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April 2008

April 29, 2008

SIGMA DP1 カスタマイズ

SIGMA DP1がやってきた。画質最高、操作性最悪。そしてボディは細部に粗が見え隠れし、“画質を買う”というある意味デジタルの申し子のようなカメラだ。ただ肝心の画質も、カッチリRAW現像してナンボのモン。完全にわかってる人向けのハードルの高いカメラといえる。というまあ書きたいことは山ほどあるが、ぼくに課せられて使命はひとつ。ご託はいいからトットとカスタムしやがれって? ハイ、わかっております。

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【GRDカスタマイズのセオリーが通用しない!?】
SIGMA DP1は、GR DIGITALカスタマイズで使ったパーツがまるっと流用できる。ファインダーはもちろん、フードアダプタに46mm径のねじ切りがあるから、ステップアップリングを使わずに市販フードが装着可能。ブラックのコンパクトボディという点もGR DIGITALと共通項だ。そもそもDP1のコンセプトはGR DIGITALと方向性が異なるのだが、カスタム志向の強い人、改造好きの人には気になるカメラにちがいない。というわけで、まずは定番スタイルから。

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コシナの28mm View Finder MとMSオプティカルのM46システムスリットフードの組み合わせだ。いまやGR DIGITALカスタマイズのお手本のようなこのスタイル、DP1とのマッチングはどうだろう。DP1はGR DIGITALよりもカチッと四角いボディだが、丸型ファインダーもよく似合う。スリットフードの方は、うむ、ちと華奢か。GR DIGITALでは鉄板のスタイルだが、DP1の場合はベストに達していない印象だ。

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そもそもDP1のデザインは、けっしてクラシカルではない。むしろアグレッシブな印象すら受ける。そのイメージを強調したのが上のカスタマイズだ。コシナの28/35mm mini Finderとパンチングメタルフードの組み合わせ。パンチングメタルフードはヤフオクで手に入れてモノで、口径は46mmだからフードアダプタに直接ねじ込める。小振りのパーツでドレスアップすると、ベビータンクを付けたハーレーみたいでちょっとかっこいいかも。フードのみマットブラックというのが惜しい。

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今度は逆アプローチで、大型フードを付けてみた。これはマップカメラオリジナルのメタルフード。口径は49mmなので46-49mmステップアップリングを介して装着してある。ごく普通の丸型フードなのでインパクトに欠けるものの、ボリューム感はかなりイケてる感じだ。考えてみれば、DP1はGR DIGITALよりもひとまわり大きい。これはカスタムパーツを選ぶ際の重要なヒントになりそうだ。

【DP1はちょい大きめがいい感じ】
GR DIGITALの発表会や取材時に必ず出てくるのが、「コンパクトであることにこだわりました」という発言だ。デジタル全盛の現在、GR DIGITALよりコンパクトなカメラはいくらでもある。しかし、フィルム時代からつづくGRの系譜は、高画質コンパクトに徹してきた。GR DIGITALにしても、ハイエンドデジタルカメラとしては圧倒的にコンパクトだ。DP1もAPS-C搭載機としては驚愕のコンパクトボディだが、GR DIGITALよりは大きい。よってDP1カスタマイズは、DP1のサイズ感に相応しいパーツチョイスが欠かせないはずだ。

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ライカの28mm角型ビューファインダーとペンタックスの角型メタルフードを組み合わせてみた。コンセプトはノーマルスタイルの強調。純正のファインダーとフードはこじんまりとまとまっているが、それを大振りパーツで強調してみた。このぐらい押し出しが強い方が、DP1の場合は様になると思う。これでグリップが肉厚だと個人的にパーフェクトなのだが、どこかアドオングリップを作ってくれないかしら(追記:Richard Franiecからハンドグリップが出ました。国内だとオリエンタルホビーで購入できます)。

とまあ手持ちのパーツで遊んでみた。ちなみに、紹介したフードはすべてケラレなしで撮影できます。パーツを取っ替え引っ替えしてみた感想としては、純正アクセサリーが思いのほかデザイン的に完成しているなあ、と。バイクに例えると、GR DIGITALはSR400、DP1はGB400といった感じ。まあ、外装に関してはコストダウンのしわ寄せを感じる部分が多々あるが、シルエットはキレイだと思う。これを崩してカスタムするわけだから、DP1カスタマイズはそれなりに覚悟が必要だ。なお、DP1のホットシューは若干作りが大きめで、社外品のファインダーは取り付けがゆるかった。特にコシナの28mm View Finder Mが一番ゆるく、いつの間にか5mmほど後退していた。製品による個体差もあるかもしれないが、アクティブに撮影する人はファインダーが脱落しないように注意した方がいいだろう。

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April 23, 2008

Leicatime M8ハーフケースの質感

M8を買う半年ほど前、まだデジタルレンジファインダーを手にするなんて夢想だにしなかった頃の話だ。ウェブを徘徊していたら、かな~りステキなライカ用ハーフケースを見つけた。もしライカを手にすることがあったら、こんなハーフケースがいいかも。なんてはボンヤリと考えていたのだが、それが現実のものとなってしまった。知る人ぞ知るLeicatimeのハーフケースが届いた。

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【海外通販は大変です!】
Leicatimeというのはイタリアのカメラショップの名前だ。ここの店主Luigiおじさんは、カメラショップの傍らハンドメイドのカメラケースやストラップも扱っている。ライカ通の間ではけっこう有名なお店らしい。ただ、このLuigiおじさんというのが自己顕示欲旺盛で、Leicatimeのホームページはかなり濃い目のテイストになっている。いやまあ、そんなことはどうでもいいんだけど。

このLeicatimeのカメラケース、困ったことに日本国内ではほぼ入手不可能。なにしろLuigiおじさんお手製のケースだ、輸入代理店なんてシャレたもんはない。ごくマレにヤフオクで出物を見かけるが、ほとんどはフィルムライカ用。M8用はお目にかかったことがない。ホームページにショッピングカートはなく、メールで直接やり取りするというのがメインルートのようだ。

ぼくは英語がからっきしダメなので、これはもう絶望的。せっかくM8を買ったのに、前々から目を付けていたケースは手に入らず……と諦めかけたとき、eBayに出品されていることを知った。しかも中古品ではなく、Luigiおじさん本人によるBuy it now(即決)での出品だ。英語が苦手でも、これなら買える! いや、そんな威勢のいいものではなくて、無事買えるといいなあ、くらいの感じ。なにしろ、eBayの買い物ははじめてなのだ。

eBayはPaypalが使える。Paypalは事前にクレジットカードを登録しておくことで、銀行口座やカード番号などを相手に知られることなく、ぼちぼち安全に買い物ができるというシステムだ。登録自体は無料なのだが、そこには当然信用度の問題が発生する。カードを登録しただけでは、そのカードが本人のものか、Paypalは確認できない。そのため、無料登録直後は利用限度額が設定されている。これがちと厄介だ。

利用限度額がいくらなのか、それがよくわからない。上限がわからないことには怖くて買い物ができない。海外通販で不足金を追銭するなんてぼくのキャパを超えた作業だ。利用限度額を解除するにはアカウントのアップグレードが必要となる。アップグレード費用はわずか200円だが、それさえもアップグレード後にキャッシュバックされるという。どういうことかというと、アップグレードを実行すると、登録したカードから200円引き落とされる。そして後日、カードの明細書が届くと、引き落とされた項目にシリアルナンバーが記載されていて、このシリアルをPaypalのホームページに入力。これで晴れてアップグレード完了という仕組みだ。つまりアップグレードとは、請求がちゃんと通るか確認するための行程というわけだ。

【しなやかレザーに惚れました】
そんなこんなでPaypalのアップグレード待ちで一ヶ月半ほど時間を費やし、しかも注文してからプチトラブルに巻き込まれ、到着までにたっぷり一ヶ月。やっとこさ手元にハーフケースとストラップが届いた。今回ぼくが注文したのは、Leicatime LUIGI CUSTOM CASE for LEICA M8 と Leicatime SPECIAL LUIGI DELUXE STRAP x LEICA,2 LENGHT ADJUSTMENTSだ。

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まずレンズまわりの流れるような曲線美、このフォルムにすっかり魅せられてしまった。小さめのグリップは思いのほか実用的で、このおかげでずいぶんとホールド感が増す。革質はマット。光の加減でかすかにブルーグレーを帯びるところがいい。国産レザーケースの多くは“硬い”けど、このケースは“しなやか”だ。触れると適度な弾力があり、上質なイタリアンレザーであることを実感できる。

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裏面はフラップ式になっている。HangingとRemovableの2タイプがあり、ぼくが注文したのはHangingだ。Custom caseはその名の通り、注文者のオーダーに応じてくれる。フラップなしという指定も可能だ。また、同型ケースのエコノミーラインもある。エコケースはハンドメイドではなくマシンメイド。革質も異なるらしい。個人的には安いエコケースで十分だと思ったのだが、エコケースは裏面がベージュになってしまう。黒ボディとベージュは微妙な感じなので、あえてプチお高いカスタムケースをチョイスした。

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ストラップもケースと同質の革で作られている。はじめからソフト。でも強い。柔らかいのではなく、やはり“しなやか”なのだと思う。このデラックスストラップはアジャスターが2つあり、通常のストラップよりもやや長めにできている。最長でたすき掛けができる状態。ホームページ上では120cm程度と記されているが、手元に届いたものは110cmくらい。想定していたものよりも短いが、たすき掛けしてボディがベルトより上にくる。バックルに当たったりしないので、まあ結果オーライか。

Leicatimeのケースとストラップを使って思うに、レザーに対するカルチャーのちがいを痛感した。保護材としてのレザーは、日本国内だと“頑丈さ”に力点が置かれる。しかし、今回手にしたケースとストラップは、あくまでもソフトな感触だ。むろん、ウォッシュドレザーのように繊維を傷めてまで柔らかくするのではなく、革そのものが強靱かつ柔軟なのだ。革好きの人はかなり気に入る逸品だと思う。以前、Carpediemのレザーに出会ったときも衝撃的だったが、Leicatimeのしなやかさもそれに近いものがある。気になった人は円高のうちに、是非。

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April 22, 2008

Google Earth 4.3 想像を超えない進化

Google Earthがバージョン4.3になった。インターフェイスの改良、サンライト機能、ストリートビューのサポートなど、かなり力の入った内容だ。でもなぜだろう、あまり熱くなれない。これまでGoogle Earthのバージョンアップは毎回楽しませてもらっていたのに……。新機能を紹介しつつ、熱くなれない理由を探ってみたい。

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【非リアルタイムな日の出日の入り機能】
まずはサンライト機能から。これは地上から見た太陽の動きをシミュレートする機能だ。任意を場所を表示してサンライト機能をオンにすると、日の出から日の入り、そして星空までも再現してくれる。使い方はシンプルで、手軽に遊べる機能だ。

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任意の場所をメイン画面に表示して、ツールボタンの日の出アイコンをクリック。

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タイムスケールの再生ボタンをクリックすると、以下のように太陽の動きがシミュレートされる。

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陽が沈んでいく様子はなかなかリアルで、3D都市やアルプスのような起伏の激しい場所で再生するとおもしろい。ただし、太陽の様子は非リアルタイム。これがどうにも惜しい。あくまでも天文的なデータをもとにシミュレートしているに過ぎない。たとえば気象情報とリンクして、雲や日照の様子を再現してくれたら心に響くのだが。

【3D前提のインターフェイスに進化】
ナビゲーションが新しくなった。上から順に、3D地形や3D都市の閲覧に便利なルックアラウンド、中央は従来からのカーソルボタン、そして昇降用のスライドバーが並ぶ。ルックアラウンドとカーソルボタンはともにホールド操作に対応。マウスの左ボタンをホールドして、上下左右に移動。これで画面をグリグリと動かせる。

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ルックアラウンドをホールドしたときの感覚は、SpaceNavigator PEの動作に似ている。基点が固定されるため移動こそできないが、自在に角度を変えて俯瞰できるのが気持ちいい。

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地表にズームインするときは、右クリックのホールド機能を使うといい。右クリックボタンをホールドするとこのようなマウスアイコンに変わり、垂直降下からそのまま地表に降り立つことができる。

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右ボタンをホールドして下方向にマウスと動かすと、まずはそのまま垂直降下していく。地表が近づいてくるにつれ、少しずつ角度がつき、ついには路上に降り立つことができる。従来は地表に激突した挙げ句、トンデモない場所に勝手に吹っ飛ばされていたので、これでずいぶんと3D都市を散策しやすくなる。ただし、着地後はナビゲーションを使った操作になるため、シームレスなオペレーションとは言い難い。おそらくは3Dコントローラの操作をマウスで再現しようと考えているのだろう。狙い目はいい。ただ、直感的ではない。地表に降り立ったら、そのままレーシングゲームのように自由に街を走りたい。

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ちなみに、東京が少し3D都市っぽくなってきた。左は新宿、右は汐留の様子。Virtual Earthの3D化にはかなわないが、それなりに3Dウォークスルーが楽しめそうだ。

【ストリートビューのぎこちなさ】

ストリートビューとはパノラマ写真を連続的に見せ、あたかもその場所を歩いているような臨場感を味わえる機能だ。Google Maps向けに提供されていた機能だが、バージョン4.3でGoogle Earthも対応することになった。

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使い方は簡単で、レイヤパネルの「ストリートビュー」にチェックを入れるだけ。提供エリアは北米の一部に限られているが、順次対応エリアは増えていくだろう。

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これはストリートビューを表示した様子だ。カメラアイコンをクリックすると、その場所のパノラマ写真を表示。奥のアイコンを次々にクリックしていけば、その場を歩いているような気分になる。マウスで画面をドラッグすると、周囲の様子をみまわすことが可能だ。

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ちょっと俯瞰してみると、こんな具合に写真が並んでいる。これらの写真を次々に表示していくわけだ。要はフォト機能(地表に写真を立てて表示する機能)の応用。こうした舞台裏が見えてしまうと、一気に興ざめしてしまう。

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上の写真はGoogle Mapsのストリートビューだ。メイン画面にはあくまでも現在位置を示しつつ、バルーンでストリートビューを表示している。どう考えても、こちらの方がインターフェイスとして洗練されている。Google Earthのストリートビューは力業という印象を拭いきれない。

長々とローテンションで愚痴っぽい解説がつづいてしまった……。それもこれも、今回のバージョンアップがサプライズに欠ける点に尽きる。サンライト機能はリアルタイム表示であってほしいし、3D操作は3Dコントローラに遠く及ばず、ストリートビューはGoogle Mapsの方が使いやすい。Google Skyが登場したあたりから感じていたのだが、最近のGoogle Earthはビジョンが見えない。場当たり的な機能追加のくり返しだ。

そういえば、KMLはOpen Geospatial Consortium(OGC)のオープン標準に認定されたそうだ。いまやKMLは、Google MapsやLive Mapsも正式サポート。地勢データに基づいた情報公開は飛躍的に加速していくだろう。結局Google Earthは地勢情報プラットフォームであって、地球シミュレータではなかった。そういうことなのか? ちょっと寂しい気分だ。

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バージョン4.3になって、大気圏表示がきれいになりました。地球温暖化が進む昨今、プチアイロニー!?

 

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April 15, 2008

Leica M8 ファーストライカレンズの悩み方

M8を手に入れて早一ヶ月半。いろいろと発見があったり失敗したり、日々楽しく撮影しているわけだが、撮れば撮るほどライカレンズがほしくなる。もちろん、G Biogon T* 28mm/f2.8はすばらしいレンズだ。そうはいっても、せっかくのライカボディなんだから、レンズもライカで揃えたい。そんなわけで、ライカレンズはじめての一本、これを一緒に悩んでみませんか。

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【ライカは35mmがディフェクトスタンダード】
選び方ではなくて、あえて悩み方。いうまでもなく、ぼくはライカ新入生だ。ナニをどう選んでいいのかさっぱりわからない。ただ、わからないなりに参考書やウェブで情報を漁り、「買うならこの辺かなあ」なんてアタリを付けてみたりする。アタリを付けたところで所詮新参者だから、すぐに別の情報に心揺さぶられ、「やっぱこっちかなあ」といつまでたっても決まらない。そんな煮え切らないレンズ選び、きっとあなたも経験があるはず! そんな心の揺れ動きを整理して、清く正しいライカレンズの悩み方を紹介しようかな、と。まずは、予算度外視でほしい一本挙げてみよう。

Noctilux 50mmF1(2nd)

大口径標準レンズの金字塔。ボケ足がドシャブリの雨みたいですごい写りをする。ライカを手にしたからには、一度は付けて撮ってみたい。でも、中古相場は50万後半から60万半ばぐらい。M8ボディより高い。まあ、買えんですよ。冷静にならなくても買えないとわかります。

ではセオリー通り、「はじめは標準レンズから」というアプローチで考えてみる。候補はSummicron 50mmF2だ。世の標準レンズに習い、このライカレンズもコストパフォーマンスがいい。現行新品で15万くらい。新古品ならアンダー10万で買えることもある。いやあホント、安い。こづかいで買えねえ、ズミクロン貯金しないと(泣)。

ただ、ここでひとつ問題がある。一般に標準レンズといえば50mmだが、ことライカに関しては35mmを事実上の標準レンズと考える傾向が強い。ファーストライカレンズはできるだけスタンダードなものを買いたいので、急遽方向転換、35mmレンズで物色してみよう。候補はこんなところだ。

Summilux 35mmF1.4
Summicron 35mmF2
Summaron 35mmF2.8(F3.5)

値段が高い順に並んでおります。ズミルックス35mmF1.4ってのはいわゆる大口径準標準レンズ。どのマウントでもこのクラスはクレイジープライスだ。よって却下。現実路線でズミクロン35mmF2に的を絞っていく。ズミクロンに決めたからといって、即買うレンズが決まるわけではない。ライカレンズにおいては、ことのほか世代が重要なのだ。

ズミクロン35mmF2は、第1世代から第4世代に分かれている。第1世代は伝説の8枚玉と呼ばれ、ありえないくらいに高価。第2世代は6枚玉となり、コストダウンレンズなどと呼ばれることも。第3世代はもっともユーザー数が多く、入手もしやすい。第4世代は現行モデルで現代的な写りをする。予算的に手が届くのは、第2世代か第3世代。ただ、ライカの標準的な写りを堪能するということであれば、現行モデルの第4世代か。M8とは長い付き合いになりそうなので、早い段階で基準となる写りを体験した方がいい。しかし、現行ズミクロン35mmF2は予算と折り合いがつかず、ならばお手頃価格の現行ズミクロン50mmF2で手を打つか、といきなり後ろ向きな発想に……。いかん、こういう妥協はよくない。一度クールダウンだ。

【ライカレンズに何を求めるのか?】
ライカレンズ選びの難しいところは、レンズごとに性格が異なるのはもちろん、同じレンズ名でも世代で描写傾向が異なる(そうですよ)。クセ玉ありぃの現代的な写りもありぃの、バリエーション豊かで個性的な選択肢から選ばなくてはならない。「リーズナブルな標準レンズ(単焦点50mm)でスタンダードを知る」という杓子定規では、高い買い物だけに後悔する危険が……。結局、自分自身がライカレンズに何を求めているのか、それを明確にしないとはじまらないようだ。

ぼくはライカレンズに何を求めるのか。よくよく考えてみると、ふたつの答えにたどり着いた。ひとつは趣味のカメラというスタンス。そもそもライカRのエルマリートR 35mm/f2.8 type IやズミクロンR 50mm/f2 type Iで洗礼を受け、地味な発色とシャドウの粘りに魅せられた。わかりやすくいうとレトロ。よりオールドレンズらしい描写をM8でも楽しみたい。もうひとつはテスターというスタンス。いまライカ社が提唱するスタンダードな画質を、早い段階で体験しておきたいというもの。スタンダードを知っておくことは、原稿を書くときに(まあライカについてお金になる原稿を書くことはそうそうないだろうけど)欠かせない価値基準になる。

オールドレンズか、現行レンズか……。

やっぱオールドレンズでしょ(笑)。というわけで、オールドレンズメインで改めて35mmを物色。するとSummaron 35mmF3.5がよさげに思えてくる。世間の評判は「中間階調が豊かでモノクロ向き」というもの。こりゃアンジェニューみたいなプチ眠い写りか!? けっこう好みかもしれない、と購買欲が高まってくる。さらに調べていくと、同じズマロンでもメガネ付きが安い。メガネというのはフレームの画角を変更するためのアタッチメント。M8で使う分には無用の長物なのだが、そのせいもあってメガネ付きは不人気レンズだ。グレードにもよるが、ざっくり5万円くらい。これなら買える、迷わず買える! 買うぜズマロン、行くぜレモン社!

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そんなわけで、Summicron 35mmF2 RFを手に入れました。ええ、ズマロンじゃなくてズミクロン。ズミクロン35mmのメガネ付きは第1世代しかなくて、つまりこいつは、冒頭にふれた伝説の8枚玉。ぜんぜん安くないです。でも、メガネなしの8枚玉は20万コース。メガネ付きはアンダー10万円。ちがいはメガネの有無だけで、レンズ構成はいっしょ。伝説の8枚玉がアンダー10万! こりゃお買い得だ(錯覚です)。記念すべきファーストライカレンズだし、フンパツしてみた。

【伝説の8枚玉の描写力】
ズミクロン35mmF2の第1世代、通称伝説の8枚玉は、数あるライカレンズのなかでも別格扱いになっているようだ。ただ、評判が一人歩きしている感は否めず、ライカユーザーのブログを拝見すると「言うほどでもないよ」という意見もチラホラ。とりあえずは試写したものをズラリを並べてみよう。なお撮影条件だが、6ビットコードはオフ、UV/IRカットフィルターは付けたり付けなかったり(笑)。RAW撮影したものをLightroomに読み込み、露出補正とトリミングのみ行っている。

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Leica M8 + Summicron 35mmF2 RF

画像を見た瞬間、ハッセルプラナーみたいだと思った。ハッセルプラナーといっても、Planar C 80mm/f2.8 T*のこと。Cレンズ特有の眠さと繊細さが、メガネ付きズミクロン35mmF2にも感じられる。あまりにシャープネスが繊細で、引いてみたときに眠く感じてしまう。端的にいうと、やさしく写る。やわらかい描写というよりは、やさしい描写といいたい。発色はさすがにカラー向けとは言い難く、ひらすた地味。ライカRのType I世代のような濃厚さはなく、純粋に地味な色合いだ。ワビサビの世界というか枯れた風景というか、エイジングフォト(ってなんだよそりゃ)向けかなあ。わずかにフレアっぽい写りで、それがシャドウの持ち上げ方に影響している感じ。標準露出で撮って、RAW現像時に0.5~1.0EVほどアンダーに落とすと気持ちいい。

【正直、メガネ付きってどうなの!?】
さて、メガネ付きレンズはどうしてこうも不人気なのだろうか。そもそもメガネ付きレンズはライカM3用だ。ライカM3のファインダーは、一番広角寄りのフレームが50mm。つまり35mmのフレーム枠がない。そこでファインダーの前にメガネをかけ、50mmフレームに35mmフレーム相当の視野を収める仕組みだ。

で、このメガネ付きレンズをM8に装着するとどうなるのか。まずフレームは50mmが選択される。そして視野は本来よりも広角寄りになる。広角寄りということは、被写体が小さく見えるため、ピント合わせはメガネなしのファインダーよりも操作しづらい。実際の撮影画角とフレーム枠の関係は、フレーム枠よりもひとまわり広いエリアが写っている。雰囲気的には、トリミング用のマージンもいっしょに撮れるといった感じ。

そんなわけで、M3以外でメガネ付きズミクロン35mmF2を使う場合、メリットは何もない。ピント合わせがやりづらくなるのだから、安いという以外、積極的に選ぶ理由は見当たらない。ただし、デジタル一眼レフユーザーの場合は別だ。特に小型デジタル一眼レフの快適さと無縁のファインダーに慣れていると、M8のメガネ付きファインダーでさえ至極快適に感じるだろう。ぼくは日頃、EOS 20Dにオールドレンズを付けてMFでピント合わせしている。まあ、フツーにシンドイですよ。なもんだから、メガネ付きレンズでさえ十分に快適だった。それどころかぼくは、このメガネ付きレンズを前々から狙っていた。その物々しい出で立ち、かっちょええよぉheart

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メガネ付きのデメリットよりも、ブラックボディにシルバーレンズというミスマッチの方が気になっていた。それもレンズフードを付けるだけで解消。黒の面積が増え、シルバーの鏡胴がむしろいいアクセントになってくれた。メガネ付きレンズを装着すると正直重いけど、このアグレッシブな面持ち、ぜんぜん許せます。

●追記
ズミクロン35mmF2 RFで撮った写真はこちらにも掲載しています。
metalmickey's montage - Summicron-M 35mm/f2 RF

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April 12, 2008

Virtual Earth 3D でついに東京が!

このところ3D地理ソフトはさすがにブームも下火。このままフェードアウトなのか!? と思っていたら、マイクロソフトがやってくれました。Virtual Earth 3Dで立体都市TOKYOが出現。日頃からおなじみの建物が、ついに3Dで楽しめるようになった。

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【国内Live Searchでやっと3D都市が見られます】
Virtual Earthはマイクロソフトが提供する3D地理サービスだ。国内提供されているLive Search Maps Betaの大元となるサービスである。北米を中心に展開する3D都市は、Google Earthの3D建物よりも精細かつ緻密。ただ、前述の国内Live Search Maps Betaでは3D都市を見ることができず、いちいち英語サイトのVirtual Earthにアクセスする必要があった。わかりやすくいうと、3D表示させるのはちと面倒、というわけだ。そんなこんなのVirtual Earth 3Dだが、今回東京の3D化にともない、国内Live Search Maps Betaでも3D都市が閲覧可能に。早速、東京の3Dっぷりを見てみよう。

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左上から順に、汐留、お台場、新宿、池袋界隈の画面写真を並べてみた。新宿ミロードの壁面ロゴまで再現。泣かせます。ただ、これだけ3Dモデルを表示するため、マシンにはけっこうな負荷がかかる。今回、NVIDIA GeForce 7600 GT搭載機で試したところ、グラフィックドライバが何度もハングアップした。現行中級クラスのグラフィックチップでぼちぼち快適、といったところだろうか。そうはいっても、Google Earthで3D化された都市を表示するよりは遙かに軽い。

ちなみに、御大のVirtual Earthもアップデートが発表され、ラスベガス、デンバー、ダラス、フェニックスの4都市が高精細3D都市になった。Live Searchの検索窓にそれぞれ都市名を英語で入力すると、該当地までジャンプして3D都市が見られる。

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左上から順に、Las Vegas、Denver、Dallas、Phoenixの高精細3D都市だ。従来からVirtual Earthの3D都市は丁寧なつくりだったが、高精細3D都市はよりディーティールまで作り込まれている。上記4都市に共通しているのは、です。いや、冗談じゃなくてマジで。

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これはDenver郊外の遊園地を表示したところだ。遊具や木がしっかり3D化されている。

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これは東京駅の様子。十分に精細ではあるが、3D化は建物レベルに留まっている。これは印象批評になってしまうが、建物自体のテクスチャやモデリングにそれほど大きなちがいを感じない。やはり「どこまで3D化するか」という作り込みがポイントなのだろう。ただし、グラフィックボードの性能によって再現性が異なることは予想できるので、パソコン環境によって見え方が異なるかもしれない。まあ、小難しい話はさておき、そのうち路上のクルマも3D化されちまうのかなあ、なんて気がしております。

【Virtual Earthのインストール手順】
さて、Live Search Maps Betaからダイレクトに3D都市が見られると書いたが、正確には前もってVirtual Earth 3DのActive Xをインストールしておく必要がある。そのステップをざっくりと載せておこう。

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まずLive Search Maps Betaにアクセスする。この状態では2D表示になっているので、ここで「3D」をクリック。すると、「別途モジュールが必要でっせ。ダウンロードする?」というような画面があらわれる。もちろんダウンロードしておこう。

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デスクトップにダウンロードしたexeファイルのアイコンがあらわれる。こいつをダブルクリックだ。

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Virtual Earth 3Dのインストールがはじまる。タバコタイムです。

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インストールが完了すると、デスクトップにアイコンがあらわれる。こいつをダブルクリックしてVirtual Earthを起動しよう。

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インターネットエクスプローラが起動し、自動的にLive Search Maps Betaにアクセスする。すでにこの状態で「3D」表示がONになっているので、そのまま東京にダイブ。[Ctrl]キー + マウスの左ホールドで画面をぐりぐりと動かそう。なお、ウェブブラウザはIE6/7とFirefox2に対応している。

【Google Earthも国内アップデートが進む】
片やGoogle Earthはというと、着々とアップデートが進んでいる。正直、追いかけるのがしんどいくらいチャカチャカとアップデートが進行中だ。そんななか、日本に関係するものをいくつか紹介しておこう。

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はい、富士山です。やっと清く正しい富士山を拝めるようになりました。なにしろ従来の富士山は、赤黒い悪魔山みたいな形相。「いったい元データはナニ!?」と首をかしげるような姿だったので、このアップデートは日本国民として大歓迎です。

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大阪の街が3D化しました。Virtual Earthほどの密集度はないけれど、めぼしい建物が3D化している。先般Google マイマップ EXPOというイベントがあり、ベストマイマップ最優秀賞に「Virtual Osaka Project」が選出されたとのこと。このマイマップはGoogle Earthと連携していて、そのおかげで大阪の主要建築物が3D化を果たした。これはレイヤーパネルで「3D建物」をチェックオンするだけで閲覧できる。

なにやらグラフィックリソース消費合戦のようなことになってきたが、3D都市は俯瞰するだけで純粋に楽しい。たしかWiiボードでGoogle Earth内を歩くフリーソフトがあったけど、Virtual Earth対応版が出ないものだろうか。もしくはVirtual Earthフライトシミュレータとか。Google Earthのフライトシミュレータは操作が難しかったので、VEフライトシミュレータはもうちょいシンプルな操作、たとえば“墜落しないモード”搭載でお願いします。

 

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April 07, 2008

Lightroom 2.0 beta のおいしい機能たち

ソフトウェアのバージョンアップは、単なる便利機能の追加ではない。最先端コンピューティングへの対応という使命がある。Lightroom 2.0 betaの場合、64bit OSとマルチディスプレイのサポートがそれに相当するが、ウム、この手の話は難しい……(汗)。というわけで、今回も引きつづき、便利機能の紹介で参りましょう。

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【演出としての周辺光量調整】
今回のバージョンアップはメジャーバージョンアップ(一桁数字のアップ)だけあって、かなり大幅な機能強化が行われている。このあたり、リリースノート(PDF)を読んでもらえばいいのだが、まあ面倒ですよね、英語だし(笑)。そんなわけで、ぼくが個人的に気に入った機能、気になった機能を取り上げてみたい。まず最初は周辺光量調整の強化だ。

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周辺光量調整とは、ありていにいうと四隅を暗くしたり明るくする機能。本来は周辺光量落ちした写真の四隅を明るくするためのもので、れっきとした補正機能だった。ところが現状はというと、あえて周辺光量落ちを加えて、レトロ感の演出に使われている。補正というよりも加工に近い使われ方だ。その加工で便利なのが新機能のPost-Cropだ。こいつのおかげで、トリミングした後でも適切に周辺光量調整ができるようになった。

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左はオリジナル画像。四隅までクッキリ明るく写っている。こいつに(よしゃあいいのに)周辺光量落ちを加えたのが、右の画像だ。これは従来機能の周辺光量調整を使っている。

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左は周辺光量落ちさせた写真をトリミングしたもの。周辺光量落ちの名残で右下が暗くなっているものの、ナンノコッチャな写真だ。結局これまでの周辺光量調整は、オリジナルサイズにしか適用できなかった。トリミングすると周辺光量落ちではなく、一部分光量落ちになってしまうのだ。まあ、“写真作業工程”的には正しい姿なんだけど。

で、右の写真はPost-Cropで周辺光量落ちを演出したものだ。トリミング後の画像に対して、ちゃんと四隅の明暗が調整できている。覆い焼き/焼き込みと合わせ、明暗コントロールはずいぶんとやりやすくなるはずだ。少なくとも、これでまたひとつ、Photoshop CS3と連携させる理由が減った(笑)。

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むろん、LightroomのせいでPhotoshop CS3の売り上げが落ちては大変だ。Photoshopとの連携もバリッと強化している。ライブラリモジュールの右クリックメニューからスマートオブジェクト、パノラマ合成、HDR処理などに引き渡すことが可能。いろいろと盛りだくさんだ。ただ、根本的なところでの連携というよりは、どうも付け焼き刃的な印象を受ける。最終的にLightroomとPhotoshop CS3がどのような関係になっていくのか、それが見えない。便利になってケチをつけるのはナンですが、「ああ、こうやって小出しにしていくのかなあ……」なんて。昔のパソコン業界は、ソフト、ハードを問わず、新機能を大盤振る舞いしてメーカーとユーザーがともに幸せを共有したものだけど、最近は段階的にアドオンしてバージョンアップ料で稼ぐケースを見かける。こういうのをビジネスモデルというのかもしれない。それならせめて、計画性を感じさせるものであってほしい。

【地味な機能にメーカーの良心が見える】
地味だけど、確実に便利な機能がいくつか加わった。それらをダイジェスト風にお伝えしよう。ひとつ目は現像と印刷時のシャープ処理。SILKYPIXでは以前から実装済みの機能で(おかげで現像処理がちと重いけど)、やっとLightroomも追いついたという感じ。

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この画面は現像時のシャープ処理だ。適応量だけでなく、スクリーン、マット紙、光沢紙と最終的な出力メディアに最適化してくれるようだ。このあたりはSILKYPIXのアンシャープマスクよりわかりやすい。

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現像時の書き出しフォルダ指定も機能強化している(って、あまりに地味ですが……)。現像したJPEGやTIFFをオリジナル画像のフォルダ下にサブフォルダを作って保存、という人はけっこう多いと思う。ただ、従来バージョンはいちいちオリジナル画像のあるフォルダを指定する必要があり、これが些末ながらも面倒だった。バージョン2.0では「Same folder as source photo」が選べるので、あとはサブフォルダ名を入力するだけでOK。フォルダ選択画面で「+」マークをプチプチとクリックしなくて済む。こういう地味な機能強化ほど、「ユーザーフィードバックが活かされてるんだなあ」なんて心にしみます。

【ライブラリモジュールは大幅機能アップ】
数あるRAW現像ソフトのなかからLightroomを選ぶ理由のひとつに、高性能なデータベース機能――ライブラリモジュールの存在がある。こいつがいい感じに機能アップしてきた。

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まずインターフェイスを改良し、フィルターバーなるものが上ペインに加わった。フラグやスターでの絞り込みはもちろん、メタデータを一覧表示して読み込み済みの写真を徹底的に絞り込める。従来左ペインに羅列していたものをよりアクセスしやすくした機能で、データベースらしさが一気に高まった。

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検索性アップの決め手がスマートコレクション。条件を指定しておくと、常に該当データを一括検出してくれる機能だ。iTunesのスマートプレイリストと似たような機能と考えればいい。こうした機能があらわれたことを考えると、運用していく上でスターやフラグの付け方、キーワード(タグ)の入力が重要性を帯びてくる。画像整理ではなく、データ管理という意識が大切だ。

【どうやって使う!? ピクチャーパッケージ】
プリントモジュールはピクチャーパッケージという新機能が加わった。プリントレイアウトを自在に作れるというスグレモノなのだが、いざ使ってみると微妙な違和感がある。違和感というか、どう使っていいものか戸惑っているというべきか。

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これがピクチャーパッケージで作成したレイアウトだ。従来のレイアウト作成は列と行の数を指定し、セルサイズを決めていくというもの。それに対しピクチャーパッケージは、任意のサイズのセルを自由に配置でき、しかも配置してからマウスのドラッグでサイズ変更が可能。とても自由度の高いレイアウト機能だ。

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こんな具合にサイズごとにセルのボタンがあり、各ボタンをクリックすると台紙に枠が追加されていく。フリーレイアウト機能として重宝しそうだが、ひとつ難点がある。実はこの機能、1枚の写真しか読み込めない。つまり、どれだけたくさん枠を作っても、ロードできるのは1枚の写真だけ。もしかしたら業務用途でこうしたニーズがあるのかもしれないが、個人ユースだとどう使うべきか活用の糸口が見つからない。誰かアドバイスをください。

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なお、プリントモジュールでJPEG書き出しが可能になった。これまでレイアウトしたものは常にプリンタで印刷するしかなかったが、今後はJPEG画像としてはき出せる。使い方は簡単で、出力先で「JPEG File」を選ぶだけ。右の画面がこのJEPG書き出しで出力したものだ。写真はプリントしてナンボというけれど、ぼく個人に限って言えば、ウェブで公開したりメールでやり取りする機会の方が多い。レイアウトして画像としてはき出せるのはありがたい。

2回に分けてLightroom 2.0 betaのバージョンアップポイントを見てきた。試用した印象としては、レタッチとRAW現像の境界、これが従来バージョンから大きく変化した。大量にさばくならLightroom、完成度を高めるならPhotoshop。この位置づけこそ変わらないが、もはやRAW現像ソフトをJPEG変換ツールと考える人はいないだろう。写真に表情を付け、意志を持たせるツールとして、着実なブラッシュアップを感じることができた。

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余談だが、個人的に気になるのは今後のSILKYPIXの動向だ。LightroomとApertureはタメを張るが、SILKYPIXだけ取り残されている。そろそろド派手なメジャーバージョンアップをかまして、ぼくらを驚かせてほしい。

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April 06, 2008

Lightroom 2.0 beta エリア選択の目覚め

Apertureがバージョンアップして覆い焼き/焼き込みができると知り、「いいなあ、マック買おうかなあ」なんて思っていたら、Lightroom 2.0 betaがリリースされた。バージョン1.4の公開中止騒ぎがあったばかりだが(ええ、インストールしちゃいました。で、速攻1.3に戻しましたとも!)、性懲りもなくメインマシンにぶちこんで遊んでみた。だってLightroom 2.0 betaも覆い焼き/焼き込みができるというじゃない!? こりゃ試さずにいられんですよ。

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【全面補正から部分補正へ】
なにゆえ覆い焼き/焼き込みに興奮しているのかというと、RAW現像ソフトが新たなフェーズに突入する兆しだからだ。覆い焼き/焼き込みは、画像の一部だけを明るくしたり暗くする機能。日頃からPhotoshopを使っている人にはどうということのない機能だ。しかし、RAW現像ソフトにとっては画期的な一歩といえる。前口上はこのくらいにして、その効果を見てみよう。

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左は撮って出しのオリジナル画像。見事な逆光で樹は真っ黒につぶれている。かといって露出を上げると空が完全に白飛びしてしまうので、ちょいと慎重な補正が必要となる写真だ。

中央の写真はLightroom1.3で補正したもの。補助光効果でシャドウ部だけを持ち上げ、白飛び軽減でハイライトを気持ち抑えている。樹の様子は見えるようになったが、なんともつまらない写真だ。結局、トーンカーブを逆S字にしたようなものだから、コントラストが落ちてメリハリに欠く。隅々まで見えるので説明写真としては合格だが、写真表現としては面白味がない。そこで覆い焼きの出番というわけだ。

右はLightroom 2.0 betaで補正したもの。覆い焼きで手前に樹の一部を明るくし、空の一部は焼き込みで少しだけアンダーにしている。新緑の鮮やかさが目に眩しい。ピンポイントで露出補正できるので、インパクトのある写真に仕上がった。

とまあこんな具合に、覆い焼き/焼き込みは写真表現上強力なツールになる。ここで注目したいのは、全面補正から部分補正へのシフトだ。これまでのRAW現像ソフトは、あくまでも画像全体に対して補正を行っていた。ハイライトとシャドウを個別にコントロールすることはできるものの、ピンポイントで制御するには至らない。細部にわたる補正はJPEG/TIFFに書き出してからフォトレタッチソフトで行うしかなかった。しかしこれからは、輝度や色相に関わらず、特定エリアだけを選択して補正できる。要はレタッチ的アプローチを手に入れたというわけだ。

実はこの発想、Capture NXでは以前から採用されていたものだ。Capture NXはレタッチソフトの手法を大胆に取り入れたソフトで、当初から選択ツールを搭載している。ニコン専用という制約こそあれ、出し惜しみなしのお買い得ソフトだ。覆い焼き/焼き込み自体、取り立てて斬新ということではないが、Lightroom単体でよりこだわり抜いた写真現像が楽しめるようになる。

【マスクでピンポイント非破壊編集を実現】
では覆い焼き/焼き込みの具体的操作を見ていこう。冒頭から「覆い焼き/焼き込み」と書いているが、正確にはマスク作成ブラシツールというかなり高性能なもの。なにしろ選択エリアに対して、露出補正だけでなく彩度や明瞭度も調整できるのだ。

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現像画面の右ペインに、上のような画面が加わった。ブラシのサイズやタッチを調整しつつ、ぬりぬりした部分の露出を変えるというものだ。レタッチソフトではごく普通の機能だが、RAW現像だとちょいと事情が異なる。RAW現像ソフトは非破壊編集が大原則なので、補正後、再編集できないと困るのだ。

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左はぬりぬりしている様子。円形のブラシツールがあらわれ、こいつで画面上をざっくりと塗っていく。ここではペイントタイプに「露出」を選んでいるので、塗ったところがみるみるうちに明るくなっていった。めざとい人は奇妙な黒丸に気付いたことだろう。こいつは選択エリアのマーカーだ。右の画面写真は、このマーカーをマウスでポイントした様子。選択した部分を半透明表示してくれる。選択エリアを新規作成するたびに、この黒丸マーカーが増えていく。

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再び右ペインを見てみよう。項目名がMaskになっている。つまり、Lightroom 2.0 betaの覆い焼き/焼き込みは、ブラシツールを用いたマスク作成機能というわけだ。その下にはExposure(露出)、Brightness(輝度)、Saturation(彩度)、Clarity(明瞭度)、Tint(色合い)といった項目が並ぶ。覆い焼き/焼き込み(露出制御)だけでなく、マスクしたエリアに対して色彩コントロールも行えるのだ。これまでは赤の色調を補正すると、ポストも夕焼けも彼女の唇も、まるっとまとめて色合いが変わってしまった。でも今後は、彼女の唇はエロチックに、ポストは気持ち朱色に、夕焼けは切ない紫寄りに、といった個別制御が行える。もちろんマスク処理だから、画像を直接編集するわけではない。前述のマーカーを選択すれば何度でも再編集できる。マーカーを削除すればマスク自体を消去でき、RAW現像の特権――非破壊編集をキープしつつ、ピンポイント編集を実現している。

かねてから覆い焼きを写真加工に取り入れたかったのだが、「レタッチと現像は別物」「レタッチに手を出してはならぬ」と妙なプライド(笑)があり、これまで補助光効果と白飛び軽減でしのいできた。いや単に、Photoshopを起動するのが面倒なだけだったりもするのだが……。でも今後は気軽に覆い焼きができるので、表現の幅が広がりそうだ。願わくば、ダスト付加もできるようになると、フィルムの粒状感が再現できて便利だなあ、なんて。

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左から、撮って出し、Lightroom 1.3、Lightroom 2.0 Beta。エリア選択というアプローチが加わったことで、さらにRAW現像が楽しくなりそうだ。

 

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