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March 29, 2009

HOYA R72 と B+W 092 で赤外線フィルター対決!

赤外線フィルターといえばケンコー、ではなくて、HOYA R72が鉄板だ。日本国内では販売されていないが、カメラファンなら名称くらいは聞いたことがあるだろう。海外ではド定番の赤外線フィルターである。しかし、B+W 092という赤外線フィルターも負けず劣らず鉄板だ。Flickrの掲示板を見ていると、「HOYA R72とB+W 092、いったいどっちがいいの!?」なんて議論が交わされている。そんなわけで、HOYA R72とB+W 092、どっちがいいのか考えてみよう! ってそのまんまだな(汗)。

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【透過帯域が異なる定番赤外フィルター】
フィルター対決の前に、サクッと赤外線についておさらいしておこう。一般に、760nm以上の光線を赤外線と呼んでいる。可視光線と電波の中間にある、電磁波全般を指しているそうだ。詳しいことは、理系のお友達に聞いてみてください。ここではとりあえず、760nm以上が赤外線とおぼえておけばOKです。

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左写真の上がHOYA R72、その下はノンブランドのHOYA R72相当品だ。ともに720nm以上の光線を通す、らしい。いやもうだって、赤外線は非可視光線でしょ、見えないんだから正直よくわからんですよ(笑)。ただまあ、「72」と刻印してあるくらいだし、720nm以上を通すんでしょう。で、純然たる赤外線は760nm以上だから、HOYA R72は正確にいうと、近赤外線透過フィルターだ。ちょびっと可視光線(赤外のお隣の光線だから赤)が混じってくる。でも、実際に光にかざしてたところでフィルターの向こうは見えない。真っ暗け。可視光線をほぼカットしているのがわかる。

で、右写真がB+W 092。日本ではなじみが薄いが、海外ではポピュラーな赤外線フィルターだ。ネットで透過域を調べてみたところ、650nm以上とか680nm以上とか、どうも諸説ある様子。ただ、HOYA R72よりも可視光線を通しているのはまちがいないようだ。実際に光にかざすと、かすかにフィルターの向こう側が見える。正確にはDark Redフィルターというべきか。ここでおぼえておいてほしいのは、「B+W 092はHOYA R72よりも可視光線を通す」という点。そのため一部では、Enhanced Color IR Filterなんて呼ぶこともある。ともにポピュラーな赤外線フィルターだが、透過光の帯域が異なる。可視光線の透過具合にちがいがある。さてこのちがい、写りにあらわれるのだろうか。

【色情報の量が一目瞭然】
そんなわけで、いよいよ赤外線フィルター対決だ。HOYA R72とB+W 092の画像を、撮って出しからポストプロセスの順を追って掲載していく。具体的には、撮って出し→ホワイトバランス調整→カラースワッピング→フィニッシュの順だ。左側の写真がHOYA R72、右側の写真がB+W 092である。

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まずは撮って出し。ともに紫っぽい奇っ怪な画像だが、B+W 092(右側)の方が一見して鮮やかなのがわかる。B+W 092はHOYA R72よりも可視光線を多く透過するため、色情報が豊富なのだろう。

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ホワイトバランスを調整すると、木々の緑は青っぽくなり、空や海の青は褐色になる。どちらも同系色だが、やはりB+W 092の方が高彩度だ。

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カラースワッピングを行った画像だ。HOYA R72(左側)は木々が白っぽくなり、強烈なスノー効果(樹木の緑が白くなること)を満喫できる。B+W 092は木々にオレンジがのり、いわゆる赤外写真というよりは、カラー赤外もどきといった様相だ。

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彩度を整えてフィニッシュ。HOYA R72は白い木々と青い空が特長的だ。典型的なデジタル赤外線写真に仕上がっている。ただし、色情報が乏しいため、これ以上の加工は難しい。一方、B+W 092は一見すると普通のカラー写真のように見えるが、もっと木々の多いサンプルだと、オレンジの樹木が鬱蒼として独特の世界を作り上げてくれる。また、色情報が豊富に残っているので、ここからもう一段、加工を施すことも可能だ。

こうしてHOYA R72とB+W 092を比較してみると、可視光線の透過量のちがいが手に取るようにわかる。ひと口に赤外線フィルターといっても、可視光線の混ざり具体が仕上がりに大きく影響するわけだ。スノー効果はHOYA R72の方が顕著で、より赤外らしい写真が撮れる。ただし、逆光や半逆光だとスノー効果が減退して、メリハリのない写真になってしまうので要注意。その点B+W 092は、光の状態を問わず、適度に色情報が乗ってくる。そのため逆光や半逆光でも画になりやすい。手軽にデジタル赤外を楽しむならB+W 092、光を読んで本気で取り組むならHOYA R72といったところか。

とまあ、2種類の赤外線フィルターを比較してみたが、いったいこの情報、誰のためになるんだろう……。ときどき、暗闇とキャッチボールしている気分になりますwobbly

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Comments

はじめまして
長らく読み逃げでしたが初コメントです

なんというか
自分の撮影にはこの情報がスグには役に立つ訳ではないのですが
楽しく読ませてもらってます~

Posted by: GG-1 | April 02, 2009 at 08:05 PM

CG-1さん、はじめまして。
応援、ありがとうございます。
いま、暗闇の向こうに一条の光が見えました!

Posted by: metalmickey | April 02, 2009 at 08:12 PM

>いったいこの情報、誰のためになるんだろう……。

非常に楽しませていただいていますよ(笑)

残念ながら今手元にあるのはEOS 40Dだけなので赤外線撮影をするにしてもかなりの時間が必要になるか、不可能か…。
将来的にシグマSDシリーズかDPシリーズを購入しようと思っているのでその際に挑戦してみたいと思います。

澤村さんの撮られる赤外線写真は幻想的で大好きです。
これからも楽しみにしています。

Posted by: Matt | April 02, 2009 at 10:49 PM

Mattさん、こんばんは。
温かいお言葉、ありがとうございます。
とても励みになります。

EOSだとたしかに赤外撮影はつらいですね。一応、ケンコーの大きな口径の赤外フィルターは買ってあり、いづれEOSでも……と思っているのですが、いかんせん、屋外に三脚を持ち出すのが面倒でいまだテストに至らずです(汗)。

Posted by: metalmickey | April 02, 2009 at 11:06 PM

お久しぶりです。

私もいよいよ赤外線撮影に乗り出しました。やはりEOS 40Dでは赤外線撮影はかなり厳しいようです(ライブビューでリモコンの赤外線を見てみましたが感度をかなり上げる必要がありそうです)。

手持ちのコンデジが意外にも赤外線を透過するようなのですが、レンズフィルターを装着出来ないのでフジフィルムのIRカットフィルターを購入して手持ちで試してみたところOKでした(コッキンのアダプターなどを使用すれば40Dのレンズにも装着できそうです)。

しかし澤村さんの撮られたようなお美しい写真には程遠いようです^^;
澤村さんの腕とM8の画に改めて感動しました。

Posted by: Matt | April 24, 2009 at 10:17 PM

Mattさん、こんばんは。
ついに赤外参戦ですね(笑)。赤外撮影は順光だと葉っぱがきれいに白くなりますよ。「空と葉っぱを順光で」このセオリーだけで赤外っぽさ全開の写真が撮れます。ピント補正は広角レンズで絞り込めば多少アバウトでも大丈夫です。最近は緑が茂り、日射しもずいぶん強くなってきました。いよいよ赤外のハイシーズン到来。GWは妻子を両親にまかせ、赤外三昧の予定です(笑)。

Posted by: metalmickey | April 24, 2009 at 10:34 PM

はじめまして。
赤外の初心者です。
作例と解説、わかりやすくて勉強になります。
Hoya R72を日本国内で入手したいのですが、どこで購入できるでしょうか?
お教えいただければさいわいです。

Posted by: necon | January 07, 2011 at 02:26 AM

neconさん、赤外の解説記事をご覧いただきありがとうございます。HOYA R72ですが、現在のところ日本国内での取り扱いはなく、ぼくはB&H(http://www.bhphotovideo.com/)というアメリカの量販店で購入しています。日本国内で入手可能な赤外線フィルターは、ケンコーのPRO1D R72シリーズ、フォトショップサイトウのオリジナル赤外フィルターあたりになります。これらのフィルターでも、特に問題なくカラースワップが楽しめます。

今月下旬のカメラ雑誌向けに、デジタル赤外線撮影のノウハウをまとめた記事を執筆しました。近いうちの詳細をブログにて告知いたします。ご興味があればぜひご覧ください。

Posted by: metalmickey | January 07, 2011 at 02:48 AM

ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

Posted by: necon | January 08, 2011 at 04:28 PM

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