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May 15, 2007

4D2U Mitaka で宇宙空間に飛び出せ!

4D2Uプロジェクト(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト)という事業がある。空間的にあまりに広大で、時間的にも長大な宇宙というものを、デジタルの力で視覚的にとらえてみようという試みだ。その成果物のひとつとして登場したのが、4次元デジタル宇宙ビューワ「Mitaka」である。

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これは国立天文台立体視シアター向けに開発された上映用ソフトウェアなのだが、バージョン1.0正式版がフリーウェアとして公開されている。このソフトのなにがスゴイかって、宇宙空間を自由に、しかも時間的変移も交えながら楽しめるのだ。Google Earthもフリーウェアとして画期的な高性能ぶりだったが、Mitakaのスケールと大盤振る舞いはそれを凌駕するかもしれない。早速そのおもしろさを見ていこう。

【プラネタリムより宇宙遊泳!】
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シアター上映用ソフトということもあり、起動するとまずプラネタリウムがあらわれる(写真左)。Mitakaは4次元空間をシミュレートしているので、時間軸を進めていくと天体が動く。スクロールホイールでズームイン/アウトすることもできる。これはこれでおもしろいが、正直なところこれだけなら別段驚くほどのことではない。似たようなソフトは他にもあるだろうし、3D空間とはいっても見え方は平面チック。Mitakaの本領はあくまでも、宇宙空間に飛び出せるところにある。

そこでホイールボタンをクリック。天体を見上げる視点から、地表を見下ろした視点に切り替わる(写真中央)。前述のモードをプラネタリウムモード、これを宇宙空間モードという。ホイールを前後するとズームイン/アウトでき、3D空間を自由に飛び回れるのだ。夜になっているエリアは街の明かりまで見ることができ(写真右)、宇宙から地球を見下ろしている雰囲気が伝わってくる。普段Google Earthばかり使っているのでついズームインしてしまうが、Mitakaを満喫したいならズームアウトだ。ズームアウトしていくだけで、宇宙の壮大なスケールを実感できる。

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ズームアウトしていくと太陽系の全体があらわれ、各惑星の軌道が見えてくる。さらにズームアウトすると太陽系自体が小さくなり、10光年をすぎたあたりから著名な恒星があらわれる。

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ついには銀河系の全体像が姿を見せ、我々の棲む太陽系は宇宙のホンの片隅なのだと痛感してしまう。10万光年をすぎると小銀河が次々を視界をかすめ、銀河系すら宇宙の片隅にすぎないのだと呆然とした気分になるはずだ。

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10億光年を超えると、宇宙の大規模構造が見える。これは銀河の分布図で、扇状に分布しているのは観測領域のみを表示しているためだ。実際にはまんべんなく銀河が分布しているらしい。最後は137億光年の境界線があらわれ、宇宙の果てに到着する。宇宙の年齢は137億年と考えられているので、これが宇宙の果て(もしくは宇宙の最先端)というわけだ。ちなみに青い部分はクエーサーの分布状況を示している。クエーサーとは巨大なエネルギーを発している天体のこと。書いているぼく自身よくわからなくなっているのだが(笑)、ともかくも宇宙のスケールだけは肌で感じてもらえるはずだ。

【人工衛星で4次元空間を体感】
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前述の通り、Mitakaは4次元空間をシミュレートしている。3Dスペース+時間。このことを体感したいなら人工衛星の軌道を追いかけてみるといい。太陽系を画面に表示させ、その上で「探査機の軌道」の表示をONにする。時刻表示を1年単位に設定して、1970年代ぐらいから一気にタイムスケールを動かす。するとボイジャーやカッシーニの軌道がぐいぐいと伸び、太陽系の惑星と大接近する様子が手に取るようにわかるのだ。

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惑星大接近の様子をクローズアップしたのが上の画像だ。左がカッシーニの土星大接近、右がパイオニア10号の木星大接近の様子。いやあ、大迫力な3D映像だこと。惑星と人工衛星を、自らの手でランデブーさせちゃうなんてたまりませんな(笑)。Mitakaのいいところは、3D表示が本当にキレイだというところ。地球と火星は地表の隆起も再現され、実に見応えがある。そんな様子をまとめてアップしておこう。

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【インターフェイスは改善の余地あり】
このようにMitakaはフリーウェアの域を超えた極上の知的エンターテイメントソフトだが、操作面でいくつか不満がある。まずターゲットという概念があり、指定したターゲットが視界の中心点になる。たとえば地球をターゲットに据えれば地球が視界の中心になり、銀河系を選べば銀河系の中心部分が視界中央になるわけだ。マウスによって画面をドラッグした場合、この中心点を軸に視界が回転する。つまり、上下左右の移動ではなく、常にターゲットを基準した回転移動になるわけだ。これを理解しておかないと、気持ちよく宇宙遊泳できない。Google Earthや地図ソフトの感覚と異なるので気をつけよう。なお、ターゲットはメニューから選択でき、主要な惑星、恒星、銀河などに瞬間移動できる。

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基本操作はマウスによるドラッグ、キーボードのショートカットキー、そしてジョイスティックが利用できる。ただし、細かい操作はメニューバーのみで、いちいちメニューをプルダウンさせるのが時としてまどろっこしい。やはり操作パネルがほしいところだ。このあたりはGoogle Earthのナビゲータなどを手本にしてほしい。一応スクリーンメニューというインターフェイスがあり、キーボードの[X]キーで呼び出せる。使用頻度の高い機能にイージーアクセスできるのが利点だが、このスクリーンメニュー自体をショートカットキーで操作する必要があり、カーソルキーとエンターキーで選択決定できないのだ。カーソルキーに画面移動が割り当てられてるためだが、やはり直感的操作とはほど遠い。正式版として公開する以上、ローカルルールに則った操作体系でなく、一般ソフトと共通項のある操作性が望ましい。なお、このスクリーンメニューには3Dチャートと呼ばれる3D模式図が呼び出せる。惑星の大きさを視覚的にとらえることができ、おもしろい機能だ。

M31_1今回、Mitakaを取り上げたのは、本気具合がGoogle Earthを彷彿させたからだ。Google Earthは情報オーサリングツールとして、現存する情報をすべて3D空間に引き写し、デジタルアース実現の可能性を示した(一部にはGoogleスタッフの余技、と一刀両断する人もいますが……)。翻ってこのMitakaは、ドームシアターの上映ソフトをそのまま公開したものだ。機能限定版でも暫定版でもない。マンマ上映ソフトなのだ。それゆえに画面の精細さは圧倒的。しかもアナグリフ方式の立体視データまで収録し、自分で赤と青のセロファンを用意すればモニター上で立体視が楽しめる。バージョン1.0ということもあり未成熟な感は否めないが、今後4次元デジタル宇宙に何を作り上げてくれるのか、実に楽しみなソフトである。

●追記
Mitakaの遊び方を満載したムック「パソコンで3D宇宙ツアー」(毎日コミュニケーションズ)を出しました。ご興味がある方はこちらも記事も参考にしてください。よろしくお願いいたします。

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Comments

宇宙の深さ知りたい

Posted by: 城 元治 | December 26, 2008 at 03:37 PM

城元治さん、はじめまして。
宇宙の深さ……ですか。哲学的でどうお答えしてよいのか妙案が浮かばないのですが、「Mitaka」は宇宙シミュレータだけあって、どことなく宇宙の神秘的な雰囲気が伝わってきます。ホビーとしても、またエディティメントという側面からもすぐれたソフトだと思います。

Posted by: metalmickey | December 26, 2008 at 03:53 PM

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