それをブラウザ上で操作できるようになった。こうしたサービスの開発に大きく貢献したのがAjaxと呼ばれる開発手法だ。以前からブラウザ上で動くソフトウェアは存在していたが、Ajaxベースのものは操作中に画面の書き換えがない。オーソドックスなソフトを使っているような感覚で操作できるのだ。

集合知を活かしたサービス
ウェブ上でみんなの知恵を出し合って、問題を解決していこうというサービス。かねてから掲示板では似たようなことが行われていたが、それを検索可能なデータベースとして構築し、サービスに昇華させている。典型的なのがはてなの人力検索。ウェブ情報から検索するのではなく、質問に対して人が調べて回答してくれる。Wikiを利用した百科事典「Wikipedia」は、ユーザーが情報を書き込むことで日々事典として完成度を高めている。なお、Wikiとはブラウザ上で投稿編集が簡単に行えるコンテンツ管理システムのこと。

マッシュアップ
Web2.0的サービスの多くは公開APIになっている。こうした複数のWeb2.0的サービスを組み合わせ、新たなサービスを生み出す手法のことをマッシュアップという。事件記事とGoggle Mapsを組み合わせたハザードマップが好例だ。

とまあ、いろいろあるが、これがWeb2.0のすべてというわけではない。しかしどうだろう、もっともらしい説明がついているものの、インターネットユーザーにとってはごく当たり前のことばかりが並んでいると感じないだろうか。「このサービスはマッシュアップを用いているからWeb2.0的だ」とか、「いまさらポータルなんて笑止千万。これからはユーザーコミュニケーションを重視したWeb2.0的サイトを構築しないと」なんていったところで、つい力の抜けた笑いが込み上げてしまう。なんだよこの人たち、当たり前のことをもったいつけて話してるだけじゃないか。そう感じたあなた、その感性はストレートに正しい!

かつてWeb2.0関連の原稿を依頼されたとき、「Web2.0とはコラボレーションサイトである」と結論づけたことがある。小難しい話はどうでもいいからさ、ウェブでみんなで楽しくなんかやろうよ! そんな空気がWeb2.0という言葉から伝わってきたからだ。たしかにブログやmixiのブレイク、ソーシャルブックマークサービスを念頭においたとき、Web2.0はコラボレーションサイトと定義できそうだ。しかし、コラボレーションという枠組みから逸脱したWeb2.0的サービスが存在するのも事実。コラボレーションやコミュニケーションはWeb2.0にとって重要なファクターではあるが、それが絶対条件というわけでもない。そして前述のようなWeb2.0を解説するキーワードを勉強するにつれ、Web2.0に対するとらえ方が自分のなかで変わっていった。Web2.0を支える技術にとらわれていてはWeb2.0を理解できない。――なんだよこの人たち、当たり前のことをもったいつけて話してるだけじゃないか――この感じ方がWeb2.0を理解する導線になりそうだ。

【意訳すると、いまどきのインターネット】
Web2.0なんて結局、いま目の前にあるインターネットのことにすぎない。いまどきのインターネット、それがWeb2.0だ。そう開き直ってみると、俄然見通しがよくなる。いまWeb2.0と騒いでいるのは、ウェブ(およびインターネット)がここにきてやっと歴史を語るに値するようになったというだけのこと。日本でインターネットブームが巻き起こったのは1996年前後、約10年前だ。その当時のウェブと現在のウェブを比較したとき、明らかなちがいがある。ティム・オライリーの「What is Web2.0」という論文はまさにこの現在と過去のちがいを多角的に分析したものだ。けっしてトレンドキーワードやビジネスタームとしてWeb2.0という言葉を煽ったものではない。Web2.0をビジネスタームとして取り扱っているのは、このキーワードでひと山当てようと目論んでいる、本来ウェブと無関係な人たちだという事実は理解しておくべきだろう。

90年代はインターネットそのものが目的だった。家電量販店で「インターネットください」というと、モデム搭載のバリューPCを見繕ってくれた時代。インターネットとは商品であり、インターネットにつないでホームページを見るということがユーザーの目的だった。だからこそ閲覧者を集めるポータルが重要性を帯びたのだ。方や現在、インターネット接続は当たり前のこととして、ウェブの上で何ができるか、どう楽しめるかに関心が集まっている。つまり、はじめにインターネットありき。ホームページを見ることよりも、ウェブ上で何をするかが最大関心事であり、情報よりもサービスにウェイトが移った。その結果ブレイクしたのがブログでありSNSであり、構造的なデータベース化が功を奏した効率的な検索機能なのだ。平たく言えば、インターネットは普及期から成熟期に移行した。インターネットはインフラとして認知され、人々はインターネットのない生活を想像できなくなりつつある。なるほど、インターネットがなくても人は死なない。しかしメールがなければ、あなたの仕事は完全に頓挫するだろう。仕事とは命の糧を稼ぐこと。インターネット不能な生活は日常生活者としての死を意味する。こうしたインターネットの変化を、様々な技術用語を尽くして語ったのがWeb2.0ブームの正体だ。

【ネットは学術に昇華した!?】
いま書店にいくとWeb2.0周辺本が山積みされている。Web2.0のセミナーも数多く催されている。本を読まなくてもセミナーに参加しなくても、あなたはすでにWeb2.0を知っている。少なくとも日々体感している。しかしだからといって、Web2.0を支える数々のテクノロジー、そしてWeb2.0を分析するテクニカルタームを蔑ろにするつもりはない。なぜならWeb2.0ブームは、インターネットが学問に値することを証明した出来事だからだ。ティム・オライリーの「What is Web2.0」をはじめ、各種周辺本に書かれている内容は、いまのウェブを多角的に分析したものだ。目の前の現象を整理し、そのなかから規則性や法則を見いだすアプローチは、まさに学術である。ことWeb2.0の解説は経済学を彷彿させやしないか。経済は総じて人の営みであり、インターネットも結局は人の生活に根ざしている。一見無秩序な人のふるまいを、過去との比較や規則性を駆使し、整理分類しようという動きは、経済学にもWeb2.0にも共通しているように思えるのだ。

ウェブは学問に値する。Web2.0とはその証明方程式――。村上春樹の小説を咀嚼するように、そんな勝手な解釈をつけてみた。

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